恐竜世界に転移した俺に懐いたちっちゃ可愛いドラゴンたちが最強だった

プレシオサウルスの群れ

「えっ？！トップは海を泳ぐ事もできるのか？！」

　俺は思わず大声をあげた。トップは可愛らしく首をふる。

『違うぞ。おいらは泳げない。だけど鉱物防御ドームで身体をおおえば、海の中に入れるぞ？』

　俺はうわずった声をあげながらトップにお願いをした。トップが任せとけと言った途端、俺とトップとスカーは、透明なクリスタルのドームに包まれた。

　俺たちが入ったクリスタルドームはゆっくりと浮き上がると、水面に着水した。

　そこは別世界だった。目に入る一面が真っ青な世界。俺の目線の上には、プレシオサウルスたちが悠然と泳いでいた。

「ついに。ついに見る事ができたんだ、」

　プレシオサウルスたちは長い首をやや下にさげて、空を飛ぶように泳いでいた。

　俺の世界ではネス湖にプレシオサウルスの生き残りがいるとうわさになっていたが、プレシオサウルスの身体の都合上海面から顔を出す事はできない。

　俺の住んでいた世界ではプレシオサウルスは絶滅してしまったのだ。

　俺はあきる事なくプレシオサウルスたちの姿を見つめていた。純粋に、美しいと思った。

　この世界に来て、トップやスカーに出会った時にも思った事がだ、この世界のリュウ族はとても美しい。

『エイジ、泣いているのか？どこか痛いのか？』

　ふと、腕に抱いていたトップが言った。俺が不思議に思ってトップを見下ろすと、彼は心配そうに俺を見つめていた。

　どうやら俺は無意識のうちに涙を流していたらしい。慌てて弁解する。

「いや、どこも痛くないよ？ただ、ずっと見たいと思っていたものを見る事ができて、感激で涙が出てしまったんだ」
『なんだぁ。良かった』

　トップは嬉しそうに笑った。反対の腕に抱いているスカーも、フウッと息をはいている。どうやら俺は二人にとても心配をかけてしまったようだ。

　そろそろ船に戻ろうかと話していると、遠くの海から何かが近づいて来た。俺が目をこらして見ていると、どうやら海亀のようだ。

　この世界でも海亀がいるんだなと考えていると、海亀はどんどん近づいて来た。その時になって、この海亀が俺の知っている海亀よりもはるかに大きい事に気がついた。

　甲羅をふくめた大きさはおよそ四メートル、アーケロンだ。アーケロンは巨大な海亀だ。

　アーケロンは透明なドームに入っている俺たちを不思議そうに見つめていた。

『君たち不思議なカイリュウだね？ボクはケロン。君たちはなんて名前なの？』

　威圧的な大きさのアーケロンは、とても穏やかな性格のようだ。

『おいらトップ！ツノリュウだぞ！』
『ツノリュウ？聞いた事のないカイリュウだね？』
『おいらカイリュウじゃないよ』

　トップとアーケロンのケロンは楽しそうにおしゃべりをする。とても可愛い。もしかすると年も近いのかもしれない。

　俺とスカーも遅れて名乗る。ケロンは陸上のリュウ族とヒト族が珍しくて仕方ないのか、しきりに質問してくる。トップもケロンの事が気に入ったのか、ある提案をした。

『なぁ、ケロン。そんなに陸上の事が気になるんなら、おいらたちと陸上に行こうよ！』
『ホント？！ボク行ってみたい！』

　ケロンは嬉しそうにクルリと海中で宙返りをした。