転生先のご飯がディストピア飯だった件〜逆ハーレムはいらないから美味しいご飯ください

木野葛

文字の大きさ
21 / 22
世界が広がる小学校(給食はない)

あなた、そんなところにいたの!?

しおりを挟む
 豊華ちゃん癇癪と腹痛が治らない。
 ストレスに弱い子だった。学校に行く前のホットミルクが習慣になりつつある。
 保育園、幼稚園なんかも女の子は行かないしね…。
 近くにいる同年代は私だけ。家族も相手にしてくれず、親しいのはベビーシッターという完全なるコミュニケーション不足。
 まあ、ストレスも仕方ないよねって環境。

 そんなことを入学祝いということで、ご馳走を作ってくれた葛木のおばあちゃまに相談した。
 ちなみに入学祝いのご馳走はちらし寿司でした。滅多に見ない生魚が入っていました。
 おばあちゃまの旦那さんである、忠之さんが釣ってきてくれた。この方も孫のように可愛がってくれるのでありがたい。

「癇癪ねぇ」
「困ってるの」
「うーん、漢方薬でも試してみるかい?」
「漢方薬ぅ?お薬?」

 漢方薬と言えば、私のイメージは葛根湯。
 葛粉ってあるのかな…。見かけたことない。通販で探してみよう。

「まぁ、効くかどうかは分からないがものの試しだ。相談してみるか?」
「してみるー!」

 この世の漢方薬はどうなっているのか、とても興味がある。





 と、言うことで日曜日。
 もじもじしながら、豊華ちゃんがおばあちゃまに挨拶する。

「てしまとよかです」
「ちゃんと挨拶できて偉いね。葛木です」

 豊華ちゃんと目を合わせながら挨拶するおばあちゃまは、大人の見本みたいな姿だ。
 次に豊華ちゃんのシッターさんと目を合わせて、軽く会釈した。

「豊華お嬢様のベビーシッターをしております、山田です」
「実嬢ちゃんの友人の葛木です」

 友達だって~、と照れながら車に乗り込む。
 今回はいつものボディーガード達が用意した、ミニバンで移動する。
 そこからは車で三十分程度。
 葛木さんの行きつけの漢方薬局は、大きな通り沿いにあった。
 店の外観はモダン和風なお洒落な感じ。一見するとカフェのようにも見えた。
 おばあちゃまを筆頭に私、透子さんに続いて豊華ちゃん達がオドオドと入店する。

「いらっしゃいませ」
 
 そう言ってカウンターから顔を覗かせたのは、おばあちゃまと同じ年頃のお婆様だ。
 おばあちゃまはピンと背筋が伸びているが、こちらのお婆様はややふくよかでおっとりとした雰囲気。安楽椅子に座りながら、編み物している姿が似合いそう。

「こんにちは、草子ちゃん」
「こんにちは、智栄さん」

 おばあちゃま、智栄さんって言うの?
 初めて知った。いつもおばあちゃまか先生って呼ぶし。

「こんにちは、お婆様」
「あら、可愛いお客様。こんにちは、お嬢さん」

 挨拶をするとにっこり笑いかけてくれる。
 その様子に安心したのか、豊華ちゃんもシッターさんの後ろから小さくこんにちはと挨拶した。

「それで、今日のご用事は何かしら?」
「この子の相談に乗ってほしいです」
「相談というと、何か体調不良があるのよね」
「学校行く前にお腹痛くなっちゃうの」
「病院には行った?」
「はい、行きました。生活環境の変化によるストレスだろうと…」

 山田さんが答えると一つ頷くと、そちらからのお嬢さんは何か困り事はない?と聞かれたので無いです、と元気よく答えておく。

「今日は豊華ちゃんの付き添いです!」
「そう、少し座って待っていて」

 薬局の待合室というよりは、カフェの一角といった雰囲気の椅子に座る。小さいテーブルには、ラミネート加工してある紙が置かれていた。
 漢方薬の名前とどんな症状に効くのかの説明が書かれている。
 しかし、私はしょうがくいちねんせいの女児()なので、漢字いっぱいで何書いてあるのか分かんない、という風に目を逸らして辺りを観察する。
 数分でお婆様が戻ってくるが、その両手にはお盆が載っていた。
 ガラス製のティーポットには、色が濃い蜂蜜を溶かしたようなお茶。

「漢方薬を取り扱っているお店だから、漢方茶にしようかとも思ったけど、こっちの方が飲みやすいから。どうぞ、カモミールティーよ。熱いから気をつけてね」

 カモミールティーとは?と透子さん、山田さん、豊華ちゃんが首を傾げる。
 私はなんと!この世界ハーブティーがあったのか!という気持ちで、カモミールティーの香りをふんふん嗅ぐ。
 りんごっぽい甘い香りがする~。
 スーパーの食品って定番のものしか置いていないから、普段嗅がない食品の香りを嗅ぐとテンションが上がる。
 ハーブか…ハーブも良いよね…。ハーブを料理に使うと勝手にお洒落料理になるって思っているわ、私…。

「そのへん、見ていい?」

 商品棚が気になって、一言断ると見始める。
 お婆様と豊華ちゃんと山田さんはカウンセリングを始めた。
 それを横目に見ながら、商品棚をチェックする。
 葛根湯などの見たことのある漢方薬を眺めた後、そのスペースはあった。
 クコの実、棗、龍眼のドライフルーツに、乾燥生姜、葛粉、桂皮……………加加阿……………加加阿!?
 カカオってあのカカオ!?
 しれっと葛粉もいるじゃん!!!!
 桂皮ってシナモン!!!!!

 あなた達まとめて漢方薬扱い!?

 カカオは固形のチョコレートと、純ココアの2種類。
 買いだ。
 チョコレートなんて、存在自体が消滅したか、ゲロ甘スイーツになったと思っていた。
 お前、無糖かよ!と思いながら、声を上げる。

「と、透子さーん!このへんの買ってぇ!!」

 ドライフルーツはおやつにするよ!赤ちゃん煎餅には飽き飽きなんだよ、こっちは!



 


 お薬飲まなきゃ…としょんもりしている、豊華ちゃんの隣でにやけている私。
 いつかの正月のように笑い声が漏れそうになるが、我慢する。

 
「しかし、お前さんの知識はどこから来るんだろうね。実嬢ちゃんはチョコレートなんて、いつどこで知ったんだい?」
「しょくへの…たんきゅうしん、こうきしん、よくぼう…まじめな話をすると、昔あった食べ物を古本屋のホームページでけんさく…本を読む…」

 これは怪しまれないようにガチ。
 料理本なら、写真付きで見ることができるので幼女が見ても怪しまれなかった。
 眺めてるだけと思われていたので。

「…方向性はともかく、透子ちゃん、この子めちゃくちゃ頭いいのでは?」
「お嬢様は、めちゃくちゃ頭いいですよ」

 みのり、人生カンニングしてるから…。
 人生カンニングの結果、美味しいものが分かり、苦労しているんですがね!
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

転生先は男女比50:1の世界!?

4036(シクミロ)
恋愛
男女比50:1の世界に転生した少女。 「まさか、男女比がおかしな世界とは・・・」 デブで自己中心的な女性が多い世界で、ひとり異質な少女は・・ どうなる!?学園生活!!

女性が少ない世界に転移しちゃったぁ!?

4036(シクミロ)
恋愛
男女比40:1の世界に転移した主人公 人のようで人ではなかった主人公が様々な人と触れ合い交流し、人になる話 温かい目で読んでいただけたら嬉しいですm(__)m  ※わかりにくい話かもです 

花嫁召喚 〜異世界で始まる一妻多夫の婚活記〜

文月・F・アキオ
恋愛
婚活に行き詰まっていた桜井美琴(23)は、ある日突然異世界へ召喚される。そこは女性が複数の夫を迎える“一妻多夫制”の国。 花嫁として召喚された美琴は、生きるために結婚しなければならなかった。 堅実な兵士、まとめ上手な書記官、温和な医師、おしゃべりな商人、寡黙な狩人、心優しい吟遊詩人、几帳面な官僚――多彩な男性たちとの出会いが、美琴の未来を大きく動かしていく。 帰れない現実と新たな絆の狭間で、彼女が選ぶ道とは? 異世界婚活ファンタジー、開幕。

女性が少ない世界でVTuberやります!

dekoma26+ブル
恋愛
ある日朝起きてキッチンに行くとそこには知らない男性たちが! …え、お父さん⁉ なぜか突然女性の少ない世界に来てしまった少女がVTuberをしたり、学校に通ったりするお話。 ※大賞が始まった記念に2/3~6(金)まで連続投稿予定! ※忘れてなければ毎週火曜・金曜日の夜に投稿予定。作者ブル

男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。

カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。 今年のメインイベントは受験、 あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。 だがそんな彼は飛行機が苦手だった。 電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?! あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな? 急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。 さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?! 変なレアスキルや神具、 八百万(やおよろず)の神の加護。 レアチート盛りだくさん?! 半ばあたりシリアス 後半ざまぁ。 訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前 お腹がすいた時に食べたい食べ物など 思いついた名前とかをもじり、 なんとか、名前決めてます。     *** お名前使用してもいいよ💕っていう 心優しい方、教えて下さい🥺 悪役には使わないようにします、たぶん。 ちょっとオネェだったり、 アレ…だったりする程度です😁 すでに、使用オッケーしてくださった心優しい 皆様ありがとうございます😘 読んでくださる方や応援してくださる全てに めっちゃ感謝を込めて💕 ありがとうございます💞

異世界召喚されました。親友は第一王子に惚れられて、ぽっちゃりな私は聖女として精霊王とイケメン達に愛される!?〜聖女の座は親友に譲ります〜

あいみ
恋愛
ーーーグランロッド国に召喚されてしまった|心音《ことね》と|友愛《ゆあ》。 イケメン王子カイザーに見初められた友愛は王宮で贅沢三昧。 一方心音は、一人寂しく部屋に閉じ込められる!? 天と地ほどの差の扱い。無下にされ笑われ蔑まれた心音はなんと精霊王シェイドの加護を受けていると判明。 だがしかし。カイザーは美しく可憐な友愛こそが本物の聖女だと言い張る。 心音は聖女の座に興味はなくシェイドの力をフル活用して、異世界で始まるのはぐうたら生活。 ぽっちゃり女子×イケメン多数 悪女×クズ男 物語が今……始まる

神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします

夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。 アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。 いわゆる"神々の愛し子"というもの。 神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。 そういうことだ。 そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。 簡単でしょう? えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか?? −−−−−− 新連載始まりました。 私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。 会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。 余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。 会話がわからない!となるよりは・・ 試みですね。 誤字・脱字・文章修正 随時行います。 短編タグが長編に変更になることがございます。 *タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。

なんか、異世界行ったら愛重めの溺愛してくる奴らに囲われた

いに。
恋愛
"佐久良 麗" これが私の名前。 名前の"麗"(れい)は綺麗に真っ直ぐ育ちますようになんて思いでつけられた、、、らしい。 両親は他界 好きなものも特にない 将来の夢なんてない 好きな人なんてもっといない 本当になにも持っていない。 0(れい)な人間。 これを見越してつけたの?なんてそんなことは言わないがそれ程になにもない人生。 そんな人生だったはずだ。 「ここ、、どこ?」 瞬きをしただけ、ただそれだけで世界が変わってしまった。 _______________.... 「レイ、何をしている早くいくぞ」 「れーいちゃん!僕が抱っこしてあげよっか?」 「いや、れいちゃんは俺と手を繋ぐんだもんねー?」 「、、茶番か。あ、おいそこの段差気をつけろ」 えっと……? なんか気づいたら周り囲まれてるんですけどなにが起こったんだろう? ※ただ主人公が愛でられる物語です ※シリアスたまにあり ※周りめちゃ愛重い溺愛ルート確です ※ど素人作品です、温かい目で見てください どうぞよろしくお願いします。

処理中です...