癒しこそが至高です!

( ・ω・)

文字の大きさ
3 / 4

2 「魔導書」

しおりを挟む
ウサギに転生した

ーーーこの事実は受けとめるしかないだろう。

幸一は冷静だった。

ネット小説などでよくある展開だからこそ、
状況をすぐに受けとめた。

ーーーまずは、この男だな。

可能性としてでは、
この男が自分を召喚もとい、転生させたのだろう。

「■■■!
 ………■■■………?」

目の前の男は何と言っているのだろうか。
何事かを呟くと、そっと幸一を床に降ろす。
とりあえず、日本語でも英語でもないようだ。

ーーーしかし、話せないのは不便だな………

言語能力のチートとかあれば良いのに、
などと思っていると、

「■■■■■■■■■」

男が、目の前に古びた本をそっと置いた。

「■■■■■■■■■■■■■」

幸一を指差し、
ちょんちょん、と本に触る。

ーーーもしかして、本に触れってことか?

物は試し。とりあえず、触れることにした。

その瞬間、本が輝き始めた。

本から頭の中へなだれ込むように、情報が入り込んでいく。
おそらく、この世界の言語の情報だろう。

徐々に入り込む情報量が少なくなり、
本の光が収まった。

ほんの数秒で、言語を理解できるのは便利だが、
その分、脳への負担が大きいのか気持ち悪くなってきた。


「お、終わったかな?」

ーーーおお、何て言ってるのかわかる!

が、まだ問題がある。
言語がわかっても、声が出せない。
ウサギは声帯がないからだ。

「あ、ウサギって喋れないんだったか。」

そう呟くと、さっきの本を本棚にしまい、
そこから一冊の本を取り出す。

またさっきと同じように目の前にそっと置く。

「いいか?さっきと同じように、本に触るんだ。」

ーーー魔導書グリモワール精神会話魔法テレパシー〉?

なるほど、大体わかった。
さっきの言語がわかるようになった本も、魔導書グリモワールという物なのだろう。
そしてこれは、喋れないなら〈精神会話魔法テレパシー〉で会話しようということか。

またさっきと同じように本に触れる。

本が輝き始め、頭に情報が流れ込む。

能力、使い方、条件、ーーーーーーーーー

情報量が少なくなり、本の光が収まる。

ーーーよし、早速使ってみよう。

『あーあー、テステス
 あー聞こえてるかねー。』

「ん。成功したか。」

返ってきた。
これで何とか会話が出来る。

「で、テステスって何だ?」

『え、あー、気にしないで良いよ。』

「そうか。……………んーと、とりあえず、説明した方がいいか。
 異世界から呼ばれて、まだよくわからんだろ?」

ーーー!?

やはりこの男が自分を召喚したのだろうか?


ーーーとりあえず、話は聞いといた方がいいな。





~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


まず、この世界についてだ。


ここは『グラーシア大陸』の東の国、『フェイゼル王国』だ。
この国は比較的平和な方で、ここ数年は特に争いも無く、
飢饉も殆ど無いんだ。
何より有名なのが、
『アズールの迷宮ダンジョン』!
古の時代にて、初代フェイゼル王を支えたとされる
魔導師、アズールが創ったとされる迷宮ダンジョンで、
日々冒険者達が挑んでいるが、いまだに踏破されていない
大陸最大の迷宮ダンジョンなんだ。

お、迷宮ダンジョンを知ってるのか。

あ、『あーるぴーじー』?ってのはよくわからんが
大体そんな感じだ。

で、俺はクレス。
フェイゼル王国の王都、『ヴァンリート』
で魔導書店をやってる。
魔導書グリモワールってのは大体わかってると思うが、
触れるだけで魔法が使えるようになったり、発動出来たり、
何かの知識を得ることが出来るんだ。
ま、大体は使い捨てだけど。
あー、気にすんな。
グリモワールは時間掛かるし、
地味にキツいけど、材料さえ足りれば作れるからさ。
安心しな。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

じゃあ、俺からも、


少し話をしよう。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

メインをはれない私は、普通に令嬢やってます

かぜかおる
ファンタジー
ヒロインが引き取られてきたことで、自分がラノベの悪役令嬢だったことに気が付いたシルヴェール けど、メインをはれるだけの実力はないや・・・ だから、この世界での普通の令嬢になります! ↑本文と大分テンションの違う説明になってます・・・

過程をすっ飛ばすことにしました

こうやさい
ファンタジー
 ある日、前世の乙女ゲームの中に悪役令嬢として転生したことに気づいたけど、ここどう考えても生活しづらい。  どうせざまぁされて追放されるわけだし、過程すっ飛ばしてもよくね?  そのいろいろが重要なんだろうと思いつつそれもすっ飛ばしました(爆)。  深く考えないでください。

義妹がピンク色の髪をしています

ゆーぞー
ファンタジー
彼女を見て思い出した。私には前世の記憶がある。そしてピンク色の髪の少女が妹としてやって来た。ヤバい、うちは男爵。でも貧乏だから王族も通うような学校には行けないよね。

大好きなおねえさまが死んだ

Ruhuna
ファンタジー
大好きなエステルおねえさまが死んでしまった まだ18歳という若さで

物語は始まりませんでした

王水
ファンタジー
カタカナ名を覚えるのが苦手な女性が異世界転生したら……

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

押し付けられた仕事、してもいいものでしょうか

章槻雅希
ファンタジー
以前書いた『押し付けられた仕事はいたしません』の別バージョンみたいな感じ。 仕事を押し付けようとする王太子に、婚約者の令嬢が周りの力を借りて抵抗する話。 会話は殆どない、地の文ばかり。 『小説家になろう』(以下、敬称略)・『アルファポリス』・『Pixiv』・自サイトに重複投稿。

魅了の対価

しがついつか
ファンタジー
家庭事情により給金の高い職場を求めて転職したリンリーは、縁あってブラウンロード伯爵家の使用人になった。 彼女は伯爵家の第二子アッシュ・ブラウンロードの侍女を任された。 ブラウンロード伯爵家では、なぜか一家のみならず屋敷で働く使用人達のすべてがアッシュのことを嫌悪していた。 アッシュと顔を合わせてすぐにリンリーも「あ、私コイツ嫌いだわ」と感じたのだが、上級使用人を目指す彼女は私情を挟まずに職務に専念することにした。 淡々と世話をしてくれるリンリーに、アッシュは次第に心を開いていった。

処理中です...