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第13話 合体だニャン♡
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「ワオーンッ!」
業火のコンビナートに犬の遠吠えが響き渡る。
「ワン ワン ワン ワン」
「近づいてくる……
後ろから!?」
私は振り返り、鳴き声の主を探した。
すると、駐車場に停まっているトラックの陰から、一匹の獣らしきものがこちらに向かって駆けてくる。
「ワルツ~ッ!
無事かあ~っ!」
「犬!?
何で私の名前を呼んでるの?」
まあ、猫だって喋るんだ。
犬だって喋っても構わないけどさ。
とりあえず、私はその不思議な状況を、すんなりと受け入れることにした。
でもさ……
「この犬、なんか変だよね。
まるでロボットじゃん」
形はドーベルマンだけど、青い鋼鉄のボディに赤く光る目。
これはもう、昭和アニメに出てくる主人公の相棒犬よね?
「ワルツ、やっと見つけた!」
「あんた何者?」
「僕はキミを探しに、この世界にやって来た。
名前はフレンディ」
「おいおい、名前までニアミスかよ」
「どうかしたの?」
「いや、こっちの話だよ」
「とにかく、詳しい説明はあとだ。
まず、この状況をなんとかしなくっちゃね」
フレンディの言葉で私は慌てて現状に意識を戻した。
「すぐに先輩たちを助けないと!」
ハッゴーン バッバーンッ!
ナメクジ怪獣はさらにヒートアップして、コンビナートの球形タンクを次々に破壊している。
炎はどんどん広がり、暗雲立ち込める空は、黒煙でより一層黒に染まっていった。
「僕に任せて!
彼女たちを助けに行こう!
さあ、ワルツ、叫ぶんだ!
フレンディカーゴと!」
言われるがままに私は叫ぶ。
「フレンディ~ッ カーゴッ!」
「ワオーンッ!」
ギュイン ギュイン ギュイン
遠吠えとともに、フレンディは、みるみるうちにフォルムを運搬用の大きなカーゴに変えた。
「行くよ!
ワルツ!
さあ、乗って!」
私は急いでフレンディカーゴに飛び乗った。
「しっかり掴まってよ!」
ビューンッ!
フレンディカーゴは疾風の如く瓦礫の間を駆けてゆく。
数秒後には、先輩たちが倒れているところに、辿り着いていた。
「早く皆をカーゴに載せないと!」
私は先輩たちを必死にカーゴへ押し上げた。
雪乃先輩まではよかったが……
「ふんぬ~っ」
ルージュさん!
あなたの重さ、通常の三倍よね。
赤い服着てるなら、それはスピードだけにしてくれるかしら!
まさに火事場の馬鹿力。
なんとかルージュさんもカーゴに載せると、私は急いでその場を離脱した。
ナメクジ怪獣は球形タンクを破壊することに集中しており、こちらの行動を気にする様子がなかったので助かった。
いや、まだだ……
このままだと先輩たちは危ない。
「なんとかしなきゃ……」
気を失ったままの先輩を見つめながら、必死に考えを巡らせていると、いつのまにか、フレンディは犬の姿に戻っていた。
「ワルツ、これをすぐに彼女たちに繋ぐんだ」
フレンディの背中の装甲がゆっくりと開き、細長い光沢のある金属でできたケーブルが4本姿を現した。
「これは?」
「早く!」
私はフレンディに言われるまま、先輩たちにケーブルを接続した。
「キミは僕の尻尾を掴んで、チャージと叫ぶんだ」
私はフレンディの尻尾を掴んだ。
「チャージ!」
その瞬間、私の体から波動が流れ出る感覚があった。
「今、僕の体を媒介として、キミのエネルギーを彼女たちに分け与えているんだよ」
「げっ!
そんな荒業……
私、干からびてしまわないかなあ」
私は一抹の不安を口にした。
「それは大丈夫。
キミの食生活は調査済みだ。
少しぐらい、他人にエネルギーを分け与えても、死にゃあしないよ。
むしろ、よいダイエットになるんじゃないかなあ」
「……あんた、なかなか言うわねえ……」
脇腹の脂肪を軽く摘みつつも、私はフレンディをジッと睨んだ。
「ワルツ、そんなに睨んでないでよ。
ほら、気がついたみたいだよ」
「先輩……」
私は祈る気持ちで先輩を見つめる。
「う、う~ん……
あれ?
ワルツ、いったい、あんたどうしてこんなところに?」
目を開いた先輩は、ゆっくりとその場で上半身を起こした。
「うえ~ん、雪乃せんぱ~い!」
私は思いっきり先輩に抱きついた。
「だから、いちいち抱きつくのはやめなさいっ!
それに今はノアールだって!
ちょ、こらっ!
痛いってばさ~!」
ノアールだかノンアルだか、そんなのはどうでもよい。
先輩が無事だった。
大好きな雪乃先輩が……
「だって~っ……
先輩が死んじゃってたら!
私……
私……
うえ~んっ」
私は思いっきり、両手、両足で雪乃先輩をホールドした。
「よし、よし、私は生きているわよ。
安心しなさい。
あなたが助けてくれたのね。
ありがとう」
そう言って、雪乃先輩は私を優しく抱きしめてくれた。
「ゆぎのぜんば~いっ!
グスンッ
ジュルジュルジュル」
「ちょ、あんた、鼻水、鼻水!
きったないわねえ……
早く離れなさぁい!」
「うわ~ん。
いやです~
はだでまで~ん」
私はさらに、強くホールドした。
「ん、んん……?
あら、あら、ワルツちゃん!?
ノアールちゃんも。
ふたりとも、相変わらず仲良しさんね。
私とフウテンが無事ってことは、ノアールちゃんとヤマトちゃん、ワルツちゃんが、アイツから助け出してくれたのかしら?」
ルージュさんは、チラッとナメクジ怪獣に視線を移して尋ねた。
「いや、ルージュが倒れたあと、私も倒されちゃって、気がついたら、この状況だったの。
だからいい加減に離れなさい!」
ゴンッ
私はゲンコツを喰らい、あまりの痛さに、不覚にも先輩からホールドを解いてしまった。
「ということは、ワルツちゃんが助けてくれたってことかしら?
てか、何、そこのカッコイイわんちゃんは!」
ルージュさんがフレンディを見つける。
「あの子はフレンディって言うの。
私と一緒に皆を助けてくれたのよ」
私の答えで、ルージュさんはパッとフレンディに笑顔を向けた。
「あら、そうだったのぉ」
ルージュさんはニコニコしながらフレンディに近づいていく。
「ちょっとこの子、カッコイイじゃないのさぁ」
不穏な空気を察知し、フレンディは引きつった顔で二、三歩後退りした。
「怯えちゃって。
かわいいんだから。
これはお礼よ」
そう言うや否や……
as soon as……
ルージュさんは、フレンディを捕まえ、おデコにチュッとキスをし始めた。
「チュッ チュッ チュッ……
おりこうさんねえ。
ありがとう
チュッ チュッ チュッ……」
ルージュさんは激しいキスを、フレンディに繰り返す。
「ちょ、ルージュさん、今そんなことしている場合じゃないでしょ!」
私は固まるフレンディを助けるために、割って入った。
「あ~らごめんなさい。
ついついね」
この人はこんな状況下でも……
バタバタと賑やかにしていると、ヤマトちゃんとフウテンちゃんも、気がついたようだ。
すくっと立ち上がり、自分の手足をパンパンとさわりながら、無事を確認している。
「それよりも、ワルツ、あんた、いつから犬なんて飼ってたの?
てか、ロボットだし……
そんな大型の犬、玩具メーカーから発売されてたっけ?」
先輩が当然の質問を投げかけてきた。
「私も今さっき知り合ったばかりなんですよ。
先輩たちが倒れたとき、突然現れたんです。
なんか私を探してたんですって」
「そうなんだ。
でも、詳しい話はまたあとで。
とりあえずは、アイツをなんとかしないとね。
ほら、街の方に向かおうとしてるじゃないか」
フレンディの言葉に全員がナメクジ怪獣の方に目を向けた。
「さあ、こんなところで油を売っている場合じゃない。
急がなきゃ」
「でも、フレンディ、何か打つ手はあるの?」
「ああ、このまま生身であんなヤツに戦いを挑んでも、結果は変わらないだろ?
だから、キミたちには、強力なマシンを用意する」
フレンディは懐から小さなカプセルを四つ取り出すと、少し離れた空き地に投げ放った。
ボンッ ボンッ ボンッ ボンッ
カプセルが割れると、目の前に4台の戦闘マシンが姿を見せた。
「ワルツ以外の皆は、それぞれのマシンに搭乗するんだ。
操縦については、AIがサポートするんで安心してね。
さあ!」
フレンディの合図で、先輩たちは、それぞれのマシンに乗り込んだ。
「ノアールボンバー(2号機)発信」
「ルージュパンザー(3号機)発信」
「ヤマトフリゲート(4号機)発信」
「フウテンランダー(5号機)発信」
グゴーッ!
ギュンッ ギュンッ
ギュンッ ギュンッ
マシンは次々に飛び立っていった。
「で……
私のは?」
ひとり取り残された私は、首を傾げながら、フレンディに尋ねた。
「キミにはとびっきりのを用意しているさ。
その前に……
キミも変身だ!」
フレンディはすくっと二本足で立ち上がり、犬のエサみたいな骨型アイテムを私に手渡した。
「それは【ボーンカプセル】っていうんだ。
天に掲げてボタンを押すんだ!」
「何よこのアイテム。
まるでベータカプセルじゃないのさ。
私はM78星雲からやってきたんじゃないわよ」
文句を言いつつも、フレンディに言われるがまま、私は【ボーンカプセル】のボタンを力いっぱい押した。
ピカッ
ヒュン ヒュン ヒュン
私は光の粒子となり、メタモルフォーゼする。
「シュワッチ!」
次の瞬間、巨大化こそしていなかったものの、私は左手を腰、右手は天高く拳を上げ、その場に立っていた。
「どうかな?
その格好?」
フレンディは、サッと私の前に鏡を出した。
「まんま、光の国の人じゃないのさ!」
辛うじて頭の上に、可愛らしい犬耳カチューシャが付いてるけどさあ……
「素敵だよ」
「ねえ、フレンディ……
もうちょっと、この格好、なんとかならなかったのかしら?」
「ヒーローって言えば、その姿でしょ!」
「……」
私は、無表情でフレンディを見つめた。
「わ、わかったよ。
どんなのがいいんだい?」
「私は女の子よ。
先輩みたいに美少女戦士のフォルムが筋ってもんでしょ!」
私は少し怒った口調でフレンディに言葉を返した。
「わかったよ。
ちぇっ、カッコイイと思ったのにさ」
ブツブツ言いながらも、なんとかフレンディは、私の姿をセーラー戦士にしてくれた。
「それじゃあ、あらためて。
ワルツ、準備はいいかい?」
「ええ、いつでも」
「さあ、叫ぶんだ!
フレンディクルーザーと!」
「フレンディ~ッ クルーザーッ!」
「ワオーンッ!」
ギュイン ギュイン ギュイン
フレンディが雄叫びを上げると、その姿はみるみるうちに空飛ぶマシンへ。
そしてシュパンッと宙に舞い上がった。
私は駆け出し、地面を強く蹴り、コックピットに飛び乗ると、すぐに上空を旋回していた先輩たちに合流した。
「ワルツ、急がないと、被害がどんどん広がっちゃうよ」
パネル越しにランプを光らせ、フレンディが話しかけてくる。
「そうね。
早速、攻撃開始するわ。
このマシンの攻撃は怪獣に有効なんでしょ?」
「もちろんさ。
自衛隊のミサイルとは違って、キミたちの特別な力をエネルギーにしているからね」
「それじゃあ、行くわよ」
私は急いで攻撃態勢に入ろうとした。
「いや、待って!
ちょっと僕の話を聞くんだ。
キミたちひとりひとりの力では、あのナメクジ怪獣を倒すことはできない。
力を一つに合わせなきゃ。
まずはV字に編隊を組むんだ!」
私はパネルに向かってコクリと頷いた。
「Vトゥゲザー!」
私の掛け声で、五つのマシンはV字に編隊を組む。
「そして、全員、赤いボタンを押すんだ!
ボルトインだ!」
フレンディの指示が飛ぶ。
「「「「「了解!」」」」」
五機のマシンが同時に応答した。
私たちは操縦桿の横にある赤いボタンを息を揃えて押し込んだ。
「レッツ ボルトインッ!」
操縦桿は上下に開き、新しいパネルが私の目の前に現れた。
どこかから勇ましい歌が聴こえてきそうである。
私の機体の腹部が開き、大きな顔が姿を現す。
2号機は反転し、肩口を左右に大きく開けると、1号機とドッキングした。
3号機も反転し、2号機とドッキング。
胴体となる。
4号機も3号機に接近。
やがてドッキングし、両足となった。
最後に5号機である。
これは二つに分離し、踝から下を構成する。
両腕が伸び、拳が現れる。
空中で上体を起こすと、黄色い目がキラリと光った。
両手を思いっきり開いたのち、敵に向かって拳を向け、名乗りをあげる。
「ボルトス・ファイブ!」
ババーンッ!
ナメクジ怪獣は、ゆっくりとこちらに振り返り、威嚇の咆哮を上げた。
「ナメナメ~ンッ!」
「いつまでも、好き勝手にはさせないわ!」
炎のコンビナートを背に、鋼鉄の巨人が大地に立った。
業火のコンビナートに犬の遠吠えが響き渡る。
「ワン ワン ワン ワン」
「近づいてくる……
後ろから!?」
私は振り返り、鳴き声の主を探した。
すると、駐車場に停まっているトラックの陰から、一匹の獣らしきものがこちらに向かって駆けてくる。
「ワルツ~ッ!
無事かあ~っ!」
「犬!?
何で私の名前を呼んでるの?」
まあ、猫だって喋るんだ。
犬だって喋っても構わないけどさ。
とりあえず、私はその不思議な状況を、すんなりと受け入れることにした。
でもさ……
「この犬、なんか変だよね。
まるでロボットじゃん」
形はドーベルマンだけど、青い鋼鉄のボディに赤く光る目。
これはもう、昭和アニメに出てくる主人公の相棒犬よね?
「ワルツ、やっと見つけた!」
「あんた何者?」
「僕はキミを探しに、この世界にやって来た。
名前はフレンディ」
「おいおい、名前までニアミスかよ」
「どうかしたの?」
「いや、こっちの話だよ」
「とにかく、詳しい説明はあとだ。
まず、この状況をなんとかしなくっちゃね」
フレンディの言葉で私は慌てて現状に意識を戻した。
「すぐに先輩たちを助けないと!」
ハッゴーン バッバーンッ!
ナメクジ怪獣はさらにヒートアップして、コンビナートの球形タンクを次々に破壊している。
炎はどんどん広がり、暗雲立ち込める空は、黒煙でより一層黒に染まっていった。
「僕に任せて!
彼女たちを助けに行こう!
さあ、ワルツ、叫ぶんだ!
フレンディカーゴと!」
言われるがままに私は叫ぶ。
「フレンディ~ッ カーゴッ!」
「ワオーンッ!」
ギュイン ギュイン ギュイン
遠吠えとともに、フレンディは、みるみるうちにフォルムを運搬用の大きなカーゴに変えた。
「行くよ!
ワルツ!
さあ、乗って!」
私は急いでフレンディカーゴに飛び乗った。
「しっかり掴まってよ!」
ビューンッ!
フレンディカーゴは疾風の如く瓦礫の間を駆けてゆく。
数秒後には、先輩たちが倒れているところに、辿り着いていた。
「早く皆をカーゴに載せないと!」
私は先輩たちを必死にカーゴへ押し上げた。
雪乃先輩まではよかったが……
「ふんぬ~っ」
ルージュさん!
あなたの重さ、通常の三倍よね。
赤い服着てるなら、それはスピードだけにしてくれるかしら!
まさに火事場の馬鹿力。
なんとかルージュさんもカーゴに載せると、私は急いでその場を離脱した。
ナメクジ怪獣は球形タンクを破壊することに集中しており、こちらの行動を気にする様子がなかったので助かった。
いや、まだだ……
このままだと先輩たちは危ない。
「なんとかしなきゃ……」
気を失ったままの先輩を見つめながら、必死に考えを巡らせていると、いつのまにか、フレンディは犬の姿に戻っていた。
「ワルツ、これをすぐに彼女たちに繋ぐんだ」
フレンディの背中の装甲がゆっくりと開き、細長い光沢のある金属でできたケーブルが4本姿を現した。
「これは?」
「早く!」
私はフレンディに言われるまま、先輩たちにケーブルを接続した。
「キミは僕の尻尾を掴んで、チャージと叫ぶんだ」
私はフレンディの尻尾を掴んだ。
「チャージ!」
その瞬間、私の体から波動が流れ出る感覚があった。
「今、僕の体を媒介として、キミのエネルギーを彼女たちに分け与えているんだよ」
「げっ!
そんな荒業……
私、干からびてしまわないかなあ」
私は一抹の不安を口にした。
「それは大丈夫。
キミの食生活は調査済みだ。
少しぐらい、他人にエネルギーを分け与えても、死にゃあしないよ。
むしろ、よいダイエットになるんじゃないかなあ」
「……あんた、なかなか言うわねえ……」
脇腹の脂肪を軽く摘みつつも、私はフレンディをジッと睨んだ。
「ワルツ、そんなに睨んでないでよ。
ほら、気がついたみたいだよ」
「先輩……」
私は祈る気持ちで先輩を見つめる。
「う、う~ん……
あれ?
ワルツ、いったい、あんたどうしてこんなところに?」
目を開いた先輩は、ゆっくりとその場で上半身を起こした。
「うえ~ん、雪乃せんぱ~い!」
私は思いっきり先輩に抱きついた。
「だから、いちいち抱きつくのはやめなさいっ!
それに今はノアールだって!
ちょ、こらっ!
痛いってばさ~!」
ノアールだかノンアルだか、そんなのはどうでもよい。
先輩が無事だった。
大好きな雪乃先輩が……
「だって~っ……
先輩が死んじゃってたら!
私……
私……
うえ~んっ」
私は思いっきり、両手、両足で雪乃先輩をホールドした。
「よし、よし、私は生きているわよ。
安心しなさい。
あなたが助けてくれたのね。
ありがとう」
そう言って、雪乃先輩は私を優しく抱きしめてくれた。
「ゆぎのぜんば~いっ!
グスンッ
ジュルジュルジュル」
「ちょ、あんた、鼻水、鼻水!
きったないわねえ……
早く離れなさぁい!」
「うわ~ん。
いやです~
はだでまで~ん」
私はさらに、強くホールドした。
「ん、んん……?
あら、あら、ワルツちゃん!?
ノアールちゃんも。
ふたりとも、相変わらず仲良しさんね。
私とフウテンが無事ってことは、ノアールちゃんとヤマトちゃん、ワルツちゃんが、アイツから助け出してくれたのかしら?」
ルージュさんは、チラッとナメクジ怪獣に視線を移して尋ねた。
「いや、ルージュが倒れたあと、私も倒されちゃって、気がついたら、この状況だったの。
だからいい加減に離れなさい!」
ゴンッ
私はゲンコツを喰らい、あまりの痛さに、不覚にも先輩からホールドを解いてしまった。
「ということは、ワルツちゃんが助けてくれたってことかしら?
てか、何、そこのカッコイイわんちゃんは!」
ルージュさんがフレンディを見つける。
「あの子はフレンディって言うの。
私と一緒に皆を助けてくれたのよ」
私の答えで、ルージュさんはパッとフレンディに笑顔を向けた。
「あら、そうだったのぉ」
ルージュさんはニコニコしながらフレンディに近づいていく。
「ちょっとこの子、カッコイイじゃないのさぁ」
不穏な空気を察知し、フレンディは引きつった顔で二、三歩後退りした。
「怯えちゃって。
かわいいんだから。
これはお礼よ」
そう言うや否や……
as soon as……
ルージュさんは、フレンディを捕まえ、おデコにチュッとキスをし始めた。
「チュッ チュッ チュッ……
おりこうさんねえ。
ありがとう
チュッ チュッ チュッ……」
ルージュさんは激しいキスを、フレンディに繰り返す。
「ちょ、ルージュさん、今そんなことしている場合じゃないでしょ!」
私は固まるフレンディを助けるために、割って入った。
「あ~らごめんなさい。
ついついね」
この人はこんな状況下でも……
バタバタと賑やかにしていると、ヤマトちゃんとフウテンちゃんも、気がついたようだ。
すくっと立ち上がり、自分の手足をパンパンとさわりながら、無事を確認している。
「それよりも、ワルツ、あんた、いつから犬なんて飼ってたの?
てか、ロボットだし……
そんな大型の犬、玩具メーカーから発売されてたっけ?」
先輩が当然の質問を投げかけてきた。
「私も今さっき知り合ったばかりなんですよ。
先輩たちが倒れたとき、突然現れたんです。
なんか私を探してたんですって」
「そうなんだ。
でも、詳しい話はまたあとで。
とりあえずは、アイツをなんとかしないとね。
ほら、街の方に向かおうとしてるじゃないか」
フレンディの言葉に全員がナメクジ怪獣の方に目を向けた。
「さあ、こんなところで油を売っている場合じゃない。
急がなきゃ」
「でも、フレンディ、何か打つ手はあるの?」
「ああ、このまま生身であんなヤツに戦いを挑んでも、結果は変わらないだろ?
だから、キミたちには、強力なマシンを用意する」
フレンディは懐から小さなカプセルを四つ取り出すと、少し離れた空き地に投げ放った。
ボンッ ボンッ ボンッ ボンッ
カプセルが割れると、目の前に4台の戦闘マシンが姿を見せた。
「ワルツ以外の皆は、それぞれのマシンに搭乗するんだ。
操縦については、AIがサポートするんで安心してね。
さあ!」
フレンディの合図で、先輩たちは、それぞれのマシンに乗り込んだ。
「ノアールボンバー(2号機)発信」
「ルージュパンザー(3号機)発信」
「ヤマトフリゲート(4号機)発信」
「フウテンランダー(5号機)発信」
グゴーッ!
ギュンッ ギュンッ
ギュンッ ギュンッ
マシンは次々に飛び立っていった。
「で……
私のは?」
ひとり取り残された私は、首を傾げながら、フレンディに尋ねた。
「キミにはとびっきりのを用意しているさ。
その前に……
キミも変身だ!」
フレンディはすくっと二本足で立ち上がり、犬のエサみたいな骨型アイテムを私に手渡した。
「それは【ボーンカプセル】っていうんだ。
天に掲げてボタンを押すんだ!」
「何よこのアイテム。
まるでベータカプセルじゃないのさ。
私はM78星雲からやってきたんじゃないわよ」
文句を言いつつも、フレンディに言われるがまま、私は【ボーンカプセル】のボタンを力いっぱい押した。
ピカッ
ヒュン ヒュン ヒュン
私は光の粒子となり、メタモルフォーゼする。
「シュワッチ!」
次の瞬間、巨大化こそしていなかったものの、私は左手を腰、右手は天高く拳を上げ、その場に立っていた。
「どうかな?
その格好?」
フレンディは、サッと私の前に鏡を出した。
「まんま、光の国の人じゃないのさ!」
辛うじて頭の上に、可愛らしい犬耳カチューシャが付いてるけどさあ……
「素敵だよ」
「ねえ、フレンディ……
もうちょっと、この格好、なんとかならなかったのかしら?」
「ヒーローって言えば、その姿でしょ!」
「……」
私は、無表情でフレンディを見つめた。
「わ、わかったよ。
どんなのがいいんだい?」
「私は女の子よ。
先輩みたいに美少女戦士のフォルムが筋ってもんでしょ!」
私は少し怒った口調でフレンディに言葉を返した。
「わかったよ。
ちぇっ、カッコイイと思ったのにさ」
ブツブツ言いながらも、なんとかフレンディは、私の姿をセーラー戦士にしてくれた。
「それじゃあ、あらためて。
ワルツ、準備はいいかい?」
「ええ、いつでも」
「さあ、叫ぶんだ!
フレンディクルーザーと!」
「フレンディ~ッ クルーザーッ!」
「ワオーンッ!」
ギュイン ギュイン ギュイン
フレンディが雄叫びを上げると、その姿はみるみるうちに空飛ぶマシンへ。
そしてシュパンッと宙に舞い上がった。
私は駆け出し、地面を強く蹴り、コックピットに飛び乗ると、すぐに上空を旋回していた先輩たちに合流した。
「ワルツ、急がないと、被害がどんどん広がっちゃうよ」
パネル越しにランプを光らせ、フレンディが話しかけてくる。
「そうね。
早速、攻撃開始するわ。
このマシンの攻撃は怪獣に有効なんでしょ?」
「もちろんさ。
自衛隊のミサイルとは違って、キミたちの特別な力をエネルギーにしているからね」
「それじゃあ、行くわよ」
私は急いで攻撃態勢に入ろうとした。
「いや、待って!
ちょっと僕の話を聞くんだ。
キミたちひとりひとりの力では、あのナメクジ怪獣を倒すことはできない。
力を一つに合わせなきゃ。
まずはV字に編隊を組むんだ!」
私はパネルに向かってコクリと頷いた。
「Vトゥゲザー!」
私の掛け声で、五つのマシンはV字に編隊を組む。
「そして、全員、赤いボタンを押すんだ!
ボルトインだ!」
フレンディの指示が飛ぶ。
「「「「「了解!」」」」」
五機のマシンが同時に応答した。
私たちは操縦桿の横にある赤いボタンを息を揃えて押し込んだ。
「レッツ ボルトインッ!」
操縦桿は上下に開き、新しいパネルが私の目の前に現れた。
どこかから勇ましい歌が聴こえてきそうである。
私の機体の腹部が開き、大きな顔が姿を現す。
2号機は反転し、肩口を左右に大きく開けると、1号機とドッキングした。
3号機も反転し、2号機とドッキング。
胴体となる。
4号機も3号機に接近。
やがてドッキングし、両足となった。
最後に5号機である。
これは二つに分離し、踝から下を構成する。
両腕が伸び、拳が現れる。
空中で上体を起こすと、黄色い目がキラリと光った。
両手を思いっきり開いたのち、敵に向かって拳を向け、名乗りをあげる。
「ボルトス・ファイブ!」
ババーンッ!
ナメクジ怪獣は、ゆっくりとこちらに振り返り、威嚇の咆哮を上げた。
「ナメナメ~ンッ!」
「いつまでも、好き勝手にはさせないわ!」
炎のコンビナートを背に、鋼鉄の巨人が大地に立った。
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三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
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戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
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これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
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主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
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加藤あいは高校2年生。
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いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
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