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少年セミル
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セミルは小さな頃から頭の回転が速い賢い子供だった。父は腕のいい鍛冶屋で、優しい母と幼い妹と幸せに暮らしていた。セミルは王都の近くのランスの街で暮らしていた。街は活気にあふれ、人々は生き生きと暮らしていた。
セミルは将来父の後を継いで、鍛冶屋になろうとしていた。だがある時、街にやってきた旅の魔法使いに出会った。その魔法使いは年老いた老人だった。魔法使いは、街に薬草を売りに来たのだ。
セミルは母親のお使いで市場に行って、魔法使いに出会ったのだ。年老いた魔法使いは、セミルを一目見て潜在魔力の強さを見抜いた。そして、セミルを自身の後継者にしようとしたのだ。
魔法使いはセミルの家にやって来て、切々とセミルの才能を熱弁した。セミルの両親は息子を怪しげな魔法使いに預ける事に難色を示したが、セミルは魔法使いになる夢を持つようになり、自ら両親に頼んだ。終いには両親も折れて、セミルは晴れて魔法使いの弟子になった。
魔法使いになるためには二つ方法がある。一つは魔法学校に通う事だ。だが学校に通うにはとても高額な学費が必要だ。次に魔法使いに弟子入りする事だ。セミルは裕福とは言い難い家の子供だったので、魔法使いに弟子入りできた事はとても幸運だったのだ。
セミルは両親の許しを得て、魔法使いと山にこもり、魔法の修行をした。セミルは次々と火、水、風、土のエレメント契約をして魔法を習得していった。魔法使いは、セミルに魔法だけではなく、魔法薬や薬草の知識、そして魔法使いのこころえを教えてくれた。魔法使いとは、人よりも優秀な存在だ。ならば自らの能力を使って、人を助けなければならない。魔法の師の言葉を、幼いセミルは深く心にきざんだ。
魔法使いの師から魔法使いの資格を受けた後、セミルはさらに五年魔法の修行にはげんだ。すると、国が創設している魔法学校の試験が受けられるのだ。この試験に合格すれば、セミルは晴れて国家魔法使いになる事ができる。
苦心の末、セミルは国家魔法使いになる事ができた。そこでセミルは魔法使いの修行で家を出てから、初めて我が家に帰った。セミルの記憶より老けた両親と、見違えるほど美しく成長した妹のアロワが出迎えてくれた。
セミルは長年修行してきた魔法で、家族に孝行をする事にした。土魔法で父親の鍛冶の仕事道具を修理したり、母親と妹には、ドレスと宝石を作り出した。家族はセミルの魔法をとても喜んでくれた、セミルは家族に誓った、しばらくしたら帰ってくるからと。だが、セミルが笑顔の家族と会えたのはこの時が最後だった。
セミルは国家魔法使いの免許証をたずさえて、魔法の師匠の元に戻った。セミルには、やりとげなければならない大切な仕事があった。それは、魔法の師匠を看取る事だ。魔法の師匠は高齢で、すでに百二十歳を超えていた。魔法の師匠がぜひともセミルを弟子にしたいとこん願したのは、セミルが高い魔法使いの素質があったのももちろんだが、師匠は自身の後継者を探していたのだ。そして、自分の最後を看取ってくれる家族を。
魔法の師匠の最後は穏やかなものだった。厳しかった師匠は、晩年はとても優しくなり、セミルと師匠は本当の祖父と孫のようになった。師匠が亡くなった後、セミルにはやらなければならない事が山ほどあった。セミルは師匠が作った危険な魔法薬や魔法具を処分しなければいけなかった。これが終われば家族の元に帰れる。セミルがそう思っていた矢先、国から師匠宛に手紙が届いた。
優秀な国家魔法使いは、国の有事の際はせ参じるのが決められていた。だが魔法使いの師匠はとても高齢だったので国からの招集はもう無いはずだった。高齢の師匠にまで招集がかかるなど、国に何らかの重大な危機が訪れたという事だ。セミルは震える手で手紙を読みがく然とした。
現国王に不満を抱く貴族が決起し、内乱が起こったのだ。セミルの脳裏に家族の姿が浮かんだ。セミルは風魔法を発動すると空に舞い上がった。きっと家族は無事だ。セミルははやる気持ちを抑えながら、故郷の街を目指した。
セミルの故郷は見るも無惨に破壊されていた。セミルは家族の住む家まで走った。反乱軍がセミルの住んでいた街を襲ったのだ。だがきっと家族は避難していて無事に違いない。セミルはそう思いながらメチャクチャにされた自宅に入った。
そこには、剣で斬り殺された両親の姿があった。セミルはあまりの事に泣き叫んだ。そして、妹のアロワがいない事に気がついた。セミルは両親のなきがらを、土魔法で作った棺におさめた。そして街にいる生存者を探し始めた。妹のアロワを探すために。
セミルは将来父の後を継いで、鍛冶屋になろうとしていた。だがある時、街にやってきた旅の魔法使いに出会った。その魔法使いは年老いた老人だった。魔法使いは、街に薬草を売りに来たのだ。
セミルは母親のお使いで市場に行って、魔法使いに出会ったのだ。年老いた魔法使いは、セミルを一目見て潜在魔力の強さを見抜いた。そして、セミルを自身の後継者にしようとしたのだ。
魔法使いはセミルの家にやって来て、切々とセミルの才能を熱弁した。セミルの両親は息子を怪しげな魔法使いに預ける事に難色を示したが、セミルは魔法使いになる夢を持つようになり、自ら両親に頼んだ。終いには両親も折れて、セミルは晴れて魔法使いの弟子になった。
魔法使いになるためには二つ方法がある。一つは魔法学校に通う事だ。だが学校に通うにはとても高額な学費が必要だ。次に魔法使いに弟子入りする事だ。セミルは裕福とは言い難い家の子供だったので、魔法使いに弟子入りできた事はとても幸運だったのだ。
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セミルは国家魔法使いの免許証をたずさえて、魔法の師匠の元に戻った。セミルには、やりとげなければならない大切な仕事があった。それは、魔法の師匠を看取る事だ。魔法の師匠は高齢で、すでに百二十歳を超えていた。魔法の師匠がぜひともセミルを弟子にしたいとこん願したのは、セミルが高い魔法使いの素質があったのももちろんだが、師匠は自身の後継者を探していたのだ。そして、自分の最後を看取ってくれる家族を。
魔法の師匠の最後は穏やかなものだった。厳しかった師匠は、晩年はとても優しくなり、セミルと師匠は本当の祖父と孫のようになった。師匠が亡くなった後、セミルにはやらなければならない事が山ほどあった。セミルは師匠が作った危険な魔法薬や魔法具を処分しなければいけなかった。これが終われば家族の元に帰れる。セミルがそう思っていた矢先、国から師匠宛に手紙が届いた。
優秀な国家魔法使いは、国の有事の際はせ参じるのが決められていた。だが魔法使いの師匠はとても高齢だったので国からの招集はもう無いはずだった。高齢の師匠にまで招集がかかるなど、国に何らかの重大な危機が訪れたという事だ。セミルは震える手で手紙を読みがく然とした。
現国王に不満を抱く貴族が決起し、内乱が起こったのだ。セミルの脳裏に家族の姿が浮かんだ。セミルは風魔法を発動すると空に舞い上がった。きっと家族は無事だ。セミルははやる気持ちを抑えながら、故郷の街を目指した。
セミルの故郷は見るも無惨に破壊されていた。セミルは家族の住む家まで走った。反乱軍がセミルの住んでいた街を襲ったのだ。だがきっと家族は避難していて無事に違いない。セミルはそう思いながらメチャクチャにされた自宅に入った。
そこには、剣で斬り殺された両親の姿があった。セミルはあまりの事に泣き叫んだ。そして、妹のアロワがいない事に気がついた。セミルは両親のなきがらを、土魔法で作った棺におさめた。そして街にいる生存者を探し始めた。妹のアロワを探すために。
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