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第8話 激突
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ワシは漆黒の地下線路をひた走る。
冷たい風が鋼鉄の体を鋭く叩く。
通路に灯されたライトは、一つまたひとつ数える間もなく通り過ぎてゆく。
「ヒャッホーッ!」
ワシはグングン加速する。
「このスピード感……
堪らんぞい!
サーキットのようじゃ!」
不謹慎にも……
目的を忘れ、今の状況を楽しんでいる自分がおる。
……こんなことしておったら、また風月に怒られてしまうのう(笑)
「おっとっと。
そろそろ境界の壁辺りじゃ。
減速せねばのう」
……と……
……まてよ……?
えっと……
どうやって止まれば!?
「あわわわっ!
ワシとしたことが!
ブレーキを取り付けるの忘れておったわい!
ヤバイよ、ヤバイよ~」
ワシはレールの上を軽快に加速する。
いやいや、さらに加速してどうするのじゃ!
これが【軽快】なわけあるかい!
ブレーキを付け忘れたワシの【後悔】じゃあ~!
「ウヒョ~!
お助け~!」
境界の壁はもうすぐに迫っている。
この非常事態を研究室のモニターを見つめていた風月たちも気付いていた。
***
「花鳥博士。
モニターの光点を見てくださいよ。
もうすぐ境界の壁なのに……」
「ほんとだわ。
一旦減速しないと壁に激突するんじゃ!?
それとも通路部分だけ穴が開いてるのかしら?
アイツに連絡取れないかしら?」
私はマイクの横にある小さな緑色のボタンを押した。
「このボタン?
ポチッとな」
ポチッ
ジジー ガーガー
正解だったようである。
レールを有線としどうやら牧夫に通信が繋がったらしい……
繋がったは良いけれど……
「ウヒョ~!
お助け~!」
「牧夫!?
どうしたの?」
向こう側からは牧夫の叫び声……
「おお、風月かあ。
止まらんのじゃ!
ブレーキ!
ブレーキ!
取り付けるのを忘れておった!」
「なっ!?」
悪い意味でこいつは予想を裏切らない。
否、その右斜上をいく。
「死ぬ~!
風月、助けてくれ~!
マンマミーア!
ヒエ~ッ!
メーデー!
メーデー!」
ドッカーンッ
ボカボカボカッ
ドッドーンッ
スピーカーの向こうからただならぬ激突音が響き渡る。
「牧夫!
牧夫!」
「・・・」
全くの無反応……
体重129.3キロの巨体が時速150キロで壁に激突。
E=1/2mv^2
我々の想像を越えた破壊力!
スピーカーから遅れること5.9秒……
120dbの大きさで地下線路を爆音が反響する。
耳を塞がないと耐えられないぐらいの爆音である。
そのさらに0.2秒後……
秒速20メートルの圧力波が研究室を襲った。
ドンッ
ハンマーで殴られたような衝撃が風月の胸を叩いた。
「うげっ。
何よ、この衝撃圧!
それにキンキンと反響音で耳の奥が痛いじゃないのよ!
ねえ牧夫!」
「・・・」
「牧夫ってばー!」
10秒後……
ピーッ ガガガ
再び牧夫からの通信が再開された。
***
「う……うへへ~……
ビビったわい。
死ぬかと思った~……」
砂煙の中、変形を解きワシはその場に立ちあがった。
「大丈夫なの牧夫!」
心配そうな風月の声が聞えてくる。
「心配してくれるのか、風月よ」
「誰もあんたの心配なんかしてないわよ!
【スフィンクス】の制御プログラムは壊れてないかって聞いてるのよ!」
「相変わらずすなおじゃないのう♡」
「語尾の♡やめなさい。
ほんとキモいから!」
「しゃべってるだけなのに。よく♡がわかったのう。
さすが愛しのハニーじゃ♡」
「だから♡はやめろって言ってるでしょうが!
で……
あんたもプログラムも無事なのね?」
「もちろんじゃ。
ワシのボディーはロボットアニメも顔負けのスーパードラニュームZでできておるからなあ」
あちらに見えていようが見えていまいが関係ない。
ワシは誇らしげに胸を張った。
「そんな合金知らないわよ。
またシレッととんでもない発明品を会話にぶっ込んでこないでよね。
……それよりもこのあとはどうすんのよ!?」
おっ!?
発明を褒められた?
ワシは機嫌よく答える。
「ここからは歩いてゆくことにする。
ワシの足裏にあるホバーを使えば【スフィンクス】の中枢まではすぐじゃ」
「今度は止まれないなんてことはないんでしょうね!?」
「それは大丈夫じゃ。
逆噴射すればいいだけじゃからな」
「・・・」
風月が一瞬沈黙する。
「どうしたのじゃ、風月!?」
ワシの言葉に風月は呆れたように口を開いた。
「なんで、さっき激突する前に、その逆噴射を使わなかったの?」
「あっ……!」
「ほんとバッカじゃない!」
「そ、それは……
あとのことを考えて、力を温存しておかなくては……」
「なかなか苦しい言い訳ね。
あんた本当にIQ600なの?」
「IQとこのおっちょこちょいの性格は別物じゃ」
「ほら、あんた、さっきの激突は自分のミスだって認めてるじゃん」
「ぐぬぬ……
痛いところを突きおってからに!」
歯はないけれどワシはギギギと歯ぎしりをした。
どこで?
いや、気持ち的に……
「とりあえず、イジメるのはこれぐらいにしといてあげるから、絶対に最後までやり遂げるのよ。
人類の明暗はあんたの肩にかかってるんだからね!」
「それは百も承知!」
「ほんとしっかりしなさいよね!
頼んだわよ!」
「任せろ。
それではあらためて出発じゃ!」
ワシは足裏から軽くジェットを噴射し浮き上がる。
「視界良好。
オールグリーン!
牧夫っいきま~すっ!」
ゴゴーッ
ワシは噴射口を後ろに向け前に向かって飛び立……
ドッドーン ガシャガシャ
「ど、どうしたの!?
牧夫!」
「おー、びっくりしたわい。
壁の扉を開けておくのを忘れておったわ」
「あんた、大概にしなさいよ」
また風月を怒らせてしまったわい。
ワシは腕を伸ばして扉に認証コードを打ち込むと、その閉ざされていた重苦しい雰囲気の扉はゆっくりと口を開いた。
まるで魔界へ続く扉の向うは不穏な空気が漂っておる。
しかし、ワシは行かねばならぬ。
人類の未来のために!
ワシ……
カッコいい!
で……
タイトルの【激突】って【スフィンクス】とじゃなかったんか~い!
冷たい風が鋼鉄の体を鋭く叩く。
通路に灯されたライトは、一つまたひとつ数える間もなく通り過ぎてゆく。
「ヒャッホーッ!」
ワシはグングン加速する。
「このスピード感……
堪らんぞい!
サーキットのようじゃ!」
不謹慎にも……
目的を忘れ、今の状況を楽しんでいる自分がおる。
……こんなことしておったら、また風月に怒られてしまうのう(笑)
「おっとっと。
そろそろ境界の壁辺りじゃ。
減速せねばのう」
……と……
……まてよ……?
えっと……
どうやって止まれば!?
「あわわわっ!
ワシとしたことが!
ブレーキを取り付けるの忘れておったわい!
ヤバイよ、ヤバイよ~」
ワシはレールの上を軽快に加速する。
いやいや、さらに加速してどうするのじゃ!
これが【軽快】なわけあるかい!
ブレーキを付け忘れたワシの【後悔】じゃあ~!
「ウヒョ~!
お助け~!」
境界の壁はもうすぐに迫っている。
この非常事態を研究室のモニターを見つめていた風月たちも気付いていた。
***
「花鳥博士。
モニターの光点を見てくださいよ。
もうすぐ境界の壁なのに……」
「ほんとだわ。
一旦減速しないと壁に激突するんじゃ!?
それとも通路部分だけ穴が開いてるのかしら?
アイツに連絡取れないかしら?」
私はマイクの横にある小さな緑色のボタンを押した。
「このボタン?
ポチッとな」
ポチッ
ジジー ガーガー
正解だったようである。
レールを有線としどうやら牧夫に通信が繋がったらしい……
繋がったは良いけれど……
「ウヒョ~!
お助け~!」
「牧夫!?
どうしたの?」
向こう側からは牧夫の叫び声……
「おお、風月かあ。
止まらんのじゃ!
ブレーキ!
ブレーキ!
取り付けるのを忘れておった!」
「なっ!?」
悪い意味でこいつは予想を裏切らない。
否、その右斜上をいく。
「死ぬ~!
風月、助けてくれ~!
マンマミーア!
ヒエ~ッ!
メーデー!
メーデー!」
ドッカーンッ
ボカボカボカッ
ドッドーンッ
スピーカーの向こうからただならぬ激突音が響き渡る。
「牧夫!
牧夫!」
「・・・」
全くの無反応……
体重129.3キロの巨体が時速150キロで壁に激突。
E=1/2mv^2
我々の想像を越えた破壊力!
スピーカーから遅れること5.9秒……
120dbの大きさで地下線路を爆音が反響する。
耳を塞がないと耐えられないぐらいの爆音である。
そのさらに0.2秒後……
秒速20メートルの圧力波が研究室を襲った。
ドンッ
ハンマーで殴られたような衝撃が風月の胸を叩いた。
「うげっ。
何よ、この衝撃圧!
それにキンキンと反響音で耳の奥が痛いじゃないのよ!
ねえ牧夫!」
「・・・」
「牧夫ってばー!」
10秒後……
ピーッ ガガガ
再び牧夫からの通信が再開された。
***
「う……うへへ~……
ビビったわい。
死ぬかと思った~……」
砂煙の中、変形を解きワシはその場に立ちあがった。
「大丈夫なの牧夫!」
心配そうな風月の声が聞えてくる。
「心配してくれるのか、風月よ」
「誰もあんたの心配なんかしてないわよ!
【スフィンクス】の制御プログラムは壊れてないかって聞いてるのよ!」
「相変わらずすなおじゃないのう♡」
「語尾の♡やめなさい。
ほんとキモいから!」
「しゃべってるだけなのに。よく♡がわかったのう。
さすが愛しのハニーじゃ♡」
「だから♡はやめろって言ってるでしょうが!
で……
あんたもプログラムも無事なのね?」
「もちろんじゃ。
ワシのボディーはロボットアニメも顔負けのスーパードラニュームZでできておるからなあ」
あちらに見えていようが見えていまいが関係ない。
ワシは誇らしげに胸を張った。
「そんな合金知らないわよ。
またシレッととんでもない発明品を会話にぶっ込んでこないでよね。
……それよりもこのあとはどうすんのよ!?」
おっ!?
発明を褒められた?
ワシは機嫌よく答える。
「ここからは歩いてゆくことにする。
ワシの足裏にあるホバーを使えば【スフィンクス】の中枢まではすぐじゃ」
「今度は止まれないなんてことはないんでしょうね!?」
「それは大丈夫じゃ。
逆噴射すればいいだけじゃからな」
「・・・」
風月が一瞬沈黙する。
「どうしたのじゃ、風月!?」
ワシの言葉に風月は呆れたように口を開いた。
「なんで、さっき激突する前に、その逆噴射を使わなかったの?」
「あっ……!」
「ほんとバッカじゃない!」
「そ、それは……
あとのことを考えて、力を温存しておかなくては……」
「なかなか苦しい言い訳ね。
あんた本当にIQ600なの?」
「IQとこのおっちょこちょいの性格は別物じゃ」
「ほら、あんた、さっきの激突は自分のミスだって認めてるじゃん」
「ぐぬぬ……
痛いところを突きおってからに!」
歯はないけれどワシはギギギと歯ぎしりをした。
どこで?
いや、気持ち的に……
「とりあえず、イジメるのはこれぐらいにしといてあげるから、絶対に最後までやり遂げるのよ。
人類の明暗はあんたの肩にかかってるんだからね!」
「それは百も承知!」
「ほんとしっかりしなさいよね!
頼んだわよ!」
「任せろ。
それではあらためて出発じゃ!」
ワシは足裏から軽くジェットを噴射し浮き上がる。
「視界良好。
オールグリーン!
牧夫っいきま~すっ!」
ゴゴーッ
ワシは噴射口を後ろに向け前に向かって飛び立……
ドッドーン ガシャガシャ
「ど、どうしたの!?
牧夫!」
「おー、びっくりしたわい。
壁の扉を開けておくのを忘れておったわ」
「あんた、大概にしなさいよ」
また風月を怒らせてしまったわい。
ワシは腕を伸ばして扉に認証コードを打ち込むと、その閉ざされていた重苦しい雰囲気の扉はゆっくりと口を開いた。
まるで魔界へ続く扉の向うは不穏な空気が漂っておる。
しかし、ワシは行かねばならぬ。
人類の未来のために!
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カッコいい!
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