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青年グリフ
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グリフは冒険者として旅をする道すがら、ある街の女性に恋をした。グリフはそのままその女性と所帯を持った。最愛の娘も生まれ、グリフはますます冒険者の依頼を受け働いた。
そこまでは良かった、だがグリフが遠方での依頼の仕事をする時にある事に気がついてしまった。どうやら自分は女性にモテるようだ。そもそも国家魔法使いという職業は花形だ。それにつけて、グリフは女性に好まれる外見をしているようなのだ。そのためグリフは旅先で女性と刹那的な関係を持つようになった。
勿論妻と娘が一番大切だ。そのため旅先で出会った女性にはきっぱりともう会えないと伝えていた。だがある時、引っかけた女が悪かった。その女はグリフに夢中になってしまい、とてもしつこかった。グリフは何とか女を振り切り家族の元に帰った。ただの町娘に冒険者のグリフの事など探しきれるはずがないと、たかをくくっていたのだ。
だがある時、その女が自宅にやって来た。その女は冒険者協会に依頼して、グリフの居場所を突き止めたのだ。妻と女はつかみ合いのケンカになり、グリフは幼い娘と避難するしかなかった。何とか女には家から出て行ってもらった。
だがもろもろの浮気がばれて、グリフも家を追い出され、ついには離縁させられてしまった。グリフは地面に頭をすりつけて謝った。娘のアーニャと親子の関係が無くなるなど考えられなかったからだ。グリフは冒険者の依頼から帰るたび、元妻に頭を下げ続けた。
しばらくして元妻が再婚した。相手の男は顔がいいだけのろくでなしだった。グリフの元妻は男の趣味が悪かった。だからグリフと結婚したのかと、妙に納得した。何度も娘に会わせてくれと懇願するグリフを、元妻の再婚相手は金づるになるとわかったのだろう。元妻の再婚相手は、金貨三十枚で娘と会わせてくれると言ってくれた。娘のアーニャに会わせてくれるなら何だって構わない、グリフはこの条件を喜んで飲んだ。
グリフは晴れて娘のアーニャと会う事ができた。月に一度、グリフは家から離れた森にある小高い丘の上でアーニャと遊んだ。アーニャは引っ込み思案なおとなしい子供で、お人形遊びやおままごとを好んだ。そのためグリフはアーニャの夫になったり、はたまた息子になったり、たまに犬になったりもした。
アーニャはよく、これはね内緒だよ。と言って小さな手をグリフの耳に近づけてコソコソ話をした。アーニャの話す吐息がくすぐったくって、グリフは笑った。グリフはアーニャに沢山のオモチャやお人形をお土産に持ってきた。次のお土産は何がいい?と聞くと、アーニャはお父さんにもっと会いたいと言った。グリフは依頼を沢山受けて、元妻の再婚相手に金貨六十枚を払い、月二回アーニャに会うようになった。
それでもグリフは幸せだった。こうやってでも愛しい娘に会えるのだから。ある時、グリフが旅先で仕事をしていると、依頼を受けている冒険者協会から手紙を受け取った。冒険者は旅先の冒険者協会で自身の手紙や郵便物を受け取る事ができるのだ。手紙は元妻からで、娘のアーニャが流行病にかかった、至急大金が必要だと書いてあった。グリフは矢も盾もたまらずアーニャのいる家に急いだ。だが手遅れだった。つい半月前には元気だったアーニャは、流行病で死んでしまった。元妻と再婚相手の男はグリフが金を持ってくるのが遅いからがアーニャが死んだといってグリフをなじった。
グリフは頭に血がのぼった。これまでグリフはアーニャに会うために、沢山の金貨を元妻たちに支払った。それなのに何故その金を自分たちのためだけに使い切って、アーニャのために残しておかなかったのか。アーニャのために金を残しておけば、アーニャは医者にかかる事ができただろう。グリフは再婚相手の男をぶん殴り、氷のように冷たくなったアーニャのなきがらを抱いて家を後にした。そしてアーニャと遊んだ思い出の丘の土地を領主から大金をはたいて買い、アーニャの墓をたてた。
アーニャの死と共に、グリフの心も死んでしまった。グリフはやけになって酒をあおり、肩がぶつかっただけのゴロツキたちとケンカばかりしていた。ついにはナイフで腹を刺された。グリフは自分は死ぬのだという事がわかった。
何とくだらない人生だったのだろう。家族に愛されたくてみじめにもがき続けた幼少時代。家族ができて幸せをつかんだはずなのに、自ら手放して最愛の娘を失ってしまった。自分はなんて馬鹿な人間なのだろう。ただ一つ喜ばしい事は、グリフはもうすぐ死ぬという事だ。死んだらアーニャに会えるだろうか。意識が薄れてきた時、その霊獣に出会ったのだ。
真っ黒で毛むくじゃら、大きな狼の霊獣が突然現れた。その霊獣は、グリフを助けるというのだ。何というお節介な霊獣なのだろう。グリフは早く死んでアーニャの所に行きたいのだ。だが願いむなしくグリフは生きていた。グリフは自分を勝手に助けた霊獣、ノックスがうとましくて仕方なかった。
だからことごとく反抗した。身体が動くようになるとノックスの元を抜け出し、街に行って酒を飲んでケンカをした。だが結局帰る場所はノックスの元だった。ノックスはグリフが帰ってくると、グリフの血と泥だらけの顔をなめ、グリフに治癒魔法をほどこし自身の身体で包み込んで温めてくれた。
グリフは悔しさと胸ぐるしさで涙を流した。ノックスがもっと傲慢で、グリフに逃げるなと命令し、どこかに閉じ込めてくれればグリフだとて安心して反抗できるのに。だがノックスは、ふらりと姿を消すグリフを心配そうに見つめるだけだった。そしてグリフが傷だらけになって帰ってくると嬉しそうにクゥンと鳴くのだ。
次第にグリフはノックスと打ち解けるようになった。ノックスも自身の事を語りたがらなかったが、どうやら養い子とうまくいかず寂しい思いをしているようだ。ノックスはグリフと同じだったのだ。寂しさを紛らわすために、側に温もりを置いておきたかったのだ。
グリフはノックスに共感を覚え、そして申し訳なさもつのった。もっと自分より相応しいペットを持って欲しいと思った。そのためグリフはノックスに嫌われるように、ますますノックスの元に帰らなくなった。これでグリフに愛想を尽かして、また新しいペットを探してほしいと考えたのだ。
だがノックスはグリフを探しにやってきた。グリフが大勢の敵に囲まれている時に。グリフは観念した。ノックスがグリフに飽きるまで、彼のペットになろうと誓ったのだ。
そこまでは良かった、だがグリフが遠方での依頼の仕事をする時にある事に気がついてしまった。どうやら自分は女性にモテるようだ。そもそも国家魔法使いという職業は花形だ。それにつけて、グリフは女性に好まれる外見をしているようなのだ。そのためグリフは旅先で女性と刹那的な関係を持つようになった。
勿論妻と娘が一番大切だ。そのため旅先で出会った女性にはきっぱりともう会えないと伝えていた。だがある時、引っかけた女が悪かった。その女はグリフに夢中になってしまい、とてもしつこかった。グリフは何とか女を振り切り家族の元に帰った。ただの町娘に冒険者のグリフの事など探しきれるはずがないと、たかをくくっていたのだ。
だがある時、その女が自宅にやって来た。その女は冒険者協会に依頼して、グリフの居場所を突き止めたのだ。妻と女はつかみ合いのケンカになり、グリフは幼い娘と避難するしかなかった。何とか女には家から出て行ってもらった。
だがもろもろの浮気がばれて、グリフも家を追い出され、ついには離縁させられてしまった。グリフは地面に頭をすりつけて謝った。娘のアーニャと親子の関係が無くなるなど考えられなかったからだ。グリフは冒険者の依頼から帰るたび、元妻に頭を下げ続けた。
しばらくして元妻が再婚した。相手の男は顔がいいだけのろくでなしだった。グリフの元妻は男の趣味が悪かった。だからグリフと結婚したのかと、妙に納得した。何度も娘に会わせてくれと懇願するグリフを、元妻の再婚相手は金づるになるとわかったのだろう。元妻の再婚相手は、金貨三十枚で娘と会わせてくれると言ってくれた。娘のアーニャに会わせてくれるなら何だって構わない、グリフはこの条件を喜んで飲んだ。
グリフは晴れて娘のアーニャと会う事ができた。月に一度、グリフは家から離れた森にある小高い丘の上でアーニャと遊んだ。アーニャは引っ込み思案なおとなしい子供で、お人形遊びやおままごとを好んだ。そのためグリフはアーニャの夫になったり、はたまた息子になったり、たまに犬になったりもした。
アーニャはよく、これはね内緒だよ。と言って小さな手をグリフの耳に近づけてコソコソ話をした。アーニャの話す吐息がくすぐったくって、グリフは笑った。グリフはアーニャに沢山のオモチャやお人形をお土産に持ってきた。次のお土産は何がいい?と聞くと、アーニャはお父さんにもっと会いたいと言った。グリフは依頼を沢山受けて、元妻の再婚相手に金貨六十枚を払い、月二回アーニャに会うようになった。
それでもグリフは幸せだった。こうやってでも愛しい娘に会えるのだから。ある時、グリフが旅先で仕事をしていると、依頼を受けている冒険者協会から手紙を受け取った。冒険者は旅先の冒険者協会で自身の手紙や郵便物を受け取る事ができるのだ。手紙は元妻からで、娘のアーニャが流行病にかかった、至急大金が必要だと書いてあった。グリフは矢も盾もたまらずアーニャのいる家に急いだ。だが手遅れだった。つい半月前には元気だったアーニャは、流行病で死んでしまった。元妻と再婚相手の男はグリフが金を持ってくるのが遅いからがアーニャが死んだといってグリフをなじった。
グリフは頭に血がのぼった。これまでグリフはアーニャに会うために、沢山の金貨を元妻たちに支払った。それなのに何故その金を自分たちのためだけに使い切って、アーニャのために残しておかなかったのか。アーニャのために金を残しておけば、アーニャは医者にかかる事ができただろう。グリフは再婚相手の男をぶん殴り、氷のように冷たくなったアーニャのなきがらを抱いて家を後にした。そしてアーニャと遊んだ思い出の丘の土地を領主から大金をはたいて買い、アーニャの墓をたてた。
アーニャの死と共に、グリフの心も死んでしまった。グリフはやけになって酒をあおり、肩がぶつかっただけのゴロツキたちとケンカばかりしていた。ついにはナイフで腹を刺された。グリフは自分は死ぬのだという事がわかった。
何とくだらない人生だったのだろう。家族に愛されたくてみじめにもがき続けた幼少時代。家族ができて幸せをつかんだはずなのに、自ら手放して最愛の娘を失ってしまった。自分はなんて馬鹿な人間なのだろう。ただ一つ喜ばしい事は、グリフはもうすぐ死ぬという事だ。死んだらアーニャに会えるだろうか。意識が薄れてきた時、その霊獣に出会ったのだ。
真っ黒で毛むくじゃら、大きな狼の霊獣が突然現れた。その霊獣は、グリフを助けるというのだ。何というお節介な霊獣なのだろう。グリフは早く死んでアーニャの所に行きたいのだ。だが願いむなしくグリフは生きていた。グリフは自分を勝手に助けた霊獣、ノックスがうとましくて仕方なかった。
だからことごとく反抗した。身体が動くようになるとノックスの元を抜け出し、街に行って酒を飲んでケンカをした。だが結局帰る場所はノックスの元だった。ノックスはグリフが帰ってくると、グリフの血と泥だらけの顔をなめ、グリフに治癒魔法をほどこし自身の身体で包み込んで温めてくれた。
グリフは悔しさと胸ぐるしさで涙を流した。ノックスがもっと傲慢で、グリフに逃げるなと命令し、どこかに閉じ込めてくれればグリフだとて安心して反抗できるのに。だがノックスは、ふらりと姿を消すグリフを心配そうに見つめるだけだった。そしてグリフが傷だらけになって帰ってくると嬉しそうにクゥンと鳴くのだ。
次第にグリフはノックスと打ち解けるようになった。ノックスも自身の事を語りたがらなかったが、どうやら養い子とうまくいかず寂しい思いをしているようだ。ノックスはグリフと同じだったのだ。寂しさを紛らわすために、側に温もりを置いておきたかったのだ。
グリフはノックスに共感を覚え、そして申し訳なさもつのった。もっと自分より相応しいペットを持って欲しいと思った。そのためグリフはノックスに嫌われるように、ますますノックスの元に帰らなくなった。これでグリフに愛想を尽かして、また新しいペットを探してほしいと考えたのだ。
だがノックスはグリフを探しにやってきた。グリフが大勢の敵に囲まれている時に。グリフは観念した。ノックスがグリフに飽きるまで、彼のペットになろうと誓ったのだ。
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