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毒のある生きもの フグ

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私は漁師町に生まれ、

「この家の人はフグに当たって亡くなったんよ」というような話を子供の頃によく聞いていました。それほど、フグは私たちの身近に死をもたらす危険な生き物なのです。

ある時、おばあさんが脳卒中で倒れたと聞き、病院に駆けつけると、おばあさんは喋ることも出来ず、起き上がることも出来ませんでした。

「もう、一生寝たきりでしょう」

医師からはそう告げられ、私達家族は寝たきりを覚悟しました。

しかし、お婆さんはその後、みるみるうちに回復して、2週間後には普通に生活できるようになりました。

脳卒中から回復したスーパーばあさん

と囁かれましたが、

実は正月に食べたフグが原因でした。フグの神経毒で動けなくなっていたのですが、毒が徐々に抜けて回復しただけだったのです。

率直に言って、医者の誤診でした。

危うく命を落とすところでした。


フグにはテトロドトキシンという神経毒が含まれています。

この神経毒はナトリウムイオンに結合して、神経の働きを阻害する事で毒性をもたらします。

フグの種類によって、テトロドトキシンを溜め込む臓器が違うので、フグを食べる際には気をつけなければいけません。

肝臓、心臓、皮、消化器官、卵巣、精巣、卵、筋肉など、どの器官にも神経毒は溜め込まれる可能性があります。

筋肉にテトロドトキシンが含まれるフグは食べるところがないですね。笑


フグ自体にはテトロドトキシンを産生する能力はなく、バクテリアが作ったものを食べることによって体内に濃縮しています。

他にも、テトロドトキシンを持った生物として有名なのは、ヒョウモンダコです。
こちらは、食べなくても刺してテトロドトキシンを注入してくるのでフグよりも危険です。

アカハライモリもテトロドトキシンを持っているので、食べない方がよいでしょう。
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