89 / 212
アンジェ2
しおりを挟む
アンジェは決してグルニア国の有力者たちの前に姿はあらわさず、自身の家臣たちを操って、グルニア国の様子を探っていた。
その間アンジェはグルニア国にある街々に自分の屋敷を建てた。アンジェは永遠に十歳の姿なのだ。アンジェは数年ごとに住む場所を点々としなければ、アンジェの事を怪しむ者が出てくるとも限らなかった。
数百年は変わらぬ日々が続いた。だがついにグルニア国は、アンジェの母国であるパンドール国に牙をむいたのだ。
それまで歴史の長いパンドール国を先進の国と尊ぶようなそぶりを見せていて、本心はパンドール国の高い技術や資源を奪う事が目的だったのだ。
アンジェは母国を守るため立ち上がった。すぐさまパンドール国にいる忠臣たちの子孫に指示を送り、アンジェが蓄えていた財産でパンドール国を守るようにした。
グルニア国内部でもアンジェは手を回した。アンジェは長い年月と共に、グルニア国の貴族と太いパイプを築いていたのだ。
アンジェは貴族からグルニア国王に、パンドール国民の命だけは助けてくれるように働きかけた。
アンジェのかげの努力が功を奏し、パンドール国王の処刑、パンドール国の王子家族をグルニア国の人質にする事、パンドール国から技術者と美しい者たちを送る事で平和条約が締結された。
パンドール国の犠牲は少なくはなかったが、アンジェの愛するパンドール国を守る事には成功した。
アンジェの次の仕事は、グルニア国に送られた奴隷たちを買い戻す事だ。アンジェはグルニア国のほとんどの大きな街に屋敷を持ち、そこに忠実な部下たちをおいている。
部下たちにはただちに奴隷商人たちとコンタクトを取らせ、奴隷にされたパンドール国民を買い戻していった。
その中の一人がターニャだった。ターニャは奴隷としてグルニア国に連れてこられた時は十二歳だった。ターニャはその美しさが災いして奴隷として連れてこられたのだ。
アンジェはターニャを一目で気に入り、自分のメイドとして側に置いた。ターニャが成長してからは、アンジェの母親として共にいる事が当たり前になった。
そこまで話し終えるとアンジェはフウッと息をついて言葉を切った。
パティはいつの間にか泣いていた。アンジェの長い長い人生を聞いて。そしてアンジェはこれからも生きていかなければならないのだ。
泣いているパティを見て、アンジェは軽口をたたいた。
「パティ、何を泣いている?神の怒りをかったわたくしを憐れんでいるのか?」
「いいえ、いいえ違います。神さまはアンジェさんに怒ってなんかいません!神さまは、強くて高潔な心を持っているアンジェさんだから、《不老不死》を授けたんです。アンジェさんが私たちパンドール国民の事を守ってくれていたなんて。私、アンジェさんにお会いできて本当に良かったです」
「パティ、」
アンジェは驚いた表情で、パティを見つめた。
その間アンジェはグルニア国にある街々に自分の屋敷を建てた。アンジェは永遠に十歳の姿なのだ。アンジェは数年ごとに住む場所を点々としなければ、アンジェの事を怪しむ者が出てくるとも限らなかった。
数百年は変わらぬ日々が続いた。だがついにグルニア国は、アンジェの母国であるパンドール国に牙をむいたのだ。
それまで歴史の長いパンドール国を先進の国と尊ぶようなそぶりを見せていて、本心はパンドール国の高い技術や資源を奪う事が目的だったのだ。
アンジェは母国を守るため立ち上がった。すぐさまパンドール国にいる忠臣たちの子孫に指示を送り、アンジェが蓄えていた財産でパンドール国を守るようにした。
グルニア国内部でもアンジェは手を回した。アンジェは長い年月と共に、グルニア国の貴族と太いパイプを築いていたのだ。
アンジェは貴族からグルニア国王に、パンドール国民の命だけは助けてくれるように働きかけた。
アンジェのかげの努力が功を奏し、パンドール国王の処刑、パンドール国の王子家族をグルニア国の人質にする事、パンドール国から技術者と美しい者たちを送る事で平和条約が締結された。
パンドール国の犠牲は少なくはなかったが、アンジェの愛するパンドール国を守る事には成功した。
アンジェの次の仕事は、グルニア国に送られた奴隷たちを買い戻す事だ。アンジェはグルニア国のほとんどの大きな街に屋敷を持ち、そこに忠実な部下たちをおいている。
部下たちにはただちに奴隷商人たちとコンタクトを取らせ、奴隷にされたパンドール国民を買い戻していった。
その中の一人がターニャだった。ターニャは奴隷としてグルニア国に連れてこられた時は十二歳だった。ターニャはその美しさが災いして奴隷として連れてこられたのだ。
アンジェはターニャを一目で気に入り、自分のメイドとして側に置いた。ターニャが成長してからは、アンジェの母親として共にいる事が当たり前になった。
そこまで話し終えるとアンジェはフウッと息をついて言葉を切った。
パティはいつの間にか泣いていた。アンジェの長い長い人生を聞いて。そしてアンジェはこれからも生きていかなければならないのだ。
泣いているパティを見て、アンジェは軽口をたたいた。
「パティ、何を泣いている?神の怒りをかったわたくしを憐れんでいるのか?」
「いいえ、いいえ違います。神さまはアンジェさんに怒ってなんかいません!神さまは、強くて高潔な心を持っているアンジェさんだから、《不老不死》を授けたんです。アンジェさんが私たちパンドール国民の事を守ってくれていたなんて。私、アンジェさんにお会いできて本当に良かったです」
「パティ、」
アンジェは驚いた表情で、パティを見つめた。
83
あなたにおすすめの小説
解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る
早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」
解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。
そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。
彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。
(1話2500字程度、1章まで完結保証です)
A級パーティから追放された俺はギルド職員になって安定した生活を手に入れる
国光
ファンタジー
A級パーティの裏方として全てを支えてきたリオン・アルディス。しかし、リーダーで幼馴染のカイルに「お荷物」として追放されてしまう。失意の中で再会したギルド受付嬢・エリナ・ランフォードに導かれ、リオンはギルド職員として新たな道を歩み始める。
持ち前の数字感覚と管理能力で次々と問題を解決し、ギルド内で頭角を現していくリオン。一方、彼を失った元パーティは内部崩壊の道を辿っていく――。
これは、支えることに誇りを持った男が、自らの価値を証明し、安定した未来を掴み取る物語。
スキル【収納】が実は無限チートだった件 ~追放されたけど、俺だけのダンジョンで伝説のアイテムを作りまくります~
みぃた
ファンタジー
地味なスキル**【収納】**しか持たないと馬鹿にされ、勇者パーティーを追放された主人公。しかし、その【収納】スキルは、ただのアイテム保管庫ではなかった!
無限にアイテムを保管できるだけでなく、内部の時間操作、さらには指定した素材から自動でアイテムを生成する機能まで備わった、規格外の無限チートスキルだったのだ。
追放された主人公は、このチートスキルを駆使し、収納空間の中に自分だけの理想のダンジョンを創造。そこで伝説級のアイテムを量産し、いずれ世界を驚かせる存在となる。そして、かつて自分を蔑み、追放した者たちへの爽快なざまぁが始まる。
異世界に召喚されたが「間違っちゃった」と身勝手な女神に追放されてしまったので、おまけで貰ったスキルで凡人の俺は頑張って生き残ります!
椿紅颯
ファンタジー
神乃勇人(こうのゆうと)はある日、女神ルミナによって異世界へと転移させられる。
しかしまさかのまさか、それは誤転移ということだった。
身勝手な女神により、たった一人だけ仲間外れにされた挙句の果てに粗雑に扱われ、ほぼ投げ捨てられるようなかたちで異世界の地へと下ろされてしまう。
そんな踏んだり蹴ったりな、凡人主人公がおりなす異世界ファンタジー!
元皇子の寄り道だらけの逃避行 ~幽閉されたので国を捨てて辺境でゆっくりします~
下昴しん
ファンタジー
武力で領土を拡大するベギラス帝国に二人の皇子がいた。魔法研究に腐心する兄と、武力に優れ軍を指揮する弟。
二人の父である皇帝は、軍略会議を軽んじた兄のフェアを断罪する。
帝国は武力を求めていたのだ。
フェアに一方的に告げられた罪状は、敵前逃亡。皇帝の第一継承権を持つ皇子の座から一転して、罪人になってしまう。
帝都の片隅にある独房に幽閉されるフェア。
「ここから逃げて、田舎に籠るか」
給仕しか来ないような牢獄で、フェアは脱出を考えていた。
帝都においてフェアを超える魔法使いはいない。そのことを知っているのはごく限られた人物だけだった。
鍵をあけて牢を出ると、給仕に化けた義妹のマトビアが現れる。
「私も連れて行ってください、お兄様」
「いやだ」
止めるフェアに、強引なマトビア。
なんだかんだでベギラス帝国の元皇子と皇女の、ゆるすぎる逃亡劇が始まった──。
※カクヨム様、小説家になろう様でも投稿中。
【完結】神スキル拡大解釈で底辺パーティから成り上がります!
まにゅまにゅ
ファンタジー
平均レベルの低い底辺パーティ『龍炎光牙《りゅうえんこうが》』はオーク一匹倒すのにも命懸けで注目もされていないどこにでもでもいる冒険者たちのチームだった。
そんなある日ようやく資金も貯まり、神殿でお金を払って恩恵《ギフト》を授かるとその恩恵《ギフト》スキルは『拡大解釈』というもの。
その効果は魔法やスキルの内容を拡大解釈し、別の効果を引き起こせる、という神スキルだった。その拡大解釈により色んなものを回復《ヒール》で治したり強化《ブースト》で獲得経験値を増やしたりととんでもない効果を発揮する!
底辺パーティ『龍炎光牙』の大躍進が始まる!
第16回ファンタジー大賞奨励賞受賞作です。
最上級のパーティで最底辺の扱いを受けていたDランク錬金術師は新パーティで成り上がるようです(完)
みかん畑
ファンタジー
最上級のパーティで『荷物持ち』と嘲笑されていた僕は、パーティからクビを宣告されて抜けることにした。
在籍中は僕が色々肩代わりしてたけど、僕を荷物持ち扱いするくらい優秀な仲間たちなので、抜けても問題はないと思ってます。
外れスキル《コピー》を授かったけど「無能」と言われて家を追放された~ だけど発動条件を満たせば"魔族のスキル"を発動することができるようだ~
空月そらら
ファンタジー
「鑑定ミスではありません。この子のスキルは《コピー》です。正直、稀に見る外れスキルですね、何せ発動条件が今だ未解明なのですから」
「何てことなの……」
「全く期待はずれだ」
私の名前はラゼル、十五歳になったんだけども、人生最悪のピンチに立たされている。
このファンタジックな世界では、15歳になった際、スキル鑑定を医者に受けさせられるんだが、困ったことに私は外れスキル《コピー》を当ててしまったらしい。
そして数年が経ち……案の定、私は家族から疎ましく感じられてーーついに追放されてしまう。
だけど私のスキルは発動条件を満たすことで、魔族のスキルをコピーできるようだ。
そして、私の能力が《外れスキル》ではなく、恐ろしい能力だということに気づく。
そんでこの能力を使いこなしていると、知らないうちに英雄と呼ばれていたんだけど?
私を追放した家族が戻ってきてほしいって泣きついてきたんだけど、もう戻らん。
私は最高の仲間と最強を目指すから。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる