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霊獣ティグリス
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娘のメリッサが助けたおかしな獣はケガが治り元気になった。その獣はとても変わっていて、見た目は肉食動物なのに背中には翼が生えているのだ。母親はこの獣も家に居ついたら嫌だなと思っていたが、母親の予想に反して、元気になったその獣は家を出ていった。母親はホッと胸をなでおろした。
ティグリスは元気になって森へ帰っていった。だが事あるごとにあかりの所に遊びにくるようになった。ティグリスは、あかりの弟トランとも、あかりの友達のロバのロンとも仲良くなった。だけどあかりの両親は、ティグリスの事をよく思っていないようだった。あかりはティグリスと沢山話をした。聞けば驚いた事に、ティグリスはもう五十年も生きているというのだ。だけどティグリスはまだまだ子供で未熟な霊獣なのだとも言っていた。
ある時小さな村に事件が起こった。前日に激しい嵐があって山から落石が起こったのだ。その落石は困った事に、あかりたちが飲み水や畑にまく水として使う川の上流に落ちてしまい、川の水の流れをふさいでしまったのだ。村の大人たちは全員で川に落ちた落石を取りのぞこうと試みたが、その巨大な落石は人間の力ではビクともしなかった。父親からその話を聞いたあかりは、落石が川の流れをふさいだ場所に行ってみた。巨大な落石がいくつも重なっていて、川の水をせき止めていた。何とかしなければとあかりは思った。この時、あかりは初めてティグリスを呼んだ。するとティグリスはあかりの前にこつぜんと現れた。あかりはびっくりしてキャッと声をあげた。ティグリスは愛くるしい顔であかりに言った。
『どうしたメリッサ、何か困った事が起こったのか?』
あかりは事の次第をティグリスに話した。だけどいくらティグリスがあかりのお願いを聞いてくれるといっても、自身の身体よりもはるかに大きな沢山の落石を何とかしてくれだなんて、無理な願いに思えた。ティグリスは落石の山を見てから、あかりに向き直った。
『この石をどければいいんだな?』
あかりはうなずいた。するとティグリスは小さな翼で空中に浮き上がった。ティグリスの目の前には沢山の炎の塊が出現した。魔法だ。ティグリスは魔法を使ったのだ。あかりはこの世界に生を受けて十二年、初めて魔法を目の当たりにしたのだ。ティグリスの出現させた炎の魔法は、ものすごい勢いで、落石にぶつかった。落石は木っ端みじんに吹き飛んだ。吹き飛んだ小さな落石が、ティグリスとあかりに向かって飛び散る。だが不思議な事にティグリスとあかりに小さな落石が当たる事はなかった。まるで目に見えない空気の壁に弾かれたようだった。あかりの目の前の川は、以前と同じように山の頂からの水が流れてきた。あかりは嬉しくなってティグリスを抱きしめお礼を言った。
「ティグリス、ありがとう!」
『いいって事よ!』
あかりの感謝の言葉にティグリスもまんざらではなかったらしく、ティグリスはゴロゴロとのどを鳴らした。
あかりは喜んで家に帰り、事のてん末を両親に話した。両親は驚いたが、ティグリスに感謝をのべた。あかりは他の村人にもこの事を伝えようと言ったが、両親はそれを止めた。いぶかしがるあかりに、両親は真剣な目であかりとティグリスに言った。
「ティグリス、君がやってくれた事はとても立派な事だ。我々はとても感謝している。だがな、この村の人々は魔法なんて見た事がない人間がほとんどだ。ティグリスが強大な魔法を使って、あの巨大な落石を破壊してしまったと聞いたら、感謝の気持ちと共に、恐怖の気持ちもめばえるだろう。これからもメリッサとティグリスが仲良くするためにはこの事は秘密にしなさい」
あかりは父親の言葉を不満に思う気持ちもあったが、ティグリスが村人にうとまれたら嫌なので父の言葉にうなずいた。
ティグリスは元気になって森へ帰っていった。だが事あるごとにあかりの所に遊びにくるようになった。ティグリスは、あかりの弟トランとも、あかりの友達のロバのロンとも仲良くなった。だけどあかりの両親は、ティグリスの事をよく思っていないようだった。あかりはティグリスと沢山話をした。聞けば驚いた事に、ティグリスはもう五十年も生きているというのだ。だけどティグリスはまだまだ子供で未熟な霊獣なのだとも言っていた。
ある時小さな村に事件が起こった。前日に激しい嵐があって山から落石が起こったのだ。その落石は困った事に、あかりたちが飲み水や畑にまく水として使う川の上流に落ちてしまい、川の水の流れをふさいでしまったのだ。村の大人たちは全員で川に落ちた落石を取りのぞこうと試みたが、その巨大な落石は人間の力ではビクともしなかった。父親からその話を聞いたあかりは、落石が川の流れをふさいだ場所に行ってみた。巨大な落石がいくつも重なっていて、川の水をせき止めていた。何とかしなければとあかりは思った。この時、あかりは初めてティグリスを呼んだ。するとティグリスはあかりの前にこつぜんと現れた。あかりはびっくりしてキャッと声をあげた。ティグリスは愛くるしい顔であかりに言った。
『どうしたメリッサ、何か困った事が起こったのか?』
あかりは事の次第をティグリスに話した。だけどいくらティグリスがあかりのお願いを聞いてくれるといっても、自身の身体よりもはるかに大きな沢山の落石を何とかしてくれだなんて、無理な願いに思えた。ティグリスは落石の山を見てから、あかりに向き直った。
『この石をどければいいんだな?』
あかりはうなずいた。するとティグリスは小さな翼で空中に浮き上がった。ティグリスの目の前には沢山の炎の塊が出現した。魔法だ。ティグリスは魔法を使ったのだ。あかりはこの世界に生を受けて十二年、初めて魔法を目の当たりにしたのだ。ティグリスの出現させた炎の魔法は、ものすごい勢いで、落石にぶつかった。落石は木っ端みじんに吹き飛んだ。吹き飛んだ小さな落石が、ティグリスとあかりに向かって飛び散る。だが不思議な事にティグリスとあかりに小さな落石が当たる事はなかった。まるで目に見えない空気の壁に弾かれたようだった。あかりの目の前の川は、以前と同じように山の頂からの水が流れてきた。あかりは嬉しくなってティグリスを抱きしめお礼を言った。
「ティグリス、ありがとう!」
『いいって事よ!』
あかりの感謝の言葉にティグリスもまんざらではなかったらしく、ティグリスはゴロゴロとのどを鳴らした。
あかりは喜んで家に帰り、事のてん末を両親に話した。両親は驚いたが、ティグリスに感謝をのべた。あかりは他の村人にもこの事を伝えようと言ったが、両親はそれを止めた。いぶかしがるあかりに、両親は真剣な目であかりとティグリスに言った。
「ティグリス、君がやってくれた事はとても立派な事だ。我々はとても感謝している。だがな、この村の人々は魔法なんて見た事がない人間がほとんどだ。ティグリスが強大な魔法を使って、あの巨大な落石を破壊してしまったと聞いたら、感謝の気持ちと共に、恐怖の気持ちもめばえるだろう。これからもメリッサとティグリスが仲良くするためにはこの事は秘密にしなさい」
あかりは父親の言葉を不満に思う気持ちもあったが、ティグリスが村人にうとまれたら嫌なので父の言葉にうなずいた。
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