26 / 46
第二話 因縁
戸山屋敷の顛末
しおりを挟む
紀伊国屋の奥座敷にて、村垣が宗次郎を労っていた。
「お手柄やったな。上々の仕事っぷりや」
――あの後、闇餌差はそのまま拘束した。愚かにも逃げようとしたため、鳥刺し棒で尻を突いたら大人しくなった。
実のところ、屋敷内で取り押さえることができれば、あの用心棒たちの正体も知れたのだろうが、そこは致し方ない。大名家屋敷内へは、奉行所の役人だろうが火盗改メ長官であろうが、簡単に立ち入ることなどできないのだ。
「確かに、彼奴らをただ殺しただけやと、役人殺しの罪は問えぬからな」
同席していた杢右衛門が話すと、吉兵衛は納得だという風に首を何度も縦に振った。
今のところ、役人殺しの黒幕は、宗次郎が捕らえた闇餌差――自称、信濃の鳥刺しであった五郎蔵という男だとされている。
彼の雇い主が美濃屋であることには違いないが、五郎蔵自身は以前、違法な猟を摘発され餌差札をはく奪されている。餌差札がなくとも、隠れて鳥を刺し、請負人を介せば鳥を売りさばくことは可能で、その点五郎蔵は腕が良い上に、悪知恵も働いていたようだ。
美濃屋やそれにかかわる鳥請負が、五郎蔵の口車に乗せられ悪事に手を染めてしまった――というのが、御先手組が調べた事件の顛末であった。
「高円寺の鳥見同心は、奴らが雀の取引に戸山荘を使っていることを突き止め、追っていた所を襲われたということらしい。おおかた、お主を襲った連中と同じ手口であろう」
そう説明したのは杢衛門だ。村垣と違い、その表情は厳しい。
「尾張の鷹部屋では、あのように屋敷内で悪事の取引がなされていたことに気付けなかったはずがない、ということで、餌差頭と門番の一人が激しく追及され、かなり厳しい沙汰が下されたということじゃ」
「美濃屋も廃業は免れぬやろな。亭主は島流しか下手すりゃ獄門」
吉兵衛も神妙な面持ちで言った。
ここにいる誰もが口にしないが、尾張徳川家が何も知らなかった――はずはないと思っている。手引きしたのは確かに屋敷の使用人よりは上の立場の人間であろう。しかし、今のところ、金を貰って彼らの通行を許可していた門番と、彼らから餌鳥の一部を買い上げていたとされる尾張藩の餌差頭が責を負わされた形でケリがつけられたのだ。
杢右衛門が唸る。
「うーむ、しかしのぉ、あの武州の山賊を雇っていたのも、そいつだったとはな」
「へえ。どう考えても、ただの鳥刺しとは思えねえってことで、奴の長屋を岡っ引きらが張っております」
村垣の言う通り、彼らのやっていたことは、ただの不正取引ではない。ほとんど盗賊団のするような悪質さだ。
「たしかに宗次郎が小野路山中で始末したのは、浪人姿の無頼漢だということだからな。そういう奴らを、一介の鳥刺しがまとめられるわけも無かろう」
「となると、賊のことも美濃屋が噛んでいると言いなさるんで?」
「いや、そうは申しておらぬが」
杢右衛門と村垣の会話に割って、宗次郎が控えめな声を発した。
「あの……」
「なんじゃ、宗次郎」
「俺の勝手な思い付きですが」
「かまわん、言うってみぃ」
村垣に促され、ずっと考えていたことを話す。
「その五郎蔵ですが、小野路の山奥で浪人らに襲わせた餌差の札を奪って、美濃屋に潜り込んだんやないかと思うのです。熊谷山中で町人餌差が襲われたとの話を戸田組の在郷餌差から聞いております。その餌差は金を渡して逃げおおせたそうですが。そもそも、五郎蔵は正式な餌差ではなく、どこか盗賊の一味……あるいは流れの盗賊ではないかと。それを知らず、佐助と美濃屋は五郎蔵の口車に乗せられただけでは」
「なるほどのぉ」
宗次郎が村垣に向かって問う。
「それと、私が耳にした上総屋についてはどうするのですか」
美濃屋と佐助は五郎蔵に利用されたに過ぎないが、しかし餌の相場を動かそうとしていたのは上総屋に間違いない。
「私は、五郎蔵と上総屋が結託していたと思うのです。さらに、奴らが雀を売ろうとしていたのは、尾張の餌差頭ではなく、『公儀の餌差頭』という意味だったのではと、思われるのですが」
確かに言っていた。「売りさばくのは幕府と餌差頭」だと。
しかし、二人とも口を閉ざしてしまった。重ねて問う。
「黒幕は五郎蔵ではないと思いますが、そこは御先手組もわかってなさるのですかね」
村垣が重い口を開いた。
「ああ、それも間違いないやろ。おまんの読みはほぼ当たっとるやろ。それもこれも、いずれ火盗改メが本腰を入れて五郎蔵を拷問すりゃ、すべて吐くだろうよ。だが今はまだ泳がしとけっちゅうのが、お頭と上様の考えや」
杢右衛門が腕組みをし、眉間の皺を深くした。
「つまり上総屋すら駒だと、川村殿はお考えか」
「そういう所でしょうな。しかし、身内を探る必要が出て来るとなると、相当難しくなりますな」
吉兵衛も眉間に皺をよせ、首を横に揺らした。
万が一にも、幕臣である公儀餌差がこの件に噛んでいたとなると、上様にとっては、とんでもない醜聞となる。
幕臣が盗賊を使って鳥屋と共に不正悪事を働いた。しかも尾張の下屋敷内で。その結果、鳥見役所の同心見習いが殺された――こんなことを公にするわけにはいかないということは、杢右衛門はじめ吉兵衛も村垣も承知していた。
その塩梅を図れないのは宗次郎だけである。それでも、三人の苦みきった顔を見ると、そういうことなのだろうと、なんとなく腑に落ちた。
やみくもに探るわけにはいかないことだけは明白だった。つまり、ここからが探索の本番なのだ。
◇
その夜、雲雀からも新たな報せを受けた。
「そう。やはり戸山荘で取引をしていたのですね」
鳥見役人殺しの顛末を聞かせると、雲雀もまた、杢右衛門と同じように神妙な表情になった。
「乙八ですがね、あの人、お美津さんとの噂のせいで寺に居辛くなって出て行ったということになっていますがね、ふふ」
急に脈絡もなく、乙八の名を口にすると、鼻で少し嗤った。
「真相は違いましたよ」
一息置いて付け加えたひと言に、宗次郎の眉が上がった。続ける雲雀の口角は上がっているが、目は笑っていない。
「乙八の美しさは人を狂わせるのでしょうねぇ。仏門に入るのでなければ、寺小姓というのは十七、八で寺を出るのが普通ですがね、余程住職に気に入られていたのか、年増になってもなお、手放してもらえなかったそうです」
「けど、お美津さんとの噂を気にして出て行ったんだろ」
雲雀が首を振った。
「それは和尚の方便でしょ。和尚だって手放した理由づけが必要でしょうから。でも、ほかの小姓や寺男たちは、実は乙八から住職に大金を払ったと、噂しております」
「乙八から?」
「ええ。きな臭いと思いませんか」
お美津を消して、大金を手に入れた――そう考えた時、戸山荘の一件が頭を過った。
「誰かが乙八に金を握らせたのだ。……誰かがわざわざ戸山屋敷なんぞに引っ張り込んだのだ」
宗次郎の独り言を、雲雀は聞き逃さなかった。
「尾張藩が全ての黒幕とでも言いたそうですね」
雲雀が声を潜めた。
「違うと思うのか」
雲雀は少し考えるような仕草で言葉を探していた。
「私はそうとも限らないと思いますよ。なぜなら、真相が上様にばれて、一番窮するのは尾張殿でしょう?」
考えてみれば、お美津も鳥見の同心見習いも、人目に付く所で死んでいる。まるでわざと真相を調べてくれとでもいうような……
(ほんなら、尾張殿に恨みを持つ者の仕業)
「となると、まるで見当がつかんな」
「ですから、上様も父上も、上総屋を泳がせることにしたのでしょう。五郎蔵の処分も保留のままで」
「で、乙八は今」
結局、寺を出てどこに居るというのか。
「筑土八幡前にあるくめやという*陰間茶屋にて、身売りの真似事をしているとか。寺を出たものの、身寄りがないらしく、だから商家の若旦那を誘惑していたのでしょうね」
雲雀が調べ上げた乙八の生き方もまた、あまり幸せそうな物ではなかった。
ーーーーーーーーーー
*陰間茶屋――男娼専門の売春宿で、少年たちが体を売る宿。
この時代、美少年が体を売ることは珍しくありませんでした。中世ヨーロッパでもそうですが、騎士や武士のホモソーシャル(同性間社会)における男同士の深い付き合いから、同性愛に繋がってしまうことは珍しくなかったようです。ただ、ヨーロッパではキリスト教の影響で同性愛は禁じられていましたが、戦乱の世に男社会が深まった日本では、同性愛は「衆道」という形で認められています。
しかし、少年たちが体を開くのは決して男性だけではなく、客には裕福な女性客も多かったようです。少年らしさを強調するため、彼らは前髪を残した『若衆髷』という髪型をさせられていました。当然、二十歳を過ぎると下り坂で、年増女や後家、商家の人妻を相手にしたそうです。
「お手柄やったな。上々の仕事っぷりや」
――あの後、闇餌差はそのまま拘束した。愚かにも逃げようとしたため、鳥刺し棒で尻を突いたら大人しくなった。
実のところ、屋敷内で取り押さえることができれば、あの用心棒たちの正体も知れたのだろうが、そこは致し方ない。大名家屋敷内へは、奉行所の役人だろうが火盗改メ長官であろうが、簡単に立ち入ることなどできないのだ。
「確かに、彼奴らをただ殺しただけやと、役人殺しの罪は問えぬからな」
同席していた杢右衛門が話すと、吉兵衛は納得だという風に首を何度も縦に振った。
今のところ、役人殺しの黒幕は、宗次郎が捕らえた闇餌差――自称、信濃の鳥刺しであった五郎蔵という男だとされている。
彼の雇い主が美濃屋であることには違いないが、五郎蔵自身は以前、違法な猟を摘発され餌差札をはく奪されている。餌差札がなくとも、隠れて鳥を刺し、請負人を介せば鳥を売りさばくことは可能で、その点五郎蔵は腕が良い上に、悪知恵も働いていたようだ。
美濃屋やそれにかかわる鳥請負が、五郎蔵の口車に乗せられ悪事に手を染めてしまった――というのが、御先手組が調べた事件の顛末であった。
「高円寺の鳥見同心は、奴らが雀の取引に戸山荘を使っていることを突き止め、追っていた所を襲われたということらしい。おおかた、お主を襲った連中と同じ手口であろう」
そう説明したのは杢衛門だ。村垣と違い、その表情は厳しい。
「尾張の鷹部屋では、あのように屋敷内で悪事の取引がなされていたことに気付けなかったはずがない、ということで、餌差頭と門番の一人が激しく追及され、かなり厳しい沙汰が下されたということじゃ」
「美濃屋も廃業は免れぬやろな。亭主は島流しか下手すりゃ獄門」
吉兵衛も神妙な面持ちで言った。
ここにいる誰もが口にしないが、尾張徳川家が何も知らなかった――はずはないと思っている。手引きしたのは確かに屋敷の使用人よりは上の立場の人間であろう。しかし、今のところ、金を貰って彼らの通行を許可していた門番と、彼らから餌鳥の一部を買い上げていたとされる尾張藩の餌差頭が責を負わされた形でケリがつけられたのだ。
杢右衛門が唸る。
「うーむ、しかしのぉ、あの武州の山賊を雇っていたのも、そいつだったとはな」
「へえ。どう考えても、ただの鳥刺しとは思えねえってことで、奴の長屋を岡っ引きらが張っております」
村垣の言う通り、彼らのやっていたことは、ただの不正取引ではない。ほとんど盗賊団のするような悪質さだ。
「たしかに宗次郎が小野路山中で始末したのは、浪人姿の無頼漢だということだからな。そういう奴らを、一介の鳥刺しがまとめられるわけも無かろう」
「となると、賊のことも美濃屋が噛んでいると言いなさるんで?」
「いや、そうは申しておらぬが」
杢右衛門と村垣の会話に割って、宗次郎が控えめな声を発した。
「あの……」
「なんじゃ、宗次郎」
「俺の勝手な思い付きですが」
「かまわん、言うってみぃ」
村垣に促され、ずっと考えていたことを話す。
「その五郎蔵ですが、小野路の山奥で浪人らに襲わせた餌差の札を奪って、美濃屋に潜り込んだんやないかと思うのです。熊谷山中で町人餌差が襲われたとの話を戸田組の在郷餌差から聞いております。その餌差は金を渡して逃げおおせたそうですが。そもそも、五郎蔵は正式な餌差ではなく、どこか盗賊の一味……あるいは流れの盗賊ではないかと。それを知らず、佐助と美濃屋は五郎蔵の口車に乗せられただけでは」
「なるほどのぉ」
宗次郎が村垣に向かって問う。
「それと、私が耳にした上総屋についてはどうするのですか」
美濃屋と佐助は五郎蔵に利用されたに過ぎないが、しかし餌の相場を動かそうとしていたのは上総屋に間違いない。
「私は、五郎蔵と上総屋が結託していたと思うのです。さらに、奴らが雀を売ろうとしていたのは、尾張の餌差頭ではなく、『公儀の餌差頭』という意味だったのではと、思われるのですが」
確かに言っていた。「売りさばくのは幕府と餌差頭」だと。
しかし、二人とも口を閉ざしてしまった。重ねて問う。
「黒幕は五郎蔵ではないと思いますが、そこは御先手組もわかってなさるのですかね」
村垣が重い口を開いた。
「ああ、それも間違いないやろ。おまんの読みはほぼ当たっとるやろ。それもこれも、いずれ火盗改メが本腰を入れて五郎蔵を拷問すりゃ、すべて吐くだろうよ。だが今はまだ泳がしとけっちゅうのが、お頭と上様の考えや」
杢右衛門が腕組みをし、眉間の皺を深くした。
「つまり上総屋すら駒だと、川村殿はお考えか」
「そういう所でしょうな。しかし、身内を探る必要が出て来るとなると、相当難しくなりますな」
吉兵衛も眉間に皺をよせ、首を横に揺らした。
万が一にも、幕臣である公儀餌差がこの件に噛んでいたとなると、上様にとっては、とんでもない醜聞となる。
幕臣が盗賊を使って鳥屋と共に不正悪事を働いた。しかも尾張の下屋敷内で。その結果、鳥見役所の同心見習いが殺された――こんなことを公にするわけにはいかないということは、杢右衛門はじめ吉兵衛も村垣も承知していた。
その塩梅を図れないのは宗次郎だけである。それでも、三人の苦みきった顔を見ると、そういうことなのだろうと、なんとなく腑に落ちた。
やみくもに探るわけにはいかないことだけは明白だった。つまり、ここからが探索の本番なのだ。
◇
その夜、雲雀からも新たな報せを受けた。
「そう。やはり戸山荘で取引をしていたのですね」
鳥見役人殺しの顛末を聞かせると、雲雀もまた、杢右衛門と同じように神妙な表情になった。
「乙八ですがね、あの人、お美津さんとの噂のせいで寺に居辛くなって出て行ったということになっていますがね、ふふ」
急に脈絡もなく、乙八の名を口にすると、鼻で少し嗤った。
「真相は違いましたよ」
一息置いて付け加えたひと言に、宗次郎の眉が上がった。続ける雲雀の口角は上がっているが、目は笑っていない。
「乙八の美しさは人を狂わせるのでしょうねぇ。仏門に入るのでなければ、寺小姓というのは十七、八で寺を出るのが普通ですがね、余程住職に気に入られていたのか、年増になってもなお、手放してもらえなかったそうです」
「けど、お美津さんとの噂を気にして出て行ったんだろ」
雲雀が首を振った。
「それは和尚の方便でしょ。和尚だって手放した理由づけが必要でしょうから。でも、ほかの小姓や寺男たちは、実は乙八から住職に大金を払ったと、噂しております」
「乙八から?」
「ええ。きな臭いと思いませんか」
お美津を消して、大金を手に入れた――そう考えた時、戸山荘の一件が頭を過った。
「誰かが乙八に金を握らせたのだ。……誰かがわざわざ戸山屋敷なんぞに引っ張り込んだのだ」
宗次郎の独り言を、雲雀は聞き逃さなかった。
「尾張藩が全ての黒幕とでも言いたそうですね」
雲雀が声を潜めた。
「違うと思うのか」
雲雀は少し考えるような仕草で言葉を探していた。
「私はそうとも限らないと思いますよ。なぜなら、真相が上様にばれて、一番窮するのは尾張殿でしょう?」
考えてみれば、お美津も鳥見の同心見習いも、人目に付く所で死んでいる。まるでわざと真相を調べてくれとでもいうような……
(ほんなら、尾張殿に恨みを持つ者の仕業)
「となると、まるで見当がつかんな」
「ですから、上様も父上も、上総屋を泳がせることにしたのでしょう。五郎蔵の処分も保留のままで」
「で、乙八は今」
結局、寺を出てどこに居るというのか。
「筑土八幡前にあるくめやという*陰間茶屋にて、身売りの真似事をしているとか。寺を出たものの、身寄りがないらしく、だから商家の若旦那を誘惑していたのでしょうね」
雲雀が調べ上げた乙八の生き方もまた、あまり幸せそうな物ではなかった。
ーーーーーーーーーー
*陰間茶屋――男娼専門の売春宿で、少年たちが体を売る宿。
この時代、美少年が体を売ることは珍しくありませんでした。中世ヨーロッパでもそうですが、騎士や武士のホモソーシャル(同性間社会)における男同士の深い付き合いから、同性愛に繋がってしまうことは珍しくなかったようです。ただ、ヨーロッパではキリスト教の影響で同性愛は禁じられていましたが、戦乱の世に男社会が深まった日本では、同性愛は「衆道」という形で認められています。
しかし、少年たちが体を開くのは決して男性だけではなく、客には裕福な女性客も多かったようです。少年らしさを強調するため、彼らは前髪を残した『若衆髷』という髪型をさせられていました。当然、二十歳を過ぎると下り坂で、年増女や後家、商家の人妻を相手にしたそうです。
10
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
『五感の調べ〜女按摩師異聞帖〜』
月影 朔
歴史・時代
江戸。盲目の女按摩師・市には、音、匂い、感触、全てが真実を語りかける。
失われた視覚と引き換えに得た、驚異の五感。
その力が、江戸の闇に起きた難事件の扉をこじ開ける。
裏社会に潜む謎の敵、視覚を欺く巧妙な罠。
市は「聴く」「嗅ぐ」「触れる」独自の捜査で、事件の核心に迫る。
癒やしの薬膳、そして人情の機微も鮮やかに、『この五感が、江戸を変える』
――新感覚時代ミステリー開幕!
【完結】『紅蓮の算盤〜天明飢饉、米問屋女房の戦い〜』
月影 朔
歴史・時代
江戸、天明三年。未曽有の大飢饉が、大坂を地獄に変えた――。
飢え死にする民を嘲笑うかのように、権力と結託した悪徳商人は、米を買い占め私腹を肥やす。
大坂の米問屋「稲穂屋」の女房、お凛は、天才的な算術の才と、決して諦めない胆力を持つ女だった。
愛する夫と店を守るため、算盤を武器に立ち向かうが、悪徳商人の罠と権力の横暴により、稲穂屋は全てを失う。米蔵は空、夫は獄へ、裏切りにも遭い、お凛は絶望の淵へ。
だが、彼女は、立ち上がる!
人々の絆と夫からの希望を胸に、お凛は紅蓮の炎を宿した算盤を手に、たった一人で巨大な悪へ挑むことを決意する。
奪われた命綱を、踏みにじられた正義を、算盤で奪い返せ!
これは、絶望から奇跡を起こした、一人の女房の壮絶な歴史活劇!知略と勇気で巨悪を討つ、圧巻の大逆転ドラマ!
――今、紅蓮の算盤が、不正を断罪する鉄槌となる!
花嫁
一ノ瀬亮太郎
歴史・時代
征之進は小さい頃から市松人形が欲しかった。しかし大身旗本の嫡男が女の子のように人形遊びをするなど許されるはずもない。他人からも自分からもそんな気持を隠すように征之進は武芸に励み、今では道場の師範代を務めるまでになっていた。そんな征之進に結婚話が持ち込まれる。
無用庵隠居清左衛門
蔵屋
歴史・時代
前老中田沼意次から引き継いで老中となった松平定信は、厳しい倹約令として|寛政の改革《かんせいのかいかく》を実施した。
第8代将軍徳川吉宗によって実施された|享保の改革《きょうほうのかいかく》、|天保の改革《てんぽうのかいかく》と合わせて幕政改革の三大改革という。
松平定信は厳しい倹約令を実施したのだった。江戸幕府は町人たちを中心とした貨幣経済の発達に伴い|逼迫《ひっぱく》した幕府の財政で苦しんでいた。
幕府の財政再建を目的とした改革を実施する事は江戸幕府にとって緊急の課題であった。
この時期、各地方の諸藩に於いても藩政改革が行われていたのであった。
そんな中、徳川家直参旗本であった緒方清左衛門は、己の出世の事しか考えない同僚に嫌気がさしていた。
清左衛門は無欲の徳川家直参旗本であった。
俸禄も入らず、出世欲もなく、ただひたすら、女房の千歳と娘の弥生と、三人仲睦まじく暮らす平穏な日々であればよかったのである。
清左衛門は『あらゆる欲を捨て去り、何もこだわらぬ無の境地になって千歳と弥生の幸せだけを願い、最後は無欲で死にたい』と思っていたのだ。
ある日、清左衛門に理不尽な言いがかりが同僚立花右近からあったのだ。
清左衛門は右近の言いがかりを相手にせず、
無視したのであった。
そして、松平定信に対して、隠居願いを提出したのであった。
「おぬし、本当にそれで良いのだな」
「拙者、一向に構いません」
「分かった。好きにするがよい」
こうして、清左衛門は隠居生活に入ったのである。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
【完結】『江戸めぐり ご馳走道中 ~お香と文吉の東海道味巡り~』
月影 朔
歴史・時代
読めばお腹が減る!食と人情の東海道味巡り、開幕!
自由を求め家を飛び出した、食い道楽で腕っぷし自慢の元武家娘・お香。
料理の知識は確かだが、とある事件で自信を失った気弱な元料理人・文吉。
正反対の二人が偶然出会い、共に旅を始めたのは、天下の街道・東海道!
行く先々の宿場町で二人が出会うのは、その土地ならではの絶品ご当地料理や豊かな食材、そして様々な悩みを抱えた人々。
料理を巡る親子喧嘩、失われた秘伝の味、食材に隠された秘密、旅人たちの些細な揉め事まで――
お香の持ち前の豪快な行動力と、文吉の豊富な食の知識、そして二人の「料理」の力が、人々の閉ざされた心を開き、事件を解決へと導いていきます。時にはお香の隠された剣の腕が炸裂することも…!?
読めば目の前に湯気立つ料理が見えるよう!
香りまで伝わるような鮮やかな料理描写、笑いと涙あふれる人情ドラマ、そして個性豊かなお香と文吉のやり取りに、ページをめくる手が止まらない!
旅の目的は美味しいものを食べること? それとも過去を乗り越えること?
二人の絆はどのように深まっていくのか。そして、それぞれが抱える過去の謎も、旅と共に少しずつ明らかになっていきます。
笑って泣けて、お腹が空く――新たな食時代劇ロードムービー、ここに開幕!
さあ、お香と文吉と一緒に、舌と腹で東海道五十三次を旅しましょう!
【完結】ふたつ星、輝いて 〜あやし兄弟と町娘の江戸捕物抄〜
上杉
歴史・時代
■歴史小説大賞奨励賞受賞しました!■
おりんは江戸のとある武家屋敷で下女として働く14歳の少女。ある日、突然屋敷で母の急死を告げられ、自分が花街へ売られることを知った彼女はその場から逃げだした。
母は殺されたのかもしれない――そんな絶望のどん底にいたおりんに声をかけたのは、奉行所で同心として働く有島惣次郎だった。
今も刺客の手が迫る彼女を守るため、彼の屋敷で住み込みで働くことが決まる。そこで彼の兄――有島清之進とともに生活を始めるのだが、病弱という噂とはかけ離れた腕っぷしのよさに、おりんは驚きを隠せない。
そうしてともに生活しながら少しづつ心を開いていった――その矢先のことだった。
母の命を奪った犯人が発覚すると同時に、何故か兄清之進に凶刃が迫り――。
とある秘密を抱えた兄弟と町娘おりんの紡ぐ江戸捕物抄です!お楽しみください!
※フィクションです。
※周辺の歴史事件などは、史実を踏んでいます。
皆さまご評価頂きありがとうございました。大変嬉しいです!
今後も精進してまいります!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる