龍の錫杖

朝焼け

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第二章

荒野のデスロデオ! ! -3 【VSバイティング・ザ・サン】

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 まるでジェット戦闘機のような轟音を響かせながら宙に撃ち上がった害獣は空中で体勢を立て直し、仕留め損ねた武装車に対しブースターの角度を器用に調整し空中からの突進を敢行!
まるで隕石の如き勢いで突っ込んでくる。

「また来るぞっ!」

武装車は再度急旋回。
タイヤの擦れる耳障りな音、激しく渦巻く砂煙。
巨大な地響き、落下音。
間部のドライビングテクニックによりその襲撃から間一髪で逃れた武装車は再度逃亡を試みる、しかし突然車体はガクガクと揺れ動きが鈍る。

「すいません! カスってタイヤがパンクしたみたいですっ! 」
「マジかよっ! くそっ! 間部ちゃん! 予備のタイヤがあるだろうっ!」
「ジシャアアアァオオォォッ!」

標的を仕留め損ねた害獣は絶叫しながら地表をのたうち武装車に向き直る。
そして漆黒の甲殻を展開しエネルギーの放出準備。
頭部に近い胴体部分がまるでポンプの様に脈動、まるで飛行機が飛び立つかのような高い音が鳴り響く。
害獣の狙いは明らかにブースターによる突進攻撃だ。

「タイヤはあるけどっ! こんなの変える時間がありませんよっ! 早く降りて逃げましょう!」
「解ってらっ! 俺らが時間を稼ぐ! 桜ぁっ! やれぇっ!」
「いくわよぉっ!」

間部の頭上から桜の声と機械の駆動音、数瞬後に武装車備え付けのガトリングガンが害獣に向かって火を放つ。
激しい射撃音が荒野に響く。
鉄同士が弾けるようなすさまじい音、害獣の甲殻に弾丸が跳ね返される。

「ジギャアアッ!」

だが幸運な事に数発の弾丸が害獣の甲殻の隙間に滑り込み、肉を弾き飛ばす。
怯んだ害獣はブースターを停止、一旦体勢を立て直すために地中への潜行を開始する。

「ここで地下に逃がしちゃいかんっ! また下から突き上げられる! 
 クザン! 行くぞっ!」
「承知した!」

クザンとジェラルドは武装車から飛び出し、突っ走る。
そして潜ろうとする害獣の尾を掴み上げ、思いきり引っ張りあげる。
両者の筋肉がまるで鉄の塊のように引き締まる。

「ウオオオッッ!」

三、四トンはある害獣の体は地響きと共に地上に引きずり出され、叩きつけられる。

「ジィィアアァァッ!!」

今の狼藉に激怒した害獣は二人の不意を突き、ブースターの推進力を利用して頭部を軸に独楽の様に回転、その勢いを利用し敵にテールスマッシュを敢行する。

「くそっ!」
「やべぇっ!」

砂煙すら真っ二つに断ち切りそうなその一撃を二人はギリギリ、跳躍しかわす。
しかし害獣は回転の勢いとその長い体をうまく使い、地面を滑る様にクザンに向かってバイティングを仕掛ける!

「クザンッ! 危ねぇっ!」

バイティングがクザンを捕らえる!
だがクザンは害獣の牙を手で掴み顎を脚で突っ張りなんとか踏ん張る。
強力な顎の力に負けじとクザンは抵抗する!

「……なんだと!? 信じられん!」

しかしクザンは直ぐに異常事態に気づく。
害獣の牙に接している手足がなんとパキパキと音を立てながら凍りついてきているのだ。
凍結によりクザンは徐々に力を失い害獣の顎の力に抵抗出来なくなってきている。

「ヤバイな……」
「今助けるぞ!」

ジェラルドがクザンの元に突っ走る! 
助けに入ろうとするジェラルドにクザンは雄叫ぶ!

「駄目だっ! 牙に触るな! 俺を殴って弾き飛ばしてくれっ!」
「……!? 解った!」

一瞬ジェラルドは混乱するが噛まれている張本人が言うのだから何かあるのだろうと即座に理解、クザンの腹に鉄拳を叩き込み弾き飛ばす!
ガチンと火花を立てながら獲物を失った顎が閉じる!
数メートルは吹っ飛ぶクザン、クザンが体勢を立て直す時間を稼ぐためにジェラルドは害獣の横っ面に鉄拳を連続で叩き込む!

「オラオラオラァ!」
「ガフォアァァ!」

怯んだ害獣は一旦距離を取った後、鼻先のドリルを高速回転、ジェラルドに向かって突っ込む!

「そんなん当たらねぇよ!」

ジェラルドは見た目に似合わない軽い動きでその必殺の一撃をひらりとかわし、再度、害獣に鉄拳を叩き込む!

「ジシャアアアァッ!!」
「ほらほらどうしたどうしたぁっ!」

まるで大太鼓を演奏でもしているかの様な大音響を響かせながらジェラルドは害獣を殴り続ける、確実にダメージを相手に蓄積させていく。
しかしその劣勢を打開するために害獣はまたも隠された能力を発動する!

「フシュウゥウウウゥ」

害獣の口先から霧の様な何かがまるで沸騰したヤカンの蒸気のように漏れでる。
害獣は首を素早く動かし、その霧をジェラルドに浴びせかけた。

「なんだこれ、っ!? ヤベェ!」

ジェラルドが血相を変えてその場から逃げ出そうとしたその瞬間、害獣はその口をあんぐりと開け、ガチンと閉じ、その鋭い牙から火花を散らす! 
その火花は一瞬で霧の様な何かに引火し大爆発、ジェラルドを飲み込み吹き飛ばす!

「ぐがぁああぁっ!」

ジェラルドは空中で弧を描きながらクザンの目の前に落下! 

「ジギャアアァアァァッ!」

手足を氷漬けにされたクザンと爆破のダメージでダウンするジェラルドに止めを刺そうと害獣がドリルを高速回転! 更に胴体がポンプの様に脈動! ロケットブースターを展開! 二人に突進する! 

「まずいっ!」

絶体絶命のその時、害獣の横っ面にガトリングガンの一斉掃射!
甲殻を貫通こそしない物のその衝撃により害獣は横転、ダウン!
その隙を突き後部座席のドアを開け放した武装車が倒れる二人の元に走る!

「すいません! 遅くなりましたっ! 速く乗って下さい!」
「よしっ!」
「ナイスッ! 桜、間部ちゃん!」

二人は力を振り絞り、走行する車に転がり込む。
それを確認した間部はアクセルを強く踏み込み全速力でその場から逃げ出す! 
桜が置き土産とばかりに体勢を立て直さんとする害獣にガトリングガンを掃射!

「ジギヤアアァアァァッ!!」

害獣が揉んどり打っている間にも車は距離を稼ぐ。

「ちょっと、二人とも大丈夫!?」

桜はサンルーフから顔をだし、ガトリングガンを構えながらも二人の身を心配する。

「ああ、大丈夫だ、少し手足が凍ってるだけだ」
「おう、大丈夫だ、シャツが燃やされて少し火傷しただけさ」
「何よそれ!? 仮にも生き物でしょアイツ!? 何でそんなワケわかんない攻撃してくるの!?」
「全くだぜ、それにドリルといいブースターといい、最高に頭の悪い造形してやがる、まるで小学生が考えた落書きみてぇな奴だ」

冗談混じりに毒づくジェラルド。

「しかし、それが現実に襲って来ているんだからな……対抗策を考えなければ……」
「そうだな、毒づいても始まらねぇか、しかし無理に戦うこともねぇ、桜どうだ、このまま逃げ切れそうか?」
「無理そうね、見て!」

三人が後ろを振り返ると時おりバーニアで加速し、まるで飛び魚のように大地を泳ぐ害獣の姿。
その凄まじい速度で徐々にだが武装車との距離を詰めていく!

「スピードはもう限界です……」
「そうか……解った、よし、俺が囮になるからお前ら都市までまっすぐ戻れ、そんで宇津川局長に事の顛末を話して来てくれ」
「なに言ってるのジェラルド!? それじゃ貴方一人であいつと戦う気!?」

慌てる桜をジェラルドは諭す。

「バカ言うな、俺も頃合いを見計らって逃げるさ」
「無理だな、逃げ切れる要素がまるでない」
横からクザンが口を挟む。
「いいんだよ、秘策があるんだよこの俺様にはよ」
「そうか、ではその策を今俺に教えてくれ」
ジェラルドは舌打ちしながら頭をバリバリと掻く。
「…………」
「俺もジェラルドと一緒に残ろう」
「おい、バカ言うな」
「俺も頃合いを見計らって逃げるさ」
「あぁ、クソッ! この解らず屋め、ここは俺一人でいいんだよっ! 」
「ちょっと貴方たち、こんなことで言い争ってる場合!? ここはあたしが残るわよ! 一番足早いの私だし!」
言い争いを始める三人に間部が恐る恐る声をあげる。
「あの……ジェラルド」
「なんだ、間部ちゃん、あんたまで囮になるなんて言い出すなよ」
「いえ、出来ませんよそんなこと……1つだけ聞きたいんです……ジェラルド、あなたが害獣から浴びた爆発する液体……あれ、もしかしてアルコールの匂いがしませんでした?」

ジェラルドは眉を潜める。

「……何で解った?」
「もし私の考えていることが正しければ……」
「正しければ?」

桜が答えを促す。

「奴の攻撃を……全て封じる事ができるかもしれません」
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