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バモンの最期
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アスランはまんじりと過ぎる時間に我知らず舌打ちをした。フードの魔物がフローラの心臓を持っている以上、むやみに傷つけるわけにはいかない。メリッサの計画では、アスランとアポロンがフードの魔物の注意を引いている隙に、胸元の小箱を奪うというものだった。だがメリッサたちは一向に行動を起こさなかった。アスランがジリジリと待っていると、突然巨大なドラゴンがフードの魔物に襲いかかってきた。元の大きさに戻ったグラキエースだった。グラキエースはなんのちゅうちょもなくフードの魔物に容赦のない魔法攻撃をしかけてきた。アスランはたまらず叫んだ。
「ダメだグラキエース!まだフローラの心臓の小箱を手に入れていない」
だがグラキエースはアスランの言葉が耳に入っていないようで、攻撃の手を緩める事はなかった。しばらくグラキエースとフードの魔物の猛攻が続いた後、アスランのペンダントにメリッサから連絡が入った。
「アスラン、聞こえる?」
「ああ、聞こえてるよメリッサ。グラキエースがフードの魔物に攻撃しているんだ。まだ小箱を手に入れていないのに」
アスランが不安げに言うと、メリッサはあっけらかんと答えた。
「それなら大丈夫よ!心臓はフローラに返ったから。グリフがフローラの心臓が入った小箱を持ってきてくれたの。だからアスラン、遠慮なくフードの魔物と戦って!」
メリッサの言葉にアスランはハッとした。グリフが仲間を抜けると言った時、アスランはグリフに裏切られたと思って彼を罵った。だがメリッサは、グリフの真意がわからないようで、いぶかるような表情だった。メリッサはグリフが裏切る事など考えてもいなかったのだ。アスランは己を恥じた。口ではグリフは仲間だと言っていたのに、グリフの真意を推しはかろうともしなかったのだ、今度グリフに会ったら謝ろうと心に誓った。そしてアスランは目の前の敵、フードの魔物をにらんだ、もう心置きなく剣を振るえるのだ。
アスランが剣を構え直すと、となりで声がした。白馬のアポロンの声ではない、それにアスランは現在地上から離れた空中にいるのだ。驚いてとなりを振り向くと、そこにはアスランの姉ヴイヴィアンが空中に立っていた。アスランはすっとんきょうな声をあげた。
「姉さん!何でここに!」
姉のヴイヴィアンはアスランをギロリとにらんで言った。
「それは言えぬ、機密事項だ!」
アスランはため息をついて答えた。
「姉さんは西の方向にある依頼を受けに行こうとしてここに来ちゃったんだろ?」
アスランの言葉に、姉のヴイヴィアンは驚いた顔で言った。
「な、何故それを?!アスラン貴様、人の心を読む魔法を使ったな!?何とハレンチな奴なんだ!恥を知れ!」
「姉さんの行動なんか聞かなくてもわかるよ。所で姉さん、目の前にいる魔物を倒す手伝いをしてくれないかい?」
「アスラン!このような弱い魔物一人で倒せないとは情けない!所で、何でアポロンは空を飛んでいるのだ?」
ヴイヴィアンは不思議そうにアスランの愛馬アポロンを見た。ヴイヴィアンはアポロンが霊獣になった事を知らないのだ。マイペースなヴイヴィアンに、アポロンは律儀に話をしている。
『お姉さん、ご助力感謝します』
アスランはたまらず叫んだ。
「姉さん!アポロンの事は後で説明するから!戦いに集中してくれ!」
フードの魔物がアスランとヴイヴィアンに強力な攻撃魔法を放った。すかさずアポロンが防御魔法でアスランたちを守る。アスランは姉のヴイヴィアンに叫んだ。
「行くよ!姉さん!」
「言われるまでもない!遅れをとるなよアスラン!」
ヴイヴィアンは剣に炎魔法をかけて、フードの魔物に強力な一刀を打ち込んだ。アスランも剣に風魔法をまとわせて斬り込んだ。だがフードの魔物は防御魔法でアスランたちの攻撃を防いだ。アスランたちが後退すると、すかさずドラゴンのグラキエースが強力な氷攻撃魔法を放った。グラキエースは頭に血がのぼっているようで、アスランたちが近くにいるのにお構いなしに攻撃をしかけるので、アスランたちは防御魔法で待機せざるを得なかった。グラキエースはものすごく怒っているようだった。無理もない、大切な自身の守護者が死んでしまうかもしれなかったのだから。
グラキエースの攻撃魔法の猛攻の中、地鳴りのような咆哮がこだました。アスランが声の方に振り向くと、小山のように大きなドラゴン、フローラの声だった。フローラは大きな身体をフードの魔物に向けるといかくのうなり声をあげた。その途端、フードの魔物が浮いているちょうど下の地面からものすごい勢いで巨大なツタ植物が生え出してきた。そのツタはあっと言う間にフードの魔物を取り込み、がんじがらめにしてしまった。フローラの土魔法だ。フードの魔物はフローラの魔法に身動きが取れないようだ。モゾモゾと無様に動いている。アスランは姉のヴイヴィアンを見た。ヴイヴィアンもアスランを見てうなずく。ヴイヴィアンの剣は炎をまとい、アスランは自身の剣に風魔法をほどこした。そして、二人同時にフードの魔物に斬りかかった。フードの魔法はアスランとヴイヴィアンの剣により、バラバラになり地面に落下した。フードの魔物の頭部が憎々しげに言った。
「おのれぇ、この私が下等な人間に負けるとは・・・」
フードの魔物の言葉に、ヴイヴィアンは不敵な笑みを浮かべて吐き捨てた。
「ふん、貴様は最初から人間に対して慢心があったのだ。慢心こそ貴様の敗北の最大の原因だ、地獄で反省するのだな!」
アスランは、落下していくフードの魔物をただジッと見ていた。フードの魔物だった肉塊は、地面に叩きつけられると、跡形もなく消えていった。
「ダメだグラキエース!まだフローラの心臓の小箱を手に入れていない」
だがグラキエースはアスランの言葉が耳に入っていないようで、攻撃の手を緩める事はなかった。しばらくグラキエースとフードの魔物の猛攻が続いた後、アスランのペンダントにメリッサから連絡が入った。
「アスラン、聞こえる?」
「ああ、聞こえてるよメリッサ。グラキエースがフードの魔物に攻撃しているんだ。まだ小箱を手に入れていないのに」
アスランが不安げに言うと、メリッサはあっけらかんと答えた。
「それなら大丈夫よ!心臓はフローラに返ったから。グリフがフローラの心臓が入った小箱を持ってきてくれたの。だからアスラン、遠慮なくフードの魔物と戦って!」
メリッサの言葉にアスランはハッとした。グリフが仲間を抜けると言った時、アスランはグリフに裏切られたと思って彼を罵った。だがメリッサは、グリフの真意がわからないようで、いぶかるような表情だった。メリッサはグリフが裏切る事など考えてもいなかったのだ。アスランは己を恥じた。口ではグリフは仲間だと言っていたのに、グリフの真意を推しはかろうともしなかったのだ、今度グリフに会ったら謝ろうと心に誓った。そしてアスランは目の前の敵、フードの魔物をにらんだ、もう心置きなく剣を振るえるのだ。
アスランが剣を構え直すと、となりで声がした。白馬のアポロンの声ではない、それにアスランは現在地上から離れた空中にいるのだ。驚いてとなりを振り向くと、そこにはアスランの姉ヴイヴィアンが空中に立っていた。アスランはすっとんきょうな声をあげた。
「姉さん!何でここに!」
姉のヴイヴィアンはアスランをギロリとにらんで言った。
「それは言えぬ、機密事項だ!」
アスランはため息をついて答えた。
「姉さんは西の方向にある依頼を受けに行こうとしてここに来ちゃったんだろ?」
アスランの言葉に、姉のヴイヴィアンは驚いた顔で言った。
「な、何故それを?!アスラン貴様、人の心を読む魔法を使ったな!?何とハレンチな奴なんだ!恥を知れ!」
「姉さんの行動なんか聞かなくてもわかるよ。所で姉さん、目の前にいる魔物を倒す手伝いをしてくれないかい?」
「アスラン!このような弱い魔物一人で倒せないとは情けない!所で、何でアポロンは空を飛んでいるのだ?」
ヴイヴィアンは不思議そうにアスランの愛馬アポロンを見た。ヴイヴィアンはアポロンが霊獣になった事を知らないのだ。マイペースなヴイヴィアンに、アポロンは律儀に話をしている。
『お姉さん、ご助力感謝します』
アスランはたまらず叫んだ。
「姉さん!アポロンの事は後で説明するから!戦いに集中してくれ!」
フードの魔物がアスランとヴイヴィアンに強力な攻撃魔法を放った。すかさずアポロンが防御魔法でアスランたちを守る。アスランは姉のヴイヴィアンに叫んだ。
「行くよ!姉さん!」
「言われるまでもない!遅れをとるなよアスラン!」
ヴイヴィアンは剣に炎魔法をかけて、フードの魔物に強力な一刀を打ち込んだ。アスランも剣に風魔法をまとわせて斬り込んだ。だがフードの魔物は防御魔法でアスランたちの攻撃を防いだ。アスランたちが後退すると、すかさずドラゴンのグラキエースが強力な氷攻撃魔法を放った。グラキエースは頭に血がのぼっているようで、アスランたちが近くにいるのにお構いなしに攻撃をしかけるので、アスランたちは防御魔法で待機せざるを得なかった。グラキエースはものすごく怒っているようだった。無理もない、大切な自身の守護者が死んでしまうかもしれなかったのだから。
グラキエースの攻撃魔法の猛攻の中、地鳴りのような咆哮がこだました。アスランが声の方に振り向くと、小山のように大きなドラゴン、フローラの声だった。フローラは大きな身体をフードの魔物に向けるといかくのうなり声をあげた。その途端、フードの魔物が浮いているちょうど下の地面からものすごい勢いで巨大なツタ植物が生え出してきた。そのツタはあっと言う間にフードの魔物を取り込み、がんじがらめにしてしまった。フローラの土魔法だ。フードの魔物はフローラの魔法に身動きが取れないようだ。モゾモゾと無様に動いている。アスランは姉のヴイヴィアンを見た。ヴイヴィアンもアスランを見てうなずく。ヴイヴィアンの剣は炎をまとい、アスランは自身の剣に風魔法をほどこした。そして、二人同時にフードの魔物に斬りかかった。フードの魔法はアスランとヴイヴィアンの剣により、バラバラになり地面に落下した。フードの魔物の頭部が憎々しげに言った。
「おのれぇ、この私が下等な人間に負けるとは・・・」
フードの魔物の言葉に、ヴイヴィアンは不敵な笑みを浮かべて吐き捨てた。
「ふん、貴様は最初から人間に対して慢心があったのだ。慢心こそ貴様の敗北の最大の原因だ、地獄で反省するのだな!」
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