14 / 118
召喚士ゼノ
しおりを挟む
アスランにやられた大男と太っちょは脱兎のごとく逃げて行った。だがあかりは少し不満だった。セレーナにひどい事をしたあの二人をもっとこらしめてほしいと思ってしまったのだ。
あかりたちは二人組みを見送っていたが、まずい事が起こった。大男の逃げる先に、小柄な老人が立っていたのだ。無慈悲な大男が老人をよけてくれるわけがない。大男は、ジジイどけ!と叫んで右手のこぶしを振り上げた。アスランに負けた腹いせか、老人に暴力を振るおうとしているのだ。
アスランが、まずい。と焦った声をあげる。あかりはキャアッと言って目をつむってしまった。だがあかりが聞いたのは、老人の悲鳴ではなく、大男の無様な泣き声だった。あかりがおそるおそる目を開けると、そこには鉱物の防御シールドにおおわれた老人と、右腕を抑えてのたうち回っている大男がいた。老人は魔法使いだったのだろうか、老人は防御シールドを解除する。
大男と太っちょは、口々に老人をののしる言葉をはいていた。太っちょが老人に向けて両手をさし出した。太っちょは老人に攻撃魔法を放つつもりだ。あかりたちは焦って老人の元まで走ろうとする。だがこの距離では間に合いそうもない。
だがこの次に、また驚く事が起こった。大男と太っちょの下の地面から、ツタ状の植物がニョキニョキと伸びてきて、大男と太っちょはツタに絡めとられて、上空まで持ち上げられてしまった。大男と太っちょは、恐怖のあまり助けてくれと叫び続ける。老人は彼らを無視し、走りよったあかりたちに向き直った。アスランは老人にたずねた。
「ご老人、おケガはありませんか?!」
老人はアスランをジロリと見てから言葉を発した。
「若者よ、先ほどの剣技見事じゃった。だがのツメが甘いわ!わしがただのジジイじゃったら殺されておったぞ!お主の甘さが招いた事でな」
「面目次第もございません」
老人のキツイ言葉にアスランは深々と頭を下げた。あかりはこの場の雰囲気を和ませようと、老人に質問した。
「おじいさんは魔法使いなんですか?」
老人は、あかりを見ると好々爺の笑顔で答えた。
「わし自身は少しの土魔法しか使えんのじゃがな、わしの友が強いのじゃ」
老人はニコニコと胸元に手を突っ込んで何かを取り出し、あかりの前にさし出した。老人の手のひらには小さな老人が乗っていた。あかりは思わず叫んでしまった。
「わぁっ可愛いコビトさん!」
『フォッフォッ。お嬢さん、わしは今年で千三百歳じゃ。可愛いはよしてくれんかの』
「ごめんなさい、おじいさん」
あかりの横に立っていたアスランがハッとしたように声をあげた。
「ご老人、貴方は召喚士なのですね。そしてこの小さなご老人は精霊ですね」
アスランの言葉に老人はうなずいた。
「いかにも、わしは召喚士のゼノじゃ。そしてこやつがわしの相棒、土の精霊ノーマじゃ」
アスランは自身が自己紹介もしていない事に気づいて慌てて言った。
「申し遅れました。冒険者のアスランと申します。そしてこちらがアポロン。そして」
アスランがあかりをうながす。
「メリッサです。そしてこっちがティグリス、こっちがグラキエースです」
アポロンとティグリスとグラキエースも口々にあいさつをした。召喚士ゼノは霊獣語も理解するのだ。ゼノはあかりを不思議そうに見つめて言った。
「メリッサ、お主は霊獣語と精霊語を話しているわけではないのじゃな。ノーマとも普通に会話しとるし」
あかりは何と答えてよいのかわからず黙りこんでしまった。アスランが代わりに言葉を続ける。
「ゼノ殿、彼女は特別なんです。動物とも霊獣とも会話ができます。ですが精霊とも会話ができるとは知りませんでした」
ゼノはふうんと声を出すと、何かを考えているようだった。その間大男と太っちょは大声で叫び続ける、助けてくれと。ゼノはうるさそうに大声で言った。
「うるさいわい!この冒険者くずれの悪党が!そのツタは夕方になれば枯れてしまう。それまで自分たちの行いを反省しろ!」
「冒険者くずれ?」
あかりの質問の言葉にゼノが答える。
「ああ、なげかわしい事じゃ。わしが若い頃の冒険者と言えば、夢と希望に燃えて、正義のために腕をふるったものじゃ。それが今や冒険者とは名ばかりの、霊獣を捕らえて金に変えるような悪党が増えてしまったのじゃ」
「じゃあゼノおじいさんはあの二人が霊獣を捕らえていた事を知っていたんですか?」
「勿論じゃ、あの二人は養い子のいる守護者の霊獣を狙うのじゃ。養い子の守護者になる霊獣は特に心穏やかで慈悲深いからの。人間にすら慈悲の心を持ってしまい、捕まってじまうのじゃ」
あかりの頭にセレーナの姿が浮かぶ。セレーナは本当に優しい霊獣だった。だがセレーナの他にも捕まってしまった霊獣がいるのだ。あかりは捕まった霊獣全てを救いたいと思った。横のアスランを見ると、強い瞳で見つめられた。あかりは嬉しくなった、アスランもあかりと同じ気持ちなのだ。アスランは決意を込めてゼノに言った。
「ゼノ殿、霊獣を救う手伝い。私たちにもさせていただけませんか?」
アスランの提案にゼノとノーマは驚いた様子で、二人で顔を見合わせていた。ゼノはコホンと小さな咳をしてから言った。
「お主らは二人とも霊獣と契約しているの。それに霊獣との関係も良好じゃ。わしの方から頼もうと思ったのじゃ、お主らわしの手助けをしてくれんかの?」
あかりとアスランは顔を見合わせてから、笑顔でハイッと答えた。
あかりたちは二人組みを見送っていたが、まずい事が起こった。大男の逃げる先に、小柄な老人が立っていたのだ。無慈悲な大男が老人をよけてくれるわけがない。大男は、ジジイどけ!と叫んで右手のこぶしを振り上げた。アスランに負けた腹いせか、老人に暴力を振るおうとしているのだ。
アスランが、まずい。と焦った声をあげる。あかりはキャアッと言って目をつむってしまった。だがあかりが聞いたのは、老人の悲鳴ではなく、大男の無様な泣き声だった。あかりがおそるおそる目を開けると、そこには鉱物の防御シールドにおおわれた老人と、右腕を抑えてのたうち回っている大男がいた。老人は魔法使いだったのだろうか、老人は防御シールドを解除する。
大男と太っちょは、口々に老人をののしる言葉をはいていた。太っちょが老人に向けて両手をさし出した。太っちょは老人に攻撃魔法を放つつもりだ。あかりたちは焦って老人の元まで走ろうとする。だがこの距離では間に合いそうもない。
だがこの次に、また驚く事が起こった。大男と太っちょの下の地面から、ツタ状の植物がニョキニョキと伸びてきて、大男と太っちょはツタに絡めとられて、上空まで持ち上げられてしまった。大男と太っちょは、恐怖のあまり助けてくれと叫び続ける。老人は彼らを無視し、走りよったあかりたちに向き直った。アスランは老人にたずねた。
「ご老人、おケガはありませんか?!」
老人はアスランをジロリと見てから言葉を発した。
「若者よ、先ほどの剣技見事じゃった。だがのツメが甘いわ!わしがただのジジイじゃったら殺されておったぞ!お主の甘さが招いた事でな」
「面目次第もございません」
老人のキツイ言葉にアスランは深々と頭を下げた。あかりはこの場の雰囲気を和ませようと、老人に質問した。
「おじいさんは魔法使いなんですか?」
老人は、あかりを見ると好々爺の笑顔で答えた。
「わし自身は少しの土魔法しか使えんのじゃがな、わしの友が強いのじゃ」
老人はニコニコと胸元に手を突っ込んで何かを取り出し、あかりの前にさし出した。老人の手のひらには小さな老人が乗っていた。あかりは思わず叫んでしまった。
「わぁっ可愛いコビトさん!」
『フォッフォッ。お嬢さん、わしは今年で千三百歳じゃ。可愛いはよしてくれんかの』
「ごめんなさい、おじいさん」
あかりの横に立っていたアスランがハッとしたように声をあげた。
「ご老人、貴方は召喚士なのですね。そしてこの小さなご老人は精霊ですね」
アスランの言葉に老人はうなずいた。
「いかにも、わしは召喚士のゼノじゃ。そしてこやつがわしの相棒、土の精霊ノーマじゃ」
アスランは自身が自己紹介もしていない事に気づいて慌てて言った。
「申し遅れました。冒険者のアスランと申します。そしてこちらがアポロン。そして」
アスランがあかりをうながす。
「メリッサです。そしてこっちがティグリス、こっちがグラキエースです」
アポロンとティグリスとグラキエースも口々にあいさつをした。召喚士ゼノは霊獣語も理解するのだ。ゼノはあかりを不思議そうに見つめて言った。
「メリッサ、お主は霊獣語と精霊語を話しているわけではないのじゃな。ノーマとも普通に会話しとるし」
あかりは何と答えてよいのかわからず黙りこんでしまった。アスランが代わりに言葉を続ける。
「ゼノ殿、彼女は特別なんです。動物とも霊獣とも会話ができます。ですが精霊とも会話ができるとは知りませんでした」
ゼノはふうんと声を出すと、何かを考えているようだった。その間大男と太っちょは大声で叫び続ける、助けてくれと。ゼノはうるさそうに大声で言った。
「うるさいわい!この冒険者くずれの悪党が!そのツタは夕方になれば枯れてしまう。それまで自分たちの行いを反省しろ!」
「冒険者くずれ?」
あかりの質問の言葉にゼノが答える。
「ああ、なげかわしい事じゃ。わしが若い頃の冒険者と言えば、夢と希望に燃えて、正義のために腕をふるったものじゃ。それが今や冒険者とは名ばかりの、霊獣を捕らえて金に変えるような悪党が増えてしまったのじゃ」
「じゃあゼノおじいさんはあの二人が霊獣を捕らえていた事を知っていたんですか?」
「勿論じゃ、あの二人は養い子のいる守護者の霊獣を狙うのじゃ。養い子の守護者になる霊獣は特に心穏やかで慈悲深いからの。人間にすら慈悲の心を持ってしまい、捕まってじまうのじゃ」
あかりの頭にセレーナの姿が浮かぶ。セレーナは本当に優しい霊獣だった。だがセレーナの他にも捕まってしまった霊獣がいるのだ。あかりは捕まった霊獣全てを救いたいと思った。横のアスランを見ると、強い瞳で見つめられた。あかりは嬉しくなった、アスランもあかりと同じ気持ちなのだ。アスランは決意を込めてゼノに言った。
「ゼノ殿、霊獣を救う手伝い。私たちにもさせていただけませんか?」
アスランの提案にゼノとノーマは驚いた様子で、二人で顔を見合わせていた。ゼノはコホンと小さな咳をしてから言った。
「お主らは二人とも霊獣と契約しているの。それに霊獣との関係も良好じゃ。わしの方から頼もうと思ったのじゃ、お主らわしの手助けをしてくれんかの?」
あかりとアスランは顔を見合わせてから、笑顔でハイッと答えた。
1
あなたにおすすめの小説
不倫されて離婚した社畜OLが幼女転生して聖女になりましたが、王国が揉めてて大事にしてもらえないので好きに生きます
天田れおぽん
ファンタジー
ブラック企業に勤める社畜OL沙羅(サラ)は、結婚したものの不倫されて離婚した。スッキリした気分で明るい未来に期待を馳せるも、公園から飛び出てきた子どもを助けたことで、弱っていた心臓が止まってしまい死亡。同情した女神が、黒髪黒目中肉中背バツイチの沙羅を、銀髪碧眼3歳児の聖女として異世界へと転生させてくれた。
ところが王国内で聖女の処遇で揉めていて、転生先は草原だった。
サラは女神がくれた山盛りてんこ盛りのスキルを使い、異世界で知り合ったモフモフたちと暮らし始める――――
※第16話 あつまれ聖獣の森 6 が抜けていましたので2025/07/30に追加しました。
オバちゃんだからこそ ~45歳の異世界珍道中~
鉄 主水
ファンタジー
子育ても一段落した40過ぎの訳あり主婦、里子。
そんなオバちゃん主人公が、突然……異世界へ――。
そこで里子を待ち構えていたのは……今まで見たことのない奇抜な珍獣であった。
「何がどうして、なぜこうなった! でも……せっかくの異世界だ! 思いっ切り楽しんじゃうぞ!」
オバちゃんパワーとオタクパワーを武器に、オバちゃんは我が道を行く!
ラブはないけど……笑いあり、涙ありの異世界ドタバタ珍道中。
いざ……はじまり、はじまり……。
※この作品は、エブリスタ様、小説家になろう様でも投稿しています。
余命半年のはずが?異世界生活始めます
ゆぃ♫
ファンタジー
静波杏花、本日病院で健康診断の結果を聞きに行き半年の余命と判明…
不運が重なり、途方に暮れていると…
確認はしていますが、拙い文章で誤字脱字もありますが読んでいただけると嬉しいです。
没落した建築系お嬢様の優雅なスローライフ~地方でモフモフと楽しい仲間とのんびり楽しく生きます~
土偶の友
ファンタジー
優雅な貴族令嬢を目指していたクレア・フィレイア。
しかし、15歳の誕生日を前に両親から没落を宣言されてしまう。
そのショックで日本の知識を思いだし、ブラック企業で働いていた記憶からスローライフをしたいと気付いた。
両親に勧められた場所に逃げ、そこで楽しいモフモフの仲間と家を建てる。
女の子たちと出会い仲良くなって一緒に住む、のんびり緩い異世界生活。
SSSレア・スライムに転生した魚屋さん ~戦うつもりはないけど、どんどん強くなる~
草笛あたる(乱暴)
ファンタジー
転生したらスライムの突然変異だった。
レアらしくて、成長が異常に早いよ。
せっかくだから、自分の特技を活かして、日本の魚屋技術を異世界に広めたいな。
出刃包丁がない世界だったので、スライムの体内で作ったら、名刀に仕上がっちゃった。
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。
積みかけアラフォーOL、公爵令嬢に転生したのでやりたいことをやって好きに生きる!
ぽらいと
ファンタジー
アラフォー、バツ2派遣OLが公爵令嬢に転生したので、やりたいことを好きなようにやって過ごす、というほのぼの系の話。
悪役等は一切出てこない、優しい世界のお話です。
【完結】憧れのスローライフを異世界で?
さくらもち
ファンタジー
アラフォー独身女子 雪菜は最近ではネット小説しか楽しみが無い寂しく会社と自宅を往復するだけの生活をしていたが、仕事中に突然目眩がして気がつくと転生したようで幼女だった。
日々成長しつつネット小説テンプレキターと転生先でのんびりスローライフをするための地盤堅めに邁進する。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる