92 / 118
グリフの思い
しおりを挟む
グリフはノックスの空間魔法でトランド城内に入った。屋内はメチャクチャだった。だだっ広い王の間は破壊され、植物土魔法のツタがいたる所に伸びていた。その上空にはフードの魔物と水の精霊、ゾウの霊獣、サイの霊獣がいた。地上には若い娘とうさぎの霊獣、若い男とオウムの霊獣、老人、クマの霊獣、雄鹿の霊獣、牡牛の霊獣がいた。
どうやらフードの魔物の側にいる水の精霊やゾウの霊獣、サイの霊獣は操られているようだ。そして途切れ途切れにグリフの肉眼で見えるジャガーの霊獣に乗った老人が確認された。おそらくジャガーに乗った老人こそトランド国王クリフォードなのだろう。グリフの見た所状況は一進一退のようだ。トランド国王側に加勢したいのはやまやまだが、メリッサに早くフローラの心臓を持っていってやらなければまた無茶をしかねない。フードの魔物がトランド国王たちに気をとられている内に小箱を奪うのだ。
グリフはノックスに乗ってゆっくりとフードの魔物に距離を近づけた。グリフは透視の魔法を発動させ、フードの魔物の内部に意識を集中させた。やはりフローラのとなりにいたフードの魔物が持っていたのと同じ小箱が見て取れた。グリフは自身の身体に風魔法を施して、ゆくっりとノックスから降りた。アスランは空中をまるで野原のように駆け回っていたのに、グリフは空中でバランスを取るのがやっとだった。あの体力バカめ。ここにはいないアスランに毒づく。だが飲み込みの早いグリフは少しずつだが空中を歩けるようになった。グリフはノックスと目を合わせてうなずき合う。そしてノックスは空間魔法を発動し、真っ黒な穴の中に飛び込んだ。するとフードの魔物の目の前に真っ黒な空間魔法が開き、そこからノックスが踊り出てきた。これにはさすがにフードの魔物も驚いたのか一旦動きを止めた。今だ。グリフはフードの魔物の背後に近づいて、フードの中に手を突っ込んで小箱を取り出した。そこで油断が生じたのだろう。フードの魔物は小箱を奪われた事に気づき、自身の背中から鋭利な槍のような物を出現させてグリフを攻撃したのだ。グリフの腹に、深々と槍が刺さった。グリフは風魔法を操る事が出来ず、ズルリと地上に落下し始めた。グリフの身体の重みで、腹に突き刺さった槍は抜けた。
このままでは地上に落ちてしまう。グリフがとっさにそう思ったその時、ノックスがグリフを受け止めてくれた。グリフは自身の契約霊獣に礼を言った。
「ありがと、ご主人さま」
『グリフ!ケガをしたのか?!』
グリフはノックスに自分のケガの状態を悟られないように、とっさに手で隠し表面だけに治癒魔法を施して言った。
「なぁに、かすり傷だ。小箱は手に入れた、早くメリッサの所へ」
ノックスはうなずいて空間魔法を発動させた。グリフとノックスはトランド城を後にし、ひたすら空間魔法を繰り返してメリッサのいる場所を目指した。グリフは腹に手をおいて悟った。自分はもう長くは持たないと。不思議と死の恐怖は無かった。ただメリッサの笑顔が見れると嬉しい気持ちで一杯だった。
グリフたちはフローラとフードの魔物のいる平地に戻って来た。上空ではアスランとアポロンがフードの魔物と戦っている。メリッサの契約霊獣たちはフローラと戦っていた。メリッサとティグリスとグラキエースの姿は見えない。おそらくフードの魔物から小箱を奪う隙をうかがっているのだろう。グリフは胸元から黒水晶の宝石がついたペンダントを取り出した。これはメリッサも持っている通信魔法具だ。メリッサの持っている通信魔法具のルビーのペンダントは元々グリフの持ち物だ。したがってメリッサとの通信も可能だ。グリフはペダントに口を近づけて言った。
「メリッサ、今どこにいる?」
黒水晶のペダントからメリッサの鈴の鳴るような心地よい声が聞こえてくる。
「グリフ?グリフなの?!今フードの魔物の後ろに隠れているの」
「そいつが持っている小箱はダミーだ。本物を手に入れた。メリッサ、早くこっちに来てくれ」
「ありがとうグリフ!私グリフが戻って来てくれるって信じてた」
グリフはメリッサの言葉に思わず微笑んだ。
しばらくしてグリフの元にメリッサたちがやって来た。グリフはふところの小箱をメリッサに手渡して言った。
「この小箱の魔法はフタを開けてしまうとフローラの心臓が元の大きさに戻ってしまう。だからなメリッサ、出来るだけフローラの口元まで近づいてから小箱のフタを開けてフローラの口の中に投げ込むんだ」
「わかったわグリフ。私行ってくる」
メリッサはとびきりの笑顔でグリフから小箱を受け取った。メリッサはこれから恐ろしいフードの魔物に近づいてフローラの口に小箱を投げ込まなくてはいけない。それはとれも恐ろしい事のはずなのに、メリッサはフローラを助けられる事が嬉しくて仕方ないようだ。メリッサのとなりにいるグラキエースがグリフとノックスに礼を言った。
『グリフ、ノックスありがとう』
「いいって事よ。さぁフローラを助けに行くんだ」
メリッサは大きな虎になったティグリスの背に飛び乗ると、ドラゴンのグラキエースを従えて空に飛び立って行った。グリフはそんなメリッサを嬉しそうに見つめていた。空に飛び立ったメリッサの姿がぼやけてきた。どうやら自分はもう限界らしい。ノックスがグリフに声をかけた。早く自分たちもメリッサについて行こうと言っている。だが、ノックスの声も小さく聴こえ辛くなっていた。グリフはゆっくりとくずおれるように地面に突っ伏した。そして小さく呟いた。
「アーニャ・・・。お父さん頑張っただろ?もうアーニャの所に行ってもいいよな」
それきりグリフの意識は途切れた。
どうやらフードの魔物の側にいる水の精霊やゾウの霊獣、サイの霊獣は操られているようだ。そして途切れ途切れにグリフの肉眼で見えるジャガーの霊獣に乗った老人が確認された。おそらくジャガーに乗った老人こそトランド国王クリフォードなのだろう。グリフの見た所状況は一進一退のようだ。トランド国王側に加勢したいのはやまやまだが、メリッサに早くフローラの心臓を持っていってやらなければまた無茶をしかねない。フードの魔物がトランド国王たちに気をとられている内に小箱を奪うのだ。
グリフはノックスに乗ってゆっくりとフードの魔物に距離を近づけた。グリフは透視の魔法を発動させ、フードの魔物の内部に意識を集中させた。やはりフローラのとなりにいたフードの魔物が持っていたのと同じ小箱が見て取れた。グリフは自身の身体に風魔法を施して、ゆくっりとノックスから降りた。アスランは空中をまるで野原のように駆け回っていたのに、グリフは空中でバランスを取るのがやっとだった。あの体力バカめ。ここにはいないアスランに毒づく。だが飲み込みの早いグリフは少しずつだが空中を歩けるようになった。グリフはノックスと目を合わせてうなずき合う。そしてノックスは空間魔法を発動し、真っ黒な穴の中に飛び込んだ。するとフードの魔物の目の前に真っ黒な空間魔法が開き、そこからノックスが踊り出てきた。これにはさすがにフードの魔物も驚いたのか一旦動きを止めた。今だ。グリフはフードの魔物の背後に近づいて、フードの中に手を突っ込んで小箱を取り出した。そこで油断が生じたのだろう。フードの魔物は小箱を奪われた事に気づき、自身の背中から鋭利な槍のような物を出現させてグリフを攻撃したのだ。グリフの腹に、深々と槍が刺さった。グリフは風魔法を操る事が出来ず、ズルリと地上に落下し始めた。グリフの身体の重みで、腹に突き刺さった槍は抜けた。
このままでは地上に落ちてしまう。グリフがとっさにそう思ったその時、ノックスがグリフを受け止めてくれた。グリフは自身の契約霊獣に礼を言った。
「ありがと、ご主人さま」
『グリフ!ケガをしたのか?!』
グリフはノックスに自分のケガの状態を悟られないように、とっさに手で隠し表面だけに治癒魔法を施して言った。
「なぁに、かすり傷だ。小箱は手に入れた、早くメリッサの所へ」
ノックスはうなずいて空間魔法を発動させた。グリフとノックスはトランド城を後にし、ひたすら空間魔法を繰り返してメリッサのいる場所を目指した。グリフは腹に手をおいて悟った。自分はもう長くは持たないと。不思議と死の恐怖は無かった。ただメリッサの笑顔が見れると嬉しい気持ちで一杯だった。
グリフたちはフローラとフードの魔物のいる平地に戻って来た。上空ではアスランとアポロンがフードの魔物と戦っている。メリッサの契約霊獣たちはフローラと戦っていた。メリッサとティグリスとグラキエースの姿は見えない。おそらくフードの魔物から小箱を奪う隙をうかがっているのだろう。グリフは胸元から黒水晶の宝石がついたペンダントを取り出した。これはメリッサも持っている通信魔法具だ。メリッサの持っている通信魔法具のルビーのペンダントは元々グリフの持ち物だ。したがってメリッサとの通信も可能だ。グリフはペダントに口を近づけて言った。
「メリッサ、今どこにいる?」
黒水晶のペダントからメリッサの鈴の鳴るような心地よい声が聞こえてくる。
「グリフ?グリフなの?!今フードの魔物の後ろに隠れているの」
「そいつが持っている小箱はダミーだ。本物を手に入れた。メリッサ、早くこっちに来てくれ」
「ありがとうグリフ!私グリフが戻って来てくれるって信じてた」
グリフはメリッサの言葉に思わず微笑んだ。
しばらくしてグリフの元にメリッサたちがやって来た。グリフはふところの小箱をメリッサに手渡して言った。
「この小箱の魔法はフタを開けてしまうとフローラの心臓が元の大きさに戻ってしまう。だからなメリッサ、出来るだけフローラの口元まで近づいてから小箱のフタを開けてフローラの口の中に投げ込むんだ」
「わかったわグリフ。私行ってくる」
メリッサはとびきりの笑顔でグリフから小箱を受け取った。メリッサはこれから恐ろしいフードの魔物に近づいてフローラの口に小箱を投げ込まなくてはいけない。それはとれも恐ろしい事のはずなのに、メリッサはフローラを助けられる事が嬉しくて仕方ないようだ。メリッサのとなりにいるグラキエースがグリフとノックスに礼を言った。
『グリフ、ノックスありがとう』
「いいって事よ。さぁフローラを助けに行くんだ」
メリッサは大きな虎になったティグリスの背に飛び乗ると、ドラゴンのグラキエースを従えて空に飛び立って行った。グリフはそんなメリッサを嬉しそうに見つめていた。空に飛び立ったメリッサの姿がぼやけてきた。どうやら自分はもう限界らしい。ノックスがグリフに声をかけた。早く自分たちもメリッサについて行こうと言っている。だが、ノックスの声も小さく聴こえ辛くなっていた。グリフはゆっくりとくずおれるように地面に突っ伏した。そして小さく呟いた。
「アーニャ・・・。お父さん頑張っただろ?もうアーニャの所に行ってもいいよな」
それきりグリフの意識は途切れた。
0
あなたにおすすめの小説
不倫されて離婚した社畜OLが幼女転生して聖女になりましたが、王国が揉めてて大事にしてもらえないので好きに生きます
天田れおぽん
ファンタジー
ブラック企業に勤める社畜OL沙羅(サラ)は、結婚したものの不倫されて離婚した。スッキリした気分で明るい未来に期待を馳せるも、公園から飛び出てきた子どもを助けたことで、弱っていた心臓が止まってしまい死亡。同情した女神が、黒髪黒目中肉中背バツイチの沙羅を、銀髪碧眼3歳児の聖女として異世界へと転生させてくれた。
ところが王国内で聖女の処遇で揉めていて、転生先は草原だった。
サラは女神がくれた山盛りてんこ盛りのスキルを使い、異世界で知り合ったモフモフたちと暮らし始める――――
※第16話 あつまれ聖獣の森 6 が抜けていましたので2025/07/30に追加しました。
オバちゃんだからこそ ~45歳の異世界珍道中~
鉄 主水
ファンタジー
子育ても一段落した40過ぎの訳あり主婦、里子。
そんなオバちゃん主人公が、突然……異世界へ――。
そこで里子を待ち構えていたのは……今まで見たことのない奇抜な珍獣であった。
「何がどうして、なぜこうなった! でも……せっかくの異世界だ! 思いっ切り楽しんじゃうぞ!」
オバちゃんパワーとオタクパワーを武器に、オバちゃんは我が道を行く!
ラブはないけど……笑いあり、涙ありの異世界ドタバタ珍道中。
いざ……はじまり、はじまり……。
※この作品は、エブリスタ様、小説家になろう様でも投稿しています。
余命半年のはずが?異世界生活始めます
ゆぃ♫
ファンタジー
静波杏花、本日病院で健康診断の結果を聞きに行き半年の余命と判明…
不運が重なり、途方に暮れていると…
確認はしていますが、拙い文章で誤字脱字もありますが読んでいただけると嬉しいです。
没落した建築系お嬢様の優雅なスローライフ~地方でモフモフと楽しい仲間とのんびり楽しく生きます~
土偶の友
ファンタジー
優雅な貴族令嬢を目指していたクレア・フィレイア。
しかし、15歳の誕生日を前に両親から没落を宣言されてしまう。
そのショックで日本の知識を思いだし、ブラック企業で働いていた記憶からスローライフをしたいと気付いた。
両親に勧められた場所に逃げ、そこで楽しいモフモフの仲間と家を建てる。
女の子たちと出会い仲良くなって一緒に住む、のんびり緩い異世界生活。
SSSレア・スライムに転生した魚屋さん ~戦うつもりはないけど、どんどん強くなる~
草笛あたる(乱暴)
ファンタジー
転生したらスライムの突然変異だった。
レアらしくて、成長が異常に早いよ。
せっかくだから、自分の特技を活かして、日本の魚屋技術を異世界に広めたいな。
出刃包丁がない世界だったので、スライムの体内で作ったら、名刀に仕上がっちゃった。
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。
積みかけアラフォーOL、公爵令嬢に転生したのでやりたいことをやって好きに生きる!
ぽらいと
ファンタジー
アラフォー、バツ2派遣OLが公爵令嬢に転生したので、やりたいことを好きなようにやって過ごす、というほのぼの系の話。
悪役等は一切出てこない、優しい世界のお話です。
【完結】憧れのスローライフを異世界で?
さくらもち
ファンタジー
アラフォー独身女子 雪菜は最近ではネット小説しか楽しみが無い寂しく会社と自宅を往復するだけの生活をしていたが、仕事中に突然目眩がして気がつくと転生したようで幼女だった。
日々成長しつつネット小説テンプレキターと転生先でのんびりスローライフをするための地盤堅めに邁進する。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる