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満月
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あれからどれほどの時間が経ったのだろう。圭一の生活は充実していた。
新しい職場で必死に働き、昇格し、部下にも恵まれた。まだ結婚はしていなかったが、付き合っている恋人はいた。いずれは結婚することも考えている。あのときの生活が嘘のようだった。今の圭一の人生は、彼女の言葉を借りるならばまるで月が満ちているようだった。
「でも、まだ満月じゃない。僕の人生はまだまだこれからだ」
圭一は今でも満月のことを思い出している。
満月の正体については、確信に至る答えは出なかった。自分と同じようにごく普通の人間かもしれないし、何年も前にあの湖で亡くなった人の幽霊なのかもしれないし、圭一が見た幻だったのかもしれない。しかし、彼女の正体など、今はどうでもよかった。彼女と過ごした時間は嘘ではない。彼女の正体が何であれ、自分の中に確かに生きているのだから。
「満月さんも、この満月をどこかで見ているのかな」
圭一は夜空に浮かぶ満月を眺めながら呟いた。
ふと圭一は、携帯電話に残っている写真を眺めた。写真に写る満月は綺麗だ。都会で見るものとは比べものにもならなかった。
ページをめくっていると、見慣れない写真があることに気付いた。
「あれ、こんな写真撮ったっけ……?」
サムネイルは真っ黒だったので、画像を開いてみると、そこには笑顔を浮かべている満月の姿があった。
「……」
写真を撮った日付を見てみると、そこには最後に満月と別れた年の8月16日と書かれていた。
「……そうか。満月さんはずっと僕を見守っていてくれていたんですね」
圭一は写真の中の満月に話しかけた。
今はまだ、満ちている途中。いつか満月になるその日まで、どうか見守っていてください。夜空を見上げた圭一は、そう満月に語りかけた。
新しい職場で必死に働き、昇格し、部下にも恵まれた。まだ結婚はしていなかったが、付き合っている恋人はいた。いずれは結婚することも考えている。あのときの生活が嘘のようだった。今の圭一の人生は、彼女の言葉を借りるならばまるで月が満ちているようだった。
「でも、まだ満月じゃない。僕の人生はまだまだこれからだ」
圭一は今でも満月のことを思い出している。
満月の正体については、確信に至る答えは出なかった。自分と同じようにごく普通の人間かもしれないし、何年も前にあの湖で亡くなった人の幽霊なのかもしれないし、圭一が見た幻だったのかもしれない。しかし、彼女の正体など、今はどうでもよかった。彼女と過ごした時間は嘘ではない。彼女の正体が何であれ、自分の中に確かに生きているのだから。
「満月さんも、この満月をどこかで見ているのかな」
圭一は夜空に浮かぶ満月を眺めながら呟いた。
ふと圭一は、携帯電話に残っている写真を眺めた。写真に写る満月は綺麗だ。都会で見るものとは比べものにもならなかった。
ページをめくっていると、見慣れない写真があることに気付いた。
「あれ、こんな写真撮ったっけ……?」
サムネイルは真っ黒だったので、画像を開いてみると、そこには笑顔を浮かべている満月の姿があった。
「……」
写真を撮った日付を見てみると、そこには最後に満月と別れた年の8月16日と書かれていた。
「……そうか。満月さんはずっと僕を見守っていてくれていたんですね」
圭一は写真の中の満月に話しかけた。
今はまだ、満ちている途中。いつか満月になるその日まで、どうか見守っていてください。夜空を見上げた圭一は、そう満月に語りかけた。
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