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盛平

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連れていかれるアスラン

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 微笑んだアスランは、あかりに振り向くと手を差し伸べて言った。

「じゃあメリッサ、僕たちも踊ろう」

 あかりはあいまいにうなずくと、アスランの手を取ろうとした。すると、突然アスランに声をかける人がいた。

「アスランさま!」

 アスランたちが声の方を振り向くと、そこには美しく着飾った少女が立っていた。とても美しいその少女は、瞳は紫、髪は絹糸のようなプラチナブロンド。肌は雪のように白かった。まるで、あかりが小さい頃想像していたお姫さまそのものだった。アスランに声をかけたという事は、アスランの知り合いなのだろうか。だがアスランは首をかしげて少女に言った。

「あの、どちらさまでしょうか?」

 少女はハッとした表情をしてから、恥ずかしそうに微笑んだ。その笑顔はとても愛らしく魅力的だった。少女はドレスのすそを持ち上げてあいさつした。

「申し遅れました。アカード子爵家が三女ジョセフィーヌと申します」

 アスランは、ジョセフィーヌがあいさつしてもピンとこなかったようで、そのまま首をかしげたままだった。あかりはふと、誰かの視線に気づいた。見るとジョセフィーヌがあかりを見ていた。まるで品定めをするような嫌な視線だった。

 ジョセフィーヌは、あかりを頭からからつま先まで見ると、ふふんとあざ笑うように笑ったのだ。あかりは途端に顔がカァッと赤くなるのがわかった。完ぺきなお姫さまのジョセフィーヌから見たら、あかりはいくらグリフとアスランに綺麗に着飾ってもらったといっても、ただの村娘なのだ。あかりは急にこの場から逃げ出したい気持ちになった。

 するとあかりの横に立っていたグリフが、ぶしつけな視線でジョセフィーヌをジロジロ見た。そしてニヤリと笑ってから、あかりの肩を抱いて、あかりだけに聞こえる声で言った。

「あんなクソガキよりメリッサの方が百倍綺麗だ。堂々としていろ」

 どうやらグリフはあかりを元気づけてくれたようだ。グリフの声が耳にくすぐったくてあかりは笑った。ふとジョセフィーヌを見ると、彼女は悔しそうに顔をゆがめていた。ジョセフィーヌはあかりから視線をアスランに戻して言った。

「アスランさま。どうかわたくしとダンスを踊ってくださいませんか?」
「えっ?!僕はメリッサとダンスを・・・」

 アスランがためらっていると、グリフが声をかけた。

「アスラン、レディを待たせちゃいけないぞ。行ってこい」

 アスランは不安そうにあかりを見た。あかりはアスランを心配させないように言った。

「アスラン、行ってあげて?私は大丈夫だから」

 気がつくとアスランの周りには、着飾った少女たちが群がってきた。少女たちは口々にアスランにダンスを申し込む。あかりは村娘なので、貴族のマナーなんて知らない。だがダンスというのは男性が女性に申し込むものなのではないだろうか。少女たちはケンカを始め、ののしり合いにまで発展した。だがジョセフィーヌは負けておらず、一番最初にアスランとダンスをするのは自分だといってゆずらない。あかりは、最初にアスランとのダンスを約束していたのは自分なのに、と心がモヤモヤした。

 少女たちはジョセフィーヌの後に誰がダンスするのかを決めていたが、どうやら家柄が高い者から先にダンスをする事にしたらしい。アスランは、少女たちに引きずられるように会場の真ん中に連れていかれた。

 あかりはグリフに声をかけられた。

「さぁメリッサ、俺たちも行こう」
「うん」

 あかりはグリフに手を引かれて歩き出そうとすると、今度はグリフが女性に囲まれた。だが先ほどのアスランの時とは違い、女性たちの年齢はあかりよりも大分歳上に見えた。女性の一人がグリフに言った。

「グリフィスさま、わたくしとダンスをしていただけませんか?」

 すると他の女性たちも口々にグリフにダンスを申し込んできた。だがグリフはやんわりと彼女たちの申し出を断って、あかりをエスコートしてくれた。

 あかりはダンスなんて生まれてこのかたやった事がない。不安な気持ちでグリフに言った。

「グリフ、やっぱり私ダンスなんて無理だわ」
「そんな事ないさ、ダンスなんで簡単だ」

 グリフはそう言ってあかりの腰を抱くと、自分の肩にあかりの手をそえさせた。グリフは楽団の音楽に合わせてステップを踏み始めた。あかりに、自分のステップに合わせるように言う。あかりは必死になってグリフについていった。すると次第に慣れてきた。グリフはあかりをリードしてクルクルと回った。あかりのドレスがフワリと揺れた。



 

 

 
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