恐竜世界に転移した俺に懐いたちっちゃ可愛いドラゴンたちが最強だった

特訓4

『ボク、よくわからないけどわかった』　
『アタシも何となくわかったわ』

　ケロンとジュエルの返事に俺はうなずいた。トップはピョンピョンと飛びはねて催促する。

『なぁなぁ。ケロン、ジュエル。オニゴッコやろ！』
『やろうやろう！』
『ええ、やってあげてもいいわよ！』

　トップたちは楽しそうに笑った。よほど鬼ごっこが気に入ったらしい。トップらクリクリした目で俺とスカーを見て言った。

『なぁなぁ。エイジとスカーのおっちゃんもやろ？』
「俺は、いいや。（死んでしまうから）」
『俺もやらねぇ』

　トップたちはそうか、といってかけだして行く。

　ケロンとジュエルは空を飛んで逃げる。トップはツタ魔法を使いながら彼らを追いかける。

　ケロンとジュエルは捕まりそうになると、攻撃魔法を放つ。

　トップはすぐさま防御ドームを張る。トップの防御ドームを張る速度は速くなっている。

　ケロンとジュエルの攻撃魔法が、トップの防御ドーム手前に当たる。ケロンとジュエルよ魔法のコントロールも、先ほどよりも格段に上がっている。

「すごい。ケロンとジュエルの魔法の的中率があがっている。今度はケロンとジュエルの防御魔法の特訓なんだけどな」

　俺はひとり言のように呟いてからスカーを見下ろす。スカーは苦虫を噛みつぶしたような顔で片目を俺に向ける。

『仕方ねぇな。ガキどものお守りをしてやる』
「ありがとう。スカー」

　五分経ってトップたちが休憩した後、俺はケロンとジュエルに言った。

「ケロン、ジュエル、すごいぞ。魔法の的中率が格段に上がっている！」
『えへへ。ボク、嬉しい』
『アタシの魔法だもの。当然よ！』

　俺はケロンとジュエルを交互に見つめて言った。

「ケロン、ジュエル。攻撃も大切だけど、もっと大切なのがケガをしない事。だから今度は防御魔法ができるようになろう。今からスカーが火魔法でケロンとジュエルに攻撃する。ケロンとジュエルは身体に防御ドームを張って、しっかり身を守ってくれ」
『・・・。ボクにできるかしら？』
『アタシ、防御魔法なんてやった事ないわ』

　不安そうなケロンとジュエルに、トップが元気よく言う。

『大丈夫だぞ！ケロン、ジュエル。おいらが教えてやる！防御魔法ってのは、攻撃魔法が放たれてからやっても間に合わねぇんだ。相手が攻撃魔法を放つ瞬間を察知して張るんだ』

　俺はトップの事を頼もしそうに見つめた。ツノリュウの長老に訓練をつけてもらったていた時のトップは、攻撃ばかりで、防御魔法は苦手だった。だけど、この旅を通して、トップはますます成長しているのだ。

　ケロンとジュエルは、トップに防御魔法の指導を受けてから、再び鬼ごっこが始まる。今度の鬼はスカーだ。

『こぉら、ガキども！ちゃんと防御魔法やらねぇと黒コゲにしちまうからなぁ！』

　スカーの芝居がかった声に、トップとケロンとジュエルがキャーと笑い声をあげて逃げ出す。

　スカーは、防御魔法の慣れていないケロンとジュエルには、ゆっくり火攻撃魔法を放つ。

　だがトップに対しては容赦がない。だがトップはしっかりと防御ドームを身にまとって身を守っていた。