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初恋
初恋-出会い
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僕は4歳。
独りで保育所の砂場で遊んでいた。
そこに一人の女の子が近寄ってきて話しかけたてきた。
僕は嬉しくて、それまで白黒だった遊び道具が急にカラフルになった。
それが、ナオちゃんと最初に遊んだ記憶だ。
それから小学校にあがった僕は死ぬかもしれない大病を患って入院し、その後、住んでいた団地から一軒家に引っ越した。
小学校を転校して、しばらくナオちゃんと会うことも無かった。
僕の病気は奇跡的に治り、順調に育って高校に入学した。
そして、同じクラスに奇跡的にナオちゃんがいた。
とは言っても僕はその時、ナオちゃんの事はすっかり忘れていて、後で思い返した時に同じ団地に利発的な女の子がいた事を思い出した程度だった。
高校入学して数日後、休憩時間にナオちゃんが話しかけてきた。
「村上しゅうくんだよね」
「うん」
「私のこと覚えてる?」
僕は彼女の顔をまじまじと見たが、何も思い出せない。
「ごめんなさい。覚えてないや」
「しゅうくんてめぐみ保育所に通ってたでしょ」
「うん」
「私もめぐみ保育所だったの」
「そうなの」
ナオちゃんはやけに馴れ馴れしくて距離が近かったのを覚えている。顔の輪郭は卵形で笑った目は細く、涙袋がぷっくりとしていて、鼻はそこそこ高くて、薄ピンク色の唇が綺麗に笑っていた。肩よりも長い髪はいつもポニーテールにしている。
「私、村上しゅうっていう名前に見覚えがあってさ。ピンときたの。帰ってから保育所の名簿見返したのね。そしたらやっぱりいたんだよね。村上しゅうくん」
「へぇー。よく覚えてたね。僕は全然覚えてないや。ごめん」
「うん、気にしなくていいよ。転校したしゅうくんは忘れてしまうのもしょうがないよ。私たちの間では転校して行ったしゅうくんの事は時々話題になってたから覚えてたんだと思う。私は山本尚美。よろしくね」
「よろしく」
「今度は忘れたら承知しないから」
そう言って笑う彼女はとてもテンションが高く、元気が良くて楽しそうだったのを覚えている。彼女のおかげで僕の高校時代にも色がつき始めた。
僕はテニス部で彼女は陸上部だった。僕は密かに女子テニス部のお尻や太ももを目の肥やしにしていたが、時折野球部から飛んでくる打球に気をつけるフリをしながら陸上部の女子も眺めていた。ナオちゃんは長距離ランナーで学年で一番速かった。走る姿はカモシカのように軽快だった。
ナオちゃんとは部活ではあまり接点はなかったが、クラスでは仲良くなった。
その頃の僕は、不良という訳でもないが、悪い事もひと通り試してみる勇気は持っていた。先生に徹底的に反抗する訳でもなく、媚を売るわけでもなかった。群れて行動するのを好まなかったが、友達を作らなかった訳でもない。
やりたいと思った事はとことん熱中するが、やりたくない事は一切やらなかった。高校入学当初、僕は全く勉強をせず、毎日テニスに打ち込んだ。
テニスに打ち込んだ理由は簡単。
モテたいから。
モテるために体を鍛えまくったおかげで短距離走は学年一位になったが、勉強はいつも赤点ギリギリだった。
結果、そこそこモテるようにはなったが、勝者ではなかった。
なぜなら上には上がいるもので、スポーツも出来て頭も良くて、その上顔もいいやつはいるものだ。そんな奴らに人気は根こそぎ持っていかれた。
なので、僕は敗者と言う自覚もあった。
努力に結果が必ずしも伴う訳では無いということを知った。いや、まだまだ努力が足りなかったのだろう。
それでも僕は気にせず、毎日楽しく暮らしていた。
のんびりした性格の僕は、自分が何者かもわからず、自分に何ができるのかもわからず、どんな特徴を持っているのかもわからず、フワフワとして生きていた。かと言って誰かの言いなりになるのだけはゴメンで、自分の意思で行動したかった。自分の意思とは言っても確固たる信念があるわけでもなく、その時その時の思いつきで過ごしていた。強いて言うなら、人に嫌われないようにして、そこそこ自尊心が保てればそれで良かった。
まあ、ごちゃごちゃと書いてきたが、要するに「好きな女の子とセックスしたい」これが当時の僕の基本的行動理念だ。
言い訳や、屁理屈や誤魔化しや、照れなどの濁った成分を全て取り除いて因数分解してみたらこのワンセンテンスになったのだからしょうがない。
でもな、このワンセンテンスは簡単なようで難しい。まず、「好きな女の子」というのが難しい。可愛いだけではダメみたいで、好きになるって言うのはお互いの想いというか関係性とタイミングが大事なようだ。
もっと難しいのが「セックスをする」ということで、これは相当ハードルが高い。まずは全てをおっぴろげのすっぴんぴんにしなければならないのだ。しかも相手にもおっぴろげのすっぴんぴんになってもらわなければならない。
女の子の裸なんてエロ本かビデオぐらいでしか見た事ないのに、好きな女の子の裸を見て挿入するなんてそんなのとてもじゃないが不可能。天文学的な確率で不可能なんだ。こんなものは都市伝説の類なのである。
中学の頃仲良かった同級生が、公園で女の子にアソコをなめてもらっていたという目撃情報を聞いた時にはとてもじゃないが信じられなかった。
ツチノコと口裂け女が同時に現れたくらい信じられなかった。
後で本人に確認したところ、本当だというからぶったまげた。
何はともあれ僕にも好きな女の子が出来た。
向こうから仕向けてきたからなのか、こちらが仕向けたのか今となっては分からないが、僕の心には彼女はとてもフィットした。
独りで保育所の砂場で遊んでいた。
そこに一人の女の子が近寄ってきて話しかけたてきた。
僕は嬉しくて、それまで白黒だった遊び道具が急にカラフルになった。
それが、ナオちゃんと最初に遊んだ記憶だ。
それから小学校にあがった僕は死ぬかもしれない大病を患って入院し、その後、住んでいた団地から一軒家に引っ越した。
小学校を転校して、しばらくナオちゃんと会うことも無かった。
僕の病気は奇跡的に治り、順調に育って高校に入学した。
そして、同じクラスに奇跡的にナオちゃんがいた。
とは言っても僕はその時、ナオちゃんの事はすっかり忘れていて、後で思い返した時に同じ団地に利発的な女の子がいた事を思い出した程度だった。
高校入学して数日後、休憩時間にナオちゃんが話しかけてきた。
「村上しゅうくんだよね」
「うん」
「私のこと覚えてる?」
僕は彼女の顔をまじまじと見たが、何も思い出せない。
「ごめんなさい。覚えてないや」
「しゅうくんてめぐみ保育所に通ってたでしょ」
「うん」
「私もめぐみ保育所だったの」
「そうなの」
ナオちゃんはやけに馴れ馴れしくて距離が近かったのを覚えている。顔の輪郭は卵形で笑った目は細く、涙袋がぷっくりとしていて、鼻はそこそこ高くて、薄ピンク色の唇が綺麗に笑っていた。肩よりも長い髪はいつもポニーテールにしている。
「私、村上しゅうっていう名前に見覚えがあってさ。ピンときたの。帰ってから保育所の名簿見返したのね。そしたらやっぱりいたんだよね。村上しゅうくん」
「へぇー。よく覚えてたね。僕は全然覚えてないや。ごめん」
「うん、気にしなくていいよ。転校したしゅうくんは忘れてしまうのもしょうがないよ。私たちの間では転校して行ったしゅうくんの事は時々話題になってたから覚えてたんだと思う。私は山本尚美。よろしくね」
「よろしく」
「今度は忘れたら承知しないから」
そう言って笑う彼女はとてもテンションが高く、元気が良くて楽しそうだったのを覚えている。彼女のおかげで僕の高校時代にも色がつき始めた。
僕はテニス部で彼女は陸上部だった。僕は密かに女子テニス部のお尻や太ももを目の肥やしにしていたが、時折野球部から飛んでくる打球に気をつけるフリをしながら陸上部の女子も眺めていた。ナオちゃんは長距離ランナーで学年で一番速かった。走る姿はカモシカのように軽快だった。
ナオちゃんとは部活ではあまり接点はなかったが、クラスでは仲良くなった。
その頃の僕は、不良という訳でもないが、悪い事もひと通り試してみる勇気は持っていた。先生に徹底的に反抗する訳でもなく、媚を売るわけでもなかった。群れて行動するのを好まなかったが、友達を作らなかった訳でもない。
やりたいと思った事はとことん熱中するが、やりたくない事は一切やらなかった。高校入学当初、僕は全く勉強をせず、毎日テニスに打ち込んだ。
テニスに打ち込んだ理由は簡単。
モテたいから。
モテるために体を鍛えまくったおかげで短距離走は学年一位になったが、勉強はいつも赤点ギリギリだった。
結果、そこそこモテるようにはなったが、勝者ではなかった。
なぜなら上には上がいるもので、スポーツも出来て頭も良くて、その上顔もいいやつはいるものだ。そんな奴らに人気は根こそぎ持っていかれた。
なので、僕は敗者と言う自覚もあった。
努力に結果が必ずしも伴う訳では無いということを知った。いや、まだまだ努力が足りなかったのだろう。
それでも僕は気にせず、毎日楽しく暮らしていた。
のんびりした性格の僕は、自分が何者かもわからず、自分に何ができるのかもわからず、どんな特徴を持っているのかもわからず、フワフワとして生きていた。かと言って誰かの言いなりになるのだけはゴメンで、自分の意思で行動したかった。自分の意思とは言っても確固たる信念があるわけでもなく、その時その時の思いつきで過ごしていた。強いて言うなら、人に嫌われないようにして、そこそこ自尊心が保てればそれで良かった。
まあ、ごちゃごちゃと書いてきたが、要するに「好きな女の子とセックスしたい」これが当時の僕の基本的行動理念だ。
言い訳や、屁理屈や誤魔化しや、照れなどの濁った成分を全て取り除いて因数分解してみたらこのワンセンテンスになったのだからしょうがない。
でもな、このワンセンテンスは簡単なようで難しい。まず、「好きな女の子」というのが難しい。可愛いだけではダメみたいで、好きになるって言うのはお互いの想いというか関係性とタイミングが大事なようだ。
もっと難しいのが「セックスをする」ということで、これは相当ハードルが高い。まずは全てをおっぴろげのすっぴんぴんにしなければならないのだ。しかも相手にもおっぴろげのすっぴんぴんになってもらわなければならない。
女の子の裸なんてエロ本かビデオぐらいでしか見た事ないのに、好きな女の子の裸を見て挿入するなんてそんなのとてもじゃないが不可能。天文学的な確率で不可能なんだ。こんなものは都市伝説の類なのである。
中学の頃仲良かった同級生が、公園で女の子にアソコをなめてもらっていたという目撃情報を聞いた時にはとてもじゃないが信じられなかった。
ツチノコと口裂け女が同時に現れたくらい信じられなかった。
後で本人に確認したところ、本当だというからぶったまげた。
何はともあれ僕にも好きな女の子が出来た。
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