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村の外でスライムと遭遇
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村の外は荒涼とした風景が続いていた。むき出しの岩肌に風が吹きつけて埃が舞っている。所々に大きな岩や枯れた木があり、その陰に何が潜んでいるかわからない不気味さが漂っていた。涼介はモンスターの気配に気を付けながら恐る恐る歩いた。木の棒は自然と汗で湿ってくる。
後ろからカラカラという音がしたので振り向くとそこには何もいなかった。
が、正面を向いた瞬間に見たこともない生き物がいた。
透明なゼリー状の塊が形を変えながら地表を移動している。くりくりとした大きな目が2つ付いていて、こちらを見ている。不気味な姿に涼介は全身に鳥肌が立った。
これがモンスター
そう呟くと木の棒を握りしめて上段に構えた。
多分、スライムだ。
調べた通りそれほど強くはなさそうだが、どれほどの移動能力があるか分からない。もしも飛びかかられたら厄介だ。
涼介は距離を取りながら観察した。そして、こんなに早くモンスターと出会うならば村の外にはモンスターがウヨウヨいるのかもしれない。涼介はスライムに気を配りながら辺りを確認したが他にはモンスターはいないようだ。
他のモンスターが集まってくる前にサッサと片付けて帰ろう。
涼介は一気に距離を縮めて木の棒で殴りつける作戦に出ようと思った。だが、なかなか勇気が出ない。もしも、ダメージを食らったら体力を消耗して、回復するにはまたお金がかかる。そうなると今まで努力して清掃や新聞配達をしてきたことを一からやり直さないといけなくなる。それは大きな痛手だ。報酬が貰える生活にようやく希望が持てるようになってきたんだ。その希望を失いたくない。そう思うと慎重にならざるを得なかった。
スライムの後ろに回って不意打ちを食らわそうと考えたが、スライムは警戒して涼介の方から目を離さない。
隙がない。
涼介は覚悟を決めて飛びかかることにした。
1、2、3
で一気に飛びかかり木の棒で殴った。
ボカッ!
手にはタイヤを叩いたような感触が伝わってきた。
ダメージを受けたスライムは怯えた表情で反対方向に逃げはじめた。
こいつ、強くない。
涼介はもう一度思いっきり力を込めて殴った。
ジーンと手に重たい感触が伝わり、スライムは真っ青になってひっくり返った。瀕死の状態である。恐らくもう一度殴ったら死んでしまうだろう。
涼介は木の棒を上段に構えた。このまま振り下ろせばスライムを倒すことが出来る。
スライムを見下ろすと、ひくひくしながら悲しそうな目をしている。涼介はその姿を見ると最後の一撃を下すことが出来なかった。
こいつを倒して1シルバー手に入れることになんの価値があるだろう。
モンスターと言えどもひとつの生命だ。その命を無闇やたらに奪ってお金を得る事をしてはいけないと思った。
涼介は木の棒を捨てると、スライムを抱えた。そして大きな枯れ木の窪みの中にスライムをそっと置いた。
ここなら見つかりにくいだろう。
「殴って悪かったな。ここで回復するまで隠れてろ」
そう言い残して涼介は村へ帰った。
俺にはモンスター討伐は向いていない。やっぱり、地道に掃除と配達を頑張ることにしよう。稼ぎのなかった涼介は空腹を抱えながら、いつもの公園で野宿をした。
後ろからカラカラという音がしたので振り向くとそこには何もいなかった。
が、正面を向いた瞬間に見たこともない生き物がいた。
透明なゼリー状の塊が形を変えながら地表を移動している。くりくりとした大きな目が2つ付いていて、こちらを見ている。不気味な姿に涼介は全身に鳥肌が立った。
これがモンスター
そう呟くと木の棒を握りしめて上段に構えた。
多分、スライムだ。
調べた通りそれほど強くはなさそうだが、どれほどの移動能力があるか分からない。もしも飛びかかられたら厄介だ。
涼介は距離を取りながら観察した。そして、こんなに早くモンスターと出会うならば村の外にはモンスターがウヨウヨいるのかもしれない。涼介はスライムに気を配りながら辺りを確認したが他にはモンスターはいないようだ。
他のモンスターが集まってくる前にサッサと片付けて帰ろう。
涼介は一気に距離を縮めて木の棒で殴りつける作戦に出ようと思った。だが、なかなか勇気が出ない。もしも、ダメージを食らったら体力を消耗して、回復するにはまたお金がかかる。そうなると今まで努力して清掃や新聞配達をしてきたことを一からやり直さないといけなくなる。それは大きな痛手だ。報酬が貰える生活にようやく希望が持てるようになってきたんだ。その希望を失いたくない。そう思うと慎重にならざるを得なかった。
スライムの後ろに回って不意打ちを食らわそうと考えたが、スライムは警戒して涼介の方から目を離さない。
隙がない。
涼介は覚悟を決めて飛びかかることにした。
1、2、3
で一気に飛びかかり木の棒で殴った。
ボカッ!
手にはタイヤを叩いたような感触が伝わってきた。
ダメージを受けたスライムは怯えた表情で反対方向に逃げはじめた。
こいつ、強くない。
涼介はもう一度思いっきり力を込めて殴った。
ジーンと手に重たい感触が伝わり、スライムは真っ青になってひっくり返った。瀕死の状態である。恐らくもう一度殴ったら死んでしまうだろう。
涼介は木の棒を上段に構えた。このまま振り下ろせばスライムを倒すことが出来る。
スライムを見下ろすと、ひくひくしながら悲しそうな目をしている。涼介はその姿を見ると最後の一撃を下すことが出来なかった。
こいつを倒して1シルバー手に入れることになんの価値があるだろう。
モンスターと言えどもひとつの生命だ。その命を無闇やたらに奪ってお金を得る事をしてはいけないと思った。
涼介は木の棒を捨てると、スライムを抱えた。そして大きな枯れ木の窪みの中にスライムをそっと置いた。
ここなら見つかりにくいだろう。
「殴って悪かったな。ここで回復するまで隠れてろ」
そう言い残して涼介は村へ帰った。
俺にはモンスター討伐は向いていない。やっぱり、地道に掃除と配達を頑張ることにしよう。稼ぎのなかった涼介は空腹を抱えながら、いつもの公園で野宿をした。
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