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スライム蹴飛ばされる
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涼介はスライムをかくまうために人目につきにくい林の中に向かって走った。とりあえず林に逃げ込めばスライムを隠す場所はいくらでもある。
しかし、林に向かって走っていく涼介を付け狙う邪悪な黒い生物がいた。涼介に石を落としてきたあのカラスだ。
涼介がスライムの入った紙袋を抱えて林に逃げ込むと、カラスは紙袋を狙って飛びかかってきた。
「カアー」
「うわぁー」
上から不意打ちを食らって驚いた涼介はスライムの入った紙袋を落としてしまった。紙袋は跳ねながら転がっていった。その紙袋をカラスが追いかけてつついている。太い嘴がガサガサと紙袋を突き破る。
「やめろー」
涼介は棒キレを拾って振り回してカラスを追い払おうとした。しかし、今度はカラスは涼介の方に向かって攻撃をしてきた。太い嘴と足の爪は思っていたよりも大きくて鋭かった。その迫力に怯んで涼介は後退した。
その時、どこからともなく大きな人影が現れてスライムを蹴飛ばした。その蹴飛ばした足はまるで雪男のように毛むくじゃらで、サイズは45センチくらいであった。サッカーボールのように蹴飛ばされたスライムは木に当たって跳ね返り、涼介の近くに落ちた。涼介はスライムの元に駆け寄った。
「大丈夫か」
「ララ、ラララ、ラ」
スライムは奇妙な声を発しながら目を回して死にかけていた。
「やめろ!」
と涼介が言ったが、大男は無視してスライムの元にドスドスと走ってきて蹴りあげようとした。
もう一度蹴られればスライムは死んでしまう。涼介はとっさにスライムをかばい体を投げ出した。ドスッと鈍い音がして涼介はその場でもんどり返った。大きな足の蹴りが溝落ちに入ったのだ。息ができない。顔が歪む。想像以上の痛みに気絶しそうになった。
「なぜかばう」
大男が低い声で聞いてきたので、涼介は呼吸を必死で整えて聞き返した。
「なぜ蹴るんだ」
「蹴りたいから蹴る」
蹴りたいから蹴るなんてとんでもない理由だ。
「蹴ったらこいつは死んでしまうんだよ」
「モンスター。死ぬ。構わない」
モンスターだから死んでもいいというこの大男に涼介は無性に腹が立った。何故か涼介はスライムを助けるためなら全力で抵抗しようと心に決めた。しかし、腕力では適わないだろう。
いつの間にか、カラスが大男の肩にとまってカアーカアー鳴いている。くそ。この大男があのカラスの飼い主だったのか。あいつら意地悪すぎて胸糞悪い。
「蹴らせろ」
「嫌だ」
「なら、お前も一緒に蹴る」
大男が足を大きく振り被った。涼介は身を縮めて次の痛み、猛烈な、が来るのを待った。
しかし、林に向かって走っていく涼介を付け狙う邪悪な黒い生物がいた。涼介に石を落としてきたあのカラスだ。
涼介がスライムの入った紙袋を抱えて林に逃げ込むと、カラスは紙袋を狙って飛びかかってきた。
「カアー」
「うわぁー」
上から不意打ちを食らって驚いた涼介はスライムの入った紙袋を落としてしまった。紙袋は跳ねながら転がっていった。その紙袋をカラスが追いかけてつついている。太い嘴がガサガサと紙袋を突き破る。
「やめろー」
涼介は棒キレを拾って振り回してカラスを追い払おうとした。しかし、今度はカラスは涼介の方に向かって攻撃をしてきた。太い嘴と足の爪は思っていたよりも大きくて鋭かった。その迫力に怯んで涼介は後退した。
その時、どこからともなく大きな人影が現れてスライムを蹴飛ばした。その蹴飛ばした足はまるで雪男のように毛むくじゃらで、サイズは45センチくらいであった。サッカーボールのように蹴飛ばされたスライムは木に当たって跳ね返り、涼介の近くに落ちた。涼介はスライムの元に駆け寄った。
「大丈夫か」
「ララ、ラララ、ラ」
スライムは奇妙な声を発しながら目を回して死にかけていた。
「やめろ!」
と涼介が言ったが、大男は無視してスライムの元にドスドスと走ってきて蹴りあげようとした。
もう一度蹴られればスライムは死んでしまう。涼介はとっさにスライムをかばい体を投げ出した。ドスッと鈍い音がして涼介はその場でもんどり返った。大きな足の蹴りが溝落ちに入ったのだ。息ができない。顔が歪む。想像以上の痛みに気絶しそうになった。
「なぜかばう」
大男が低い声で聞いてきたので、涼介は呼吸を必死で整えて聞き返した。
「なぜ蹴るんだ」
「蹴りたいから蹴る」
蹴りたいから蹴るなんてとんでもない理由だ。
「蹴ったらこいつは死んでしまうんだよ」
「モンスター。死ぬ。構わない」
モンスターだから死んでもいいというこの大男に涼介は無性に腹が立った。何故か涼介はスライムを助けるためなら全力で抵抗しようと心に決めた。しかし、腕力では適わないだろう。
いつの間にか、カラスが大男の肩にとまってカアーカアー鳴いている。くそ。この大男があのカラスの飼い主だったのか。あいつら意地悪すぎて胸糞悪い。
「蹴らせろ」
「嫌だ」
「なら、お前も一緒に蹴る」
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