Winter perdu(ウインターペルデュ)

しまかぜ

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第1章 出会い

1-1 プロローグ

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いつからだろう。人前で笑わなくなったのは。
いつからだろう。人といて楽しく感じなくなったのは。
いつからだろう。誰にも期待をしなくなったのは。
考えるだけ無駄かもしれない。それでも考えてみる。
答えが出るはずもない。
船の外に出てみる。風が強い。鳥が飛んでいた。
(俺もこうして、何も考えずに飛べたらどれだけ楽だろうか)
そんなことを考えてみたりもする。
「年頃じゃのお」
ふと、隣のおじいさんが話しかけてきた。まるで心を読んでいるかのようだった。
「まあ、そんなところですかね。」
何気なく答える。
「お主もこの島へ?」
「はい。冬休みなので、祖父の家に帰ろうかと。」
「ふぉふぉ、何も無い島じゃが、せいぜい楽しむといい。」
「おじいさんは、あの島の人なんですか?」
「まあ、そんなところかの、ふぉふぉ」
「そうですか。」
そうしてる間に、目的地が見えてきた。
迷冒島(めいぼうとう)。これがこの島の名前らしい。
「まもなくー、迷冒島~迷冒島~。」
アナウンスが聞こえてきた。
「じゃあな少年よ、といってもまあ小さな島じゃし、また会うかものお」
「その時は、よろしくおねがいします。」
「ふぉふぉ。」
そういって、おじいさんは去っていった。
「ふぅ。さて、行くか。」
俺も下船の準備をして、歩き始めた。
いつもと違うところに来れば、別の色んな経験が出来るかもしれない。
小さな期待を胸に旅立つ。いや、そんな綺麗なもんじゃない。
だって、いつか分からないあの時、俺は心に誓ったから、(もう、誰にも期待しない。してはいけない。)
夏休みぐらいはこんなことを忘れたいものだ。思い出したくもない。でも心に残り続ける。いわば邪念、トラウマと言うべきか。
そんなことを考えつつ、俺は島へと歩いていく。

この島でこれから起こる不思議な物語を、俺はまだ知らなかった。
ちょっぴり寒い冬の、奇跡ともいえる、物語を…。

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