見習い動物看護師最強ビーストテイマーになる

盛平

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召喚士ゼノ

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 アスランにやられた大男と太っちょは脱兎のごとく逃げて行った。だがあかりは少し不満だった。セレーナにひどい事をしたあの二人をもっとこらしめてほしいと思ってしまったのだ。

 あかりたちは二人組みを見送っていたが、まずい事が起こった。大男の逃げる先に、小柄な老人が立っていたのだ。無慈悲な大男が老人をよけてくれるわけがない。大男は、ジジイどけ!と叫んで右手のこぶしを振り上げた。アスランに負けた腹いせか、老人に暴力を振るおうとしているのだ。

 アスランが、まずい。と焦った声をあげる。あかりはキャアッと言って目をつむってしまった。だがあかりが聞いたのは、老人の悲鳴ではなく、大男の無様な泣き声だった。あかりがおそるおそる目を開けると、そこには鉱物の防御シールドにおおわれた老人と、右腕を抑えてのたうち回っている大男がいた。老人は魔法使いだったのだろうか、老人は防御シールドを解除する。

 大男と太っちょは、口々に老人をののしる言葉をはいていた。太っちょが老人に向けて両手をさし出した。太っちょは老人に攻撃魔法を放つつもりだ。あかりたちは焦って老人の元まで走ろうとする。だがこの距離では間に合いそうもない。

 だがこの次に、また驚く事が起こった。大男と太っちょの下の地面から、ツタ状の植物がニョキニョキと伸びてきて、大男と太っちょはツタに絡めとられて、上空まで持ち上げられてしまった。大男と太っちょは、恐怖のあまり助けてくれと叫び続ける。老人は彼らを無視し、走りよったあかりたちに向き直った。アスランは老人にたずねた。

「ご老人、おケガはありませんか?!」

 老人はアスランをジロリと見てから言葉を発した。

「若者よ、先ほどの剣技見事じゃった。だがのツメが甘いわ!わしがただのジジイじゃったら殺されておったぞ!お主の甘さが招いた事でな」
「面目次第もございません」

 老人のキツイ言葉にアスランは深々と頭を下げた。あかりはこの場の雰囲気を和ませようと、老人に質問した。

「おじいさんは魔法使いなんですか?」

 老人は、あかりを見ると好々爺の笑顔で答えた。

「わし自身は少しの土魔法しか使えんのじゃがな、わしの友が強いのじゃ」

 老人はニコニコと胸元に手を突っ込んで何かを取り出し、あかりの前にさし出した。老人の手のひらには小さな老人が乗っていた。あかりは思わず叫んでしまった。

「わぁっ可愛いコビトさん!」
『フォッフォッ。お嬢さん、わしは今年で千三百歳じゃ。可愛いはよしてくれんかの』
「ごめんなさい、おじいさん」

 あかりの横に立っていたアスランがハッとしたように声をあげた。

「ご老人、貴方は召喚士なのですね。そしてこの小さなご老人は精霊ですね」

 アスランの言葉に老人はうなずいた。

「いかにも、わしは召喚士のゼノじゃ。そしてこやつがわしの相棒、土の精霊ノーマじゃ」

 アスランは自身が自己紹介もしていない事に気づいて慌てて言った。

「申し遅れました。冒険者のアスランと申します。そしてこちらがアポロン。そして」

 アスランがあかりをうながす。

「メリッサです。そしてこっちがティグリス、こっちがグラキエースです」

 アポロンとティグリスとグラキエースも口々にあいさつをした。召喚士ゼノは霊獣語も理解するのだ。ゼノはあかりを不思議そうに見つめて言った。

「メリッサ、お主は霊獣語と精霊語を話しているわけではないのじゃな。ノーマとも普通に会話しとるし」

 あかりは何と答えてよいのかわからず黙りこんでしまった。アスランが代わりに言葉を続ける。

「ゼノ殿、彼女は特別なんです。動物とも霊獣とも会話ができます。ですが精霊とも会話ができるとは知りませんでした」

 ゼノはふうんと声を出すと、何かを考えているようだった。その間大男と太っちょは大声で叫び続ける、助けてくれと。ゼノはうるさそうに大声で言った。

「うるさいわい!この冒険者くずれの悪党が!そのツタは夕方になれば枯れてしまう。それまで自分たちの行いを反省しろ!」
「冒険者くずれ?」

 あかりの質問の言葉にゼノが答える。

「ああ、なげかわしい事じゃ。わしが若い頃の冒険者と言えば、夢と希望に燃えて、正義のために腕をふるったものじゃ。それが今や冒険者とは名ばかりの、霊獣を捕らえて金に変えるような悪党が増えてしまったのじゃ」
「じゃあゼノおじいさんはあの二人が霊獣を捕らえていた事を知っていたんですか?」
「勿論じゃ、あの二人は養い子のいる守護者の霊獣を狙うのじゃ。養い子の守護者になる霊獣は特に心穏やかで慈悲深いからの。人間にすら慈悲の心を持ってしまい、捕まってじまうのじゃ」

 あかりの頭にセレーナの姿が浮かぶ。セレーナは本当に優しい霊獣だった。だがセレーナの他にも捕まってしまった霊獣がいるのだ。あかりは捕まった霊獣全てを救いたいと思った。横のアスランを見ると、強い瞳で見つめられた。あかりは嬉しくなった、アスランもあかりと同じ気持ちなのだ。アスランは決意を込めてゼノに言った。

「ゼノ殿、霊獣を救う手伝い。私たちにもさせていただけませんか?」

 アスランの提案にゼノとノーマは驚いた様子で、二人で顔を見合わせていた。ゼノはコホンと小さな咳をしてから言った。

「お主らは二人とも霊獣と契約しているの。それに霊獣との関係も良好じゃ。わしの方から頼もうと思ったのじゃ、お主らわしの手助けをしてくれんかの?」

 あかりとアスランは顔を見合わせてから、笑顔でハイッと答えた。

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