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盛平

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メリッサとエイミー

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 あかりは舞踏会の会場に足を踏み入れて驚いた。天井にはシャンデリアが光り輝いていて、会場には大輪の花のような貴婦人たちがひしめき合っていた。あかりは突然美しい女性に声をかけられた。

「メリッサ、とっても綺麗だわ」

 あかりはその美しい女性を見ながら目をパチクリさせた。あかりの名前を知っているという事は知り合いなはずだが、あかりはこんな美しい女性の知り合いなんていなかった。美しい女性は、あかりの食い入るような視線に照れたような笑顔を浮かべて言った。

「似合わないわよね?私みたいな田舎女がこんなに着飾って」

 あかりはそこでハッとして言った。

「ひょっとしてエイミー?!」
「・・・、うん。このドレス、ピピの土魔法で作ってもらったの。こんな綺麗なドレス、私には似合わないんだけど」
「そんな事ない!エイミーとっても綺麗!私ちっとも気がつかなかった」

 あかりの後からグリフがエイミーに、そつのない賞賛の言葉を述べ、アスランもエイミーの美しさを褒めた。アスランは嘘をつくのが恐ろしく下手なのでエイミーがおせじ抜きの美人で、本当に良かったとあかりは思った。するとエイミーの後ろから男性が声をかけた。

「そんな事ないよ。エイミー、とっても似合っているよ」

 その男性は立派なスーツに身を包んだバートだった。エイミーのとなりにバートが立つと、二人はとてもお似合いだった。だがそこであかりはある事に気がついた。エイミーの身につけているアクセサリーの宝石がとても大ぶりなのだ。若い女性のエイミーにはもっと小さな宝石のほうが、彼女の若さと美しさを引き立てるのではないかと思われた。エイミーの首元には、大粒のピンクダイヤモンドが輝いていた。そのまわりには大小様々のダイヤがちりばめられていて、とても豪華なペンダントだった。彼女の左手の中指には驚くほどの大粒のブルーダイヤのリングが輝いていた。そして彼女の頭に輝くのは、重そうにも思える沢山のダイヤモンドをちりばめたぜいたくなティアラだった。エイミーはあかりの視線がアクセサリーに向いているのを見て言った。

「これはねメリッサ、営業なのよ。ここにはお金持ちの貴族のご婦人方が沢山いるわ。ピピのの作った宝石を欲しがる人もいるでしょう?」

 エイミーたちが活動している、霊獣と野生動物の保護活動はとてもお金がかかる。綺麗事だけではやっていけないのだ。そのためエイミーは、保護活動の資金を稼ぐためピピと宝石を作って売っているらしい。エイミーにとって、舞踏会の場はお金持ちと出会える営業の場でもあるのだ。エイミーの足元からうさぎのピピとオウムのポーが顔を出し、口々に言った。

『エイミー、バート。えいぎょうがんばってね』
「二人ともしっかり稼いできてね」

 エイミーとバートはうなずくと、貴族たちが踊っている場に混ざっていった。これからエイミーは貴婦人たちに見事な宝石のアクセサリーをみせびらかさなければいけないのだ。バートはエイミーをぎこちなくエスコートしてダンスを始めた。バートとエイミーは見つめ合い、とても楽しそうだ。ふとあかりは思った。あかりもいつか素敵な男性とめぐりあって恋をするのだろうか。前世では恋をせずに死んでしまった、だから現世ではそんな体験もしてみたい。できるなら、父のように畑を耕す事を好んでくれる男性がいい。あかりがぼんやりと考えていると、子虎のティグリスが話しかけてきた。

『なぁなぁメリッサ。ピピたちがあっちにフルーツがあるから食べに行こうって言ってる。行っていい?』

 あかりがティグリスの方に振り向くと、ピピたちの後ろに大きなテーブルがあって、その上には色とりどりの野菜やフルーツが盛り付けられていた。これはどうやら霊獣たちのために用意してくれているようだ。あかりがうなずくと、ティグリスは嬉しそうにテーブルの上に乗っかってフルーツを食べ始めた。ティグリスもグラキエースも、小さくなったアポロンも、ピピとポーと一緒に嬉しそうにフルーツを食べていた。可愛い動物たちの愛らしい姿に、あかりの頬が緩んだ。

 あかりが舞踏会会場の奥を見ると、そこは会場よりも高くなっていて、豪華な玉座にトランド国王が座っていた。そのかたわらにはゼノが立っていて、足元には国王の契約霊獣パンテーラが優雅に寝転んでいた。あかりの目では確認できないが、きっとゼノの契約精霊ノーマもいるのだろう。国王たちは和やかに談笑していた。平和な光景に、あかりの心はあたたかくなった。
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