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2 「魔導書」
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ウサギに転生した
ーーーこの事実は受けとめるしかないだろう。
幸一は冷静だった。
ネット小説などでよくある展開だからこそ、
状況をすぐに受けとめた。
ーーーまずは、この男だな。
可能性としてでは、
この男が自分を召喚もとい、転生させたのだろう。
「■■■!
………■■■………?」
目の前の男は何と言っているのだろうか。
何事かを呟くと、そっと幸一を床に降ろす。
とりあえず、日本語でも英語でもないようだ。
ーーーしかし、話せないのは不便だな………
言語能力のチートとかあれば良いのに、
などと思っていると、
「■■■■■■■■■」
男が、目の前に古びた本をそっと置いた。
「■■■■■■■■■■■■■」
幸一を指差し、
ちょんちょん、と本に触る。
ーーーもしかして、本に触れってことか?
物は試し。とりあえず、触れることにした。
その瞬間、本が輝き始めた。
本から頭の中へなだれ込むように、情報が入り込んでいく。
おそらく、この世界の言語の情報だろう。
徐々に入り込む情報量が少なくなり、
本の光が収まった。
ほんの数秒で、言語を理解できるのは便利だが、
その分、脳への負担が大きいのか気持ち悪くなってきた。
「お、終わったかな?」
ーーーおお、何て言ってるのかわかる!
が、まだ問題がある。
言語がわかっても、声が出せない。
ウサギは声帯がないからだ。
「あ、ウサギって喋れないんだったか。」
そう呟くと、さっきの本を本棚にしまい、
そこから一冊の本を取り出す。
またさっきと同じように目の前にそっと置く。
「いいか?さっきと同じように、本に触るんだ。」
ーーー魔導書〈精神会話魔法〉?
なるほど、大体わかった。
さっきの言語がわかるようになった本も、魔導書という物なのだろう。
そしてこれは、喋れないなら〈精神会話魔法〉で会話しようということか。
またさっきと同じように本に触れる。
本が輝き始め、頭に情報が流れ込む。
能力、使い方、条件、ーーーーーーーーー
情報量が少なくなり、本の光が収まる。
ーーーよし、早速使ってみよう。
『あーあー、テステス
あー聞こえてるかねー。』
「ん。成功したか。」
返ってきた。
これで何とか会話が出来る。
「で、テステスって何だ?」
『え、あー、気にしないで良いよ。』
「そうか。……………んーと、とりあえず、説明した方がいいか。
異世界から呼ばれて、まだよくわからんだろ?」
ーーー!?
やはりこの男が自分を召喚したのだろうか?
ーーーとりあえず、話は聞いといた方がいいな。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
まず、この世界についてだ。
ここは『グラーシア大陸』の東の国、『フェイゼル王国』だ。
この国は比較的平和な方で、ここ数年は特に争いも無く、
飢饉も殆ど無いんだ。
何より有名なのが、
『アズールの迷宮』!
古の時代にて、初代フェイゼル王を支えたとされる
魔導師、アズールが創ったとされる迷宮で、
日々冒険者達が挑んでいるが、いまだに踏破されていない
大陸最大の迷宮なんだ。
お、迷宮を知ってるのか。
あ、『あーるぴーじー』?ってのはよくわからんが
大体そんな感じだ。
で、俺はクレス。
フェイゼル王国の王都、『ヴァンリート』
で魔導書店をやってる。
魔導書ってのは大体わかってると思うが、
触れるだけで魔法が使えるようになったり、発動出来たり、
何かの知識を得ることが出来るんだ。
ま、大体は使い捨てだけど。
あー、気にすんな。
グリモワールは時間掛かるし、
地味にキツいけど、材料さえ足りれば作れるからさ。
安心しな。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
じゃあ、俺からも、
少し話をしよう。
ーーーこの事実は受けとめるしかないだろう。
幸一は冷静だった。
ネット小説などでよくある展開だからこそ、
状況をすぐに受けとめた。
ーーーまずは、この男だな。
可能性としてでは、
この男が自分を召喚もとい、転生させたのだろう。
「■■■!
………■■■………?」
目の前の男は何と言っているのだろうか。
何事かを呟くと、そっと幸一を床に降ろす。
とりあえず、日本語でも英語でもないようだ。
ーーーしかし、話せないのは不便だな………
言語能力のチートとかあれば良いのに、
などと思っていると、
「■■■■■■■■■」
男が、目の前に古びた本をそっと置いた。
「■■■■■■■■■■■■■」
幸一を指差し、
ちょんちょん、と本に触る。
ーーーもしかして、本に触れってことか?
物は試し。とりあえず、触れることにした。
その瞬間、本が輝き始めた。
本から頭の中へなだれ込むように、情報が入り込んでいく。
おそらく、この世界の言語の情報だろう。
徐々に入り込む情報量が少なくなり、
本の光が収まった。
ほんの数秒で、言語を理解できるのは便利だが、
その分、脳への負担が大きいのか気持ち悪くなってきた。
「お、終わったかな?」
ーーーおお、何て言ってるのかわかる!
が、まだ問題がある。
言語がわかっても、声が出せない。
ウサギは声帯がないからだ。
「あ、ウサギって喋れないんだったか。」
そう呟くと、さっきの本を本棚にしまい、
そこから一冊の本を取り出す。
またさっきと同じように目の前にそっと置く。
「いいか?さっきと同じように、本に触るんだ。」
ーーー魔導書〈精神会話魔法〉?
なるほど、大体わかった。
さっきの言語がわかるようになった本も、魔導書という物なのだろう。
そしてこれは、喋れないなら〈精神会話魔法〉で会話しようということか。
またさっきと同じように本に触れる。
本が輝き始め、頭に情報が流れ込む。
能力、使い方、条件、ーーーーーーーーー
情報量が少なくなり、本の光が収まる。
ーーーよし、早速使ってみよう。
『あーあー、テステス
あー聞こえてるかねー。』
「ん。成功したか。」
返ってきた。
これで何とか会話が出来る。
「で、テステスって何だ?」
『え、あー、気にしないで良いよ。』
「そうか。……………んーと、とりあえず、説明した方がいいか。
異世界から呼ばれて、まだよくわからんだろ?」
ーーー!?
やはりこの男が自分を召喚したのだろうか?
ーーーとりあえず、話は聞いといた方がいいな。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
まず、この世界についてだ。
ここは『グラーシア大陸』の東の国、『フェイゼル王国』だ。
この国は比較的平和な方で、ここ数年は特に争いも無く、
飢饉も殆ど無いんだ。
何より有名なのが、
『アズールの迷宮』!
古の時代にて、初代フェイゼル王を支えたとされる
魔導師、アズールが創ったとされる迷宮で、
日々冒険者達が挑んでいるが、いまだに踏破されていない
大陸最大の迷宮なんだ。
お、迷宮を知ってるのか。
あ、『あーるぴーじー』?ってのはよくわからんが
大体そんな感じだ。
で、俺はクレス。
フェイゼル王国の王都、『ヴァンリート』
で魔導書店をやってる。
魔導書ってのは大体わかってると思うが、
触れるだけで魔法が使えるようになったり、発動出来たり、
何かの知識を得ることが出来るんだ。
ま、大体は使い捨てだけど。
あー、気にすんな。
グリモワールは時間掛かるし、
地味にキツいけど、材料さえ足りれば作れるからさ。
安心しな。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
じゃあ、俺からも、
少し話をしよう。
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