究極妹属性のぼっち少女が神さまから授かった胸キュンアニマルズが最強だった

盛平

文字の大きさ
79 / 212

姉と妹

しおりを挟む
 そこには会いたくて仕方なかったマイラがいた。何故か手に木の棒を持っている。パティはたまらなくなりマイラに抱きついた。

「お姉ちゃん!」
「パティ!ケガは無い?!ごめんなさい。貴女はコンテストに出たくないって言っていたのに、怖い目にあわせてしまったわね?」
「ううん。マイラが私に勇気を持たせようとしてくれている事がわかっていたから。私、自分の外見を好きになれなかったから。だけど、今は好きよ?だってマイラが私をこんなに大切にしてくれるんですもの」

 マイラは泣きだしそうな表情になってからパティを再び強く抱きしめた。

「ええ、そうよ。パティ、貴女は私の大切な妹」
「うん。マイラは私のお姉ちゃん」

 パティたちの側に立っていた、もう一人の姉デイジーは、パティとマイラの肩を抱いて言った。

「パティ、お疲れ様。さぁ、パティとマイラは、ピンキーに防御魔法を張ってもらってここで待機していて」

 デイジーの厳しい声に、まだ事態は終わっていない事に気づいた。

 マイラはデイジーにうなずいて、うながすようにパティの肩を抱いた。パティは立ち止まってマイラの手を取った。

「マイラ、私も行くわ。だって私は冒険者なんだもの。ピンキー、マイラに風防御ドームを張って?」
「ピピ!」

 パティは、肩に乗っているピンキーにお願いすると、マイラの周りをおおうように、風の防御ドームが出現した。マイラは防御ドームの透明な壁に手をついて叫んだ。

「パティ!危険よ!」
「大丈夫よ、マイラ。すぐに終わらせて戻ってくるわ」

 パティはデイジーに視線を向ける。デイジーも無言でうなずいた。パティたちは二人の誘拐犯がいる場所まで走った。

 そこにはトグサたちとにらみあっている二人の誘拐犯がいた。

「ふん、冒険者が聞いてあきれるぜ、二人相手に五人とはな!」

 御者の男がトグサたちに叫ぶ。トグサたちに囲まれて、移動魔法を使う仲間が倒されても、誘拐犯たちは慌てる気配は見せなかった。それだけ自分の魔法に自信があるようだ。

 トグサは相手の挑発には乗らず、冷静に答えた。

「か弱い少女たちを捕まえて売りさばくような奴らに何を言われても心は動かない。お前たちは自分の魔法にたいそうな自信をもっているようだな?ほう、お前は火魔法か。火の玉を作り出して敵に当てるのだな。お前は土魔法だな。土を操って戦うのだな」

 トグサの言葉に、それまで余裕だった誘拐犯たちが顔色を変えた。どうやら御者の男は火魔法。見張りの男は土魔法を使うようだ。御者の男は顔を赤くして叫んだ。

「こいつは人の心を読む魔法だ!作戦を頭に思い浮かべるな!」
「言われなくてもわかってる!」

 二人の誘拐犯たちは、トグサに思考を探られないようにする作戦のようだ。

 トグサは仲間たちに冷静に指示を出した。

「奴らは遠距離攻撃だ。エリオは《バードアイ》で上空から状況確認。デイジー、バラのツタで相手を拘束。コジモは弓で援護しながら《コマンド》で相手を戦闘不能にしてくれ。パティたちは奴らの魔法が森におよばないようにフォローしてくれ」

 トグサの的確な指示に、デイジーたちは無言でうなずいた。パティの側にはマックスとチャーミー、肩にはピンキーがとまっている。パティは友達と顔を見合わせてから言った。

「トグサさん、私たちにやらせてもらえませんか?」

 


 
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

A級パーティから追放された俺はギルド職員になって安定した生活を手に入れる

国光
ファンタジー
A級パーティの裏方として全てを支えてきたリオン・アルディス。しかし、リーダーで幼馴染のカイルに「お荷物」として追放されてしまう。失意の中で再会したギルド受付嬢・エリナ・ランフォードに導かれ、リオンはギルド職員として新たな道を歩み始める。 持ち前の数字感覚と管理能力で次々と問題を解決し、ギルド内で頭角を現していくリオン。一方、彼を失った元パーティは内部崩壊の道を辿っていく――。 これは、支えることに誇りを持った男が、自らの価値を証明し、安定した未来を掴み取る物語。

【完結】魅了の魔法にかけられて全てを失った俺は、最強の魔法剣士になり時を巻き戻す

金峯蓮華
ファンタジー
戦に負け、国が滅び、俺ひとりだけ生き残った。愛する女を失い、俺は死に場所を求め、傭兵となり各地を漂っていた。そんな時、ある男に声をかけられた。 「よぉ、にいちゃん。お前、魅了魔法がかかってるぜ。それも強烈に強いヤツだ。解いてやろうか?」 魅了魔法? なんだそれは? その男との出会いが俺の人生を変えた。俺は時間をもどし、未来を変える。 R15は死のシーンがあるための保険です。 独自の異世界の物語です。

元皇子の寄り道だらけの逃避行 ~幽閉されたので国を捨てて辺境でゆっくりします~

下昴しん
ファンタジー
武力で領土を拡大するベギラス帝国に二人の皇子がいた。魔法研究に腐心する兄と、武力に優れ軍を指揮する弟。 二人の父である皇帝は、軍略会議を軽んじた兄のフェアを断罪する。 帝国は武力を求めていたのだ。 フェアに一方的に告げられた罪状は、敵前逃亡。皇帝の第一継承権を持つ皇子の座から一転して、罪人になってしまう。 帝都の片隅にある独房に幽閉されるフェア。 「ここから逃げて、田舎に籠るか」 給仕しか来ないような牢獄で、フェアは脱出を考えていた。 帝都においてフェアを超える魔法使いはいない。そのことを知っているのはごく限られた人物だけだった。 鍵をあけて牢を出ると、給仕に化けた義妹のマトビアが現れる。 「私も連れて行ってください、お兄様」 「いやだ」 止めるフェアに、強引なマトビア。 なんだかんだでベギラス帝国の元皇子と皇女の、ゆるすぎる逃亡劇が始まった──。 ※カクヨム様、小説家になろう様でも投稿中。

裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね

竹井ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。 元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、 王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。 代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。 父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。 カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。 その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。 ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。 「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」 そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。 もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。 

レベルが上がらずパーティから捨てられましたが、実は成長曲線が「勇者」でした

桐山じゃろ
ファンタジー
同い年の幼馴染で作ったパーティの中で、ラウトだけがレベル10から上がらなくなってしまった。パーティリーダーのセルパンはラウトに頼り切っている現状に気づかないまま、レベルが低いという理由だけでラウトをパーティから追放する。しかしその後、仲間のひとりはラウトについてきてくれたし、弱い魔物を倒しただけでレベルが上がり始めた。やがてラウトは精霊に寵愛されし最強の勇者となる。一方でラウトを捨てた元仲間たちは自業自得によるざまぁに遭ったりします。※小説家になろう、カクヨムにも同じものを公開しています。

最上級のパーティで最底辺の扱いを受けていたDランク錬金術師は新パーティで成り上がるようです(完)

みかん畑
ファンタジー
最上級のパーティで『荷物持ち』と嘲笑されていた僕は、パーティからクビを宣告されて抜けることにした。 在籍中は僕が色々肩代わりしてたけど、僕を荷物持ち扱いするくらい優秀な仲間たちなので、抜けても問題はないと思ってます。

神樹の里で暮らす創造魔法使い ~幻獣たちとののんびりライフ~

あきさけ
ファンタジー
貧乏な田舎村を追い出された少年〝シント〟は森の中をあてどなくさまよい一本の新木を発見する。 それは本当に小さな新木だったがかすかな光を帯びた不思議な木。 彼が不思議そうに新木を見つめているとそこから『私に魔法をかけてほしい』という声が聞こえた。 シントが唯一使えたのは〝創造魔法〟といういままでまともに使えた試しのないもの。 それでも森の中でこのまま死ぬよりはまだいいだろうと考え魔法をかける。 すると新木は一気に生長し、天をつくほどの巨木にまで変化しそこから新木に宿っていたという聖霊まで姿を現した。 〝この地はあなたが創造した聖地。あなたがこの地を去らない限りこの地を必要とするもの以外は誰も踏み入れませんよ〟 そんな言葉から始まるシントののんびりとした生活。 同じように行き場を失った少女や幻獣や精霊、妖精たちなど様々な面々が集まり織りなすスローライフの幕開けです。 ※この小説はカクヨム様でも連載しています。アルファポリス様とカクヨム様以外の場所では公開しておりません。

【完結】神スキル拡大解釈で底辺パーティから成り上がります!

まにゅまにゅ
ファンタジー
平均レベルの低い底辺パーティ『龍炎光牙《りゅうえんこうが》』はオーク一匹倒すのにも命懸けで注目もされていないどこにでもでもいる冒険者たちのチームだった。 そんなある日ようやく資金も貯まり、神殿でお金を払って恩恵《ギフト》を授かるとその恩恵《ギフト》スキルは『拡大解釈』というもの。 その効果は魔法やスキルの内容を拡大解釈し、別の効果を引き起こせる、という神スキルだった。その拡大解釈により色んなものを回復《ヒール》で治したり強化《ブースト》で獲得経験値を増やしたりととんでもない効果を発揮する! 底辺パーティ『龍炎光牙』の大躍進が始まる! 第16回ファンタジー大賞奨励賞受賞作です。

処理中です...