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1巻
1-2
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2 目が覚めると
ゆっくりと、目を開ける。
日の光の眩しさから何度か瞬きをして、ぼんやりした意識のまま身体を起こした。
俺がいるのは、小高い丘のような場所にある草原だ。ここから数百メートル先には森が見える。
まず感じたのは、吸い込んだ空気の美味さ。信じられないほど澄んでいる。
確か、俺は死んで、女神に加護を貰い、巨大な白い玉に呑み込まれて……転生した、のか?
少なくとも、ここは俺の知っている場所ではないようだ。
肺の中を新鮮な空気で満たし、試しに小さく呟いてみる。
「オープンステータス」
名前:エイジ
種族:人間
職業:設定なし
HP:10 MP:7
力:7 体力:6
魔力:5 知恵:8
器用さ:5 素早さ:6
幸運:7
スキル:なし
魔法:なし
特殊魔法:時魔術【時の瞳】【加速】
加護:時の女神メルティの加護
【習得速度アップLV10】【言語理解】
【鑑定眼】【職業設定】
称号:なし
自分のステータスを見て、ほっと胸を撫で下ろす。
時の女神の加護は、しっかりとついていた。どうやらあれは夢ではなかったようだ。
HPって、生命力のことだよな。まさか、これがなくなると死ぬとか? ははは……そんな、ゲームじゃあるまいしな。
そんなことを考えていると、突然、頭の中に説明文が流れた。
『HP:生命力。0は瀕死状態を表し、そのまま放置すれば死に至る』
おお! 便利だな、これも鑑定眼のスキルの能力か。
でも、HPが0になると、やっぱり死ぬんだな。これは気をつけないとやばいぞ。転生してまたすぐ死ぬとか、カンベンだもんな。
同じように、ステータスの項目をいくつか調べてみる。
『MP:魔法力。これが0になると魔法の使用ができなくなる』
なるほどな。次は……力や知恵とかは分かるからいいか。あとは職業だな。
『職業:現在は設定なし。様々な行動で経験値を得ることにより、色々な職に就くことが可能。転職は、教会で神の祝福を受けた聖職者によって行われる』
今は言ってみれば無職みたいなもので、何かをしたら経験値がたまって転職できるんだな。
そう言えば、俺の場合は一級神の加護があるから好きに転職できるって、天使が言ってたっけ。
それを思い出して、急に不安に駆られた。
天使は、今俺がいる世界は結構物騒だとも言っていた。
メルティによれば、魔法や精霊、そして魔物まで存在する世界らしいからな。
自分のステータスを改めて見ると、どう考えても低い気がする。そして職すらない。
ついでに言えば、身につけているのはただのトレーナーとジーンズである。
……これってやばくね? ロールプレイングゲームのLV1で、装備もつけずに町の外をウロウロしているようなものだよな。
ゲームならやり直せばいい。だが、これは現実だ。HPがなくなれば死ぬ。
俺は焦って、近くに町や集落がないか探した。
とにかく、人がいる場所に行かなければ危ない。ずっとここにいたら魔物に襲われるかもしれないし、まずは誰かにこの世界のことをもっと詳しく聞かなければ、命がいくつあっても足りないだろう。
草原の先にある森の方を見てじっと目を凝らすと、森の奥から煙が立ち上っていることに気づいた。さらには、木々の天辺から突き出た塔の先端のようなものも見える。
きっと、あそこには人が住んでいるはずだ。結構広い範囲から煙が何本か上っているので、それなりに大きな町だと思う。
あの森を抜けることができたら、町には辿り着けそうだけれど……。
大抵のロールプレイングゲームは、平地よりも森の方がモンスターに出会う可能性が高い。
現実を考えても、薄暗くて木々で視界が遮られる森より、草原の方が安全そうだ。
空を見上げると、太陽が見えた。実際は、地球の近くにある太陽とは別物なのだろうが。
このまま夜になったら、危険度は今とは比べ物にならないだろう。
町に行くなら森を抜けるしかないし、日没までに辿り着けなければ、どんな危ない目に遭うか分からない。
この世界には魔物がいるらしいが、俺はそんな生き物に頭からバリバリと食われるのだけはごめんだ。
太陽は高い位置にあり、日が沈むまでにはまだ時間がありそうだ。
俺はもう一度周りを見渡し、せめて武器になるような物がないか探す。
そして、一本の小さな木が目に留まった。
あれなら使えるかもしれないな。
十メートルほど先にある木に近づき、手ごろな枝を折ろうとした。
……意外と硬いな。折れないぞ。
仕方なく手で折ることは諦め、木の根元に転がっている石を拾う。平たい石は手のひらサイズで、刃物のように鋭い面がある。
俺はその石を掴み、先程折ろうとしていた木の枝に振り下ろした。
まるで、斧の刃のごとく、石を木の枝に何度も食い込ませる。
――バキッ!!
少し疲れが出てきた頃になって、ようやく枝が折れた。
そして俺の足元に、野球のバットほどの太さの枝がドサリと落ちる。
その瞬間、俺の頭の中に声が響いた。
『職業:木こりがLV1になりました。【斧装備】を習得しました』
おお! そうか、別に魔物を倒さなくても経験値は入るんだな。
考えてみれば、世の中には戦闘職に限らず色々な職業があるのだ。その職業に合った行為で経験値が入るのは当然だろう。
とりあえず、職業を木こりに変えてみる。
「オープンステータス」
名前:エイジ
種族:人間
職業:木こりLV1
転職可能な職業:木こりLV1
HP:20 MP:7
力:15 体力:8
魔力:5 知恵:8
器用さ:12 素早さ:6
幸運:7
スキル:【斧装備】
魔法:なし
特殊魔法:時魔術【時の瞳】【加速】
加護:時の女神メルティの加護
【習得速度アップLV10】【言語理解】
【鑑定眼】【職業設定】
称号:なし
おおお! ステータスが上がってる!!
やばい、これは結構楽しい。
ゲームとかじゃなくて、自分自身が成長してるってことだからな。
満足した俺は地面に落ちた木の枝の節を、さっきの尖った石の先で落としていく。
この枝で木刀みたいなものを作り、それを持って森を抜けようと考えたのだ。
枝を綺麗にして全ての節を落とす頃には、俺の木こりのレベルは3になっていた。
やはり、メルティの加護の一つである習得速度アップLV10が効いているのだろう。
一本の木刀ができ上がると、頭の中に声が響いた。
『職業:木工職人がLV1になりました。【木工細工】を習得しました。女神メルティの加護、職業設定のスキルによりセカンドジョブを設定できます。設定しますか?』
セカンドジョブ? なんだそれは。
とにかく設定してみるか。ええと、木工職人をセカンドジョブに選択して……。
名前:エイジ
種族:人間
職業:木こりLV3
セカンドジョブ:木工職人LV1
転職可能な職業:木こりLV3、木工職人LV1
HP:30 MP:7
力:21 体力:12
魔力:5 知恵:10
器用さ:18(16+2) 素早さ:10
幸運:9
スキル:【斧装備】【木工細工】
魔法:なし
特殊魔法:時魔術【時の瞳】【加速】
加護:時の女神メルティの加護
【習得速度アップLV10】【言語理解】
【鑑定眼】【職業設定】
称号:なし
ん? ステータスが少し変だな。器用さの項目に、(16+2)という表示がある。
俺はそこに意識を集中して、鑑定眼のスキルを使った。
『ステータス補正値:セカンドジョブによるステータス補正値』
なるほどな。セカンドジョブに指定した木工職人LV1の方が、メイン職の木こりLV3より器用さが高いから、そこが補正されて上がってるのか。
俺は結構、この世界にはまってきた。
魔物を倒すだけじゃなく、何かをすることで経験値が入り、自分のできることが広がる世界。
まさに無限の可能性がある。
日本で流行っていたMMOゲームはいくつかやったことがあるが、戦闘職と生産職のバランスが取れているものがやっぱり面白かった。それらのゲームに、この世界は似ている気がする。
そんなことを考えながら、でき上がった木刀を握りしめ、試しに振ってみることにした。
テレビで見た時代劇みたいに、袈裟掛けにブンッと振り下ろす。
素振りだが、これで剣士にでも転職できれば儲けものだ。
俺は続けて何度も木刀の素振りをした。
そうして、百回は振っただろう。俺の習得速度は十倍だから、普通の人間で言えば千回も素振りしたことになるわけだ。
だが、まだ何の職業もスキルも獲得できていない。
うーん……剣ではなく木の棒だから駄目なのか、それともやっぱり何かを倒さないといけないのか。
木こりも木工職人も、木の枝を切り落としたり、枝を実際に加工したりして、それなりの成果があって初めてその職業を獲得している。
それを考えると、やはり戦闘職になるためには、実際に戦って相手を倒さないと駄目なのかもしれない。
空を見上げると、先ほどより少し日が傾いている。
俺は目の前に広がる森を見つめた。
もう進むしかないな。夜になる前にここを抜けないと。
3 森の中で
森に入り、迷わないように、一定間隔で通り道の木に石で印を刻んで進む。
気休めかもしれないが、何もやらないよりはましだろう。
次第に鬱蒼としてきて、俺の不安を駆り立てる。
くそ……何も出てくるなよ。
何しろここは日本じゃない。いや、地球ですらないからな。どんな生き物がいるのか、想像がつかない。
周りの気配に注意しながら、慎重に森の中を進んでいく。
まだ日没まで時間があるし、草原から見えた煙や塔の先端までの距離を考えると、町はそこまで遠くない。
だから、そんなに急いで進む必要はないのだが……自然と歩みが速くなっていくのが自分でも分かった。
まるで、熊や虎がいる森の中を歩いている気分だ。
幸い、今のところ化け物には出会っていないが、木刀はいつでも使えるようにしっかりと握っておく。
……ん? 今のは!
一時間ほど歩いただろうか。俺は前方に人影を見た気がして、その後を追った。
もしかしてあの町の人間か!? 助かった!!
相手の動きは、いかにも森を歩き慣れているといった様子だ。
ガサッガサガサ!
俺は、その人影が消えた茂みを掻き分けていく。
すると、森の中で佇む人の後ろ姿が見えた。
弓と矢筒を背負っている。猟師か何かだろうか?
俺は安堵の息を吐き、声をかける。
「すみません、ちょっといいですか?」
言葉が通じるだろうかと緊張して、少し声が上ずる。何しろ、この世界に来て初めて会う人間だ。
すると──
「ギグゥウウ!?」
人影は唸り声を上げて、こちらを振り返った。
俺はその顔を見て、目を見開いたままその場に凍りつく。
なんだこいつ……人間じゃないぞ!!
尖った鼻と耳。不揃いなギザギザの歯が生えた口。
少し背中を丸めた姿勢のまま、充血した目で俺をじっと睨みつけている。
どう見ても人間じゃない。まるで、ゲームに出てくるモンスターだ。
――やばい!!
本能的に、危険を察知した。
こいつは明らかに敵意を持っている。
恐怖と動揺から身体を動かせずにいると、その化け物は背負っていた弓を構え、獲物を狙うかのごとく俺に向けて矢を放った。
まずいぞこれ! 死ぬ!!
背中に冷たい汗が噴き出す。
だが、銀色の光は容赦なく目の前に迫ってくる。
俺が死を予感した、その瞬間──
なんだ!?
なぜか、自分に迫ってくる矢がはっきりと見えた。
先端にある尖った石の矢じり、その石の模様まで、しっかりと捉えられたくらいだ。
人並み外れて動体視力が高い奴でも、普通はそんなことなどできないだろう。
辛うじて首をひねった俺の頬を、矢が掠めて通り過ぎていく。
『時魔術【時の瞳】を使用。利用可能時間一分。警告!! 一度使用すると、次に使えるのは一日後です』
俺の頭の中にそんな声が響いた直後、背筋に冷や汗が流れた。
そうか、時魔術! 天使が言ってたやつだ。
ヤバかったな、これがなかったら今、確実に死んでた。
確かに便利だが、警告通りなら一度使ったら明日までは使えない。しかも、効果は一分間しかないという。
つまり一分以内に逃げるか、あいつを倒す以外、俺が生き延びる方法はない。
心臓が早鐘を打つ。
俺は木刀を握りしめ、そいつに向かって走った。
――やるしかねえ!!
逃げるっていう選択肢はない。
背中を向けたら殺される。
その証拠に、そいつはもう次の矢を番えていた。一連の動作はスムーズで、熟練の狩人なのだと見て取れる。
俺は矢の狙いを外すように回り込みながら、そいつとの距離を詰める。
『時魔術【加速】を使用。利用可能時間一分。警告!! 一度使用すると、次に使えるのは一日後です』
加速?
ふと身体を見てみると、自分が黄金に輝いていることに気がついた。
こいつも、あの天使が言っていた時魔術ってやつらしい。
そういえば、ステータスにも書いてあったよな。鑑定眼でしっかりチェックしておけばよかった。
どうやら、この時魔術というやつは、俺が危機を感じた時に自動的に発動するようだ。
身体がまるで羽根みたいに軽い。
前方で弓を構えている化け物は、俺の姿を追いきれずに矢を番えたままだ。
くそ! 迷っている暇はない!!
これも使えるのは、一分間だけらしいからな。
加速が発動しているうちに倒さないと、今度こそ手詰まりだろう。
こんなところで、殺されるのはごめんだ!
そいつとの距離が三メートルほどになり──
俺は、一気にその懐に飛び込んだ!
相手も同時に矢を放つ。
「うぉおおおおお!!」
矢が首筋を掠める。やはり、俺の速さについてこられなかったのだろう。
俺は木刀を振りかぶり、そいつ目がけて思い切り叩きつけた。
「ギゥグウウウウ!!」
嫌な感触が両手に伝わってきて、化け物が地面に倒れる。
「はぁ……はぁ……」
俺は荒い息を吐きながら、その場に立ち尽くしていた。
地面に倒れた相手は、ピクリとも動かない。
倒したか……。
全ては、ほんの僅かな間の出来事だったが、生まれて初めて体験する感覚に俺の手は震えていた。
だが、こいつを倒さなければ、確実に俺が殺されていたに違いない。
頭の中で声が響く。
『敵:エリートゴブリンアーチャーを倒しました』
『職業:初級剣士がLV5になりました。【剣装備】を覚えました。【踏み込み】を覚えました。【袈裟斬り】を覚えました』
エリートゴブリンアーチャー、それがこのモンスターの名前のようだ。
確かに、ゲームやファンタジー映画に出てくるゴブリンによく似ている。
初級剣士の職業を獲得して、一気にレベルが5になったのか。つまり、今の俺にとって、こいつは相当やばい相手だったんだろうな。
実際、判断や行動を少し間違えれば殺されていた。
俺は、地面に倒れているモンスターを呆然と見つめる。
初めての魔物、初めての戦闘、そして、初めて何かを殺したということ――
思うところは色々とあるが、いつまでも立ち尽くしているわけにはいかない。またいつ敵に出くわすかも分からないからな。
そうだ! まずは職業を……。
俺はオープンステータスと念じた後、職業を初級剣士に変える。
名前:エイジ
種族:人間
職業:初級剣士LV5
セカンドジョブ:木こりLV3
転職可能な職業:初級剣士LV5、木こりLV3、
木工職人LV1
HP:70 MP:10
力:28 体力:24
魔力:7 知恵:12
器用さ:18 素早さ:21
幸運:11
スキル:【斧装備】【剣装備】【踏み込み】
【袈裟斬り】
魔法:なし
特殊魔法:時魔術【時の瞳】【加速】
加護:時の女神メルティの加護
【習得速度アップLV10】【言語理解】
【鑑定眼】【職業設定】
称号:なし
凄え……。初級っていっても、やっぱり剣士だ。今までよりも段違いに強くなってる。
木こりや木工職人のレベルがそのままなのは、戦闘用の職業じゃないからだろう。
生産職は生産で、戦闘職は戦闘でレベルが上がるのかもしれない。
木工細工のスキルが消えているのは、木工職人の職業を外したからかな。
もしかして、木刀じゃなくて斧で倒せば、また違う職業を覚えたのだろうか?
剣装備っていうスキルを得たのだから、こんな木刀じゃなくてまともな剣も使いこなせるのだろう。
ゆっくりと、目を開ける。
日の光の眩しさから何度か瞬きをして、ぼんやりした意識のまま身体を起こした。
俺がいるのは、小高い丘のような場所にある草原だ。ここから数百メートル先には森が見える。
まず感じたのは、吸い込んだ空気の美味さ。信じられないほど澄んでいる。
確か、俺は死んで、女神に加護を貰い、巨大な白い玉に呑み込まれて……転生した、のか?
少なくとも、ここは俺の知っている場所ではないようだ。
肺の中を新鮮な空気で満たし、試しに小さく呟いてみる。
「オープンステータス」
名前:エイジ
種族:人間
職業:設定なし
HP:10 MP:7
力:7 体力:6
魔力:5 知恵:8
器用さ:5 素早さ:6
幸運:7
スキル:なし
魔法:なし
特殊魔法:時魔術【時の瞳】【加速】
加護:時の女神メルティの加護
【習得速度アップLV10】【言語理解】
【鑑定眼】【職業設定】
称号:なし
自分のステータスを見て、ほっと胸を撫で下ろす。
時の女神の加護は、しっかりとついていた。どうやらあれは夢ではなかったようだ。
HPって、生命力のことだよな。まさか、これがなくなると死ぬとか? ははは……そんな、ゲームじゃあるまいしな。
そんなことを考えていると、突然、頭の中に説明文が流れた。
『HP:生命力。0は瀕死状態を表し、そのまま放置すれば死に至る』
おお! 便利だな、これも鑑定眼のスキルの能力か。
でも、HPが0になると、やっぱり死ぬんだな。これは気をつけないとやばいぞ。転生してまたすぐ死ぬとか、カンベンだもんな。
同じように、ステータスの項目をいくつか調べてみる。
『MP:魔法力。これが0になると魔法の使用ができなくなる』
なるほどな。次は……力や知恵とかは分かるからいいか。あとは職業だな。
『職業:現在は設定なし。様々な行動で経験値を得ることにより、色々な職に就くことが可能。転職は、教会で神の祝福を受けた聖職者によって行われる』
今は言ってみれば無職みたいなもので、何かをしたら経験値がたまって転職できるんだな。
そう言えば、俺の場合は一級神の加護があるから好きに転職できるって、天使が言ってたっけ。
それを思い出して、急に不安に駆られた。
天使は、今俺がいる世界は結構物騒だとも言っていた。
メルティによれば、魔法や精霊、そして魔物まで存在する世界らしいからな。
自分のステータスを改めて見ると、どう考えても低い気がする。そして職すらない。
ついでに言えば、身につけているのはただのトレーナーとジーンズである。
……これってやばくね? ロールプレイングゲームのLV1で、装備もつけずに町の外をウロウロしているようなものだよな。
ゲームならやり直せばいい。だが、これは現実だ。HPがなくなれば死ぬ。
俺は焦って、近くに町や集落がないか探した。
とにかく、人がいる場所に行かなければ危ない。ずっとここにいたら魔物に襲われるかもしれないし、まずは誰かにこの世界のことをもっと詳しく聞かなければ、命がいくつあっても足りないだろう。
草原の先にある森の方を見てじっと目を凝らすと、森の奥から煙が立ち上っていることに気づいた。さらには、木々の天辺から突き出た塔の先端のようなものも見える。
きっと、あそこには人が住んでいるはずだ。結構広い範囲から煙が何本か上っているので、それなりに大きな町だと思う。
あの森を抜けることができたら、町には辿り着けそうだけれど……。
大抵のロールプレイングゲームは、平地よりも森の方がモンスターに出会う可能性が高い。
現実を考えても、薄暗くて木々で視界が遮られる森より、草原の方が安全そうだ。
空を見上げると、太陽が見えた。実際は、地球の近くにある太陽とは別物なのだろうが。
このまま夜になったら、危険度は今とは比べ物にならないだろう。
町に行くなら森を抜けるしかないし、日没までに辿り着けなければ、どんな危ない目に遭うか分からない。
この世界には魔物がいるらしいが、俺はそんな生き物に頭からバリバリと食われるのだけはごめんだ。
太陽は高い位置にあり、日が沈むまでにはまだ時間がありそうだ。
俺はもう一度周りを見渡し、せめて武器になるような物がないか探す。
そして、一本の小さな木が目に留まった。
あれなら使えるかもしれないな。
十メートルほど先にある木に近づき、手ごろな枝を折ろうとした。
……意外と硬いな。折れないぞ。
仕方なく手で折ることは諦め、木の根元に転がっている石を拾う。平たい石は手のひらサイズで、刃物のように鋭い面がある。
俺はその石を掴み、先程折ろうとしていた木の枝に振り下ろした。
まるで、斧の刃のごとく、石を木の枝に何度も食い込ませる。
――バキッ!!
少し疲れが出てきた頃になって、ようやく枝が折れた。
そして俺の足元に、野球のバットほどの太さの枝がドサリと落ちる。
その瞬間、俺の頭の中に声が響いた。
『職業:木こりがLV1になりました。【斧装備】を習得しました』
おお! そうか、別に魔物を倒さなくても経験値は入るんだな。
考えてみれば、世の中には戦闘職に限らず色々な職業があるのだ。その職業に合った行為で経験値が入るのは当然だろう。
とりあえず、職業を木こりに変えてみる。
「オープンステータス」
名前:エイジ
種族:人間
職業:木こりLV1
転職可能な職業:木こりLV1
HP:20 MP:7
力:15 体力:8
魔力:5 知恵:8
器用さ:12 素早さ:6
幸運:7
スキル:【斧装備】
魔法:なし
特殊魔法:時魔術【時の瞳】【加速】
加護:時の女神メルティの加護
【習得速度アップLV10】【言語理解】
【鑑定眼】【職業設定】
称号:なし
おおお! ステータスが上がってる!!
やばい、これは結構楽しい。
ゲームとかじゃなくて、自分自身が成長してるってことだからな。
満足した俺は地面に落ちた木の枝の節を、さっきの尖った石の先で落としていく。
この枝で木刀みたいなものを作り、それを持って森を抜けようと考えたのだ。
枝を綺麗にして全ての節を落とす頃には、俺の木こりのレベルは3になっていた。
やはり、メルティの加護の一つである習得速度アップLV10が効いているのだろう。
一本の木刀ができ上がると、頭の中に声が響いた。
『職業:木工職人がLV1になりました。【木工細工】を習得しました。女神メルティの加護、職業設定のスキルによりセカンドジョブを設定できます。設定しますか?』
セカンドジョブ? なんだそれは。
とにかく設定してみるか。ええと、木工職人をセカンドジョブに選択して……。
名前:エイジ
種族:人間
職業:木こりLV3
セカンドジョブ:木工職人LV1
転職可能な職業:木こりLV3、木工職人LV1
HP:30 MP:7
力:21 体力:12
魔力:5 知恵:10
器用さ:18(16+2) 素早さ:10
幸運:9
スキル:【斧装備】【木工細工】
魔法:なし
特殊魔法:時魔術【時の瞳】【加速】
加護:時の女神メルティの加護
【習得速度アップLV10】【言語理解】
【鑑定眼】【職業設定】
称号:なし
ん? ステータスが少し変だな。器用さの項目に、(16+2)という表示がある。
俺はそこに意識を集中して、鑑定眼のスキルを使った。
『ステータス補正値:セカンドジョブによるステータス補正値』
なるほどな。セカンドジョブに指定した木工職人LV1の方が、メイン職の木こりLV3より器用さが高いから、そこが補正されて上がってるのか。
俺は結構、この世界にはまってきた。
魔物を倒すだけじゃなく、何かをすることで経験値が入り、自分のできることが広がる世界。
まさに無限の可能性がある。
日本で流行っていたMMOゲームはいくつかやったことがあるが、戦闘職と生産職のバランスが取れているものがやっぱり面白かった。それらのゲームに、この世界は似ている気がする。
そんなことを考えながら、でき上がった木刀を握りしめ、試しに振ってみることにした。
テレビで見た時代劇みたいに、袈裟掛けにブンッと振り下ろす。
素振りだが、これで剣士にでも転職できれば儲けものだ。
俺は続けて何度も木刀の素振りをした。
そうして、百回は振っただろう。俺の習得速度は十倍だから、普通の人間で言えば千回も素振りしたことになるわけだ。
だが、まだ何の職業もスキルも獲得できていない。
うーん……剣ではなく木の棒だから駄目なのか、それともやっぱり何かを倒さないといけないのか。
木こりも木工職人も、木の枝を切り落としたり、枝を実際に加工したりして、それなりの成果があって初めてその職業を獲得している。
それを考えると、やはり戦闘職になるためには、実際に戦って相手を倒さないと駄目なのかもしれない。
空を見上げると、先ほどより少し日が傾いている。
俺は目の前に広がる森を見つめた。
もう進むしかないな。夜になる前にここを抜けないと。
3 森の中で
森に入り、迷わないように、一定間隔で通り道の木に石で印を刻んで進む。
気休めかもしれないが、何もやらないよりはましだろう。
次第に鬱蒼としてきて、俺の不安を駆り立てる。
くそ……何も出てくるなよ。
何しろここは日本じゃない。いや、地球ですらないからな。どんな生き物がいるのか、想像がつかない。
周りの気配に注意しながら、慎重に森の中を進んでいく。
まだ日没まで時間があるし、草原から見えた煙や塔の先端までの距離を考えると、町はそこまで遠くない。
だから、そんなに急いで進む必要はないのだが……自然と歩みが速くなっていくのが自分でも分かった。
まるで、熊や虎がいる森の中を歩いている気分だ。
幸い、今のところ化け物には出会っていないが、木刀はいつでも使えるようにしっかりと握っておく。
……ん? 今のは!
一時間ほど歩いただろうか。俺は前方に人影を見た気がして、その後を追った。
もしかしてあの町の人間か!? 助かった!!
相手の動きは、いかにも森を歩き慣れているといった様子だ。
ガサッガサガサ!
俺は、その人影が消えた茂みを掻き分けていく。
すると、森の中で佇む人の後ろ姿が見えた。
弓と矢筒を背負っている。猟師か何かだろうか?
俺は安堵の息を吐き、声をかける。
「すみません、ちょっといいですか?」
言葉が通じるだろうかと緊張して、少し声が上ずる。何しろ、この世界に来て初めて会う人間だ。
すると──
「ギグゥウウ!?」
人影は唸り声を上げて、こちらを振り返った。
俺はその顔を見て、目を見開いたままその場に凍りつく。
なんだこいつ……人間じゃないぞ!!
尖った鼻と耳。不揃いなギザギザの歯が生えた口。
少し背中を丸めた姿勢のまま、充血した目で俺をじっと睨みつけている。
どう見ても人間じゃない。まるで、ゲームに出てくるモンスターだ。
――やばい!!
本能的に、危険を察知した。
こいつは明らかに敵意を持っている。
恐怖と動揺から身体を動かせずにいると、その化け物は背負っていた弓を構え、獲物を狙うかのごとく俺に向けて矢を放った。
まずいぞこれ! 死ぬ!!
背中に冷たい汗が噴き出す。
だが、銀色の光は容赦なく目の前に迫ってくる。
俺が死を予感した、その瞬間──
なんだ!?
なぜか、自分に迫ってくる矢がはっきりと見えた。
先端にある尖った石の矢じり、その石の模様まで、しっかりと捉えられたくらいだ。
人並み外れて動体視力が高い奴でも、普通はそんなことなどできないだろう。
辛うじて首をひねった俺の頬を、矢が掠めて通り過ぎていく。
『時魔術【時の瞳】を使用。利用可能時間一分。警告!! 一度使用すると、次に使えるのは一日後です』
俺の頭の中にそんな声が響いた直後、背筋に冷や汗が流れた。
そうか、時魔術! 天使が言ってたやつだ。
ヤバかったな、これがなかったら今、確実に死んでた。
確かに便利だが、警告通りなら一度使ったら明日までは使えない。しかも、効果は一分間しかないという。
つまり一分以内に逃げるか、あいつを倒す以外、俺が生き延びる方法はない。
心臓が早鐘を打つ。
俺は木刀を握りしめ、そいつに向かって走った。
――やるしかねえ!!
逃げるっていう選択肢はない。
背中を向けたら殺される。
その証拠に、そいつはもう次の矢を番えていた。一連の動作はスムーズで、熟練の狩人なのだと見て取れる。
俺は矢の狙いを外すように回り込みながら、そいつとの距離を詰める。
『時魔術【加速】を使用。利用可能時間一分。警告!! 一度使用すると、次に使えるのは一日後です』
加速?
ふと身体を見てみると、自分が黄金に輝いていることに気がついた。
こいつも、あの天使が言っていた時魔術ってやつらしい。
そういえば、ステータスにも書いてあったよな。鑑定眼でしっかりチェックしておけばよかった。
どうやら、この時魔術というやつは、俺が危機を感じた時に自動的に発動するようだ。
身体がまるで羽根みたいに軽い。
前方で弓を構えている化け物は、俺の姿を追いきれずに矢を番えたままだ。
くそ! 迷っている暇はない!!
これも使えるのは、一分間だけらしいからな。
加速が発動しているうちに倒さないと、今度こそ手詰まりだろう。
こんなところで、殺されるのはごめんだ!
そいつとの距離が三メートルほどになり──
俺は、一気にその懐に飛び込んだ!
相手も同時に矢を放つ。
「うぉおおおおお!!」
矢が首筋を掠める。やはり、俺の速さについてこられなかったのだろう。
俺は木刀を振りかぶり、そいつ目がけて思い切り叩きつけた。
「ギゥグウウウウ!!」
嫌な感触が両手に伝わってきて、化け物が地面に倒れる。
「はぁ……はぁ……」
俺は荒い息を吐きながら、その場に立ち尽くしていた。
地面に倒れた相手は、ピクリとも動かない。
倒したか……。
全ては、ほんの僅かな間の出来事だったが、生まれて初めて体験する感覚に俺の手は震えていた。
だが、こいつを倒さなければ、確実に俺が殺されていたに違いない。
頭の中で声が響く。
『敵:エリートゴブリンアーチャーを倒しました』
『職業:初級剣士がLV5になりました。【剣装備】を覚えました。【踏み込み】を覚えました。【袈裟斬り】を覚えました』
エリートゴブリンアーチャー、それがこのモンスターの名前のようだ。
確かに、ゲームやファンタジー映画に出てくるゴブリンによく似ている。
初級剣士の職業を獲得して、一気にレベルが5になったのか。つまり、今の俺にとって、こいつは相当やばい相手だったんだろうな。
実際、判断や行動を少し間違えれば殺されていた。
俺は、地面に倒れているモンスターを呆然と見つめる。
初めての魔物、初めての戦闘、そして、初めて何かを殺したということ――
思うところは色々とあるが、いつまでも立ち尽くしているわけにはいかない。またいつ敵に出くわすかも分からないからな。
そうだ! まずは職業を……。
俺はオープンステータスと念じた後、職業を初級剣士に変える。
名前:エイジ
種族:人間
職業:初級剣士LV5
セカンドジョブ:木こりLV3
転職可能な職業:初級剣士LV5、木こりLV3、
木工職人LV1
HP:70 MP:10
力:28 体力:24
魔力:7 知恵:12
器用さ:18 素早さ:21
幸運:11
スキル:【斧装備】【剣装備】【踏み込み】
【袈裟斬り】
魔法:なし
特殊魔法:時魔術【時の瞳】【加速】
加護:時の女神メルティの加護
【習得速度アップLV10】【言語理解】
【鑑定眼】【職業設定】
称号:なし
凄え……。初級っていっても、やっぱり剣士だ。今までよりも段違いに強くなってる。
木こりや木工職人のレベルがそのままなのは、戦闘用の職業じゃないからだろう。
生産職は生産で、戦闘職は戦闘でレベルが上がるのかもしれない。
木工細工のスキルが消えているのは、木工職人の職業を外したからかな。
もしかして、木刀じゃなくて斧で倒せば、また違う職業を覚えたのだろうか?
剣装備っていうスキルを得たのだから、こんな木刀じゃなくてまともな剣も使いこなせるのだろう。
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【作者より、感謝を込めて】
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そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。
本当に、ありがとうございます。
【これまでの主な実績】
アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得
小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得
アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞
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