ダブル魔眼の最強術師 ~前世は散々でしたが、せっかく転生したので今度は最高の人生を目指します!~

雪華慧太

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65、二人での特訓

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 さて、楽しい夕食の時を過ごしたその翌日。
 俺はいつものように庭で朝の訓練をしていた。
 前世はぐーたら暮らしていた俺だが、これは幼い頃からの習慣になってるから早起きも苦ではない。

 というよりも、重度の中二病患者の俺にとって魔法や剣の練習は完全に趣味の領域だからな。
 それも最高の趣味だ。

 散々見てきたアニメの主人公のように自分が魔法や剣を使えるようになるのなら、その為の訓練をやらない理由が見つからない。
 好きこそものの上手なれである。

 だが、今日の訓練はいつもとは違う。

 俺の傍にはブロンドの天使がいる。
 アーシェだ。

 俺が朝練をするために庭に出ようとしたら、アーシェも起きていて一緒に訓練がしたいって言ったんだよな。
 もちろん、俺はオーケーした。
 アーシェと一緒なら楽しいだろうし、朝練仲間が出来るのは嬉しいからな。

 毎日一人で中二病な技名を叫んでは、庭の岩をぶった切るヤバめの人生から卒業できそうだ。

 アーシェには才能があるし、俺は自分が教えられることをアーシェに伝えた。
 まずは、魔力を高める基礎だ。

「ねえ、ロイ、これでいい?」

「そうそう、アーシェ。お腹のその辺りと、頭のここを強く意識して魔力を循環するように高めていくんだよ」

 魔力を高める為の箇所は頭とお腹の部分にあるが、人によって微妙に位置が違う。
 俺の場合は、魔力の動きが視覚出来るからピンポイントでアーシェにそれがどこなのか教えることが出来るからな。
 指先でそこを示すことでアーシェも強く意識が出来るだろう。

 まあ、俺も赤ん坊の時に自分の姿を大きな鏡に映しながらやったっけか。

 魔法が使えるという嬉しさにニヤニヤしながらすくっと部屋の中で立ち上がっているその姿は、相当ヤバイ姿だっただろう。
 ある意味ちょっとしたホラーである。
 誰にも見られなくて良かったというものだ。

「う~ん!!」

 アーシェは、顔を真っ赤にして力を込めている。
 俺はそんな彼女に言った。

「もっと楽にして。それよりさ、アーシェの大事な人が怪我をして助けを求めてる姿を想像してみてよ。それを助ける為に力を使うって想像してみるんだ」

 イマジネーションが大事なのは、俺の師であるラフィーネ先生から学んだことだからな。
 魔力を高める方法と併せて、その動機付けをしてあげるのがいいだろう。

「うん!」

 アーシェは、目を閉じると自分の中で想像をしているようだ。
 大事な誰かが怪我をしているその姿を。
 そして、その相手を助けようとするアーシェの気持が高まっていくのを感じる。
 その瞬間、アーシェの両手が白く輝いた。

「ロイ! 私が治すから!!」

 どうやら、俺が怪我をした時のことの想像したらしい。
 なんだか嬉しいな。
 アーシェにとって俺は大事なんだってことが、その白い光の強さから伝わってくる。

「凄いや、アーシェ!!」

 思わず俺は声を上げた。
 元々才能があるとは思ってたけど、ここまでとは思わなかったな。
 そのうち、ママンと匹敵するようなヒーラーになるかもしれない。
 アーシェは嬉しそうに俺を見つめる。

「えへへ、ロイが怪我をしたって思ったら凄い力が出たの!」

 まさに天使である。
 俺はそんなアーシェに言った。

「今日はアリシアの店に行くからさ、アーシェの為にも何か道具を探さないとな。士官学校で必要だからさ」

 持ってない者は申請書を出せば学園から配られるそうだが、俺としてはアーシェにも一番合っているものを探してあげたい。
 杖もいいかもしれないし、それ以外にも何かあるかもしれないもんな。

「……でも、いいの?」

 遠慮がちにアーシェは俺を見つめる。

「当たり前だろ? 父さんも母さんもアーシェのことは娘同然に思ってるんだから」

「私も、ロイのお母さんとお父さんのこと大好き!」

 そんな話をしていると、アーシェの肩の上にビビが姿を現す。
 振り返ると、ラフィーネ先生が家からこちらを眺めていた。
 その顔はうっとりとしている。

 どうやら、結構前から俺たちを見ていたようだ。
 そして、俺たちに声をかけた。

「もう朝食だよ、ロイ、アーシェ! 今日は、エバースタイン商会に行くんだろう? アーシェにも何か道具を選ぶならあたしもついていくよ」

「ほんとですか? 助かります先生」

 杖や魔法道具を選ぶなら俺よりも、ラフィーネ先生の方が最適だろうからな。
 ビビもアーシェの肩の上で胸を張る。

「えへへ、ビビったら張り切ってる! ラフィーネさん、ありがとう」

 すっかりビビと仲良しのアーシェである。

「いいのさ、アーシェ。どうせ、最初からついていくつもりだったからね」

 礼を言って損したな。
 どうやら、初めからストーキング……いやついてくるつもりだったらしい。
 まあ、いずれにしてもラフィーネ先生がいてくれるのは心強い。

「さあ、そうと決まったら早く朝食を食べて、出かける準備をしようじゃないか!」

「ですね!」

「うん!」

 先生のその言葉に、俺たちは顔を見合わせると大きく頷いた。
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