魂伝子 ~ 情けはモンスターの為にあらず~

MJ

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木の実

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木の実はクルミのような形をしていて振ってみると中でカラカラと乾いた音がした。中にきっと食べられる身が入っているはずだ。

ただ、石で叩いても投げつけても割れなかった。表面に傷がつくだけである。とても硬い。

涼介は知識をフル動員して中身を取り出す方法を考えた。

そうだ「テコの原理」は使えないだろうか。ペンチのような道具があれば少ない力で割ることができる。しかし、そのような道具はないし、力点、支点、作用点を作り出すような丈夫な鉄の棒のようなものもない。

周りにあるのは木の枝や石くらいである。

涼介はもう一度木の実を思いっきり握りしめてみた。硬い殼はビクともしなかった。指の力で何とかなるものではなさそうだ。体全体の力が集約される方法は無いだろうか。足で踏みつけたり、石にぶつけたりした。木の実は跳ね返って転がった。
そこに漬物石くらいの大きさの石が転がっていた。その石は何とか涼介が持ち上げられそうなくらいの重さだった。涼介は持ち上げて木の実の上に落とした。石は木の実の上でカツッと音を立てて跳ね上がり、涼介の親指の上に落ちてきた。

「痛ァァァ」
おもわず涼介は叫んだ。
一瞬呼吸ができなくなった。

でも、木の実を確認すると殻が陥没していた。何度か繰り返せば殻を割ることが出来そうだ。

涼介はもう一度石を持ち上げて木の実の上に落下させた。

落下させると同時に涼介は石を避けるためにぴょんと飛び下がった。今度は石が足の上に落下することはなかった。涼介は夢中になって何度か繰り返した。

カツッ ぴょん

カツッ ぴょん

カツッ ぴょん

すると最後にはメシっという音がして木の実が割れた。中の身も粉々に砕けていた。

涼介は木の実を手のひらにすくってスライムの所に持っていった。
スライムはまだ起きていない。
涼介はそっとスライムに手を差し伸べた。
スライムの肌は温かく、すべすべしていて気持ちよく、女性の太ももの内側を思い出させた。
口と思われるあたりを探って指で押し広げた。幾分潤った粘膜のような部分に粉々に砕けた木の実の中身をふりかけて投入した。
木の実が透明なスライムの体内に取り込まれていくのが見える。木の実は徐々に消化されやがて消えてなくなった。それを木の実がなくなるまで繰り返した。
それから涼介はスライムを優しくさすった。
触れるのが気持ちよかったからだ。

スライムの体は単純な構造で内側の流動的な部分と外側の皮の部分に分かれていて、中の方に小さな心臓と消化管が見えるだけである。他は透明過ぎてよくわからない。
ふと、このスライムはまだ幼いような気がした。

突然、スライムが目を覚ました。
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