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1-21 水曜日に会社の別荘で待ち伏せ

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誠也は探偵の持ってきた封筒の中に入っている写真を見てニヤリとした。

「尾行しましたところ、二人は御社の所有する熱海の別荘で二時間ほど一緒に過ごしました」

「いつ?」

「水曜日の午後です」

「よりによって平日か」

「はい。毎週水曜日にこの別荘で落ち合っているようです」

「そう言えばあの二人水曜日の午後はいつも会社にいないな。それで浮気しているのは間違いない?」

「間違いないとは思います。が、残念ながら、別々に別荘に入る写真しか撮れていません。決定的な証拠を掴むにはもう少し費用がかかります」

「いくら?」

「それなりにリスクを伴いますので100万円ほどはかかると思われます」

「そうか。悪いが、ここから先は俺たちでやるからいいよ。ありがとう」

「はい。それでは調査はここまでということで。料金はこちらになりますので、お振込みをお願い致します」と探偵は請求書を置いて喫茶店を後にした。

よりによって、工場のみんなが働いている平日に逢瀬を楽しんでいるなんて許せない。
なんとか懲らしめてやると誠也の目はメラメラと燃えはじめた。


誠也は早速別荘の合鍵を二つ作って準備をはじめた。

涼介と崇に協力をさせる。
誠也の考えた計画を伝えると、涼介は面白そうと乗り気だが、崇は緒方部長と営業の由美子の二人の仕返しを恐れていていまいち乗り気ではなかった。

だが、誠也は崇がこの会社で緒方部長と由美子にいいように使われていることに対しても険悪感を抱いていたので、緒方部長と由美子の弱みを握ることは崇のためにもなると考えていた。

水曜日の朝から、涼介と崇は予め別荘に潜んだ。
探偵の報告通りなら11時くらいから二人が現れるはずである。

ブルブルと車のエンジン音が近づいきてて、別荘の駐車場に止まった。
まずは緒方部長が現れた。
手馴れた様子でリビングのソファに座り、テレビをつける。
その間に涼介は近くの喫茶店でスタンバっている誠也に緒方部長が現れたことを電話で伝える。

間もなく由美子が現れた。

涼介と崇は2階のべッドルームのクローゼットに身を隠した。

崇は心臓がやけに高鳴った。まさか二人が本当にそういった関係だったこともショックだし、これから涼介と一緒に緒方部長と由美子に与える制裁が上手くいくかどうかも不安だった。

いよいよ緒方部長と由美子がベッドルームに現れた。
崇は普段会社で一緒に仕事をしている緒方部長と由美子の不倫している姿を目撃してなんとも言えない悲しさと興奮を同時に覚えた。
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