ひよっこ召喚師モフモフの霊獣に溺愛される

盛平

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赤髪のセミル

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 フィンはゴクリとツバを飲んでから男に問うた。

「お前は誰だ?」

 赤髪の男はフンと、フィンを小バカにするような笑いを浮かべて答えた。

「お前さんが探している赤髪のセミルって奴だ」

 フィンはゆっくりと息を吐いてから言った。

「お前は貴族の館から金品を盗んだ罪で冒険者協会から討伐依頼が出ている。お前を捕まえて騎士団につき出す!」
「ふうん?やれるもんならやってみな?」

 赤髪のセミルはおうような声で言った。フィンはセミルをにらんだまま言った。

「ここでは町の人たちの迷惑になる。場所を変えるぞ」

 フィンは大きくなった白猫のブランの背に乗った。セミルも素直にうなずいた。驚いた事に、セミルはフワリと身体を宙に浮かせた。そして、フィンたちを導くように空を飛んだのだ。

 フィンは以前、自分の兄であり魔法戦士であるバレットに聞いた事があった。バレットは空を飛ぶ事ができるのかと。バレットはできる、と言った。だが空中でバランスを保つのはとても大変な事だと言っていた。今フィンの頭の上を飛んでいる魔法使いセミルは、まるで鳥のように自由に空を飛んでいた。それだけを見ても、セミルの魔法の力がうかがえる。

 フィンとブランはセミルにうながされ、林の中にある平地までたどり着いた
ここならば町の人々の迷惑にならないだろう。セミルはゆっくりと地面に着地してから、親しげとも思える笑顔を浮かべてフィンに話しかけた。

「小僧、何故俺を捕らえようとする?金のためか?」

 フィンはいきどおりながら答えた。

「違う!僕は正義のためにお前を捕らえるんだ!」

 セミルはフィンの言葉を聞くと、鼻で笑って言った。

「正義だと?召喚士の学校を出たての小僧のお前が正義を語るとはな。正義と悪など、コインの表と裏にすぎない。歴史が変わればすぐに入れ替わる」

 フィンはセミルの言葉を注意深く聞いていた。セミルは、自身は悪ではないと主張しているのだ。他人から物を盗めば盗人だ。自分が悪では無いと言い張るのは全部セミルのたわ言だ。フィンはおどけた態度のセミルに対して大声で言い切った。

「言い訳は騎士団の前でしろ!」

 フィンはそう言い切ると、契約霊獣霊獣のブランに支持を出した。

「ブラン!セミルに近づく。フォローをお願い!」
『ええ、分かったわ!』

 フィンとブランは全速力でセミルめがけて走り出した。セミルは笑顔を絶やさないまま、右手を軽く動かした。すると、フィンとブランに強力な炎魔法が襲いかかった。セミルは呪文の詠唱も無しに強力な魔法を使いこなしていた。ブランはすかさず鉱物防御魔法でフィンと自身を守った。

 フィンはブランに礼を言ってから再び走りだした。セミルの攻撃魔法は休む事なくフィンたちに当たった。フィンとブランは防御魔法を発動しながら確実に間合いをせばめて行った。後数歩でセミルの間合いに入るという距離になり、フィンはブランに叫んだ。

「ブラン!植物拘束魔法!」
『ええ!』

 ブランの足元から巨大なツタが何本も生え出し、セミルに襲いかかった。セミルは風魔法で身体を浮かせて、ツタ魔法を回避した。今だ。フィンは土魔法で手甲と足甲を出現させると、ツタの陰に身を隠しながら、セミルの左側面に躍り出た。フィンは跳躍すると、セミルの左頬に右手のこぶしを打ち込んだ。

 セミルはツタの陰からフィンが飛び出してきた事に驚いたようだが、すんでの所で風防御魔法を発動したようだ。フィンの右手のこぶしは見えない固い壁に阻まれた。セミルは氷魔法で氷の刃を大量に作り、フィンに放った。フィンはこれを後方にバック転してよけた。思った通りセミルはフィンに自分の間合いに入ってほしくないようだ。

 フィンは体勢を立て直すと、再びセミルの間合いに入るために走った。やはりセミルは氷魔法でフィンに攻撃する。だが今度は、攻撃魔法を後方によけるのではなく、胸元の魔法具のペンダントに触れて身体に風防御魔法を張った。

 氷の刃はフィンをつらぬく事はなく、足元に落ちた。フィンはセミルに間合いをつめ、セミルの左脇腹に右手のこぶしを打ち込んだ。メキッと嫌な感触がして、セミルが吹っ飛んだ。フィンは契約霊獣のブランに叫んだ。

「ブラン!土操り魔法!」
『ええ!』

 ブランが土魔法を発動すると、地面がムクムクと盛り上がり、巨大な土人形が現れた。ブランが会得した土を操る魔法だ。倒れているセミルの身体が輝く。おそらく治癒魔法で身体を治しているのだろう。セミルが完全に回復する前に、確実なダメージを負わせ拘束しなければ。

 ブランの操る巨大な土人形が、もうぜんと走り出し、セミルに襲いかかる。だが勿論セミルを殺したりはしない、セミルの手前にこぶしを打ち付けて戦意を喪失させて捕まえようとする作戦だ。

 作戦は着々と進行していた。だが、ここで予期せぬ出来事が起きた。小さな少年が両手を広げてセミルの前に立ちはだかったのだ。まるでセミルを守るように。

 フィンは突然現れた少年に仰天した。ブランの操る巨大な土人形はこぶしを振り上げ、今にも少年に殴りかかろうとしているのだ。ブランは土人形の後ろで操っているので、少年の存在には気づいていないようだ。

 フィンはもう然と走り出した。そして魔法具のペンダントに触れ、両手を前に突き出した。フィンに土人形の巨大なこぶしがぶち当たった。

 
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