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グリフの娘
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グリフたちが舞踏会会場に行くと、アスランが貴族の娘につかまった。グリフはニヤリと笑った、予想通りの展開だったからだ。現在貴族の間でまことしやかに語られているウワサがある。それは、トランド国王の後継者は勇者から選ばれるというものだ。トランド国王自身も元勇者だった。そしてトランド国王の子女は王女が二人。しかもその二人は貴族に嫁がせている。孫に男子がいないわけではないが、トランド国王は高齢であるが霊獣と契約しているため若々しくこれからも国王として国を治めていくだろう。だが今回勇者ヴイヴィアンを除いて五人の者に勇者の称号が授与された。貴族の娘たちは色めき立った、勇者になったアスランは容姿端麗、質実剛健。もし勇者アスランを射止める事ができれば将来は王妃になれるかもしれないのだ。
だがまずそんな事は起きないだろう。何故ならアスランは、見た目に反して中身はポンコツだからだ。しかし貴族の娘たちはそんな事はちっともわからない。ただうっとりとアスランを見つめていた。アスランが貴族の小娘どもとダンスを踊っていては、メリッサと踊る時間などないだろう。これでグリフは可愛いメリッサを一人占めできるのだ。
だがそこでグリフにとても腹立たしい出来事が起きた。アスランをダンスに誘ったジョセフィーヌという貴族の小娘が、メリッサを頭の先から足の先まで見て、あざけりの笑みを浮かべたのだ。メリッサはジョセフィーヌの視線を理解して、顔をこわばらせた。グリフは胸にどす黒い感情が湧き上がった。見た目だけ着飾った貴族の小娘が、メリッサを笑ったのだ。メリッサの事を何も知らないくせに。メリッサは見た目の美しさだけではない、気高く美しい心を持った強い娘だ。そしてグリフの可愛い可愛い娘でもあるのだ。
グリフはジョセフィーヌを頭のてっぺんから足の先までぶしつけな視線を送り、そしてニヤニヤとふべつの笑みを浮かべた。そしてメリッサの肩を抱いて、わざとメリッサの耳元でしゃべった。
「あんなクソガキよりメリッサの方が百倍綺麗だ。堂々としていろ」
メリッサは他人をおとしめて喜ぶような娘ではない。案の定くすぐったがって、メリッサはクスクス笑った。グリフがジョセフィーヌの顔を見ると、みにくくゆがんでいた。グリフとメリッサに笑われたとわかったのだろう。グリフのりゅういんは少し下がった。
アスランの元には、砂糖に群がるアリの群れのように貴族の娘たちが集まりだした。アスランはまるで売られる子牛のように不安そうな目でメリッサを見てから、ジョセフィーヌに引っ張られていった。
これで邪魔者が消えた。グリフはメリッサの手を取って歩き出そうとした。すると、グリフに声をかける者がいた。
「グリフィスさま。わたくしとダンスを踊っていただけませんこと?」
そこには美しく着飾った貴族の女がいた。だがアスランに群がった小娘よりだいぶ年かさがある。その女を皮切りに、グリフの側に女どもが群がりだした。きっと行き遅れか出戻りの貴族の女どもだろう、グリフはげんなりした。とうの立ったグリフですらも狙われているのか。まるでハイエナだ、グリフはうんざりしながらも表面上には笑みを浮かべ穏やかな声色で答えた。
「申し訳ありませんご婦人たち、娘のエスコートをしなければいけませんので。メリッサ、ごあいさつを」
かたわらのメリッサは、スカートのすそを持ち上げて可愛らしくおじぎをした。
「メリッサと申します」
群がったハイエナ女どもが息を飲むのがわかった。皆メリッサの若さと美貌にせんぼうの眼差しでみいっているのだ。グリフは上機嫌でメリッサの手を取り会場の真ん中まで歩いていった。
メリッサが不安そうにグリフを見上げて言う。
「グリフ、私ダンスなんてできないわ」
グリフは優しく微笑んでメリッサの右手を取ると、左手でメリッサの腰に手をそえた。そしてメリッサにグリフの腕に左手をそえるよううながした。グリフは曲をかなでる楽団のしらべに合わせてステップを踏み始めた。メリッサに後に続くように指示する。メリッサは最初はおっかなびっくり踊っていたが、次第に動きがなめらかになってきた。グリフがメリッサに言う。
「上手いじゃないかメリッサ!とても初めてとは思えないぞ?」
「グリフの教え方が上手なのよ。ダンスって楽しいのね!」
メリッサは頬を染めて微笑んだ。グリフはその表情の美しさに思わず息を飲んだ。メリッサは若く、そして美しい。そこでグリフはふと、娘のアーニャがもし生きていたら、このようにグリフとダンスを踊ってくれただろうかと考えた。成長せず五歳で亡くなった愛しい娘。成長したアーニャを想像しようとするがうまくいかなかった。グリフは苦笑しながらメリッサを抱いてコマのようにクルクルと回った。メリッサは嬉しそうにキャアキャアと笑い声をあげた。
これでいい、グリフは思った。娘のアーニャとの思い出は心の中の小箱に大切にしまっておこう。これからは、もう一人の大切な娘メリッサの成長を楽しみに生きていこうと。
だがまずそんな事は起きないだろう。何故ならアスランは、見た目に反して中身はポンコツだからだ。しかし貴族の娘たちはそんな事はちっともわからない。ただうっとりとアスランを見つめていた。アスランが貴族の小娘どもとダンスを踊っていては、メリッサと踊る時間などないだろう。これでグリフは可愛いメリッサを一人占めできるのだ。
だがそこでグリフにとても腹立たしい出来事が起きた。アスランをダンスに誘ったジョセフィーヌという貴族の小娘が、メリッサを頭の先から足の先まで見て、あざけりの笑みを浮かべたのだ。メリッサはジョセフィーヌの視線を理解して、顔をこわばらせた。グリフは胸にどす黒い感情が湧き上がった。見た目だけ着飾った貴族の小娘が、メリッサを笑ったのだ。メリッサの事を何も知らないくせに。メリッサは見た目の美しさだけではない、気高く美しい心を持った強い娘だ。そしてグリフの可愛い可愛い娘でもあるのだ。
グリフはジョセフィーヌを頭のてっぺんから足の先までぶしつけな視線を送り、そしてニヤニヤとふべつの笑みを浮かべた。そしてメリッサの肩を抱いて、わざとメリッサの耳元でしゃべった。
「あんなクソガキよりメリッサの方が百倍綺麗だ。堂々としていろ」
メリッサは他人をおとしめて喜ぶような娘ではない。案の定くすぐったがって、メリッサはクスクス笑った。グリフがジョセフィーヌの顔を見ると、みにくくゆがんでいた。グリフとメリッサに笑われたとわかったのだろう。グリフのりゅういんは少し下がった。
アスランの元には、砂糖に群がるアリの群れのように貴族の娘たちが集まりだした。アスランはまるで売られる子牛のように不安そうな目でメリッサを見てから、ジョセフィーヌに引っ張られていった。
これで邪魔者が消えた。グリフはメリッサの手を取って歩き出そうとした。すると、グリフに声をかける者がいた。
「グリフィスさま。わたくしとダンスを踊っていただけませんこと?」
そこには美しく着飾った貴族の女がいた。だがアスランに群がった小娘よりだいぶ年かさがある。その女を皮切りに、グリフの側に女どもが群がりだした。きっと行き遅れか出戻りの貴族の女どもだろう、グリフはげんなりした。とうの立ったグリフですらも狙われているのか。まるでハイエナだ、グリフはうんざりしながらも表面上には笑みを浮かべ穏やかな声色で答えた。
「申し訳ありませんご婦人たち、娘のエスコートをしなければいけませんので。メリッサ、ごあいさつを」
かたわらのメリッサは、スカートのすそを持ち上げて可愛らしくおじぎをした。
「メリッサと申します」
群がったハイエナ女どもが息を飲むのがわかった。皆メリッサの若さと美貌にせんぼうの眼差しでみいっているのだ。グリフは上機嫌でメリッサの手を取り会場の真ん中まで歩いていった。
メリッサが不安そうにグリフを見上げて言う。
「グリフ、私ダンスなんてできないわ」
グリフは優しく微笑んでメリッサの右手を取ると、左手でメリッサの腰に手をそえた。そしてメリッサにグリフの腕に左手をそえるよううながした。グリフは曲をかなでる楽団のしらべに合わせてステップを踏み始めた。メリッサに後に続くように指示する。メリッサは最初はおっかなびっくり踊っていたが、次第に動きがなめらかになってきた。グリフがメリッサに言う。
「上手いじゃないかメリッサ!とても初めてとは思えないぞ?」
「グリフの教え方が上手なのよ。ダンスって楽しいのね!」
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これでいい、グリフは思った。娘のアーニャとの思い出は心の中の小箱に大切にしまっておこう。これからは、もう一人の大切な娘メリッサの成長を楽しみに生きていこうと。
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