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フィンとブランの新たな依頼
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フィンは、バレットとアレックスの武闘の修行を終えて新たな依頼へと旅立った。その依頼とは、国に反逆する魔法使いの討伐だった。その魔法使いの名はセミル。通称赤髪のセミルという男だ。このセミルは国家魔法使いであるにも関わらず、国内の貴族の館に侵入し、金品を奪う事を繰り返しているのだ。
赤髪のセミル討伐は、これまで何人もの冒険者が志したが、皆返り討ちに合っていた。フィンは、バレットたちが鍛えてくれた修行の成果を確認するため、あえて困難な依頼を選んだ。
フィンは自身の肩に乗っている契約霊獣の白猫ブランに声をかけた。
「ブラン。今回の依頼は必ず僕らだけでやり遂げようね?」
『ええ勿論だわよ。アタシだって沢山土魔法の練習をしたんだから。でもフィン、そのセミルとかいう魔法使いをどうやって探すのさ?』
「うん。セミルは王都付近の貴族の館に盗みにはいるけど、その後決まってある町に滞在するみたいなんだ。これは、今までセミル討伐に言った冒険者たちが言っていたんだ」
『なんかおかしな話だわね?そのセミルっていうのはおたずね者なんでしょ?何で堂々と町にいるのさ?』
「・・・、それは僕にもわからないや。でも、まずはセミルが多く出没する町に行ってみようと思うんだ。ブラン、連れて行ってくれるかい?」
『勿論だわよ』
フィンのお願いにブランは元気よく応えると、彼女は大きくなり、フィンを背に乗せて走り出した。
フィンたちが向かっているのは、国のはしっこにあるランスという町だった。城下町からランスの町へはとても距離があった。ブランに乗ったフィンは、六日かけてランスの町に到着した。
ランスの町は特筆する産業は無く、町の人々は貧しい暮らしをしていた。フィンとブランは、赤髪のセミルの情報を探すべく、さびれた食堂に入った。店の店主は六十代くらいの優しそうな男だった。フィンはチキンソテーとパンとスープを注文した。そのついでに、店主に赤髪のセミルの目撃情報はないかと質問した。店主は首をかしげながら答えた。
「赤髪のセミル?凶悪な魔法使い?聞いた事ないねぇ。まぁ、お客さん。ちょっと待っていておくれ。今美味い料理を持って来るから」
そう言って、店主は笑顔で厨房に入ってしまった。フィンは首をかしげてから、自分のひざの上で丸くなっている白猫のブランに言った。
「ねぇブラン。さっきのおじさんの話おかしくない?」
『なんでだわよ』
「赤髪のセミルは国内でも悪名高い魔法使いだよ?名前は知っているけど見たことないならまだしも、聞いた事もないっておかしくない?」
フィンの疑問にブランも考えこんだ。そうこうしている内に、フィンの注文した料理がテーブルに並べられた。スープとチキンソテーは湯気を立てていてとても美味しそうだ。付け合わせのクレソンはブランに食べてもらうとして、フィンはまずスープに手を伸ばした。すると、ブランが叫んだ。
『フィン!スープを飲んではダメ!』
フィンは驚いてひざの上のブランを見て言った。
「どうしたの?ブラン。大きな声を出して」
ブランはみけんにシワを寄せて答えた。
『スープから変な臭いがするだわよ。おそらく薬が入っているのさ。フィン、店主に悟られないようにスープだけ残しなさい』
フィンは小さくうなずくと、黙々と食事を始めた。チキンソテーはジュウシーで美味しいはずなのに、味はよくわからなかった。フィンは何とか食事を終えると、会計をするため店主に声をかけた。店主はフィンがスープを飲んでいない事に気づいて焦ったように言った。
「お客さん。スープは口に合わなかったかい?」
フィンは頭をかきながら答えた。
「すみません。僕玉ねぎが苦手で」
「それはすまなかったね。なら今から別なスープを出すからまっててくれ」
「いえ、先を急ぎますので。チキンソテーとパンはとても美味しかったです」
フィンはスープの代金もしっかり払って食堂を出た。
フィンは、本来ならば今夜はランスの町の宿屋に泊まって、セミルの聞き込みをするはずだった。だが食堂で薬を盛られそうになっては、これ以上セミルの聞き込みをするのは危険な気がした。
フィンはブランと共に、ランスの町の店々の屋根の上にいた。町を見下ろしながらブランに言った。
「ねぇブラン。どうして食堂のおじさんは、僕に薬を飲ませようとしたんだろう?」
『きっと、このランスの町の連中がセミルとグルなんだわよ!』
「そうかなぁ。僕にはあの食堂のおじさんは優しい人に見えたけど」
フィンとブランが話し合っていると、突然背後で声がした。
「それはな、俺がこの町の連中を脅して言う事を聞かせているんだよ」
フィンが驚いて後ろを振り向くと、そこには端正な顔の男が立っていた。見た目ではアレックスと同じくらいの歳の男に思えた。アレックスは老け顔なので、三十歳くらいだろうか。そしてフィンは、男のある部分を見てハッとした。男の髪は、燃えるような赤髪だった。
赤髪のセミル討伐は、これまで何人もの冒険者が志したが、皆返り討ちに合っていた。フィンは、バレットたちが鍛えてくれた修行の成果を確認するため、あえて困難な依頼を選んだ。
フィンは自身の肩に乗っている契約霊獣の白猫ブランに声をかけた。
「ブラン。今回の依頼は必ず僕らだけでやり遂げようね?」
『ええ勿論だわよ。アタシだって沢山土魔法の練習をしたんだから。でもフィン、そのセミルとかいう魔法使いをどうやって探すのさ?』
「うん。セミルは王都付近の貴族の館に盗みにはいるけど、その後決まってある町に滞在するみたいなんだ。これは、今までセミル討伐に言った冒険者たちが言っていたんだ」
『なんかおかしな話だわね?そのセミルっていうのはおたずね者なんでしょ?何で堂々と町にいるのさ?』
「・・・、それは僕にもわからないや。でも、まずはセミルが多く出没する町に行ってみようと思うんだ。ブラン、連れて行ってくれるかい?」
『勿論だわよ』
フィンのお願いにブランは元気よく応えると、彼女は大きくなり、フィンを背に乗せて走り出した。
フィンたちが向かっているのは、国のはしっこにあるランスという町だった。城下町からランスの町へはとても距離があった。ブランに乗ったフィンは、六日かけてランスの町に到着した。
ランスの町は特筆する産業は無く、町の人々は貧しい暮らしをしていた。フィンとブランは、赤髪のセミルの情報を探すべく、さびれた食堂に入った。店の店主は六十代くらいの優しそうな男だった。フィンはチキンソテーとパンとスープを注文した。そのついでに、店主に赤髪のセミルの目撃情報はないかと質問した。店主は首をかしげながら答えた。
「赤髪のセミル?凶悪な魔法使い?聞いた事ないねぇ。まぁ、お客さん。ちょっと待っていておくれ。今美味い料理を持って来るから」
そう言って、店主は笑顔で厨房に入ってしまった。フィンは首をかしげてから、自分のひざの上で丸くなっている白猫のブランに言った。
「ねぇブラン。さっきのおじさんの話おかしくない?」
『なんでだわよ』
「赤髪のセミルは国内でも悪名高い魔法使いだよ?名前は知っているけど見たことないならまだしも、聞いた事もないっておかしくない?」
フィンの疑問にブランも考えこんだ。そうこうしている内に、フィンの注文した料理がテーブルに並べられた。スープとチキンソテーは湯気を立てていてとても美味しそうだ。付け合わせのクレソンはブランに食べてもらうとして、フィンはまずスープに手を伸ばした。すると、ブランが叫んだ。
『フィン!スープを飲んではダメ!』
フィンは驚いてひざの上のブランを見て言った。
「どうしたの?ブラン。大きな声を出して」
ブランはみけんにシワを寄せて答えた。
『スープから変な臭いがするだわよ。おそらく薬が入っているのさ。フィン、店主に悟られないようにスープだけ残しなさい』
フィンは小さくうなずくと、黙々と食事を始めた。チキンソテーはジュウシーで美味しいはずなのに、味はよくわからなかった。フィンは何とか食事を終えると、会計をするため店主に声をかけた。店主はフィンがスープを飲んでいない事に気づいて焦ったように言った。
「お客さん。スープは口に合わなかったかい?」
フィンは頭をかきながら答えた。
「すみません。僕玉ねぎが苦手で」
「それはすまなかったね。なら今から別なスープを出すからまっててくれ」
「いえ、先を急ぎますので。チキンソテーとパンはとても美味しかったです」
フィンはスープの代金もしっかり払って食堂を出た。
フィンは、本来ならば今夜はランスの町の宿屋に泊まって、セミルの聞き込みをするはずだった。だが食堂で薬を盛られそうになっては、これ以上セミルの聞き込みをするのは危険な気がした。
フィンはブランと共に、ランスの町の店々の屋根の上にいた。町を見下ろしながらブランに言った。
「ねぇブラン。どうして食堂のおじさんは、僕に薬を飲ませようとしたんだろう?」
『きっと、このランスの町の連中がセミルとグルなんだわよ!』
「そうかなぁ。僕にはあの食堂のおじさんは優しい人に見えたけど」
フィンとブランが話し合っていると、突然背後で声がした。
「それはな、俺がこの町の連中を脅して言う事を聞かせているんだよ」
フィンが驚いて後ろを振り向くと、そこには端正な顔の男が立っていた。見た目ではアレックスと同じくらいの歳の男に思えた。アレックスは老け顔なので、三十歳くらいだろうか。そしてフィンは、男のある部分を見てハッとした。男の髪は、燃えるような赤髪だった。
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