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アスランの実力
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あかりたちは皆一同に、セレーナの消えた場所を見つめていた。しばらくするとあかりたちの立っている場所に大きな影ができた。この影の大きさは鳥などではない、あかりが上空を見上げると、美しい天馬だった。天馬は声をはり上げた。
『アスラン!無事か?!』
霊獣のアポロンは契約者であるアスランの側に着地した。アスランはアポロンの慌てぶりに驚いて聞いた。
「どうしたんだいアポロン、そんなに慌てて」
『アスランたちが入った屋敷が大破したのだ。心配して当然だろう』
「そうだったのか。心配かけてすまなかったアポロン」
アスランは優しく愛馬の頬をなでた。アスランは、あかりの目から見ても、かなり天然な青年だ。今までアスランとアポロンは会話ができなかったおかげで、それなりに想像しあって、意思疎通をしていたのだろう。だがアポロンが霊獣になり、アスランと会話ができるようになると、どうも噛み合わない事がある。あかりはそんな二人をぼんやり見ていた。
するとアポロンが飛んできた方向から、二人の男が走ってきた。一人は戦士のようで、かっちゅうを着込んだ大男だ。もう一人は太っちょでローブを着ているので魔法使いかもしれない。二人はハアハアと荒い息をしながらアスランに言った。
「おい!この天馬の霊獣はお前のものか?」
ぶしつけな男たちに、アスランは眉をひそめながらうなずく。大男と太っちょはニヤリと笑いあってからどう喝しだす。
「おい!その天馬を俺たちによこせ、さもなくばお前のお綺麗な顔に傷がつく事になるぞ」
アスランは首をかしげながら言う。
「今聞き間違いでなければ、君たちは僕のアポロンを奪うと言ったのかい?アポロンは僕の大切な家族だ。死んでも渡せないね」
「ならば身体でわからせてやるまでだ」
大男と太っちょは、アスランが優男なので完全になめ切った態度だ。アスランは全く態度を変えずに二人に問う。
「一つ聞くが、アポロンを捕まえて誰かに売るのか?」
「ああそうだ。シュメーグの馬鹿は目新しい霊獣が大好きだからな、この天馬も喜んで高額で買うぞ」
アスランの顔が険しくなる。アスランは語気を強めて言った。
「ヒョウの霊獣を売ったのはお前たちか?」
「ああそうだ。霊獣と言えどもしょせんは獣だ。小さな霊獣に剣を突きつけたら大人しく言う事を聞いたぞ」
セレーナを養い子から引き離して、無理矢理契約を結ばせたのはこの二人だったのだ。あかりは胸の奥がムカムカしだした。この二人に何か言ってやらなければ気が済まなかった。前に出ようとしたあかりを、アスランが止める。アスランはニヤニヤ笑う二人を心底けいべつしたように見つめながら言った。
「君たちは見た目通りどうしようもないおろか者のようだ。ヒョウの霊獣セレーナは、君たちを一瞬で消しさるくらい強い魔力を持っているんだ。君たちが死ななかったのはひとえにセレーナの優しさからだ。君たちにはお灸をすえる必要がありそうだな」
アスランはそう宣言すると、あかりたちを後ろに下がらせた。あかりはアスランが心配だった。盗賊に囲まれた時にも、一太刀も敵に当てる事ができなかったからだ。あかりの顔に心配の表情が出ていたのだろう。アポロンが話しかけてきた。
『メリッサ、アスランが心配なのか?』
あかりは素直にうなずく。アポロンはおだやかな声で言葉を続ける。
『案ずるな。アスランはあんな三下どもよりはるかに強い』
あかりは驚きの表情を浮かべてしまった。アポロンは少し気分を害したように言う。
『メリッサ、ひょっとしてアスランは臆病の泣き虫と思っているのか?』
あかりは再び素直にうなずく。肯定のしぐさだ。アポロンはため息をついてから言った。
『アスランは剣術もすごく強い。この間盗賊を倒せなかったのは、人数が多かったからだ。アスランが剣を振れば、手加減できずに盗賊たちを傷つけるおそれがあったからだ。今ならば相手は二人だ安心して手加減できる』
あかりはなおも疑いの気持ちがぬぐえなかったが、アスランと大男と太っちょの戦いは始まってしまった。大男とアスランは互いに剣を構える。大男が大きな剣をアスランに振り下ろす。だがアスランは軽い仕草で相手の剣をかわす。まるで風にそよぐ布を払うような軽やかさだ。アスランは始終涼しい顔をしていたが、大男は渾身の力を込めて剣を振り下ろしているようだ。アスランが、お留守になってる大男の左足を軽くける。大男は面白いくらい派手に転んだ。大男は恨みがましく悪態をつく。
「汚いぞ、貴様剣に何らかの魔法を使っただろう?」
「二人がかりで僕に襲いかかってくる君から汚いと言う言葉が出るなんて驚きだ。僕は魔法なんて使っていない、剣技を使う君には剣技だけでお相手するよ」
アスランが尻もちをついた大男と話している最中に、太っちょが炎魔法をアスランめがけてぶつける。アスランは風魔法で防御ドームを作り回避する。そしてアスランは太っちょに左手を向けた。すると太っちょの動きが止まった。どうやらアスランが動きを封じる魔法を使ったようだ。
ようやく大男が起き上がり、再びアスランに剣を振り下ろす。アスランは今度は剣で払う事はせず、大男の剣を受けた。大男は最大の力でアスランを斬ろうとしているようだが、ビクともしない。大男は何故自分より小柄なアスランに力でかなわないのかわからないようだ。アスランは大男の疑問に気づいたようで、大男に言う。
「何故僕が斬り殺せないかわからないのか?簡単な事だ、君は身体の大きさを過信して鍛錬をおこたっていたからだ。僕はずっと鍛錬していた。だから君たちでは僕を倒す事はできない」
アスランはポンッと剣を押した。大男がよろける。その時初めてアスランは剣を振り下ろした。あまりの速さに、あかりは太刀筋を見る事はできなかった。大男は呆然とアスランを見ていた。大男の剣は根元からボッキリ折れていた。アスランが振り下ろした剣が、大男の剣を斬った。にわかには信じられないが、アスランは、魔法を使わず剣技だけで剣を斬ったのだ。
大男の顔はみるみる青くなり、きびすを返して逃げ出した。アスランは、忘れ物だ。と呟いて太っちょの魔法を解除した。太っちょは身体が動くようになると、一目散に大男の後を追って逃げ出した。アスランは一人で戦士と魔法使いを倒してしまったのだ。あかりは口をポカンと開けながらアスランの戦いを見ていた。あかりは考えを改めた。アスランはものすごく強かった。
『アスラン!無事か?!』
霊獣のアポロンは契約者であるアスランの側に着地した。アスランはアポロンの慌てぶりに驚いて聞いた。
「どうしたんだいアポロン、そんなに慌てて」
『アスランたちが入った屋敷が大破したのだ。心配して当然だろう』
「そうだったのか。心配かけてすまなかったアポロン」
アスランは優しく愛馬の頬をなでた。アスランは、あかりの目から見ても、かなり天然な青年だ。今までアスランとアポロンは会話ができなかったおかげで、それなりに想像しあって、意思疎通をしていたのだろう。だがアポロンが霊獣になり、アスランと会話ができるようになると、どうも噛み合わない事がある。あかりはそんな二人をぼんやり見ていた。
するとアポロンが飛んできた方向から、二人の男が走ってきた。一人は戦士のようで、かっちゅうを着込んだ大男だ。もう一人は太っちょでローブを着ているので魔法使いかもしれない。二人はハアハアと荒い息をしながらアスランに言った。
「おい!この天馬の霊獣はお前のものか?」
ぶしつけな男たちに、アスランは眉をひそめながらうなずく。大男と太っちょはニヤリと笑いあってからどう喝しだす。
「おい!その天馬を俺たちによこせ、さもなくばお前のお綺麗な顔に傷がつく事になるぞ」
アスランは首をかしげながら言う。
「今聞き間違いでなければ、君たちは僕のアポロンを奪うと言ったのかい?アポロンは僕の大切な家族だ。死んでも渡せないね」
「ならば身体でわからせてやるまでだ」
大男と太っちょは、アスランが優男なので完全になめ切った態度だ。アスランは全く態度を変えずに二人に問う。
「一つ聞くが、アポロンを捕まえて誰かに売るのか?」
「ああそうだ。シュメーグの馬鹿は目新しい霊獣が大好きだからな、この天馬も喜んで高額で買うぞ」
アスランの顔が険しくなる。アスランは語気を強めて言った。
「ヒョウの霊獣を売ったのはお前たちか?」
「ああそうだ。霊獣と言えどもしょせんは獣だ。小さな霊獣に剣を突きつけたら大人しく言う事を聞いたぞ」
セレーナを養い子から引き離して、無理矢理契約を結ばせたのはこの二人だったのだ。あかりは胸の奥がムカムカしだした。この二人に何か言ってやらなければ気が済まなかった。前に出ようとしたあかりを、アスランが止める。アスランはニヤニヤ笑う二人を心底けいべつしたように見つめながら言った。
「君たちは見た目通りどうしようもないおろか者のようだ。ヒョウの霊獣セレーナは、君たちを一瞬で消しさるくらい強い魔力を持っているんだ。君たちが死ななかったのはひとえにセレーナの優しさからだ。君たちにはお灸をすえる必要がありそうだな」
アスランはそう宣言すると、あかりたちを後ろに下がらせた。あかりはアスランが心配だった。盗賊に囲まれた時にも、一太刀も敵に当てる事ができなかったからだ。あかりの顔に心配の表情が出ていたのだろう。アポロンが話しかけてきた。
『メリッサ、アスランが心配なのか?』
あかりは素直にうなずく。アポロンはおだやかな声で言葉を続ける。
『案ずるな。アスランはあんな三下どもよりはるかに強い』
あかりは驚きの表情を浮かべてしまった。アポロンは少し気分を害したように言う。
『メリッサ、ひょっとしてアスランは臆病の泣き虫と思っているのか?』
あかりは再び素直にうなずく。肯定のしぐさだ。アポロンはため息をついてから言った。
『アスランは剣術もすごく強い。この間盗賊を倒せなかったのは、人数が多かったからだ。アスランが剣を振れば、手加減できずに盗賊たちを傷つけるおそれがあったからだ。今ならば相手は二人だ安心して手加減できる』
あかりはなおも疑いの気持ちがぬぐえなかったが、アスランと大男と太っちょの戦いは始まってしまった。大男とアスランは互いに剣を構える。大男が大きな剣をアスランに振り下ろす。だがアスランは軽い仕草で相手の剣をかわす。まるで風にそよぐ布を払うような軽やかさだ。アスランは始終涼しい顔をしていたが、大男は渾身の力を込めて剣を振り下ろしているようだ。アスランが、お留守になってる大男の左足を軽くける。大男は面白いくらい派手に転んだ。大男は恨みがましく悪態をつく。
「汚いぞ、貴様剣に何らかの魔法を使っただろう?」
「二人がかりで僕に襲いかかってくる君から汚いと言う言葉が出るなんて驚きだ。僕は魔法なんて使っていない、剣技を使う君には剣技だけでお相手するよ」
アスランが尻もちをついた大男と話している最中に、太っちょが炎魔法をアスランめがけてぶつける。アスランは風魔法で防御ドームを作り回避する。そしてアスランは太っちょに左手を向けた。すると太っちょの動きが止まった。どうやらアスランが動きを封じる魔法を使ったようだ。
ようやく大男が起き上がり、再びアスランに剣を振り下ろす。アスランは今度は剣で払う事はせず、大男の剣を受けた。大男は最大の力でアスランを斬ろうとしているようだが、ビクともしない。大男は何故自分より小柄なアスランに力でかなわないのかわからないようだ。アスランは大男の疑問に気づいたようで、大男に言う。
「何故僕が斬り殺せないかわからないのか?簡単な事だ、君は身体の大きさを過信して鍛錬をおこたっていたからだ。僕はずっと鍛錬していた。だから君たちでは僕を倒す事はできない」
アスランはポンッと剣を押した。大男がよろける。その時初めてアスランは剣を振り下ろした。あまりの速さに、あかりは太刀筋を見る事はできなかった。大男は呆然とアスランを見ていた。大男の剣は根元からボッキリ折れていた。アスランが振り下ろした剣が、大男の剣を斬った。にわかには信じられないが、アスランは、魔法を使わず剣技だけで剣を斬ったのだ。
大男の顔はみるみる青くなり、きびすを返して逃げ出した。アスランは、忘れ物だ。と呟いて太っちょの魔法を解除した。太っちょは身体が動くようになると、一目散に大男の後を追って逃げ出した。アスランは一人で戦士と魔法使いを倒してしまったのだ。あかりは口をポカンと開けながらアスランの戦いを見ていた。あかりは考えを改めた。アスランはものすごく強かった。
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