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ゼキーグ
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ゼキーグは幼い頃から周りの人間が愚かに見えた。そしてゼキーグ自身は選ばれた存在であると信じて疑わなかった。ゼキーグは自身がこの小さな村にいる事が信じられなかった、ここは自分のいる場所ではないと常々思っていた。
ゼキーグは働く事を良しとしなかった。汗水垂らして働くなど愚の骨頂だと考えていた。ゼキーグが金や食べ物に困れば、嘘をつけばよかった。今金を貸してくれれば後で倍にして返すなど、実現できもしない嘘をついて金や食べ物をだまし取っていた。勿論期日までに金を返さないとゼキーグに金を貸した村人は怒るが、ゼキーグは元来の口のうまさからのらりくらりと期日を伸ばしいつの間にかうやむやにしてしまった。
ゼキーグかこの世で一番楽しいと思う事は、人間が恐怖や苦痛にゆがむ顔だった。そんな人間を見ると心が躍るのだ。ゼキーグはそんな人間の顔見たさに、よく嘘をついた。村の暴れん坊に、村で一番弱々しい人間が暴れん坊の悪口を言っていると吹き込むのだ。すると暴れん坊は頭に血が上って弱々しい人間に暴力をふるうのだ。ゼキーグは物の陰からそのありさまを見ておおいに笑った。弱々しい人間は、暴れん坊が怖くて事実無根の悪口の弁解すらしないのだ。
そんなゼキーグに転機がおとずれた。やはりゼキーグは選ばれた存在だったのだ。ある時深くフードを被った老人が現れた。その老人は、おかしな事に音もなくゼキーグの家に入ってきたのだ。ゼキーグは最初老人を恐れたが、彼の言葉に喜びを隠せなかった。
「ゼキーグよ、貴様は力がほしいか?」
ゼキーグはフードの老人の足元にひざまずくと、頭をすりつけてこん願した。
「はい、私は力が欲しいです。誰よりも強い力と財力がほしいです」
「よかろう、ならば与えよう」
「ハッ貴方さまのお名前は?」
老人はフードの中でニヤリと笑った。
「我が名はバモン。魔界の王だ」
ゼキーグは頭を地面にすりつけて低頭した。ゼキーグは魔物の力を強く欲した。バモンは魔法陣を描きゼキーグを真ん中に立たせた。バモンは呪文をゼキーグに復唱させた。すると魔法陣が輝き出し、ゼキーグを包みこんだ。ゼキーグか目を開けると、自身の身体の奥から力が溢れ出してくるのを感じた。バモンが命令した。
「ゼキーグよ、貴様の願いを言え」
ゼキーグはゴクリとツバを飲み込み大声で叫んだ。
「金を我が手に!」
ゼキーグの手には金の塊か握られていた。ゼキーグは高らかに笑い声をあげた。やはりゼキーグは選ばれた人間だったのだ。
ゼキーグはみずから作り出した金塊で贅の限りを尽くした。豪華な屋敷を建て、美しい美姫をはべらせ、美酒と美食があふれた。ついに、ついに実現したとゼキーグは思った。これこそがゼキーグか本来いるべき姿なのだと。
ゼキーグはしばらくは贅の限りを尽くす生活に満足していた。だがしばらくすると物足りなくなったのだ。何が足りないのかゼキーグは必死に考えた。そしてある答えに行き当たった。それは残虐な見世物だ。ゼキーグか一番心踊るのは、人間が恐怖におののき震える姿なのだ。ゼキーグは金に物言わせ、自身の村を治める領主から領地を譲り受け、新たな領主となった。今までゼキーグを馬鹿にして認めなかった村人たちに復讐するためだ。
ゼキーグは自身の村の領主になると、すぐさま重い税を課した。そして時を同じくして、急に村の作物の生産が滞るようになった。ゼキーグはそれを好機と見て、村人にある商談を持ちかけた。税金を納める事ができなければ村人を生け贄として差し出せと。
はたして生け贄はやって来た。それまでゼキーグと共に村で暮らした人々だ。村の連中はゼキーグにどんな目にあわされるかまるでわかっていなかった。ゼキーグは村人に拷問の限りを尽くした。村人は悲鳴をあげ、いっそ殺してくれとすら叫んだ。ゼキーグはその姿を見て、心の底から喜んだ。
ある時村の村長がやって来た、税金の納期を伸ばすためのたん願がんにだ。この村長は以前、ゼキーグの生き方に意見をしてきたのだ。お前は心を入れ替えて真面目に生きなければいけないと言ったのだ。ゼキーグはその時の怨みを晴らすため、村長を徹底的に拷問した。
だが命までは取らなかった。それは決して慈悲の心からではない。ゼキーグはもっと村長の苦しむ姿が見たいのだ。そのためにはまだ村長を殺すわけにはいかない。村長の目の前で村長の息子をなぶり殺しにするのはどうだろうか。きっと村長は自分が死ぬより苦しむのではないだろうか。ゼキーグはその考えがとても良案に思え、高らかに笑い声をあげた。
ゼキーグは働く事を良しとしなかった。汗水垂らして働くなど愚の骨頂だと考えていた。ゼキーグが金や食べ物に困れば、嘘をつけばよかった。今金を貸してくれれば後で倍にして返すなど、実現できもしない嘘をついて金や食べ物をだまし取っていた。勿論期日までに金を返さないとゼキーグに金を貸した村人は怒るが、ゼキーグは元来の口のうまさからのらりくらりと期日を伸ばしいつの間にかうやむやにしてしまった。
ゼキーグかこの世で一番楽しいと思う事は、人間が恐怖や苦痛にゆがむ顔だった。そんな人間を見ると心が躍るのだ。ゼキーグはそんな人間の顔見たさに、よく嘘をついた。村の暴れん坊に、村で一番弱々しい人間が暴れん坊の悪口を言っていると吹き込むのだ。すると暴れん坊は頭に血が上って弱々しい人間に暴力をふるうのだ。ゼキーグは物の陰からそのありさまを見ておおいに笑った。弱々しい人間は、暴れん坊が怖くて事実無根の悪口の弁解すらしないのだ。
そんなゼキーグに転機がおとずれた。やはりゼキーグは選ばれた存在だったのだ。ある時深くフードを被った老人が現れた。その老人は、おかしな事に音もなくゼキーグの家に入ってきたのだ。ゼキーグは最初老人を恐れたが、彼の言葉に喜びを隠せなかった。
「ゼキーグよ、貴様は力がほしいか?」
ゼキーグはフードの老人の足元にひざまずくと、頭をすりつけてこん願した。
「はい、私は力が欲しいです。誰よりも強い力と財力がほしいです」
「よかろう、ならば与えよう」
「ハッ貴方さまのお名前は?」
老人はフードの中でニヤリと笑った。
「我が名はバモン。魔界の王だ」
ゼキーグは頭を地面にすりつけて低頭した。ゼキーグは魔物の力を強く欲した。バモンは魔法陣を描きゼキーグを真ん中に立たせた。バモンは呪文をゼキーグに復唱させた。すると魔法陣が輝き出し、ゼキーグを包みこんだ。ゼキーグか目を開けると、自身の身体の奥から力が溢れ出してくるのを感じた。バモンが命令した。
「ゼキーグよ、貴様の願いを言え」
ゼキーグはゴクリとツバを飲み込み大声で叫んだ。
「金を我が手に!」
ゼキーグの手には金の塊か握られていた。ゼキーグは高らかに笑い声をあげた。やはりゼキーグは選ばれた人間だったのだ。
ゼキーグはみずから作り出した金塊で贅の限りを尽くした。豪華な屋敷を建て、美しい美姫をはべらせ、美酒と美食があふれた。ついに、ついに実現したとゼキーグは思った。これこそがゼキーグか本来いるべき姿なのだと。
ゼキーグはしばらくは贅の限りを尽くす生活に満足していた。だがしばらくすると物足りなくなったのだ。何が足りないのかゼキーグは必死に考えた。そしてある答えに行き当たった。それは残虐な見世物だ。ゼキーグか一番心踊るのは、人間が恐怖におののき震える姿なのだ。ゼキーグは金に物言わせ、自身の村を治める領主から領地を譲り受け、新たな領主となった。今までゼキーグを馬鹿にして認めなかった村人たちに復讐するためだ。
ゼキーグは自身の村の領主になると、すぐさま重い税を課した。そして時を同じくして、急に村の作物の生産が滞るようになった。ゼキーグはそれを好機と見て、村人にある商談を持ちかけた。税金を納める事ができなければ村人を生け贄として差し出せと。
はたして生け贄はやって来た。それまでゼキーグと共に村で暮らした人々だ。村の連中はゼキーグにどんな目にあわされるかまるでわかっていなかった。ゼキーグは村人に拷問の限りを尽くした。村人は悲鳴をあげ、いっそ殺してくれとすら叫んだ。ゼキーグはその姿を見て、心の底から喜んだ。
ある時村の村長がやって来た、税金の納期を伸ばすためのたん願がんにだ。この村長は以前、ゼキーグの生き方に意見をしてきたのだ。お前は心を入れ替えて真面目に生きなければいけないと言ったのだ。ゼキーグはその時の怨みを晴らすため、村長を徹底的に拷問した。
だが命までは取らなかった。それは決して慈悲の心からではない。ゼキーグはもっと村長の苦しむ姿が見たいのだ。そのためにはまだ村長を殺すわけにはいかない。村長の目の前で村長の息子をなぶり殺しにするのはどうだろうか。きっと村長は自分が死ぬより苦しむのではないだろうか。ゼキーグはその考えがとても良案に思え、高らかに笑い声をあげた。
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