恐竜世界に転移した俺に懐いたちっちゃ可愛いドラゴンたちが最強だった

ジュエル

　俺はひたすら歩き続けた。トップとスカーは俺の足元をチョコチョコついてきている。

　ケロンは俺の胸ポケットから顔を出しご機嫌そうだ。

　しばらく歩いて街の雰囲気がガラリと変わった事に気づいた。それまで商店や民家が多かったのが、高い壁におおわれた屋敷が多くなった。

　どうやら俺たちは高級住宅街に迷い込んでしまったようだ。こんな場所でヨクリュウ探しはできないと思い、元の道に戻ろうとすると、ある音に気づいた。

　それはメロディだった。美しくてもの悲しい。俺は操られたようにフラフラと歩き、ある屋敷の壁の前で足を止めた。

　どうやらこの屋敷から音が聞こえているようだ。さきほどよりも音がはっきり聞こえる。これは鳥の鳴き声だ。だが、しっかりとメロディを奏でている。

　俺は辺りをキョロキョロ見回して、他に人がいないか確認してから、身体強化の火魔法を発動させた。

　足元にいるトップとスカーをしっかり抱きしめてジャンプをする。俺の身体はピョーンと飛んで壁のヘリに危なげなく着地した。

　屋敷内に入ると例の音のする方へ足を進める。どうやらこの鳴き声の主は、バルコニーにいるようだ。

　俺はトップたちを抱いたままジャンプする。バルコニーに着地すると、そこには鳥籠があり、中に美しいリュウ族がいた。アーケオプテリクス。古代の翼という意味を持つ翼を持つリュウ族だ。

　図鑑では敵に見つからないように目立たない黒や茶色の色彩だったが、実際のアーケオプテリクスは極才色な翼を有していた。あまりの美しさに、俺はしばし呆然と見つめていた。

　アーケオプテリクスは、突然現れた俺たちに、目を白黒させながら言った。

『あなたたちは一体誰？どうしてここにいるの？』
『おいらたちはヨクリュウを探しに来たんだ。姉ちゃんこそ、どうしてそんな狭い所にいるんだ？』

　アーケオプテリクスの質問に、トップはあっけらかんと答えた。ヨクリュウの彼女は、一瞬顔をくもらせてから、少し強い口調で答えた。

『ア、アタシの勝手でしょ！アタシは好きでここにいるの！』
『何で？そこせまいじゃん。外に出ておいらたちと遊ぼうよ！』
『！』

　トップの指摘に、ヨクリュウはギクリと身体を震わせた。俺は注意深く言葉を発した。

「俺はエイジ。こっちがトップで、こっちがスカー。そしてポケットに入っているのがケロンだ。ねぇ、聞いてもいいかい？君にはヒト族のご主人がいるのかな？」
『ええ、そうよ！アルテミシアはとっても綺麗なアタシのご主人なんだから。アタシの事をいつも、どんな宝石よりも綺麗って言ってくれるわ。だからアタシの名前はジュエルっていうの』
「ジュエルか、素敵な名前だね。ジュエルはご主人の事が好きなんだね？」
『ええ！それまでのご主人の中で一番好きよ』