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商談
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アルテミシアは俺に座るようにうながした。俺は会釈して着席する。トップとスカーは俺の足元にくつろぐように座った。胸ポケットに入っているケロンは俺とアルテミシアを興味深そうにキョロキョロ見つめている。
俺は下げているショルダーバッグから、三つの麻布の包みを取り出し、ひとつずつうやうやしく開いていった。
一つ目は神秘的なグリーンダイヤモンド、二つ目は目の覚めるようなブルーダイヤモンド。最後には透き通るような赤色のレッドダイヤモンド。アルテミシアが息をのむのがわかった。
「どうぞ、お手に取ってご覧ください」
俺のすすめに、アルテミシアは震える手でレッドダイヤモンドを手に取った。反対の手には小さなルーペが握られている。ダイヤの大きさはどれも四カラット以上。
アルテミシアがいくらダイヤモンドの蒐集家でも、これほどの物は持っていないだろう。
アルテミシアはフウッとため息をついてから口を開いた。
「素晴らしいダイヤだ。さきほどのピンクダイヤも含めて、すべて買い取らせてもらいたい」
「ありがとうございます。ですが、代金は金貨ではなく、アルテミシアさまのコレクションを貰い受けとうございます」
俺の返答に、アルテミシアの眉がピクリと動く。
「アルテミシアさまのコレクションの一つ。生きた宝石、ヨクリュウのジュエルを」
「!。お前、なぜジュエルの事を、」
「私は宝石商であると同時にリュウ族の所有者でもあります。このツノリュウも、ジュウキャクリュウも、カイリュウも、私の大切なコレクションです」
俺は視線を、トップとスカー、ケロンに移し、アルテミシアに戻る。
「アルテミシアさまが、美しいヨクリュウを所有しているとお聞きしまして、ここにまいった次第です」
アルテミシアはひどく動揺しているようだ。彼女はうわずった声で答えた。
「その、どうしてもジュエルでなければだめなのか?わたくしの財力で、お前の気にいるヨクリュウを探す事もできる。だが、ジュエルは、」
それまで俺の足元に座っていたトップが、俺の足をチョンとつついた。俺はトップを抱き上げて膝に乗せる。
『エイジ。このヒト族のおばちゃん、ジュエルの姉ちゃんと離れたくないのか?』
「ああ、どうやらそうみたいだな」
アルテミシアは、彼女なりにジュエルの事を大切に思っているようだ。
俺とトップのやり取りを見たアルテミシアは、目を丸くして叫んだ。
「お前、リュウ族と会話ができるのか?!」
「はい。私には彼らと会話できる能力があります」
「ならば、ジュエルとの会話も可能か?」
「はい」
アルテミシアは眉間を指でもんでから、後ろに控えていた執事に命令した。ジュエルを連れてくるようにと。
俺は下げているショルダーバッグから、三つの麻布の包みを取り出し、ひとつずつうやうやしく開いていった。
一つ目は神秘的なグリーンダイヤモンド、二つ目は目の覚めるようなブルーダイヤモンド。最後には透き通るような赤色のレッドダイヤモンド。アルテミシアが息をのむのがわかった。
「どうぞ、お手に取ってご覧ください」
俺のすすめに、アルテミシアは震える手でレッドダイヤモンドを手に取った。反対の手には小さなルーペが握られている。ダイヤの大きさはどれも四カラット以上。
アルテミシアがいくらダイヤモンドの蒐集家でも、これほどの物は持っていないだろう。
アルテミシアはフウッとため息をついてから口を開いた。
「素晴らしいダイヤだ。さきほどのピンクダイヤも含めて、すべて買い取らせてもらいたい」
「ありがとうございます。ですが、代金は金貨ではなく、アルテミシアさまのコレクションを貰い受けとうございます」
俺の返答に、アルテミシアの眉がピクリと動く。
「アルテミシアさまのコレクションの一つ。生きた宝石、ヨクリュウのジュエルを」
「!。お前、なぜジュエルの事を、」
「私は宝石商であると同時にリュウ族の所有者でもあります。このツノリュウも、ジュウキャクリュウも、カイリュウも、私の大切なコレクションです」
俺は視線を、トップとスカー、ケロンに移し、アルテミシアに戻る。
「アルテミシアさまが、美しいヨクリュウを所有しているとお聞きしまして、ここにまいった次第です」
アルテミシアはひどく動揺しているようだ。彼女はうわずった声で答えた。
「その、どうしてもジュエルでなければだめなのか?わたくしの財力で、お前の気にいるヨクリュウを探す事もできる。だが、ジュエルは、」
それまで俺の足元に座っていたトップが、俺の足をチョンとつついた。俺はトップを抱き上げて膝に乗せる。
『エイジ。このヒト族のおばちゃん、ジュエルの姉ちゃんと離れたくないのか?』
「ああ、どうやらそうみたいだな」
アルテミシアは、彼女なりにジュエルの事を大切に思っているようだ。
俺とトップのやり取りを見たアルテミシアは、目を丸くして叫んだ。
「お前、リュウ族と会話ができるのか?!」
「はい。私には彼らと会話できる能力があります」
「ならば、ジュエルとの会話も可能か?」
「はい」
アルテミシアは眉間を指でもんでから、後ろに控えていた執事に命令した。ジュエルを連れてくるようにと。
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