見習い動物看護師最強ビーストテイマーになる

盛平

文字の大きさ
97 / 118

戦いの終えん

しおりを挟む
 ゼノは、バラバラになった魔王バモンが消えていくの見つめていた。バモンの側にはクリフォードとパンテーラがいた。ゼノは契約精霊のノーマを肩に乗せ、クマの霊獣オッサと共にクリフォードの所まで行った。ゼノは友に言った。

「クリフ、終わったのか?」

 ゼノの盟友クリフォードは、ゼノの声に振り向くと柔らかな笑みを浮かべて言った。

「ああ、わしらの勝利じゃ」

 クリフォードの言葉にゼノはゆっくりと息をはいた。そしてハッとして辺りを見回した。孫娘のエイミーたちはどうしたのだろうか。ゼノは慌ててエイミーたちの所に行こうとした。すると、雄鹿の霊獣シエルバに寄りかかり、うさぎのピピを抱いたエイミーと、牡牛の霊獣タウルスに支えられながら、霊獣のポーを抱いたバートがやって来た。皆満身そういだが無事なようだ。ゼノは心の底から安心した。エイミーはゼノの顔を見ると、顔を歪めて泣き出して言った。

「おじいちゃん、ごめんなさい。私、全然戦えなかった。ピピの力をこれっぽっちも引き出せなかった、シエルバが助けに来てくれなければ私たち、死んでた」

 ゼノはたまらずエイミーに駆け寄って、エイミーが抱っこしているピピごと抱きしめて言った。

「良いのじゃ、良いのじゃエイミー。エイミーとピピが生きていればそれだけで」

 ゼノに近寄ったテイマーのバートも小さな声で言った。

「ゼノさん、申し訳ありません。僕は自分のテイムが効かないからと言ってふてくされて、大切なポーを危険にさらしてしまいました。タウルスが来てくれなければ、僕らも死んでいた」

 ゼノはエイミーを抱きしめている手とは反対の手で、バートとポーを抱き寄せて言った。

「良い良い。バート、ポーお前たちが生きていてくれたらそれだけで大勝利じゃ」

 ゼノは駆けつけてくれたシエルバ、タウルス、オッサに心から礼を言った。そして魔王バモンに操られていた霊獣と精霊を助けなければいけない。ゼノはノーマに頼んで五分間だけ心臓を止める薬を作ってもらった。そしてサイの霊獣、ゾウの霊獣、水の精霊に薬を飲ませた。かれらは口から操りの槍を吐き出し、意識を取り戻した。サイの霊獣は顔をしかめて言った。

『俺は一体何をしていたんだ?そして何でこんなに身体が痛いのだ?』

 サイの霊獣の言葉に、エイミーとピピ、シエルバがそっぽを向いた。ゼノはノーマに頼んでサイの霊獣に治癒魔法をしてもらった。水の精霊はぼんやりしながら言った。

『私、とっても怖い目にあった気がするわ。身体の中から植物が生えてきたの』

 ゼノの肩の上のノーマは、プイッと水の精霊から顔をそむけた。ゼノはゴホンと咳をしてから言った。

「水の精霊よ、お主は悪い夢を見ていたのじゃ。もう心配いらん」

 ゼノの言葉に、水の精霊は疲れたように笑った。ゼノは視線をクリフォードに移すと、怖い顔でにらんだ。

「おいクリフ!お主ケガをしただろう?!しかも適当な治癒魔法で処置をしおったな!」

 クリフォードは、いたずらが見つかった子供のように顔をしかめた。横にいたパンテーラは、クリフォードをにらんだ。クリフォードはしぶしぶゼノの側に行くと、ノーマに頼んだ。

「ノーマ、すまん。左肩じゃ」
『雑な治癒魔法じゃのう』
「仕方ないじゃろう。戦いの真っ最中だったのじゃぞ?」

 ノーマのグチにクリフォードが言い返す。クリフォードは精霊語がわからなくても、ノーマの表情を見て何を言っているかわかるようだ。ゼノはおとなしくノーマに治療されているクリフォードにたずねた。

「クリフ、もうバモンは復活しないだろうな?」

 クリフォードは少し考えるそぶりをしてから答えた。

「実はの、バモンは死に際また復活すると言っていたのだ」

 ゼノはピクリと眉をひそめて答えた。

「肉体が復活しないようにバラバラに切り離してもまた復活すると言うのか?」
「ああ。もしかすると、五十年前も同じように復活の手立てを持っておったのかましれないのぉ。だが案ずるなゼノ、たとえわしとお主が年老いても、わしらの後ろにはこんな頼もしい勇者の意思を継いだ若者たちがいるのじゃぞ?」

 クリフォードはそう言うと、微笑んでエイミーとバートを見た。ゼノはため息をついて答えた。

「まだまだ修行中じゃがの」

 ゼノの厳しい言葉にクリフォードはうなずいてからポツリと言った。

「そういえば、ついに来なかったのぉ。魔王バモンを倒すために勇者ヴィヴィアンを呼んだのだが」

 クリフォードの言葉に、ゼノは苦いものを口に入れたような顔になった。勇者ヴイヴィアン。アスランの姉にして剣の達人だ。だがとんでもない方向音痴で、西に来てくれと言ったら東に行ってしまうくらいなのだ。おそらくヴイヴィアンはトランド城とは全く違う所を走っているのだろう。

 
 

 
 
しおりを挟む
感想 8

あなたにおすすめの小説

不倫されて離婚した社畜OLが幼女転生して聖女になりましたが、王国が揉めてて大事にしてもらえないので好きに生きます

天田れおぽん
ファンタジー
 ブラック企業に勤める社畜OL沙羅(サラ)は、結婚したものの不倫されて離婚した。スッキリした気分で明るい未来に期待を馳せるも、公園から飛び出てきた子どもを助けたことで、弱っていた心臓が止まってしまい死亡。同情した女神が、黒髪黒目中肉中背バツイチの沙羅を、銀髪碧眼3歳児の聖女として異世界へと転生させてくれた。  ところが王国内で聖女の処遇で揉めていて、転生先は草原だった。  サラは女神がくれた山盛りてんこ盛りのスキルを使い、異世界で知り合ったモフモフたちと暮らし始める―――― ※第16話 あつまれ聖獣の森 6 が抜けていましたので2025/07/30に追加しました。

オバちゃんだからこそ ~45歳の異世界珍道中~

鉄 主水
ファンタジー
子育ても一段落した40過ぎの訳あり主婦、里子。 そんなオバちゃん主人公が、突然……異世界へ――。 そこで里子を待ち構えていたのは……今まで見たことのない奇抜な珍獣であった。  「何がどうして、なぜこうなった! でも……せっかくの異世界だ! 思いっ切り楽しんじゃうぞ!」 オバちゃんパワーとオタクパワーを武器に、オバちゃんは我が道を行く! ラブはないけど……笑いあり、涙ありの異世界ドタバタ珍道中。 いざ……はじまり、はじまり……。 ※この作品は、エブリスタ様、小説家になろう様でも投稿しています。

余命半年のはずが?異世界生活始めます

ゆぃ♫
ファンタジー
静波杏花、本日病院で健康診断の結果を聞きに行き半年の余命と判明… 不運が重なり、途方に暮れていると… 確認はしていますが、拙い文章で誤字脱字もありますが読んでいただけると嬉しいです。

没落した建築系お嬢様の優雅なスローライフ~地方でモフモフと楽しい仲間とのんびり楽しく生きます~

土偶の友
ファンタジー
優雅な貴族令嬢を目指していたクレア・フィレイア。 しかし、15歳の誕生日を前に両親から没落を宣言されてしまう。 そのショックで日本の知識を思いだし、ブラック企業で働いていた記憶からスローライフをしたいと気付いた。 両親に勧められた場所に逃げ、そこで楽しいモフモフの仲間と家を建てる。 女の子たちと出会い仲良くなって一緒に住む、のんびり緩い異世界生活。

SSSレア・スライムに転生した魚屋さん ~戦うつもりはないけど、どんどん強くなる~

草笛あたる(乱暴)
ファンタジー
転生したらスライムの突然変異だった。 レアらしくて、成長が異常に早いよ。 せっかくだから、自分の特技を活かして、日本の魚屋技術を異世界に広めたいな。 出刃包丁がない世界だったので、スライムの体内で作ったら、名刀に仕上がっちゃった。

【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる

三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。 こんなはずじゃなかった! 異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。 珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に! やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活! 右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり! アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

積みかけアラフォーOL、公爵令嬢に転生したのでやりたいことをやって好きに生きる!

ぽらいと
ファンタジー
アラフォー、バツ2派遣OLが公爵令嬢に転生したので、やりたいことを好きなようにやって過ごす、というほのぼの系の話。 悪役等は一切出てこない、優しい世界のお話です。

【完結】憧れのスローライフを異世界で?

さくらもち
ファンタジー
アラフォー独身女子 雪菜は最近ではネット小説しか楽しみが無い寂しく会社と自宅を往復するだけの生活をしていたが、仕事中に突然目眩がして気がつくと転生したようで幼女だった。 日々成長しつつネット小説テンプレキターと転生先でのんびりスローライフをするための地盤堅めに邁進する。

処理中です...