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魔王バモンの誤算
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バモンは焦っていた。バモンという魔物は一人ではなかった。バモンは五十年前、勇者クリフ一行に倒された。だがバモンはそのような事態が起きた時のために自らの魂を半分に分けていたのだ。そのため片方残った魂が身体を修復し、そして新たに魂を分けて、もう一人のバモンを作った。
つまりバモンは二人存在するのだ。バモンは、魔物と契約し魔に飲まれた人間の魂を糧として力を蓄えていった。五十年の歳月をかけて、やっと二人のバモンが復活した。復活したバモンはどうしてもやり遂げなければいけない事があった。
それは自分を死の淵に追いやった憎っくき勇者クリフと仲間のぎゃく殺だ。その者たちだけはどうしても生かしておけなかった。バモンは操りの魔法で、サイの霊獣、ゾウの霊獣、水の精霊を支配下においた。強力な魔力を有するこの霊獣と精霊を従えれば、老いぼれた勇者クリフなど恐るるに足らなかった。
だが驚いた事に、勇者クリフはこれっぽっちも衰えていなかった。それどころか新たな仲間と共に、バモンに対して戦いを挑んできたのだ。だが新たに仲間に加わった若い者たちは、勇者クリフと召喚士に比べるとはるかに見おとりがした。
だが戦闘が進むにしたがって、新たな援軍がやって来てしまったのだ。三頭の霊獣が加わる事により、形勢は一気に逆転してしまった。バモンは勇者クリフの剣に斬り刻まれ、死んでしまった。だがもう一人のバモンは健在だ。また魂を分けて復活すればいい。それまでせいぜいつかの間の平安を享受しているがいい。バモンは勇者クリフに呪いの言葉を吐いて死んだ。
もう一人のバモンは突然の激しい心臓の痛みに身体を折り曲げた。どうやら勇者クリフを殺すために城に行ったバモンは返り討ちにあい死んでしまったようだ。バモンは焦った。こんな事をしている場合ではない、今すぐこの場から逃げなくては。
もう一人のバモンは今人間と戦っていた。恐ろしく強い人間で、若き日の勇者クリフをほうふつとさせた。バモンの目の前にいる若い人間の男は、天馬の霊獣を従え、バモンと戦っていた。バモンが人間の男に攻撃魔法をしかけても、天馬の霊獣が防御魔法を使って、バモンの攻撃魔法を弾いてしまうのだ。そしてバモンに隙ができると、人間の男はすかさず剣でバモンに斬りつけている。だがバモンがフードの中に忍ばせている小箱を傷つけないように決定的な攻撃はしかけてこなかった。
バモンはチラリと横で自身の下僕として戦っているドラゴンのフローラを見た。フローラは依然生きて目の前の霊獣たちに攻撃をしていた。だがここでおかしな事がある。バモンはフローラの心臓の入った小箱を、勇者クリフを殺すために向かわせたバモンに持たせたのだ。だがあちらのバモンは勇者クリフに斬り刻まれて死んだ。
ではフローラの心臓はどうしたのだろう。勇者クリフに斬り刻まれた時にフードの中に持っていれば、フローラの心臓の入った小箱も一緒に斬り刻まれるだろう。そうなればフローラも死んでしまうはずた。ならばフローラの心臓の入った小箱は一体どこにあるのだろう。あちらのバモンが戦闘中に落としてしまったのだろうか?
そこでバモンは一番考えたくない考えに思いいたった。誰かがバモンから小箱を奪ったのではないか?もしそうだとすると、非常に危険な事になる。バモンはそこでハタと辺りに視線を向ける。最初にフローラを助けに来た奴らの人数が少なくなっているのだ。以前は人間の娘と、人間の男がもう一人いたはずだ。そして霊獣ももっと多かった。もしかすると、今この場にいない誰かが、あちらのバモンから小箱を奪ったのだとしたら、今のバモンに勝ち目はない。何とか隙を見て逃げなければいけない。
だがその前に必ずやっておかなければならない事がある。それは、フローラの心臓が入った小箱を持った人間をまっ殺する事だ。もしフローラが心臓を取り戻せば、すぐさまバモンを倒そうと襲いかかってくるだろう。それは何としてもそししなければならない。それに、フローラと小箱を持った人間を殺せば、きっとバモンが逃げる隙ができるだろう。バモンは人間の若者と戦いながら、ひたすらフローラに近づく人間を待った。
つまりバモンは二人存在するのだ。バモンは、魔物と契約し魔に飲まれた人間の魂を糧として力を蓄えていった。五十年の歳月をかけて、やっと二人のバモンが復活した。復活したバモンはどうしてもやり遂げなければいけない事があった。
それは自分を死の淵に追いやった憎っくき勇者クリフと仲間のぎゃく殺だ。その者たちだけはどうしても生かしておけなかった。バモンは操りの魔法で、サイの霊獣、ゾウの霊獣、水の精霊を支配下においた。強力な魔力を有するこの霊獣と精霊を従えれば、老いぼれた勇者クリフなど恐るるに足らなかった。
だが驚いた事に、勇者クリフはこれっぽっちも衰えていなかった。それどころか新たな仲間と共に、バモンに対して戦いを挑んできたのだ。だが新たに仲間に加わった若い者たちは、勇者クリフと召喚士に比べるとはるかに見おとりがした。
だが戦闘が進むにしたがって、新たな援軍がやって来てしまったのだ。三頭の霊獣が加わる事により、形勢は一気に逆転してしまった。バモンは勇者クリフの剣に斬り刻まれ、死んでしまった。だがもう一人のバモンは健在だ。また魂を分けて復活すればいい。それまでせいぜいつかの間の平安を享受しているがいい。バモンは勇者クリフに呪いの言葉を吐いて死んだ。
もう一人のバモンは突然の激しい心臓の痛みに身体を折り曲げた。どうやら勇者クリフを殺すために城に行ったバモンは返り討ちにあい死んでしまったようだ。バモンは焦った。こんな事をしている場合ではない、今すぐこの場から逃げなくては。
もう一人のバモンは今人間と戦っていた。恐ろしく強い人間で、若き日の勇者クリフをほうふつとさせた。バモンの目の前にいる若い人間の男は、天馬の霊獣を従え、バモンと戦っていた。バモンが人間の男に攻撃魔法をしかけても、天馬の霊獣が防御魔法を使って、バモンの攻撃魔法を弾いてしまうのだ。そしてバモンに隙ができると、人間の男はすかさず剣でバモンに斬りつけている。だがバモンがフードの中に忍ばせている小箱を傷つけないように決定的な攻撃はしかけてこなかった。
バモンはチラリと横で自身の下僕として戦っているドラゴンのフローラを見た。フローラは依然生きて目の前の霊獣たちに攻撃をしていた。だがここでおかしな事がある。バモンはフローラの心臓の入った小箱を、勇者クリフを殺すために向かわせたバモンに持たせたのだ。だがあちらのバモンは勇者クリフに斬り刻まれて死んだ。
ではフローラの心臓はどうしたのだろう。勇者クリフに斬り刻まれた時にフードの中に持っていれば、フローラの心臓の入った小箱も一緒に斬り刻まれるだろう。そうなればフローラも死んでしまうはずた。ならばフローラの心臓の入った小箱は一体どこにあるのだろう。あちらのバモンが戦闘中に落としてしまったのだろうか?
そこでバモンは一番考えたくない考えに思いいたった。誰かがバモンから小箱を奪ったのではないか?もしそうだとすると、非常に危険な事になる。バモンはそこでハタと辺りに視線を向ける。最初にフローラを助けに来た奴らの人数が少なくなっているのだ。以前は人間の娘と、人間の男がもう一人いたはずだ。そして霊獣ももっと多かった。もしかすると、今この場にいない誰かが、あちらのバモンから小箱を奪ったのだとしたら、今のバモンに勝ち目はない。何とか隙を見て逃げなければいけない。
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