私、あなた達の味方ではないから。

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「で、でもだからと言ってお姉様を1人には…」


「ありがとうミルー。でも私のことなら心配しないで。ちゃんと当てならあるから」


「それでも…」


 姉が大丈夫だと言うのならきっと大丈夫なのだろう。姉は私よりも賢い人だから。それでも本当に姉を1人にして大丈夫なのか?


「ふふ。ミルー。私の可愛い妹。ありがとうね心配してくれて」


「…その可愛い妹と言うのはやめてほしいわ」


「あら?どうして?」


 馬鹿にされているみたいで何だか腹が立つ。それに…


「…お姉様は私のこと憎くないの?」


 昔からこの姉は私に対して慈愛を向けてくれる。私がどれだけ見下しても意地悪をしても姉は私のことを可愛い妹だと言う。私は姉の目の前で両親からの愛情を一心に受けて育ってもいるのに。本当に意味がわからない。


「全くないわよ?ミルーは本当に私の可愛い妹なんですもの。ねぇジージルもミルーのこと可愛いと思うわよね?」


「もちろん」


「~~ジージルは黙っていて!」


 今あなたは関係ないでしょう!!そうやってジージルに噛み付くも素知らぬ顔をするジージルに腹が立つ。そしてそんな私達を見て姉が笑う。


「ふふ仲がいいわね。でも本当に私はミルーを恨んでなんかないから安心して」


「…どうしてよ」


「だってミルーは悪い子ではないんですもの」


「…悪い子じゃない?」


 散々姉に暴言を吐いたり、水を被せたり足を引っ掛けたりと昔はよくやっていたのに?


 何を言っているんだと訝し気に姉を見るも微笑んだまま私を見ている。


「ミルーはよくやり過ぎたと思ったらすぐにしまった!って顔にでて申し訳なさそうな顔をするでしょう?」


「そ、そんなことは…」


「しかも次からは同じようなことは絶対にしないし後で食べ物だったり、包帯だったり、花だったりが部屋に置かれているし」


「あ~ありましたね」


「ぐっ」


「そんなところがミルーの可愛いところで憎めないところよね?」


「うんうん」


「………」


 …こいつら。


「…それにね。私はミルーがいたからこそ今まで悲観的にならずに生きてこられたの」


「私が?」


「ええ。確かに小さい頃はあなたが羨ましいと思っていたこともあったわ。両親からの愛情を一心に受けて育っている貴方がとても幸せそうで。でもそれはすぐに間違いだと知ったのよ。…ミルーは覚えていないかもしれないけれど私とあなたが初めて会った日あなたは私の色を『綺麗』だと言ったのよ」


「え?」


 私が姉の色を?そんな言葉言った覚えなどない。


「ふふ。まだミルーが3歳くらいの時だもの。覚えていないのも無理はないわ。ミルーは私を見るなり目をキラキラさせながら拙い言葉使いで一生懸命私に向かって手を伸ばしていたのよ。あの時の衝撃は今でも忘れられないわ。…だけど両親にとってはそんなこと許されなかったのでしょうね。お父様は私を蹴り倒した後ミルーに大声で怒鳴ってお母様と一緒に泣きじゃくるミルーを何処かへ連れて行ってしまったの。その次に会った時にはミルーは私の色を仲間はずれとか汚いって言うようになっていたわ」


「それは…」


「………」


「他にも私は色以外にも家族とはほとんど似ていないのよ。でもお父様の曽祖母様とはそっくりなほどよく似ているの。それを見つけて私を家族だと言ってくれたのもミルーただ1人。まぁそれもいつもミルーにベッタリとくっついていた両親がミルーを叱りつけて家族じゃないと植えつけていたけれど」


「「………」」


「そんなことが何度もあったわ。ミルーの言葉はいつも純粋だった。だけどすぐに両親によって違うことを植え付けられていたわ。ずっとミルーのことが羨ましいと思っていたけれど両親に叱りつけられて『何で』と泣いているミルーを見てそれは間違いだと気づいたわ。あんな両親に常に張り付かれ歪な愛情と知識を押し付けられているミルーが可哀想だと思ったのよ。ミルーは両親とは違う。だからこそ早く助けてあげたかった。もうあなたが泣くのなんて見たくはなかったから。だけど私1人じゃどうすることもできなかった。ジージルには悪いけれどジージルが屋敷に引き取られて来た時には嬉しかったわ。ジージルは優しいし、ミルーもそんなジージルを好いていたからジージルならミルーを支えられるかもって助けてくれるかもって思ったの」


 まさか姉がこんなことをずっと思っていたなんて思わなかった。だからこそ姉はいつも私に好意的だったのか。


 姉は私の頬に手を当て微笑んだ後ジージルを真剣な目で見つめる。


「ジージル。ミルーをよろしくね」


「言われなくてもわかっています」


「そう…。ふふありがとう。それじゃミルーもジージルも急だと思うけれど2日後までにしっかりと逃げる用意を…いえ、どうせなら逃げるのではなく正々堂々とここから出て行ってやりましょうか」


「正々堂々と?」


「ええ。だって私達みんなあの2人より強いもの。もうどうせなら最後に言いたいことやりたいこと全てやってからでていってやりましょうよ。私に考えがあるの」


「「考え?」」


「ええ。それはーー」


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