【ユイナーダ王国勇者伝説】天然ボケ猫勇者王子セイマは修行中〜勇者パーティーは回復役は聖人より聖女の方が良い!と言ってますが真の勇者は私です!

砂月ちゃん

文字の大きさ
19 / 35

大怪獣決戦 ①

しおりを挟む
その日は朝から胸騒ぎがした。
何か良くない事がありそうな感じだ。


私の予感は当たった。
出来れば当たって欲しくなかったのだが……


昼前になって斥候部隊が、王都近郊で巨大な魔力を突如感知。
その魔力量に『目視での確認は危険過ぎる!』と判断した第三騎士団は【遠見】のスキル持ちの騎士による遠方からの確認を行った。


その結果確認されたのは【パッションピンクにエメラルド色の水玉模様の三つの首を持つ、前足の代わりに羽を持った二足歩行のドラゴン】だった。
当初『【ヒュドラ】の突然変異体では?』と言われていたのだが、首から下の造りから見て、まさしく【ドラゴン】であると確認された。


どうやったらこんな生物が、自然発生するんだよ!?


私の所に正式な報告が上がって来た時には【遠見】スキル持ちの騎士の描いた【三首ドラゴン】の絵もつけられていた。
かなり上手い。


その絵を見た時、つい……


「キ…キングピードラ…… 」


と言ってしまったのは仕方がない事だと思う。
それを側で聞いていた、副官がその名前を採用しようとしたのを、全力で止めたのは言うまでもない。


「メスかもしれないだろ!」

「おぉー!流石は殿下!この絵だけでそこまでお考えとは!!」


副官は感心しているが、違うんだ!
コレは著作権の問題だから!!
とりあえず呼称を【ピンクドラゴン】(仮)とした。


ああ、そう言えば自己紹介がまだだったな。


私はアラン・D・ユイナーダ。
このユイナーダ王国の王太子だ。


この非常自体に際し、外遊中の国王陛下に代わり、国軍の総指揮を執る事になった。


のだが、デカいデカ過ぎる。
158・5m…通常よりかなりデカい!
てかこの大きさ、2作目のと同じじゃないか!?
何時もの様にリアルモピーハンで倒せる様な相手じゃない!


残念な事にこういう時、一番当てになる魔法使いのトップ、ボルネオール侯爵はちょうど陛下の外遊に護衛として同行しており、【勇者シルバーのパーティー】は長期休暇でボルネオール侯爵領に帰省中。


もし居ても倒せる可能性は低いかもしれないが……


暫く王都を離れていた弟が、王都の神殿に戻って来ている事が唯一の救いだな。
リアルモピーハンやるより、弟に防御結界を張ってもらい、【ピンクドラゴン】(仮)の攻撃から王都を守ってもらった方が犠牲が少ない。


その間に誰か呼び戻せば、どうにかなる…と信じたい。
此処で私が不安がると、兵の士気にかかわる。


情報は既に神殿にも伝わっているはず、
私が言わずとも弟セイマが結界を張ってくれる。
【ピンクドラゴン】(仮)が此方に気付く前に、王都の外にいる者達の避難を急がせねば!


第一騎士団を率いる弟のオスカー(第二王子)が『俺がドラゴンを倒す!!』などと言って出陣しようとしていたところを、偶々通り掛かったエミールの護衛騎士ハインツ(オスカーとは騎士団で同僚)が殴って気絶させた。


軍の指揮官のお前が直接出てどうする!


なので今、騎士団の指揮は副団長と第三騎士団の団長がとっている。
オスカーが気付く頃にはセイマの結界が、完成して出るに出れないだろう。


それから間も無くして、セイマの防御結界が完成し、王都は完全に封鎖された。


頼む誰か…誰か間に合ってくれ!
でないと……


------------------

☆この時、サイド家の者がいつの間にか持ち込んだ、モニターを眉間に皺を寄せて睨みつける王太子アランの姿は部下達の目には【次期国王】として、とても頼もしく写っていた。


実際は【ピンクドラゴン】(仮)を見て笑いを堪えるのに必死だっただけである。

☆『ギドラ』は『ヒュドラ』のドイツ語読みだかゲルマン語?読みなのでギリギリOKですよ!
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

論破!~召喚聖女は王子様が気に食わない

中崎実
ファンタジー
いきなり異世界に召喚されて、なんかイケメンに「世界を救ってもらいたい事情」を説明される、よくあるWEBファンタジーあるあるパターンが発生した。 だけどねえ、あなたの言い草が気に食わないのよね?からの、聖女が帰宅するまでのおはなし。 王子「自分達より強い敵をどうにかしてくれる相手を呼ぼう。女なら押し倒してしまえば、思うがままにできる!」 聖女1「有能な人を呼びました、としゃあしゃあと抜かすツラだけ良い男、なぁんか気に入らないのよねえ……」 聖女2「はよ帰ろ~」 聖女3「……」 論破というより爆破してませんか、あなた達?

「魔道具の燃料でしかない」と言われた聖女が追い出されたので、結界は消えます

七辻ゆゆ
ファンタジー
聖女ミュゼの仕事は魔道具に力を注ぐだけだ。そうして国を覆う大結界が発動している。 「ルーチェは魔道具に力を注げる上、癒やしの力まで持っている、まさに聖女だ。燃料でしかない平民のおまえとは比べようもない」 そう言われて、ミュゼは城を追い出された。 しかし城から出たことのなかったミュゼが外の世界に恐怖した結果、自力で結界を張れるようになっていた。 そしてミュゼが力を注がなくなった大結界は力を失い……

追放された偽物聖女は、辺境の村でひっそり暮らしている

潮海璃月
ファンタジー
辺境の村で人々のために薬を作って暮らすリサは“聖女”と呼ばれている。その噂を聞きつけた騎士団の数人が現れ、あらゆる疾病を治療する万能の力を持つ聖女を連れて行くべく強引な手段に出ようとする中、騎士団長が割って入る──どうせ聖女のようだと称えられているに過ぎないと。ぶっきらぼうながらも親切な騎士団長に惹かれていくリサは、しかし実は数年前に“偽物聖女”と帝都を追われたクラリッサであった。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

異世界に行った、そのあとで。

神宮寺 あおい
恋愛
新海なつめ三十五歳。 ある日見ず知らずの女子高校生の異世界転移に巻き込まれ、気づけばトルス国へ。 当然彼らが求めているのは聖女である女子高校生だけ。 おまけのような状態で現れたなつめに対しての扱いは散々な中、宰相の協力によって職と居場所を手に入れる。 いたって普通に過ごしていたら、いつのまにか聖女である女子高校生だけでなく王太子や高位貴族の子息たちがこぞって悩み相談をしにくるように。 『私はカウンセラーでも保健室の先生でもありません!』 そう思いつつも生来のお人好しの性格からみんなの悩みごとの相談にのっているうちに、いつの間にか年下の美丈夫に好かれるようになる。 そして、気づけば異世界で求婚されるという本人大混乱の事態に!

存在感のない聖女が姿を消した後 [完]

風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは 永く仕えた国を捨てた。 何故って? それは新たに現れた聖女が ヒロインだったから。 ディアターナは いつの日からか新聖女と比べられ 人々の心が離れていった事を悟った。 もう私の役目は終わったわ… 神託を受けたディアターナは 手紙を残して消えた。 残された国は天災に見舞われ てしまった。 しかし聖女は戻る事はなかった。 ディアターナは西帝国にて 初代聖女のコリーアンナに出会い 運命を切り開いて 自分自身の幸せをみつけるのだった。

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

処理中です...