15 / 19
最終調査
しおりを挟む
取り調べの光景を録画したビデオを受け取った式は、視聴覚室でそれを見ることにした。
今回は前回とは異なり、事件の詳細については知らされていない。被害者である水瀬と吉野が殺害された、という事実だけを伝えてある。
一人目は瀬尾高広だ。
「今度はあの二人が……。くそっ、どうしてこんなことに」
「瀬尾さん、取り調べが終わってから十二時までの間、何をしていたかを聞かせてもらえないでしょうか」
「取り調べ後もまだ学校に残ってくれと言われていたから、ずっと学校に残ってましたよ。やることがなくて暇だったんで、部室に行って本を読んでました」
瀬尾は元文芸部所属であったため、おそらく文芸部の部室にいたのだろう。
「それを証明する人は?」
「いるわけないでしょう。この学校には俺たち以外の生徒はいないんだし。先生たちはいろいろと忙しそうで皆職員室にいたらしいし、刑事さんたちは事件の調査で現場とかを調べてた。その間俺はずっと一人でしたよ」
「事件発生時刻の前後、誰か怪しい人は見ませんでしたか?」
「怪しい人か、特に見なかったですね」
次に呼び出されたのは福村優香だ。
「はい、大丈夫です。少し落ち着きました。何でも聞いて下さい」
「福村さん、取り調べが終わってから十二時までの間、何をしていたかを聞かせてもらえないでしょうか」
「取り調べが終わったすぐ後は、お手洗いに行ってずっと泣いてました。その後、全員の取り調べが終わった後に聖奈に会って、少しだけ会話しました」
被害者である水瀬と会話をしていた。この事実は何かしらの助力になるかもしれない。
「その時何を話しました?」
「健ちゃんの事件について話してました。何で殺されちゃったんだろうとか、犯人は誰なんだろうとか。そしたら聖奈は、『大丈夫、すぐに解決するよ』って言って私を励ましてくれたんです」
「その会話後は何を?」
「軽音楽部の部室に行ってました。今でも健ちゃんが死んじゃったのが信じられなくて。現場を見張ってた刑事さんがいたので、その人に聞けば私がいたことは分かると思います」
その次に呼び出されたのは真中慎吾だった。
「また殺人が起きたって聞きました。犯人は一体誰なんです!?」
「それを突き止めるために、こうして取り調べをしているんです。取り調べが終わってから十二時までの間、何をしていたかを聞かせてもらえないでしょうか」
「ずっとこの学校で待ってましたよ。暇だったから教室でずっと寝てました」
「それを証明する人は……」
「いると思いますか? 誰かの傍で寝るなんて恥ずかしいことしませんよ」
真中は不貞腐れながら答える。
「では、ここに呼ばれるまでずっと眠っていたと?」
「はい。まあ怪しまれるのは仕方ないですけど、俺が犯人だというなら証拠とかをもってきてほしいですね。それこそ、こうすれば殺人が可能だ、なんて曖昧なものじゃなくてね」
真中は皮肉を言うように語る。
最後に呼ばれたのは遠野菜々美だ。
「そうですか、聖奈と貴子が……」
「お気持ちを察します。それで取り調べが終わってから十二時までの間、何をしていたかを聞かせてもらえないでしょうか」
「特にやることもなかったので、剣道場に行って剣を振っていました。少しでも体を動かしておいた方がいいかなって」
「ここに来るまでの間ずっとですか?」
「はい。一人でやっていたので、証人とかはいませんが」
確かに彼女の体からは汗が流れていた。少なくとも運動をしていた証拠にはなるだろう。
「この取り調べ、私で最後ですよね。犯人の見当はつきました?」
「……ええ。これから情報をまとめるつもりです」
「そうですか。殺人なんて異常なことをした犯人を早く捕まえてほしいです」
これで取り調べは終了だ。
「……」
録画を見終わった式は、榊と隼人にそれぞれ連絡を取った。
「榊さん、どうだった?」
「バッチリです」
「そっか。隼人さんの方はどうですか?」
「こちらも全て終わった」
隼人は式に頼まれていたことを話した。
「わかりました。それではどこか適当な空き教室にあの人を呼び出してくれませんか?」
「犯人一人だけでいいのかい?」
「ええ。そっちの方がいろいろと話しやすいと思いますので」
「わかった」
通話を終え、電源を切った。
「さて、俺も向かうか」
犯人の元へ、式は向かった。
今回は前回とは異なり、事件の詳細については知らされていない。被害者である水瀬と吉野が殺害された、という事実だけを伝えてある。
一人目は瀬尾高広だ。
「今度はあの二人が……。くそっ、どうしてこんなことに」
「瀬尾さん、取り調べが終わってから十二時までの間、何をしていたかを聞かせてもらえないでしょうか」
「取り調べ後もまだ学校に残ってくれと言われていたから、ずっと学校に残ってましたよ。やることがなくて暇だったんで、部室に行って本を読んでました」
瀬尾は元文芸部所属であったため、おそらく文芸部の部室にいたのだろう。
「それを証明する人は?」
「いるわけないでしょう。この学校には俺たち以外の生徒はいないんだし。先生たちはいろいろと忙しそうで皆職員室にいたらしいし、刑事さんたちは事件の調査で現場とかを調べてた。その間俺はずっと一人でしたよ」
「事件発生時刻の前後、誰か怪しい人は見ませんでしたか?」
「怪しい人か、特に見なかったですね」
次に呼び出されたのは福村優香だ。
「はい、大丈夫です。少し落ち着きました。何でも聞いて下さい」
「福村さん、取り調べが終わってから十二時までの間、何をしていたかを聞かせてもらえないでしょうか」
「取り調べが終わったすぐ後は、お手洗いに行ってずっと泣いてました。その後、全員の取り調べが終わった後に聖奈に会って、少しだけ会話しました」
被害者である水瀬と会話をしていた。この事実は何かしらの助力になるかもしれない。
「その時何を話しました?」
「健ちゃんの事件について話してました。何で殺されちゃったんだろうとか、犯人は誰なんだろうとか。そしたら聖奈は、『大丈夫、すぐに解決するよ』って言って私を励ましてくれたんです」
「その会話後は何を?」
「軽音楽部の部室に行ってました。今でも健ちゃんが死んじゃったのが信じられなくて。現場を見張ってた刑事さんがいたので、その人に聞けば私がいたことは分かると思います」
その次に呼び出されたのは真中慎吾だった。
「また殺人が起きたって聞きました。犯人は一体誰なんです!?」
「それを突き止めるために、こうして取り調べをしているんです。取り調べが終わってから十二時までの間、何をしていたかを聞かせてもらえないでしょうか」
「ずっとこの学校で待ってましたよ。暇だったから教室でずっと寝てました」
「それを証明する人は……」
「いると思いますか? 誰かの傍で寝るなんて恥ずかしいことしませんよ」
真中は不貞腐れながら答える。
「では、ここに呼ばれるまでずっと眠っていたと?」
「はい。まあ怪しまれるのは仕方ないですけど、俺が犯人だというなら証拠とかをもってきてほしいですね。それこそ、こうすれば殺人が可能だ、なんて曖昧なものじゃなくてね」
真中は皮肉を言うように語る。
最後に呼ばれたのは遠野菜々美だ。
「そうですか、聖奈と貴子が……」
「お気持ちを察します。それで取り調べが終わってから十二時までの間、何をしていたかを聞かせてもらえないでしょうか」
「特にやることもなかったので、剣道場に行って剣を振っていました。少しでも体を動かしておいた方がいいかなって」
「ここに来るまでの間ずっとですか?」
「はい。一人でやっていたので、証人とかはいませんが」
確かに彼女の体からは汗が流れていた。少なくとも運動をしていた証拠にはなるだろう。
「この取り調べ、私で最後ですよね。犯人の見当はつきました?」
「……ええ。これから情報をまとめるつもりです」
「そうですか。殺人なんて異常なことをした犯人を早く捕まえてほしいです」
これで取り調べは終了だ。
「……」
録画を見終わった式は、榊と隼人にそれぞれ連絡を取った。
「榊さん、どうだった?」
「バッチリです」
「そっか。隼人さんの方はどうですか?」
「こちらも全て終わった」
隼人は式に頼まれていたことを話した。
「わかりました。それではどこか適当な空き教室にあの人を呼び出してくれませんか?」
「犯人一人だけでいいのかい?」
「ええ。そっちの方がいろいろと話しやすいと思いますので」
「わかった」
通話を終え、電源を切った。
「さて、俺も向かうか」
犯人の元へ、式は向かった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
7月は男子校の探偵少女
金時るるの
ミステリー
孤児院暮らしから一転、女であるにも関わらずなぜか全寮制の名門男子校に入学する事になったユーリ。
性別を隠しながらも初めての学園生活を満喫していたのもつかの間、とある出来事をきっかけに、ルームメイトに目を付けられて、厄介ごとを押し付けられる。
顔の塗りつぶされた肖像画。
完成しない彫刻作品。
ユーリが遭遇する謎の数々とその真相とは。
19世紀末。ヨーロッパのとある国を舞台にした日常系ミステリー。
(タイトルに※マークのついているエピソードは他キャラ視点です)
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる