転生先のご飯がディストピア飯だった件〜逆ハーレムはいらないから美味しいご飯ください

木野葛

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世界はとても残酷で(特にご飯が)

餅…だと…!?

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 実家に帰って三日。
 私は弱っていた。
 何がしんどいって、露骨に溝があるってことね。
 父親達はお姫様扱い。
 それを何か言うことはないが、気に食わなさそうに無視する母親。
 気を使いつつも腫れの扱いの兄弟。
 
 何よりご飯がマズイ。

 ご飯が美味しければ、家族を家族と思えなくても頑張れるのに。
 透子さんとは1日一回だけ、メッセージのやりとりしている。
 私としては、幼女のことは忘れて羽伸ばして!と思うけど、癒しが…癒しが透子さんくらいしかないの。

 徐々に元気を失う私。

 パパとダディは、接触人数が増えたから風邪か?気疲れか?と心配しているけど、接する時間が長いお父さんとは目と目で何となく会話できている。

(飯か…?)
(飯だ…)

 みたいなアイコンタクト。
 それを面白くなさそうに見る母。
 それを察して気を使って声をかける長男。
 気づかず食欲のない私にもっと食えよ!と促す次男。
 悪循環のストレスで青菜に塩ふったようにしおしおになる私。

 ということで、気分転換のお父さんとやってきました、日本橋四越デパート。MITSUK○SHIじゃないんだぁ…。こういうところに異世界感を感じる…。
 買い物で気晴らししてくるね。と言って実家から出てきました。
 体調悪そうなのに?とダディに心配されましたが、熱もないし環境変わった気疲れだろう、必要なのは気分転換とお父さんが連れ出してくれた。

 何で買い物に興味なさそうなお父さんかって?
 パパとダディに対して私が微妙に人見知りしてるからだよ。
 社会構造的に一妻多夫なのは頭では理解していても、慣れない~~~!!




 この世界のデパートでも十二階建てのビルで一階は紳士服とジュエリー、二階も紳士服と時計や小物雑貨、三階にインテリアやメガネ、四階にアウトドア、五階に婦人服やメイク、六階はカジュアルな婦人服と紳士服、七~八階にマタニティを含めた子ども関係の服や雑貨、九階はブライダル関係に貸衣装サロン、寝具やナイトウェア、十階にテラスガーデン休憩室類、十一階にはギャラリーやアクアリウム美術館、十二階に何とかコーヒーが飲めるカフェ一軒と海外顧客サービスセンターや催物会場何かがある。
 ちょこちょこ休憩所や喫煙所みたいなのはあるけど、カフェもレストランも無いね…。
 案内板を見ながらため息を吐く。
 当然ながらキッチン用品も見つからない。インテリアの辺りちょこっとあれば良いな。
 地下は一階だけで、ギフト系やパン・お茶・お菓子などが売られている。惣菜ひとつも無い貧相なデパ地下…。
 …待て、貧相ながらもちょっとは食品が売られているぞ!
 コレは新しい食品の予感!!
 ふんす!と気合を入れて地下に向かおうとしたところ、むんずと襟首を掴まれる。
 
「待て、地下は最後。欲しいものがあってきたんだろう」
「はっ!おっとそうだった。膝掛け欲しかったんだ」
「寝具売り場だな」

 お父さんと手を繋いで歩き出す。安全性を考えて、手を繋ぐどころか私とお父さんの手首にはハーネスが付けられている。
 コレは迷子防止というよりは誘拐対策だ。女児は狙われやすいからね。世知辛いね。
 寝具売り場は九階なので、エレベーターで一気に向かう。
 乗り合わせた男性に物珍しそうに見られた。仕方ない。幼女はお外にあんまり出ることのない珍獣だから。

 百貨店なんて前世では仕事でしか来た覚えがない。イヤ…デパコス買いに来てたか…?あ、美味しいものフェアとかには行ったかも!
 …現世そんなフェアは一度も見かけない…。
 物珍しくてキョロキョロと見て回る。都会のお店はオシャレだわー、と前世のワタシが呟いている気がした。
 フロアを見ながら気になった店に入る。いまいちピンと来ないということを繰り返し、数件目の店で目的の膝掛けは見つけた。
 正しく言えば膝掛けではなく、ベビーブランケットだ。サイズ的に丁度いい。 
 シンプルなデザインから可愛いものまで取り揃えられていたが、その中のグレー・白・ピンクのストライプ柄が気になった。うーん、黄色とどっちがいいかな?
 冬に使うものだから寒色は避けたい。
 ピンク…いや、黄色にしよう。

「お父さん、私とオソロはやめた方がいいよ」
「…そうか」

 ピンクを手に取ろうとしたのを止める。ママンにお土産は良いけど、娘とお揃いは気に食わないと思うよ。
 私への攻撃材料は少しでも減らさないと。
 ふむ、と悩みベビーブランケットよりも大きなハーフブランケットで家のインテリアに合いそうな色合いのものを選ぶ。
 お父さんには、ママには自分が選んだって言うんだよ!くれぐれもみのりが選んだって言っちゃダメだよ!と釘を刺す。
 母親に気を使うの世知辛ァ…。

 膝掛け買った後は、十二階のカフェへ向かう。
 その実力、見せてもらおう!!!
 そんな意気込みで向かったカフェは、レトロでオシャレという言葉が似合う雰囲気だった。
 百貨店なんて大人が客層だもんね。
 お子ちゃまな実は完全に浮いている。
 うっすいメニューには、コーヒー、紅茶、ホットミルクぐらいしか載っていない。
 …喫茶店定番のクリームソーダもパンケーキもプリンアラモードもサンドイッチなどの軽食も無い。シリアルバーと美味しくないパン(なんの変哲もない素の食パン)は食べられる。
 分かっていた。分かっていたけどさぁぁぁぁ!
 透子さんが帰ってきたら厚焼きパンケーキ作ろう!
 私はホットミルク、お父さんはコーヒーを注文する。

「お嬢様はミルクに砂糖は?」
「いらない」

 実知ってる。そう言って牛乳激甘にする気でしょう!?
 それならそのまま飲む方がましよ!
 ホットミルクにできる膜は嫌いじゃないわ!
 生姜をすりおろしたり、シナモンをかけたり工夫すると美味しいけど、ここでそんなリクエストすれば生姜(大量)シナモン(咽せるほど)みたいなアレンジになって出てくるって予想できる。
 生姜は健康に良いよね!いっぱい入れよう。シナモンは香り高くて、お高いスパイスだからいっぱい入れよう。的なノリで入れられる。
 数少ない食事をしているドラマやバラエティなんかを見ていると、健康を意識した末に極端な思考をしているっぽいと私は考えている。
 
「お待たせしました」

 そう言ってウェイターが、コーヒーとホットミルクを同時に運んでくる。
 白く厚めのマグカップとモスグリーンのコーヒーカップが静かに置かれた。

「ごゆっくり、お寛ぎください」
 
 知的な雰囲気の中年のウェイターが笑みを浮かべて言う。

「ありがとーございます」

 お礼を言ったら驚いた顔をした後、熱いから気をつけてといい、ウェイターは去っていった。
 さて、飲むぞとマグカップに向き合うと、安全上横並びで座っていたお父さんが複雑そうな顔でこっちを見ていた。

「気軽に愛想を振りまくのはやめなさい」
「振り撒いて無いよぉ」

 愛想を振りまくってなんぞ?
 首を傾げると頭が痛いみたいな顔された。
 

 飲み物を飲み終わると、私的メインイベントの地下探索です!
 デパ地下なんて言葉は生まれませんが、それでもまだ見ぬ食材はあるでしょう!
 ふんすふんすと意気込みながら踏み入れた地下食品売り場は、六割が飲み物だった。
 酒酒酒コーヒーお茶みたいな…。茶葉もあるけどそれよりも圧倒的に多い希釈タイプ。
 こう言っちゃなんだが、こんなに種類があっても希釈コーヒーの味の違いがわからない…。
 紅茶はそこそこ分かりやすいのだけどね。
 コーヒー豆専門店がある。どうしようかな、この際オークションで売ってたコーヒー道具一式買っちゃおかな。
 イヤ五歳児が強請るには早過ぎるか…。

 うっきうき見回っているとデデンと鏡餅が置かれてあった。
 殆どがプラスチックの飾りのようだが、隅っこにパッケージが異なる商品が置かれてある。
 それを手に持ってみるとプラスチックの飾りにはない重さ。
 まさかと思って底を見てみると、色々な注意書きとともに載っている材料表示。

 ほ、本物の餅だコレー!!!!???

 
 
 
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