転生先のご飯がディストピア飯だった件〜逆ハーレムはいらないから美味しいご飯ください

木野葛

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世界はとても残酷で(特にご飯が)

餅何して食べる?

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 も、餅だー!!!
 こ、これあれだ鏡餅型の容器の中に切り餅入ってるタイプのヤツだ!
 突然の邂逅に動揺が収まらない私。
 餅…………そうだよね!お正月だもんね!!

「お父さん!コレ買って!!!」
「今日一番声が出たな」
「だって餅だよぉ!?」

 前世じゃ、何万人も人を殺しておきながら美味いからと食べられ続けた伝統食だよ!?
 よく噛んで食べよーね!
 保存期間長めだからと三つも買ってもらいました。ヒャッホー!!
 透子さんと一緒に食べたいけど、我慢できない今すぐ食べたい。
 いや、まだだみのり。
 デパ地下探検し尽くしてないだろう!
 餅もあったんだ。まだ見ぬ食材がまだあるかも!

 今世で二番目くらいにテンション上がってる私はお父さんを無視して歩き出す。
 精肉や魚のコーナーは小さく、スーパーとラインナップは変わらない。ハムやソーセージなどの食肉加工食品は売っていない。
 牛タンやモツ、レバーの内臓系もないし、馬刺しなんかも見当たらない。
 薄切り肉はあってもしゃぶしゃぶ用や焼き肉用のものはない。霜降り肉もなくて赤身だけ。
 魚は季節によって変わるが基本鮭・鰤・鯵・鯖・海老くらいな物。刺身はなく切り身オンリー。鯖の味噌煮食べたいな。
 私にとってはナイナイ尽くしの売り場をひと通り眺めて、野菜の方へ向かう。
 ここもまあ、カレーが作れそうな野菜が一通り、そして大根や白菜などが売られている。
 小松菜やほうれん草、ブロッコリーなどの緑黄色野菜はあるが、キノコ類は全滅。
 野菜はディストピア飯の材料になるから、ある程度確保できるんだろうな…。
 アボカドやルッコラみたいな横文字系野菜は見つからない。
 うーん、珍しいものはないかとキョロキョロしているとおつまみっぽいコーナーが目についた。

 テテテと小走りに近づくと目を瞬く。

 ナナナナッツ!!胡桃とアーモンドとカシューナッツ!!!
 うわあああああ!!!!前世ぶりのナッツ!!!!
 ってあれ????
 え、え、え!!!!??!
 おま、お前チーズ!!!チーズじゃないか!!!!補助食以外はてっきり死んだとばかり思って…!生きて……生きていたのか、お前……!チェダーにゴーダ、パルミジャーノ…ずいぶん種類が少なく…そして小さくなってしまったが会えて嬉しいよ…!
 
「な、泣いてる…!」
「泣いてない~!心に汗が滲み出ただけだい!!」

 

*******



「ふひひひひひひひひ」
 笑いが止まんねーぜ!!!
 お父さんが買ってくれた餅とナッツとチーズを抱き締める。
 膝掛け?
 チャイルドシートの隣に転がってる。
 実家には戻らずお家へと戻っているが、若干お父さんがひいている気がしなくもない。
 まあ、どうでも良いけど。
 餅…何して食べようかなぁ!
 ふひひ。シンプルに醤油?磯部は海苔がないのは残念だけど…砂糖醤油?あー、バターを乗せるのも良い!
 餡子はないけど胡桃あんはできるね~!
 納豆餅できないけど、大根おろしいける。からみ餅~!しかし、お子ちゃま舌の幼女にはまだ早いか…。
 きな粉食べたいな…。でも大豆はあっても粉にしたのは見つからないの。
 つまり、自作するしかないってこと。

「石臼欲しいな…」
「どうしてそうなった!?」

 きな粉だけじゃなくて、蕎麦粉とかも作れるからだよ。

 常駐しているコンシェルジュには驚かれたようだったけど、お父さんが持っている荷物を見て納得したようだった。
 日当たりの良い我が家に着くと、生体認証式の鍵を開けて中へと入る。たった数日なのに、人気のない部屋は寒々しく感じた。
 しかし、数日ぶりのお家は落ち着く。
 手洗いうがいをしたら、食品をキッチンへと運ぶ。今回持ってきたものは、全部常温保存できるな。
 もっち!餅!!
 我慢できずに、プラスチック鏡餅の下のパッケージを剥がす。
 ごろっと切り餅が五つ、転がり落ちた。
 前世の物と形状は変わらないが、サイズはちょっと小さい。
 厚めの皿を用意してパッケージを切ると、さっと水に潜らせて皿に餅二つを置いてレンジで600Wで一分。
 レンジの扉越しにプクッと膨らむ餅を笑顔で見守る。
 三十秒経ったら、位置を変えて再加熱。

「うふふふ」

 ピピっと音が鳴ったら取り出そうしたところで、お父さんから待てがかかった。

「熱いだろう」

 そう言ってヒョイと皿をレンジから取り出す。
 コレは子どもが危ないだろうなのか、女が家事するなのどっちだろうね…。

「コレをどうするんだ?」
「醤油をちょっとかけて食べる」

 砂糖醤油も良いが今回はシンプルに行こう!
 醤油差しはオークションで購入したレトロオシャレなガラス製。
 つつっと出しすぎないように餅に醤油をかける。
 早く食べたい気持ちをグッと抑えて、もう一枚皿を取り出すと箸でお父さんの分を取り分けて差し出す。
 さて、餅ー!
 ガブっと噛み付くとみょんと餅が伸びる。
 コレコレー!
 前世の感覚で飲み込みそうになるが、私は幼女。私は幼女と自分に言い聞かせながら、よく噛む。うっかり餅を喉に詰まらせたらこの世界じゃ、誰も対処できない。
 はー!醤油の塩味旨味と餅の甘みー!
 何故このソウルフードを忘れているのか日本人。
 もっちゃもっちゃと噛み締めている私を不思議そうに見つめていたお父さんも、餅を箸で摘んだ。
 みょんと伸びた餅にビビりつつも、口に運ぶ。

「…今まで食べたことのない食感だな」
「美味しいよねー」

 モッフルとか食べたいけど、今世は諦めますね…。
 餅だけでも食べられるのが分かったら、それだけでも御の字よ。
 餅米も探せばあるってことね。おこわ食べたいわ。
 食材も調味料もナイナイ尽くしのせいか食べ物に対しての期待値が低くなってる。
 
「ウマー」
「…美味いな…なあ、実、お前…」
「ん?」

 何か言いかけたお父さんの顔を見ると、何か言いかけて飲み込んだ。

「いや、何でもない」
「そう?」
 
 餅、美味。
 他は何して食べようかな。
 
 

 
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