究極妹属性のぼっち少女が神さまから授かった胸キュンアニマルズが最強だった

戦闘開始2

　パティが倒れたドアに足を乗せると、グェという人間のうめき声が聞こえた。どうやら見張りがドアの下にいるらしい。アンチ魔法を発動されると面倒なのでこのままでいてもらう。

　マックスの攻撃魔法の音に驚いた盗賊たちがわらわらと集まってくる。パティは無表情で友達に指示した。

「マックス、火攻撃魔法。チャーミー、鉱物攻撃魔法。死なない程度に奴らを攻撃して」
「ワン！」
「ニァヤ！」

　マックスは無数の火の玉を作って駆け寄る盗賊たちに当てた。火の玉を受けた盗賊たち次々に倒れた。

　チャーミーは鋭く輝くクリスタルを作り出し、盗賊の足めがけて放った。クリスタルの矢は盗賊の足に突き刺さり、彼らを動けなくした。

　だが盗賊たちは後から後から狭い廊下にやってくる。

「皆やるぅ！」

　ロレーナは嬉しそうにはしゃいぎながら盗賊の群れに走って行った。盗賊たちは幼い少女が走ってくるのに驚いたようだが、仕方なく剣を構えてロレーナを斬ろうとした。

　ロレーナは手近の盗賊の前で倒立すると、スラっとした長い足を、剣を持つ盗賊の手にひっかけた。

　バランスを崩した盗賊はその場に倒れた。ロレーナはすかさず立ち上がり、足のかかとを盗賊の頭に落として相手を昏倒させた。

　ロレーナは盗賊が手放した剣を持ち上げると水平に構えた。

「武器は現地調達しないとね！これ、お兄ちゃんの教え！」

　ロレーナは愛嬌たっぷりな笑顔でパティたちに笑いかけた。

　相手の剣を奪い取る少女の鮮やかな手口に、しばしぼう然としていた盗賊たちは、ハッと我にかえり自分たちの役割を思い出したようだ。

　オウッとかけ声をかけて、手に持った剣でロレーナに斬りかかった。ロレーナは水平に構えた剣で相手の剣先を受けて流し、腹に剣の平を打ちつけて昏倒させた。

「パティ！ここは私が受け持つから！囚われた女の子たちの所に早く！」
「わかったわ！」

　パティは足元にいるチャーミーに声をかけた。

「チャーミー、ロレーナを守って。もしアンチ魔法の男が目を覚ましたら、ロレーナを連れて魔法範囲外に退避」
「ニャッ！」

　チャーミーは元気よく鳴くと、ロレーナの助太刀に走り出した。

　パティはマックスと視線を合わせた。

「マックス。私たちも行こう」
「ワン！」

　パティはマックスと走り出した。おそらくその先にはアンチ魔法の敵がいるはずだ。パティは自分の武器で戦わなければいけないのだ。