その話題はタブーです

夕季 夕

文字の大きさ
6 / 8

第六関門

しおりを挟む
 私は人からよく『妹っぽい』と言われる。みんなで食事へ行った際に率先してサラダを取り分けないとか、人の世話を焼かないとか、なんとなくちゃっかりしているとか、そういうところが妹っぽく感じるらしい。

 よっぽど自分の考えに自信があるのか、初対面の人から「末っ子でしょ」と断言されることもあった。それに加えて「長女は絶対にない」とも言われる。
 たいていの場合、こういった話はアイスブレイクのために振るのだろうが、私からするとアイスでしかなかった。他人から「絶対にない」と言われようが、私は上にきょうだいがいない。歴とした長女なのだ。

 しかし、仕事中は『お姉ちゃんっぽい』と言われることがあった。私の妹キャラ感よりも、同期の弟キャラ感が勝っていたのだ。

「お姉ちゃんいるでしょ」
「そうっすね、姉がひとりいます」
「やっぱり。『弟』って感じがするもん。年上から好かれるでしょ」
「年上っていうか……まあ……」

 同期が先輩にいじられていた。彼は学生時代、バイト先のマダムキラーだったらしい。本人としては2、3コ年上の女性と付き合いたいようだが、声をかけてくる女性は0がひとつ多いという。
 ふた回りも年が離れていたら、さすがにストライクゾーンから外れるか。確実にボール球である。わざわざ見極めるほどのものでもない。

「なんかふたりいると、『姉弟』って感じするよね」

 突然、先輩に話を振られる。この流れはめんどうだ。
 視線だけを同期の方へ動かすと、彼も同じように私を軽く見た。私としては「余計なこと言うなよ」と口止めしたいところだが、あいにく彼に伝わるわけもない。微妙な空気がふたりの間に流れるだけだ。

「そうっすかねえ」

 同期はあまり納得のいっていない様子でため息をついた。こちらとしても、こんな大きい弟ができた覚えはない。
 しかし、そんなことを構わず先輩は続ける。

「きょうだいいるの?」

 第六関門、きょうだい。

「弟がいますよ~、高校2年生です」
「えっ高校生!? 若いねー」

 弟は現在、高校2年生で16歳。誕生日を迎えれば17歳になるが、先輩からすれば6、7歳差だ。小学1年生と中学1年生くらい離れている。

「結構離れてるよね?」
「そうですねー、高齢出産だったので」

 この間の一人暮らし歴についてもそうだが、具体的な数字を出すことはできない。弟といくつ離れているとか、母親は何歳のときに弟を産んだとか、言ってしまった瞬間に推理が始まってしまうからだ。数字は絶対であり、数字が嘘をつくことはない。嘘をついているのは人間だ。

「5歳くらい離れてるとケンカもしなそうだね」
「ケンカはしなかったですね。お互い、ひとりっ子みたいな性格なので。仲はいいと思います」

 Twitterも相互フォローしてるんですよ。たまに『いいね』押してます。
 私の言葉に、「それは仲良すぎるわ」と先輩は笑った。

 第六関門突破。
 あれ。今って、Twitterは『いいね』だよな? 『ファボ』って言わないよな? ……あとで確認しておこう。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?

還暦の性 若い彼との恋愛模様

MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。 そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。 その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。 全7話

新しい家族は保護犬きーちゃん

ゆきむらさり
エッセイ・ノンフィクション
〔あらすじ〕📝初めて🐶保護犬ちゃんを迎え入れる我が家。 過去の哀しい実情のせいで人間不信で怯える保護犬きーちゃん。 初日から試行錯誤の日々と保護犬きーちゃんがもたらす至福の日々。 ◇ 🔶保護犬ちゃん達の過去・現在の実情の記述もあります🐾 🔶日々の些細な出来事を綴っています。現在進行形のお話となります🐾 🔶🐶挿絵画像入りです。 🔶拙いエッセイにもかかわらず、HOTランキングに入れて頂き(2025.7.1、最高位31位)ありがとうございます🙇‍♀️

とある男の包〇治療体験記

moz34
エッセイ・ノンフィクション
手術の体験記

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

島猫たちのエピソード2025

BIRD
エッセイ・ノンフィクション
「Cat nursery Larimar 」は、ひとりでは生きられない仔猫を預かり、保護者&お世話ボランティア達が協力して育てて里親の元へ送り出す「仔猫の保育所」です。 石垣島は野良猫がとても多い島。 2021年2月22日に設立した保護団体【Cat nursery Larimar(通称ラリマー)】は、自宅では出来ない保護活動を、施設にスペースを借りて頑張るボランティアの集まりです。 「保護して下さい」と言うだけなら、誰にでも出来ます。 でもそれは丸投げで、猫のために何かした内には入りません。 もっと踏み込んで、その猫の医療費やゴハン代などを負担出来る人、譲渡会を手伝える人からの依頼のみ受け付けています。 本作は、ラリマーの保護活動や、石垣島の猫ボランティアについて書いた作品です。 スコア収益は、保護猫たちのゴハンやオヤツの購入に使っています。

処理中です...