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後始末

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 エレナの魔法で父親が生き返り、トビーとマージも喜んで駆け寄って来た。ガイオは目を覚まさない娘を大切そうに抱き上げた。

 エレナの事はガイオに任せておけばいいだろう。プリシラはキッとスキーラ子爵たちをにらんだ。スキーラ子爵たちはコソコソと逃げようとしている最中だった。

「タップ!あの人たちを天井に張り付けて!」
『はいよ!』

 タップの風魔法が、スキーラ子爵たちを持ち上げ、天井に張り付けにした。プリシラはマージを呼んで、天井に張り付いて悲鳴をあげている、ガラの悪い部下たちの顔を確認させた。

 マージは天井を見上げながら、まるで昆虫標本のような男たちを確認した。マージがやっとの事で指差した男を地面に下ろすと、プリシラとタップとトビーで、風攻撃魔法のお仕置きをした。マージが、もうやめてと止めに入るまで。

 マージの事を殴った男は、二度と他人に暴力を振るわないと約束してくれた。

 次はスキーラ子爵の番だ。プリシラはタップにお願いして、スキーラ子爵を地面に下ろした。スキーラ子爵は情けなくもブルブル震えながら言った。

「ふん、卑しい元平民の女め!私は貴族であるぞ!」

 プリシラはタップを小脇にかかえ、スタスタとスキーラ子爵に近づくと、平手で左頬を思いっきり引っ叩いた。

「スキーラ子爵、貴方は貴族という前に、人として最低です。この事はお父さまに伝えます」

 プリシラはそれだけ言うと、鼻をふんっと鳴らした。タップは何が面白いのかケラケラ笑った。

 プリシラたちはスキーラ子爵たちを屋敷に閉じ込めると、ガイオとエレナをパルヴィス公爵家に連れて行った。エレナが目を覚まさないからだ。

 プリシラは養父母であるパルヴィス公爵夫妻に、ガイオとエレナの保護を頼んだ。公爵夫妻は娘の願いをこころよく引き受けてくれた。

 マージ運送会社に戻ったプリシラたちはヘトヘトだった。もう日はとっぷりも暮れていた。今朝から怒涛のような一日だった。

 マージは疲労でぐったりしていたので、途中城下町で夕食を調達してきた。ビーフシチューとパンだ。タップにはりんご。

 トビーはお腹がとても空いていたようで、たくさんおかわりをしていた。マージは甥の食欲を楽しそうに見つめて言った。

「美味しいかい?トビー」
「まぁね。でも、マージおばちゃんのシチューの方が美味しい」
「あら、そんなおべっか言っちゃって」

 マージは嬉しそうに笑った。プリシラも言葉を続けた。

「本当ですよ?マージさん。お店のシチューも美味しいですけど、やっぱりマージさんのシチューが一番美味しいです」
「まぁ、プリシラまで。これじゃ、明日の食事は気合い入れて作らないとね?」

 マージは腕まくりの仕草をしながら言った。

「やった!俺、明日仕事がんばる!」
「ええ。今日仕事ができなかった分、明日は二倍がんばらなきゃ!」

 トビーとプリシラの言葉に、マージは笑った。つられてトビーとプリシラも笑った。タップは一心不乱にりんごをかじっている。

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