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1巻
1-3
町に行けば、武器屋で剣を買えるのか?
……そうだ、町に行くのはいいが、俺はこの世界の金なんて持ってないぞ。
ゲームのように、敵を倒したら金が手に入れば問題はないんだけどな。
どうしたものかと考えつつ、俺は地面に倒れたゴブリンアーチャーを見る。
……あ、これで何とかなるかもしれない。
思いついた俺はその場にしゃがみ、ゴブリンアーチャーの弓と矢を拾い上げた。
こいつがどこで手に入れたものかは分からないが、結構立派な弓である。これを売れば金になるかもしれない。
まるで追いはぎのようで気が引けたが、こいつだって俺を殺すつもりだったんだ。今さら遠慮してもしょうがない。
試しに一本矢を放ってみると、矢は明後日の方向に飛んでいった。
まあ、弓装備のスキルもないのに、上手く使いこなせるわけがないか。弓の素引きとか、近くに来た獲物を仕留める練習とかが必要だろう。
だが、今はそんなことをしている余裕はない。
『時魔術【時の瞳】の効果が切れました』
『時魔術【加速】の効果が切れました』
時魔術の効果が切れた。これで一日経たないと、さっきのチート能力を使えないというわけだ。
初級剣士LV5になってステータスは上がっているが、また今みたいな奴に出くわしたら勝てるかどうかなんて分からない。呑気に自分の力を試そうとして死ぬのはごめんだ。
予定通り、早く森を抜けよう!
俺は、急いで町に向かって歩き始める。
幸い、そこから三十分ほど歩くと、薄暗かった森が次第に明るくなっていった。
俺はようやく森を抜けたのだと思い、ほっと胸を撫で下ろした。
4 迷宮の町フェロルク
「やった! 町が見えたぞ!」
俺は思わずそう叫んで走り出してしまった。
森から一キロメートルほど先には高い壁が見え、大きく土地を囲んでいる。
おそらく俺が目指している町はその中にあるのだろう。魔物がいる世界だから、壁がないとさすがに不用心だよな。
その壁を目指して走り続けると、町から延びる道が見えてきた。
石畳で綺麗に舗装されているその道を通り、壁に向かっていく。
壁には人や馬車が通るための入り口があり、実際に人々が往来しているのが見えた。
近づくと、思っていたよりも相当大きな町であることが分かった。
見上げるほど高い壁は、中世のヨーロッパに築かれた城壁みたいな雰囲気だ。
町というよりは、城壁に囲まれた都市といったところか。
「立派な町だな、これは」
入り口には数人の兵士がいる。中に入るには、彼らの許可がいるらしい。
相手が兵士となると少し緊張するが、命がけでここまで来たんだからな。ここで、怖気づいていても仕方がない。
そう思っていたら、兵士の一人が俺に気がついて近づいてきた。
ゴツイ体つきと顔で、手には長い槍を持っている。
やばい……。早速目をつけられた。
「何だお前は? 変わった格好をしているな」
「え、ええ……」
やはり、不審がられている。
そりゃそうか、トレーナーにジーンズだもんな。周りからは、かなり浮いているに違いない。
だが、言葉は通じるようで安心した。メルティの加護の一つ、言語理解のお蔭だろう。
「ええ、少し遠いところからやって来たので」
まさか異世界から来たなんて、とても言えない。
兵士は俺にさらに近づいて、上から下までじろじろと見つめる。
やがて目つきを鋭くすると、デカい手で俺の肩を掴んだ。
くそ……。まずいよな、これ。
かといって、今逃げたら完全にアウトだろう。即逮捕、間違いなしである。
俺が少しだけ後ずさりすると――女性の声が聞こえてきた。
「やめな、ロートン。ガキ相手に、ビビらせてどうするんだよ」
さっきまで堂々としていた兵士が、その声を聞いて途端に小さくなって叫んだ。
「ジ、ジーナ隊長!」
俺が女性の声がした方に目をやると、白い革の防具を身につけたブロンドの髪の女がこちらに歩いてきていた。
うわ……、綺麗な人だな。
腰には、サーベルのような美しい刀を提げている。
二十歳ぐらいだろうか、切れ長の目と端整な顔立ちが印象的だ。すらりとした長身で、モデルみたいに手足が長い。
その人は目の前で足を止めると、俺が手にした木刀を見て笑った。
「坊や、そんなモノで旅をしてきたのかい? 顔に似合わず、意外と度胸があるじゃないか」
そして、俺が背負っている弓に目を向ける。
「エリート級のゴブリンが使う弓だね、やるもんだ。ロートン、あんたがやりあったら、この坊やに負けるかもしれないよ」
「た、隊長! 俺がこんなガキに負けるはずがありません!」
ロートンの言葉に、ジーナさんは笑う。
「この坊やは、森の方からやって来た。あんた、弓を持ったエリート級のゴブリンの矢を森の中でかわせるかい?」
「そ、それは……」
この人、俺が森から出てくるのを見てたのか? 森までは、それなりに距離があるが……。
そんな俺の考えを察したのか、美しい女剣士は言った。
「町と周辺の警備が私の仕事でね。私はこの迷宮の町フェロルクの警備隊長、ジーナ・フォールエン。坊や、あんたの名前を聞かせてもらおうか?」
ジーナさんに問われ、俺は答えた。
「あ……あの俺、エイジって言います。エイジ・ユキカワです」
ファーストネームから言うと、俺の名前も意外と格好いいな。
そんな下らないことを考えていたら、ジーナさんは俺の瞳を真っすぐに見て笑みを浮かべた。
「悪い奴じゃなさそうだ。おおかた冒険者にでもなりたくて、家を飛び出してきたってところだろう。……通しておやり、ロートン」
「隊長! 俺は反対ですぜ、このガキ、見るからに怪しいじゃねえですか!!」
ロートンがそう言って、手にした槍を俺に向けて構えた、その瞬間──
周囲に風が舞うのを感じた。
ブロンドの髪が風に靡いて目の前に広がったかと思うと、ロートンが真っ青になって立ち尽くしている。
その鼻先には、いつの間にか抜かれたジーナさんのサーベルが突きつけられていた。
何だ今の!! 速ええ……。いつ剣を抜いたのか、全く分からなかった。
「私はね、同じことを二度言うのが嫌いなんだ。知ってるはずだろ? ロートン」
「は、はい! ジーナ隊長! 申し訳ありません!!」
美人だけど、おっかねえな……。あの残念な女神とは別の意味で、怒らせたら駄目な女性だ。
俺とロートンのいざこざで、周囲に集まっていた野次馬たちから声が上がる。
「見たかよ、あれが『疾風のジーナ』だ。この町でも数少ない、最高位の上級剣士だぜ」
「ああ、全く動きが見えなかった。この間の森でのゴブリン掃討作戦でも、十数体のエリート級を一人でやっちまったらしいからな」
うそ……だろ。俺が倒したあの化け物を、一人で十数体って!
俺が唖然としてジーナさんを見ていると、ブロンドの美人剣士は笑った。
「どうやら、討伐しそこねたエリート級を始末してくれたようだからね。私はね、借りを作るのが嫌いなんだ。エリク、ロートンに代わって手続きをしてやりな」
そう言うとジーナさんは、髪を靡かせて俺の前から立ち去った。
凄え。格好いいな、あの人……。
ジーナさんの後ろ姿を眺めていると、気さくそうな若い兵士が俺に声をかける。
年齢は俺より二、三歳上だろうか、栗毛色の髪の青年兵士だ。
「はは、ジーナ隊長がああ言うんだ。通さないわけにはいかないね。僕はエリク。君は、エイジだったかな?」
「はい、エリクさん。よろしくお願いします」
ロートンはまだ俺を睨んでいるが、ジーナさんが怖いのだろう、ブツブツ言いながら壁を蹴っている。
「中に入ったら、必ずフェロルクの冒険者ギルドに登録してくれ。その後、宿が決まったら報告するように。連絡が取れなくなるのは困るからな。それと、厄介ごとは起こすなよ。君を通したジーナ隊長の責任になるんだ」
「は……はは。あんな凄い剣技を見せられて、変なことはしませんよ。俺だって、まだ死にたくないですから」
俺の言葉に、エリクさんは「そりゃそうだ」と言って笑った。
それにしても、分からないことだらけだ。
迷宮の町って、どういう意味なんだ?
質問しようとすると、エリクさんは俺のトレーナーとジーンズを眺めながら言った。
「確かに珍しい格好だけど、ここフェロルクには大迷宮があるからね。一攫千金を狙って、遠方から来る冒険者も多い。お蔭で町も潤っている。君も冒険者になりたくて、ここに来たんだろう?」
大迷宮? 一攫千金か……。
聞く限り、大迷宮というのは、でっかいダンジョンみたいな場所だろうか。
エリクさんの少し哀れむみたいな視線は、俺が手にした木刀に向いている。
ああ、確かにこんなものを持っていたら、冒険者志望と思われるよな。
まともな冒険者なら本物の剣ぐらい持っているだろうが、俺は木刀……。
傍から見れば、俺は冒険者に憧れる厨二病患者のように映るだろう。
異世界に来て、そんな目で見られるとは思わなかった。いや、異世界に『厨二病』という概念はないだろうが。
「え、ええ……まあ、そんな感じです」
ここは話を合わせた方がいい。せっかく通してもらえることになったんだから、下手なことは言うべきじゃない。
他にも知りたいことは沢山あるが、さっきからロートンがこちらを睨んでいる。おかしなことを口走れば、ケチをつけられるかもしれない。
ここまで来て、壁の外で野宿は勘弁だ。
まずは冒険者ギルドで登録、か。そうしたら、冒険者になれるんだよな?
何をするにも金はいる。
冒険者になって金を稼げば、何とかこの世界でやっていけるかもしれない。仕事をしながら剣士としてのレベルも上げられるし。
第一目標は、何とかこの世界で生きていくことだからな。
迷宮でいきなり一攫千金とまではいかなくても、金を稼げるのならやってみる価値はある。
それに『冒険者』って響きは、やっぱり男心をくすぐられる。迷宮を探索するとか、まるでゲームの中のようだ。
とにかく、もっと冒険者について知りたい。詳しい情報を得るなら、ギルドで尋ねた方が賢いだろう。
「あの、早速冒険者ギルドで登録をしたいんですけど、どこにあるんですか?」
町の入り口にある受付台まで一緒に戻ったエリクさんは、紙を取り出しながら答えてくれる。
「この門をくぐって、大通りを真っすぐ行ったところにある。見れば分かるはずだよ」
「分かりました」
俺が頭を下げると、エリクさんは頷いて、受付台で一枚の紙に羽ペンを走らせる。
そして、その紙を小さな筒に入れて、俺に渡した。
「これは通行許可証だ。ジーナ隊長の印と僕のサインが入っている。冒険者ギルドでこれを見せれば、すぐに手続きをしてもらえるはずだ」
「ありがとうございます。落ち着き先が決まったら、またここに来て報告すればいいですか?」
「ああ、僕かジーナ隊長に知らせてくれ」
「ありがとうございます、エリクさん。じゃあその時にまた」
お辞儀をして、町の中へ足を向ける。
ロートンは相変わらず俺を睨んでいたが、構わず横を通り過ぎた。
ジーナさんか……また会えるかな。
俺は美しいブロンドの女剣士の後ろ姿を思い出しながら、迷宮の町フェロルクの門をくぐった。
5 冒険者ギルド
エリクさんに言われた通り、入り口から大通りを真っすぐに進む。
さすがに迷宮の町と呼ばれるだけあって、住人たちに交じって冒険者らしき人が通りを歩いていた。
大通りの正面に白い塔が見え、左右の通り沿いには、冒険者相手に商売をする武器や道具の店が軒を連ねている。宿屋や酒場も、あちこちに建っていた。なんとも活気がある町だ。
その中に、一際大きな建物が見える。二階建てのレンガ造りのその場所に掲げられた看板には、こう書かれていた。
『トラスフィナ王国領フェロルク 冒険者ギルド』
どうやらこの国は、トラスフィナ王国というらしい。
俺は少し緊張して、冒険者ギルドの扉を開けた。
入ってすぐのところは、広いホールのようになっている。
右手側には、おそらく依頼が書かれているのであろう掲示板と、受付カウンター。奥には冒険者たちが寛ぐテーブルや椅子があり、左手側には小さな酒場まで併設されている。
「へえ、凄いな」
活気に溢れたその光景に、俺は思わず声を漏らした。
多くの冒険者たちが、掲示板の前で依頼を確認したり、パーティごとにテーブルについて相談をしたりしている。
鎧を着て腰に剣を提げた剣士、大きな斧を持った戦士風の男、そしてローブを着た魔道士風の人もいる。
いかにも、冒険者ギルドって感じだ。
大迷宮の探索のために冒険者が集まってるって、エリクさんも言ってたからな。
やはり遠方から来ている人間も多いらしく、風変わりな服装をしている人もちらほらいる。そのお蔭か、トレーナーとジーンズ姿の俺を横目で見る者もいたが、さほど気にしている様子はなかった。
多くの冒険者は、掲示板に貼られた紙を熱心に見ている。
どんな依頼があるのかと気になり、近くに貼られている物を眺めてみた。
何か、俺にもできる依頼があるかもしれない。
目に入ったのは、迷宮の情報提供やパーティ募集、救助依頼の類だった。
例えば、こんな感じ。
◆迷宮の地下二十階東付近で消息を絶ったパーティの救出◆
募集員:中級剣士LV20以上を一名、中級魔道士LV18以上を一名(可能であればLV20)。
当方:中級剣士LV21、中級治療魔道士LV18。
報酬:緊急事態により、一人あたり金貨三枚。定員になり次第、締め切り。
金貨三枚か。どれくらいの価値があるんだろうな。
ついつい内容よりも金に目がいってしまうのは、文無しの悲しいサガだろう。
しかし、条件の項目を見る限り、迷宮の地下二十階にもぐるためには、最低でも中級剣士LV20程度の実力が必要だということか。
初級剣士LV5の俺には、とても無理だ。
仕方なく、今の自分ができる仕事の依頼を探すことにした。
他の掲示板に移動して、手ごろなものがないか探してみる。ここは、低い階層での依頼が集まっている掲示板のようだ。
◆迷宮地下一階で一緒にレベル上げをしませんか?◆
募集員:初級剣士LV5以上を一名。ただし、乱暴な方はお断りです!!
当方:初級魔道士LV6、初級治療魔道士LV5。
報酬:一週間で銀貨一枚。
一緒にレベル上げか。こんな依頼もあるんだな。
地下一階なら、何かあったとしてもすぐに出られる。
条件はぴったり当てはまるが、『乱暴な方はお断り』っていうのは何なんだ?
まあ、実際に会ってみれば分かるか。
俺でもできそうな仕事を見つけられて、とりあえずホッと息をつく。
他にも探せばあるかもしれないけど、その前に冒険者ギルドに登録をしないとな。
ギルド職員が座っているカウンターに足を向け、一番近い窓口に座る女性を見て、俺は驚いた。
そこに座っているお姉さんは、ジーナさんとは違うタイプの美人だ。
いかにも優しそうなお姉さん。年齢は二十歳よりやや下だろうか?
桃色の髪にぱっちりとした瞳、そして頭には耳がついているのだが……。
これって、本物……だよな?
いや、耳があるのは別におかしくない。しかし、それがウサ耳となると話は別だ。
ウサギのようなピンと伸びた長い耳が、頭の上に二つある。
最初はコスプレなのか? と思ったが、近づいてくる俺を見てピコピコと耳が可愛らしく動いたので、本物だと確信した。
俺、本当に異世界に来たんだな。
改めてそう実感しつつ、俺はそのお姉さんが座っている受付窓口の前に立つ。
「あ……えっと。俺、エイジって言います」
ピコピコ動いている耳に気を取られて、用件を言う前に自己紹介してしまった。
いきなり名前だけ告げられて、ウサ耳のお姉さんは少し驚いたようにこちらを見る。
そしてクスクスと笑いながら、俺に名乗り返してくれた。
「はい、エイジさんですね? 私はエミリアといいます。どういった御用でしょうか?」
お姉さんが小首を傾げると、ウサ耳も当然ながら同じ方向に揺れる。
その反則的に可愛い仕草に、俺は思わず見惚れてしまった。
だが、咳払いをして気を取り直すと、エリクさんに書いてもらった通行許可証をエミリアさんに差し出す。
「あの、この町の冒険者ギルドに登録したいんです。これを見せれば、手続きをしてもらえるって聞いたので」
エミリアさんは通行許可証を受け取ると、一通り目を通して言った。
「確かに本物ですね。それでは、早速フェロルクの冒険者ギルドに登録しますが、よろしいですか?」
「あ、はい! お願いします」
良かった。ジーナさんとエリクさんのお蔭で、順調に手続きが進められそうだ。
それにしても、つい窓口のお姉さんの頭の上に目が行ってしまう。
そんな俺に気がついたのだろう、エミリアさんはクスクスと笑う。
「この国に獣人族は少ないですからね。それに獣人族の中でも、私のようなラビリト族は珍しいですし。エイジさんはラビリト族を見るのは初めてですか?」
当然のことながら、日本人の俺は獣人族さえ見るのが初めてだ。
エミリアさんみたいなウサ耳の人たちは、ラビリト族っていうのか。
……実際に目にすると、漫画とかアニメで見るのとは比べ物にならない破壊力だな、これって。
話すたびに、ピコピコと動くエミリアさんの耳が本当に可愛らしい。西洋人のような白い肌と顔立ちが、ファンタジー映画に出てくる登場人物を思わせる。
しばらく見惚れていたのだが、ふと気づいてエミリアさんに頭を下げた。
いきなり女性の耳を凝視するなんて、マナー違反もいいところだよな。
「……すみません、じろじろ見たりして。俺、そんな耳を見るのは初めてで、何て言うか、その……とても可愛いですね」
俺の言葉を聞いて、エミリアさんはまたクスクスと笑った。
「ふふ、初対面で年下の男性に『とても可愛い』なんて言われたのは初めてです。大胆ですね、エイジさんは」
「え? ち! 違いますよ! そういう意味じゃなくて、その耳がとても可愛いなって!」
ムキになってそう答える俺を見て、エミリアさんは書類を用意しながら笑いを堪えている。
「あら、残念です。私のことを気に入ってくれたんだと思ったのに」
「え? それはもちろん……お姉さんは素敵ですけど。いやだから、そういう意味じゃなくて!」
エミリアさんは、また笑いながら俺を見る。すっかり、からかわれているようだ。
何しろ俺には恋愛経験なんてないから、こんなに綺麗な女性の前だと少し上がってしまう。
何事も経験がないと、どうにもならないものだ。
大体、年上のウサ耳美人なんて元の世界にはいなかったもんな。
俺がそんなことを考えていると、エミリアさんが微笑んだ。
「エミリアと呼んでくれていいですよ、エイジさん」
「はい。ありがとうございます、エミリアさん!」
良かった。変な態度をとってしまったけれど、どうやら嫌われてはいないようだ。
これからも窓口のお姉さんには、お世話になるだろうからな。
……そうだ、町に行くのはいいが、俺はこの世界の金なんて持ってないぞ。
ゲームのように、敵を倒したら金が手に入れば問題はないんだけどな。
どうしたものかと考えつつ、俺は地面に倒れたゴブリンアーチャーを見る。
……あ、これで何とかなるかもしれない。
思いついた俺はその場にしゃがみ、ゴブリンアーチャーの弓と矢を拾い上げた。
こいつがどこで手に入れたものかは分からないが、結構立派な弓である。これを売れば金になるかもしれない。
まるで追いはぎのようで気が引けたが、こいつだって俺を殺すつもりだったんだ。今さら遠慮してもしょうがない。
試しに一本矢を放ってみると、矢は明後日の方向に飛んでいった。
まあ、弓装備のスキルもないのに、上手く使いこなせるわけがないか。弓の素引きとか、近くに来た獲物を仕留める練習とかが必要だろう。
だが、今はそんなことをしている余裕はない。
『時魔術【時の瞳】の効果が切れました』
『時魔術【加速】の効果が切れました』
時魔術の効果が切れた。これで一日経たないと、さっきのチート能力を使えないというわけだ。
初級剣士LV5になってステータスは上がっているが、また今みたいな奴に出くわしたら勝てるかどうかなんて分からない。呑気に自分の力を試そうとして死ぬのはごめんだ。
予定通り、早く森を抜けよう!
俺は、急いで町に向かって歩き始める。
幸い、そこから三十分ほど歩くと、薄暗かった森が次第に明るくなっていった。
俺はようやく森を抜けたのだと思い、ほっと胸を撫で下ろした。
4 迷宮の町フェロルク
「やった! 町が見えたぞ!」
俺は思わずそう叫んで走り出してしまった。
森から一キロメートルほど先には高い壁が見え、大きく土地を囲んでいる。
おそらく俺が目指している町はその中にあるのだろう。魔物がいる世界だから、壁がないとさすがに不用心だよな。
その壁を目指して走り続けると、町から延びる道が見えてきた。
石畳で綺麗に舗装されているその道を通り、壁に向かっていく。
壁には人や馬車が通るための入り口があり、実際に人々が往来しているのが見えた。
近づくと、思っていたよりも相当大きな町であることが分かった。
見上げるほど高い壁は、中世のヨーロッパに築かれた城壁みたいな雰囲気だ。
町というよりは、城壁に囲まれた都市といったところか。
「立派な町だな、これは」
入り口には数人の兵士がいる。中に入るには、彼らの許可がいるらしい。
相手が兵士となると少し緊張するが、命がけでここまで来たんだからな。ここで、怖気づいていても仕方がない。
そう思っていたら、兵士の一人が俺に気がついて近づいてきた。
ゴツイ体つきと顔で、手には長い槍を持っている。
やばい……。早速目をつけられた。
「何だお前は? 変わった格好をしているな」
「え、ええ……」
やはり、不審がられている。
そりゃそうか、トレーナーにジーンズだもんな。周りからは、かなり浮いているに違いない。
だが、言葉は通じるようで安心した。メルティの加護の一つ、言語理解のお蔭だろう。
「ええ、少し遠いところからやって来たので」
まさか異世界から来たなんて、とても言えない。
兵士は俺にさらに近づいて、上から下までじろじろと見つめる。
やがて目つきを鋭くすると、デカい手で俺の肩を掴んだ。
くそ……。まずいよな、これ。
かといって、今逃げたら完全にアウトだろう。即逮捕、間違いなしである。
俺が少しだけ後ずさりすると――女性の声が聞こえてきた。
「やめな、ロートン。ガキ相手に、ビビらせてどうするんだよ」
さっきまで堂々としていた兵士が、その声を聞いて途端に小さくなって叫んだ。
「ジ、ジーナ隊長!」
俺が女性の声がした方に目をやると、白い革の防具を身につけたブロンドの髪の女がこちらに歩いてきていた。
うわ……、綺麗な人だな。
腰には、サーベルのような美しい刀を提げている。
二十歳ぐらいだろうか、切れ長の目と端整な顔立ちが印象的だ。すらりとした長身で、モデルみたいに手足が長い。
その人は目の前で足を止めると、俺が手にした木刀を見て笑った。
「坊や、そんなモノで旅をしてきたのかい? 顔に似合わず、意外と度胸があるじゃないか」
そして、俺が背負っている弓に目を向ける。
「エリート級のゴブリンが使う弓だね、やるもんだ。ロートン、あんたがやりあったら、この坊やに負けるかもしれないよ」
「た、隊長! 俺がこんなガキに負けるはずがありません!」
ロートンの言葉に、ジーナさんは笑う。
「この坊やは、森の方からやって来た。あんた、弓を持ったエリート級のゴブリンの矢を森の中でかわせるかい?」
「そ、それは……」
この人、俺が森から出てくるのを見てたのか? 森までは、それなりに距離があるが……。
そんな俺の考えを察したのか、美しい女剣士は言った。
「町と周辺の警備が私の仕事でね。私はこの迷宮の町フェロルクの警備隊長、ジーナ・フォールエン。坊や、あんたの名前を聞かせてもらおうか?」
ジーナさんに問われ、俺は答えた。
「あ……あの俺、エイジって言います。エイジ・ユキカワです」
ファーストネームから言うと、俺の名前も意外と格好いいな。
そんな下らないことを考えていたら、ジーナさんは俺の瞳を真っすぐに見て笑みを浮かべた。
「悪い奴じゃなさそうだ。おおかた冒険者にでもなりたくて、家を飛び出してきたってところだろう。……通しておやり、ロートン」
「隊長! 俺は反対ですぜ、このガキ、見るからに怪しいじゃねえですか!!」
ロートンがそう言って、手にした槍を俺に向けて構えた、その瞬間──
周囲に風が舞うのを感じた。
ブロンドの髪が風に靡いて目の前に広がったかと思うと、ロートンが真っ青になって立ち尽くしている。
その鼻先には、いつの間にか抜かれたジーナさんのサーベルが突きつけられていた。
何だ今の!! 速ええ……。いつ剣を抜いたのか、全く分からなかった。
「私はね、同じことを二度言うのが嫌いなんだ。知ってるはずだろ? ロートン」
「は、はい! ジーナ隊長! 申し訳ありません!!」
美人だけど、おっかねえな……。あの残念な女神とは別の意味で、怒らせたら駄目な女性だ。
俺とロートンのいざこざで、周囲に集まっていた野次馬たちから声が上がる。
「見たかよ、あれが『疾風のジーナ』だ。この町でも数少ない、最高位の上級剣士だぜ」
「ああ、全く動きが見えなかった。この間の森でのゴブリン掃討作戦でも、十数体のエリート級を一人でやっちまったらしいからな」
うそ……だろ。俺が倒したあの化け物を、一人で十数体って!
俺が唖然としてジーナさんを見ていると、ブロンドの美人剣士は笑った。
「どうやら、討伐しそこねたエリート級を始末してくれたようだからね。私はね、借りを作るのが嫌いなんだ。エリク、ロートンに代わって手続きをしてやりな」
そう言うとジーナさんは、髪を靡かせて俺の前から立ち去った。
凄え。格好いいな、あの人……。
ジーナさんの後ろ姿を眺めていると、気さくそうな若い兵士が俺に声をかける。
年齢は俺より二、三歳上だろうか、栗毛色の髪の青年兵士だ。
「はは、ジーナ隊長がああ言うんだ。通さないわけにはいかないね。僕はエリク。君は、エイジだったかな?」
「はい、エリクさん。よろしくお願いします」
ロートンはまだ俺を睨んでいるが、ジーナさんが怖いのだろう、ブツブツ言いながら壁を蹴っている。
「中に入ったら、必ずフェロルクの冒険者ギルドに登録してくれ。その後、宿が決まったら報告するように。連絡が取れなくなるのは困るからな。それと、厄介ごとは起こすなよ。君を通したジーナ隊長の責任になるんだ」
「は……はは。あんな凄い剣技を見せられて、変なことはしませんよ。俺だって、まだ死にたくないですから」
俺の言葉に、エリクさんは「そりゃそうだ」と言って笑った。
それにしても、分からないことだらけだ。
迷宮の町って、どういう意味なんだ?
質問しようとすると、エリクさんは俺のトレーナーとジーンズを眺めながら言った。
「確かに珍しい格好だけど、ここフェロルクには大迷宮があるからね。一攫千金を狙って、遠方から来る冒険者も多い。お蔭で町も潤っている。君も冒険者になりたくて、ここに来たんだろう?」
大迷宮? 一攫千金か……。
聞く限り、大迷宮というのは、でっかいダンジョンみたいな場所だろうか。
エリクさんの少し哀れむみたいな視線は、俺が手にした木刀に向いている。
ああ、確かにこんなものを持っていたら、冒険者志望と思われるよな。
まともな冒険者なら本物の剣ぐらい持っているだろうが、俺は木刀……。
傍から見れば、俺は冒険者に憧れる厨二病患者のように映るだろう。
異世界に来て、そんな目で見られるとは思わなかった。いや、異世界に『厨二病』という概念はないだろうが。
「え、ええ……まあ、そんな感じです」
ここは話を合わせた方がいい。せっかく通してもらえることになったんだから、下手なことは言うべきじゃない。
他にも知りたいことは沢山あるが、さっきからロートンがこちらを睨んでいる。おかしなことを口走れば、ケチをつけられるかもしれない。
ここまで来て、壁の外で野宿は勘弁だ。
まずは冒険者ギルドで登録、か。そうしたら、冒険者になれるんだよな?
何をするにも金はいる。
冒険者になって金を稼げば、何とかこの世界でやっていけるかもしれない。仕事をしながら剣士としてのレベルも上げられるし。
第一目標は、何とかこの世界で生きていくことだからな。
迷宮でいきなり一攫千金とまではいかなくても、金を稼げるのならやってみる価値はある。
それに『冒険者』って響きは、やっぱり男心をくすぐられる。迷宮を探索するとか、まるでゲームの中のようだ。
とにかく、もっと冒険者について知りたい。詳しい情報を得るなら、ギルドで尋ねた方が賢いだろう。
「あの、早速冒険者ギルドで登録をしたいんですけど、どこにあるんですか?」
町の入り口にある受付台まで一緒に戻ったエリクさんは、紙を取り出しながら答えてくれる。
「この門をくぐって、大通りを真っすぐ行ったところにある。見れば分かるはずだよ」
「分かりました」
俺が頭を下げると、エリクさんは頷いて、受付台で一枚の紙に羽ペンを走らせる。
そして、その紙を小さな筒に入れて、俺に渡した。
「これは通行許可証だ。ジーナ隊長の印と僕のサインが入っている。冒険者ギルドでこれを見せれば、すぐに手続きをしてもらえるはずだ」
「ありがとうございます。落ち着き先が決まったら、またここに来て報告すればいいですか?」
「ああ、僕かジーナ隊長に知らせてくれ」
「ありがとうございます、エリクさん。じゃあその時にまた」
お辞儀をして、町の中へ足を向ける。
ロートンは相変わらず俺を睨んでいたが、構わず横を通り過ぎた。
ジーナさんか……また会えるかな。
俺は美しいブロンドの女剣士の後ろ姿を思い出しながら、迷宮の町フェロルクの門をくぐった。
5 冒険者ギルド
エリクさんに言われた通り、入り口から大通りを真っすぐに進む。
さすがに迷宮の町と呼ばれるだけあって、住人たちに交じって冒険者らしき人が通りを歩いていた。
大通りの正面に白い塔が見え、左右の通り沿いには、冒険者相手に商売をする武器や道具の店が軒を連ねている。宿屋や酒場も、あちこちに建っていた。なんとも活気がある町だ。
その中に、一際大きな建物が見える。二階建てのレンガ造りのその場所に掲げられた看板には、こう書かれていた。
『トラスフィナ王国領フェロルク 冒険者ギルド』
どうやらこの国は、トラスフィナ王国というらしい。
俺は少し緊張して、冒険者ギルドの扉を開けた。
入ってすぐのところは、広いホールのようになっている。
右手側には、おそらく依頼が書かれているのであろう掲示板と、受付カウンター。奥には冒険者たちが寛ぐテーブルや椅子があり、左手側には小さな酒場まで併設されている。
「へえ、凄いな」
活気に溢れたその光景に、俺は思わず声を漏らした。
多くの冒険者たちが、掲示板の前で依頼を確認したり、パーティごとにテーブルについて相談をしたりしている。
鎧を着て腰に剣を提げた剣士、大きな斧を持った戦士風の男、そしてローブを着た魔道士風の人もいる。
いかにも、冒険者ギルドって感じだ。
大迷宮の探索のために冒険者が集まってるって、エリクさんも言ってたからな。
やはり遠方から来ている人間も多いらしく、風変わりな服装をしている人もちらほらいる。そのお蔭か、トレーナーとジーンズ姿の俺を横目で見る者もいたが、さほど気にしている様子はなかった。
多くの冒険者は、掲示板に貼られた紙を熱心に見ている。
どんな依頼があるのかと気になり、近くに貼られている物を眺めてみた。
何か、俺にもできる依頼があるかもしれない。
目に入ったのは、迷宮の情報提供やパーティ募集、救助依頼の類だった。
例えば、こんな感じ。
◆迷宮の地下二十階東付近で消息を絶ったパーティの救出◆
募集員:中級剣士LV20以上を一名、中級魔道士LV18以上を一名(可能であればLV20)。
当方:中級剣士LV21、中級治療魔道士LV18。
報酬:緊急事態により、一人あたり金貨三枚。定員になり次第、締め切り。
金貨三枚か。どれくらいの価値があるんだろうな。
ついつい内容よりも金に目がいってしまうのは、文無しの悲しいサガだろう。
しかし、条件の項目を見る限り、迷宮の地下二十階にもぐるためには、最低でも中級剣士LV20程度の実力が必要だということか。
初級剣士LV5の俺には、とても無理だ。
仕方なく、今の自分ができる仕事の依頼を探すことにした。
他の掲示板に移動して、手ごろなものがないか探してみる。ここは、低い階層での依頼が集まっている掲示板のようだ。
◆迷宮地下一階で一緒にレベル上げをしませんか?◆
募集員:初級剣士LV5以上を一名。ただし、乱暴な方はお断りです!!
当方:初級魔道士LV6、初級治療魔道士LV5。
報酬:一週間で銀貨一枚。
一緒にレベル上げか。こんな依頼もあるんだな。
地下一階なら、何かあったとしてもすぐに出られる。
条件はぴったり当てはまるが、『乱暴な方はお断り』っていうのは何なんだ?
まあ、実際に会ってみれば分かるか。
俺でもできそうな仕事を見つけられて、とりあえずホッと息をつく。
他にも探せばあるかもしれないけど、その前に冒険者ギルドに登録をしないとな。
ギルド職員が座っているカウンターに足を向け、一番近い窓口に座る女性を見て、俺は驚いた。
そこに座っているお姉さんは、ジーナさんとは違うタイプの美人だ。
いかにも優しそうなお姉さん。年齢は二十歳よりやや下だろうか?
桃色の髪にぱっちりとした瞳、そして頭には耳がついているのだが……。
これって、本物……だよな?
いや、耳があるのは別におかしくない。しかし、それがウサ耳となると話は別だ。
ウサギのようなピンと伸びた長い耳が、頭の上に二つある。
最初はコスプレなのか? と思ったが、近づいてくる俺を見てピコピコと耳が可愛らしく動いたので、本物だと確信した。
俺、本当に異世界に来たんだな。
改めてそう実感しつつ、俺はそのお姉さんが座っている受付窓口の前に立つ。
「あ……えっと。俺、エイジって言います」
ピコピコ動いている耳に気を取られて、用件を言う前に自己紹介してしまった。
いきなり名前だけ告げられて、ウサ耳のお姉さんは少し驚いたようにこちらを見る。
そしてクスクスと笑いながら、俺に名乗り返してくれた。
「はい、エイジさんですね? 私はエミリアといいます。どういった御用でしょうか?」
お姉さんが小首を傾げると、ウサ耳も当然ながら同じ方向に揺れる。
その反則的に可愛い仕草に、俺は思わず見惚れてしまった。
だが、咳払いをして気を取り直すと、エリクさんに書いてもらった通行許可証をエミリアさんに差し出す。
「あの、この町の冒険者ギルドに登録したいんです。これを見せれば、手続きをしてもらえるって聞いたので」
エミリアさんは通行許可証を受け取ると、一通り目を通して言った。
「確かに本物ですね。それでは、早速フェロルクの冒険者ギルドに登録しますが、よろしいですか?」
「あ、はい! お願いします」
良かった。ジーナさんとエリクさんのお蔭で、順調に手続きが進められそうだ。
それにしても、つい窓口のお姉さんの頭の上に目が行ってしまう。
そんな俺に気がついたのだろう、エミリアさんはクスクスと笑う。
「この国に獣人族は少ないですからね。それに獣人族の中でも、私のようなラビリト族は珍しいですし。エイジさんはラビリト族を見るのは初めてですか?」
当然のことながら、日本人の俺は獣人族さえ見るのが初めてだ。
エミリアさんみたいなウサ耳の人たちは、ラビリト族っていうのか。
……実際に目にすると、漫画とかアニメで見るのとは比べ物にならない破壊力だな、これって。
話すたびに、ピコピコと動くエミリアさんの耳が本当に可愛らしい。西洋人のような白い肌と顔立ちが、ファンタジー映画に出てくる登場人物を思わせる。
しばらく見惚れていたのだが、ふと気づいてエミリアさんに頭を下げた。
いきなり女性の耳を凝視するなんて、マナー違反もいいところだよな。
「……すみません、じろじろ見たりして。俺、そんな耳を見るのは初めてで、何て言うか、その……とても可愛いですね」
俺の言葉を聞いて、エミリアさんはまたクスクスと笑った。
「ふふ、初対面で年下の男性に『とても可愛い』なんて言われたのは初めてです。大胆ですね、エイジさんは」
「え? ち! 違いますよ! そういう意味じゃなくて、その耳がとても可愛いなって!」
ムキになってそう答える俺を見て、エミリアさんは書類を用意しながら笑いを堪えている。
「あら、残念です。私のことを気に入ってくれたんだと思ったのに」
「え? それはもちろん……お姉さんは素敵ですけど。いやだから、そういう意味じゃなくて!」
エミリアさんは、また笑いながら俺を見る。すっかり、からかわれているようだ。
何しろ俺には恋愛経験なんてないから、こんなに綺麗な女性の前だと少し上がってしまう。
何事も経験がないと、どうにもならないものだ。
大体、年上のウサ耳美人なんて元の世界にはいなかったもんな。
俺がそんなことを考えていると、エミリアさんが微笑んだ。
「エミリアと呼んでくれていいですよ、エイジさん」
「はい。ありがとうございます、エミリアさん!」
良かった。変な態度をとってしまったけれど、どうやら嫌われてはいないようだ。
これからも窓口のお姉さんには、お世話になるだろうからな。
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