ひよっこ召喚師モフモフの霊獣に溺愛される

盛平

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娘の失踪

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 男はとても貧しかった。男には家族がいた。病弱な妻、十六歳になる娘、十歳と八歳になる息子たち。男たち家族は、小さな畑を耕して何とか暮らしていた。

 ある時ひどい干ばつが起こり、男の畑ではほとんど作物が採れなかった。その時、村の村長に提案されたのだ。この村を含めた土地一帯を治めている領主が、十六歳から十八歳までの美しい娘を侍女とするため探しているらしいとの事。

 村長の提案に、男は悩んだ。いくら貧しくても娘を金で売るようなまねはしたくなかった。男の娘は美しかった。男とその家族は、美しい娘をとても愛していた。

 娘はとても優しい心を持っていた。娘は男たち家族のために領主の屋敷で働く事にした。娘は他の二人の村娘たちと一緒に荷車に乗って領主の屋敷に行ってしまった。

 男は村長からこれまで見たことのないほどの金貨を受け取った。男たち家族は、娘を売った金でその年の冬を越す事ができた。

 男たち家族は領主の屋敷に行った娘の事が心配でならなかった。そんなある日、また村長が言ったのだ。領主が雑用をする人夫を探していると。男は家族と話し合って、畑は幼い息子たちが守る事にして、男は領主の屋敷で人夫として働く事にした。

 領主の屋敷に行けば、娘と会えると思ったからだ。男ははやる気持ちを抑えながら、領主の屋敷への長い道のりを歩き続けた。

 そしてようやく領主の屋敷に到着し、人夫として働く手続きをしてから、屋敷の執事に娘の事をたずねた。だが驚いた事に、執事は娘の存在を知らないような口ぶりだった。男はがく然として、なおも食い下がってたずねたが、執事はうるさそうに男を追い払いた。

 男は何とか娘を探すため、屋敷の中に入る機会をうかがいながら人夫として働いた。人夫の仕事は薪割りや、屋敷から出るゴミを燃やしたりするものだった。

 ある日男は、外に出た執事を見つけ、足元にすがりついて娘の行方をたずねた。執事は顔をしかめながら、しぶしぶと言った感じで答えた。何と娘は屋敷の仕事がキツくて逃げだしたというではないか。男は信じられない思いで執事の話を聞いていた。

 娘はとても心優しいが、しんが通っていて、一度決めたらテコでも動かないような子だった。その娘が仕事がキツいからといって屋敷から逃げ出すとはとうてい考えられない。

 もしそれが真実だとして、それでは何故娘は男たち家族の元に帰って来ないのだ。男はなおも執事にすがりつきながら真相を聞き出そうとした。執事は面倒くさそうに男をケリ倒すとどこかに行ってしまった。

 それから男は、屋敷に入ったまま消えてしまった娘を探しだそうと、ひたすら屋敷に入る機会をうかがっていた。男は日中は人夫の仕事をこなして、夜な夜な娘の居場所を突き止めるため、屋敷のまわりをうろつきまわった。だが娘のゆくえはようとして知れなかった。

 ある夜男は、先輩の人夫と一緒に大量の木箱を捨てる仕事を命じられた。先輩人夫の話では、一月に一回このような仕事があるのだという。馬車にはうずたかく木箱がつまれていた。男と先輩人夫はせまい馬車の中に乗り込み森の奥に入った。

 森の奥の平地には別な人夫が掘ったと思われる大きな穴があり、その中に木箱を入れて埋めるのだそうだ。男は先輩人夫と馬車の運転手と協力して、木箱を穴の中におろしていった。木箱は細長くてかなり重かった。一体何が入っているのだろうと男は思ったが、木箱のフタは、しっかりとクギでとめられいるので、中を確認する事はできなかった。

 男たちは、二十箱もある木箱を黙々と穴に入れていったが、男は連日の疲労から、足を引っかけて転んでしまった。男が転んだ事により、木箱の後ろを持っていた先輩人夫がバランスを崩し、木箱を投げ出してしまった。そのひょうしに木箱のフタが開いてしまった。

 先輩人夫がヒェッと叫び声を上げた。木箱の中にはまだ年若い美しい少女の死体が入っていたのだ。先輩人夫と馬車の運転手は悲鳴をあげて逃げ出してしまった。

 男も驚いて叫び声をあげたが、おそるおそる少女の青白い頬を撫でた。それはまるで氷のように冷たかった。男はハッとして、もうぜんと木箱のフタを開け出した。木箱のフタを開けると、やはり美しい少女の死体だった。

 男は声にならない悲鳴をあげて、一心不乱に木箱のフタを開け続けた。どうか不安が現実にならないでくれ。男は心の中で叫びながら木箱のフタを開けた。

 十二個目の木箱のフタを開けて、男はピタリと動きを止めた。そこには、探しつづけた娘の姿があった。男は娘の氷のような頬を優しく撫でてから慟哭した。
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