恐竜世界に転移した俺に懐いたちっちゃ可愛いドラゴンたちが最強だった

特訓3

　トップたちは楽しそうに鬼ごっこをしている。ケロンの水攻撃魔法とジュエルの風攻撃魔法が、トップの防御ドームに容赦なく当たる。

　そのため遠くで見物している俺とスカーに、暴風と水しぶきが当たっている。なんて微笑ましくて破壊的な光景なんだ。

　それまで俺たちがいた森の中の平地は、爆撃されたように穴だらけだ。

　俺は最初、ケロンとジュエルの魔力はたいした事がないのだと思っていた。本人たちも魔法を使う事に消極的だったからだ。

　だがいざ箱を開けてみたら、ケロンとジュエルの魔力は凄まじかった。

　ようやく長い五分間が終わり、俺はトップたちに声をかけた。

「おーい！皆、五分経ったぞ？」

　トップとケロンとジュエルはキャッキャと笑いながら帰ってきた。

「皆すごいなぁ。疲れてないか？」
『おいら全然へいきだぞ！』
『ボクも大丈夫』
『アタシにとっちゃこんなのお茶の子さいさいよ！』

　俺は一つうなずいてからトップたちに言った。

「それは皆が膨大な魔力を持っているからだ。だけど、身体の中の魔力が減っている事に気づいただろ？」

　故郷で長老と父親に訓練をつけてもらっているトップは、うんうんとうなずいているが、ケロンとジュエルはキョトンとしている。

　俺はトップに説明をお願いした。トップは可愛い鼻の上のツノをツンとあげて言った。

『いいか？ケロン、ジュエル。魔力っていうのはな、使うと無くなっちまうんだ。それに気づかず魔法を使い続けていると、魔力切れになっちまう。だから、魔力切れを起こさないように常に魔力を補給するんだ。おいらは土魔法を使うから、大地から魔力を吸収するんだぞ？』

　トップがわかりやすくかみ砕いてケロンとジュエルに説明してくれる。きっと長老が噛んで含めるようにトップに話して聞かせたのだろう。俺はトップの言葉に補足を付け加える。

「ケロン、ジュエル。君たちは膨大な魔力を有しているから、少し魔力が減っても気づかないかもしれない。だけどこれから、ダイナソーバトルで相手と戦う場合、いかに相手よりも多くの魔力を有しているかが勝敗のカギになるんだ。だから、君たちの身体の中の魔力のわずかな減少を敏感に感じとってほしいんだ。そして、常に魔力を吸収して戦える状態でいてほしい」

　ケロンとジュエルはつぶらでキラキラ瞳でじっと俺を見ていた。