恐竜世界に転移した俺に懐いたちっちゃ可愛いドラゴンたちが最強だった

トップ

　トップは自分の家族に会わせてくれるという。俺はトップと一緒に森の中を歩いた。トップと会話していると、彼はまだ子供のようだ。

　会話の途中で、キャッキャと笑い声をあげている。

　俺はトップに何故人間に捕まえられそうになっていたのかを聞いた。

『おいら、ヒト族の事知りたかったんだ』

　ヒト族とは、俺と同じ人間の事だろう。トップは自身の事をリュウ族といった。リュウ族とは恐竜の事だろうか。

　トップは最近増え始めたヒト族に興味を持って、住処である森を抜け出して、ヒト族の住む場所に探検に行くのだそうだ。

「ヒト族のところに行って、トップのお父さんとお母さんは心配するんじゃないか？」
『うん。ヒト族のところに行くと、すっごく怒られる』
「だろうね」
『だけどさ。このままじゃいけないと思うんだ』
「このまま？」
「そう！ヒト族はさ、急に数を増やし出したんだ。おいらたちの住む森にどんどん近づいている。もしかしたらおいらたちの、住処を奪おうとするかもしれない」

　トップの言う通りかもしれない。トップは明らかに人間たちに捕まりそうだった。

　人間たちがトップたちリュウ族を捕まえようとするかもしれない。

「それにしても、先の事を考えられるなんて、トップは頭がいいんだな。」
『うふふ。おいらの考えじゃないよ。兄ちゃんが言ってたんだ』
「へぇ、お兄さんがいるのか」
『うん、』

　俺の質問に、トップは何やら答えにくそうだった。しばらくして崖の下にある大きな洞窟にたどり着いた。

『ここがおいらの家だ！じいちゃん！父ちゃん！母ちゃん！ただいま！』

　トップが洞窟に声をかけると、トップよりも大きな二頭のトリケラトプスが出てきた。

『トップ、お帰りなさい。遅いから心配していたのよ？』

　トップの母親は、嬉しそうにトップの顔に頬をすり寄せた。父親は気むずかしげにトップに言った。

『トップ。まさか、またヒト族の住処の辺りに行ったのではないか？』
『・・・』
『行ったんだな？！あれほど行くなと言ったのに、しかもヒト族まで連れて来て！』

　トップの父親は憎らしげに俺をにらんだ。トップは俺をかばうように、俺と父親の間にはいった。

『エイジは悪いヒト族なんかじゃないよ！おいらを助けてくれたんだ！』
『まぁ、トップ。やっぱり危ない目にあったのね？！』

　トップの言葉に母親は血相を変えた。しきりにトップの身体を見て回る。

『ああ、後ろ脚に酷いすり傷があるじゃない』

　きっと人間に引き倒された時にできた傷だろう。トップがあまりにも元気なので、俺も気づかなかった。母親は心配そうに顔をゆがめてから、トップの傷口に顔を近づけた。

　パァッとトップの傷口が光出す。すると血のにじんでいた傷口が見る間に治っていった。これも魔法なのか、俺はトップの母親の魔法をびっくりしながらながめていた。