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盛平

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グリフの本心

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 ノックスに乗ったグリフは、一路王都を目指した。ノックスは何度も闇空間魔法を発動して、王都への道のりを早めてくれた。ノックスがグリフに問うた。

『おいグリフ、そろそろ訳を言え。何故メリッサたちと別行動をとる?』

 グリフは少し笑ってから何も聞かずに共に着いてきてくれたノックスに答えた。

「あのフードの魔物はフローラの心臓が入った小箱をこれ見よがしに見せてからふところにしまったんだ」
『?、それがどうかしたのか?』
「ああ、品物を目の前の者たちに見せて注意を引きつける。これは奇術師の手管だ。つまりあのフードの魔物はフローラの心臓が入った小箱を持っていない」
『ならば一体小箱は何処にあるのだ?』

 グリフはニヤリと笑ってから答えた。

「ルプスが言っていただろう?フードの魔物、魔王バモンが二人いるって。つまりルプスが最初に見た魔王バモンが小箱を持っている」
『だがそのもう一人のバモンは何処にいるのだ?ルプスにしっかり聞かなかっただろう』
「ルプスは友人の召喚士と精霊に呼ばれて、大きな石造りの建物の中にいたと言っていた。おそらくトランド城の中だろう。復活した魔王バモンが、一番に仕返ししたい奴は勇者クリフだからな。つまりトランド国王だ。もう一人の魔王バモンはそこにいる』

 グリフを乗せているノックスはため息をついて言った。

『ならば最初から仲間にそう言えばいいではないか。金髪小僧はお前に裏切られたと思って泣きそうになっていたぞ?』
「アスランは単純バカだからなぁ。でもそれでいいんだ。メリッサたちにはフローラの側にいる魔王バモンに戦いを挑んでもらわなければいけない。皆城に向かったら魔王バモンに気づかれるだろ?小箱を持っているのはもう一人のバモンだって」

 グリフは最後に見たメリッサの顔を思い出していた。メリッサはグリフの真意がわからず不審な顔をしていた。メリッサはグリフが決してメリッサを裏切らないと信じて疑わないのだ。その事自体がメリッサのグリフに対する強い信頼に他ならない。グリフはその事に喜んだ。必ずメリッサにフローラの心臓が入った小箱を手渡してやる。

 グリフはふと、グリフのために久しぶりに出会えた養い子から離れて着いて来てくれたノックスに感謝の気持ちが湧いた。そして以前からノックスに言わなければと思っていた事を口にした。それは虫の知らせのようなものでもあったし、ノックスとルプスの不器用な親子を見たからでもあった。

「なぁノックス。死にかけてた俺を助けてくれてありがとうな、ずっと言いそびれていた」

 ノックスは首をひねって自身の背に乗るグリフを見て言った。

『何だ気持ちの悪い事を言って』
「ひっでえでなぁ、いつも俺のために働いてくれているご主人さまに日頃の感謝を言ってるだけだよ」
『おい、グリフ。まさかお前死ぬ気じゃないだろうな?命ある限り生きろと言っているだろう。もし死ぬ気なら俺がのどぶえを噛み切ってやるからな』
「ご主人さま、矛盾してるぅ。ノックス、俺は生きている事が嬉しいんだ。あの時ノックスが助けてくれなければ今の俺はいない。俺は生きたいんだ」

 ノックスは黙りながらもグリフの言葉に耳を傾けていた。グリフは続ける。

「ノックスずっと悩んでたもんな。俺を助けたせいで、俺が苦しんでるんじゃないかって。最初は俺もノックスを怨んだ事もあった。何で死なせてくれねぇんだって。だけどノックスと暮らして、メリッサに出会えて、俺は生きてて良かったと思えたんだ」

 ノックスが死にかけたグリフを拾ってくれなければ、メリッサにも会えなかったのだ。最初は娘のアーニャと同じ、黒い髪と瞳だったから興味を持っただけだった。だがメリッサのあふれ出すような命の強さに当てられて、生きる事に喜びを見出せる事ができたのだ。メリッサのために何かしてやりたい。グリフがフローラの心臓を持って帰れば、メリッサはきっと輝く笑顔で喜んでくれるだろう。

 ノックスが闇空間魔法で距離を縮めてくれたおかげで、グリフの視界にもトランド城が見えて来た。だがトランド城には異変が起きていた。トランド城の石の壁からは、強力な土植物魔法で作られた巨大な植物のツタが伸びていた。そして、破壊された壁からはモクモクと煙が立ちのぼっている。城の中で何かが起きているのだ。グリフはノックスに急いでくれるよう頼んだ。

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